あえる ヤれる アイドル『TRK26』まな板ショー 作:添牙いろは
一時期は……本当にどうなることかと思った。俺や他の家族も執拗にマイク攻めに遭ったり。元々寝るために帰るような暮らしをしていた両親に至っては、外泊に頼ってあからさまに逃げ回っていたほどだ。俺とねーちゃんだけ、この家に残して。
けれども、いまではそれも落ち着いた。それはおそらく――ねーちゃんがストリッパーになったから……だと思う。
ねーちゃんは、ずっと歌が好きだった。それこそ、毎週のように一緒にカラオケに行ってたっけ。それが高じて芸能界に入って――けれど――
突然の熱愛報道――その相手がイケメンアイドル・
あの頃も、ねーちゃんは楽観的だったんだよなぁ。事務所辞めたって歌はどこでも唄えるし、とか。けど……まさか、ライブハウスにまで圧力がかかるなんて……。
そんなときにねーちゃんが逃げ込んだのが、TRK劇場、というストリップ劇場だった。
ねーちゃんは、そこでちゃんと唄わせてもらってる、とは言ってるけど、弟として不安にはなる。だって、ストリップ劇場だぞ? 歌なんてあってないようなもので、脱ぐ方がメインじゃないのか? だから――最初は、真面目な気持ちで――決してふしだらな目的ではなく――けれど――
【裸になりたい】
作詞:古竹未兎
メロディ奏でられず 先走るだけの肩書き
それがオトナなのだと 冷たく言い放つ
望まれてたはずの未来 見せかけだけの約束
そこにアタシの音楽なんてない
着せられたこの衣装 それが足枷になるのなら
脱ぎ捨てて 裸になりたい
いつも胸の奥で 叫んでる心の在り処は
この先限りなく 続く初めの一歩
迷い
すべて蹴り倒してゆけ
こっそり購入したねーちゃんの出演回のアーカイブ動画――そこに映っていたのは――ねーちゃんだった。それも、まだ芸能界で活動していた頃の衣装を着た――厳密には似てるだけで違うような気もするけど。ハコの規模は小さいながら、観客たちは声援を送っていて、盛り上がっていて、ステージ上でもしっかりした振り付けで、何より、ねーちゃんが――それこそ、テレビに映っていた頃より活き活きしていて――それで俺は安心してしまって――聴き入ってしまって――ねーちゃんが――その衣装を脱ぎ始めていたのに――!
もちろん、歌も良かった。けれど――これまで、ねーちゃんの裸を見たことがないわけではない。姉弟だから、一緒に風呂に入っていたこともある。けれど――胸だってこんなに膨らんでなかったし――下の毛だって――まだ生えかけだってねーちゃん自身言っていたけれど――
だけど、俺は――!
***
芸能界で歌手をやっていた頃は滅多に会えなかったが、劇場の方に移ってからはそれなりに余裕もできたらしい。普段は職場近くのマンションに住んでいるようだけど、月に一・二度は帰ってくるようになっていた。そのとき、ねーちゃんは大抵俺の部屋にいる。別に何をするわけでもなく、俺のベッドで寛いでいたり。
その日も、ねーちゃんは俺の布団の上でスマホをいじっていた。
「こないださー……メンバーとちょっと話題になってたんだけど……」
「ナニ?」
俺は机の方で大学のレポートを書きながら相槌を打つ。
「
それは、本当に何気ない会話として。
「アタシと……エッチできる?」
「はぁっ!?」
ねーちゃんは時々突拍子もないコトを言い出すところはあったけど、今度ばかりはさすがにとんでもなさすぎるぞ!?
「なっ、なっ……ナニ!?」
不意打ちだったから思いっきり動揺してしまったが、顔を見られなかったのが唯一のせめてもの救いか。けど……まさか、俺がねーちゃんをオカズにしているのを知っていて……? かといって、面と向かって認めることもできず。
「できないってば! っつーか、ねーちゃん相手にエロい気分になるわけねーだろ!」
俺は必死に誤魔化そうとしたが――
「……ふーん」
ゾクリ――背中を向けていても伝わってくる。多分、ねーちゃんを怒らせてしまったのだとは思うけど……いや、これは怒る方がおかしくないか?
「そっかそっか。まー、とーぜんよね」
ギシ、ギシ、とベッドの上で動く音がしたので、俺はそのまま身を固くする。ねーちゃんが暴力を振るうことはないけれど――それに匹敵する何かを恐れて。
しかし、何もなかった。ねーちゃんは、そのまま何も言わずに部屋を出ていっただけで。
けれど――その日はそれ以降ねーちゃんが俺の部屋にやってくることはなかった。
俺だってねーちゃんとは仲良くしたい。けれど――あのとき、何と答えるのが正解だったんだ? そんなことを考えながら寝る前に風呂に入っていると、ガラリと扉が勝手に開き――
「永兎ー♪」
「ねねね……っ!?」
俺が先に入ってることに気づかず……? いや、思いっきり俺のこと呼んでたし! 中にいるのを確信して……ねーちゃんも一緒に入らんとばかりに……!?
「シッ」
と口元で指を立てて見せるねーちゃん。それだけで――俺は湯船の中で俯いたまま言葉を失った。
み……見ちゃった……ねーちゃんの……。も、もちろん、動画ではいつも見てたけど……それが、目の前に……。
完全に初めてではなかったおかげか――少しは冷静さも残っている。これはきっと、確信犯なのだな、と。もし、俺が入っていることに気づかず偶然鉢合わせたとしたら――脱衣所の方に気配を感じたはずだ。わざと息を潜めたか、それともすぐ脱げる格好で来たのか――ともかく、子供の頃ならいざ知らず、この歳で姉弟がこんなことをしていると親にバレたら大変だ。
一先ず、ねーちゃんの機嫌が直ってくれたことについては良かったと思う。けど、この暴挙の理由はわからない。いずれにせよ、とにかく静かにしておく必要はあるだろう。
ひたひたとねーちゃんの足音が近づいてくる。まさか、一緒に湯船に入るつもりか? とも思ったが――
「毛が生えたら見せてくれる……って約束したよね?」
俺の耳元で息を吹きかけながら――思わず大声を出しそうになったけれど何とか堪えた。
「そっ、そんな……子供の頃の約束……っ」
「あ、覚えてたんだ」
それは……うん。それで、実際に生えてきたら恥ずかしくなって……それで一緒に風呂に入らなくなったんだから……。
「ほら、見せてみなって。こっちの毛だけ見といて、それはないでしょ?」
まさか、そんなことのために、わざわざ風呂に……? けれど……ねーちゃんは見せるまでテコでも動かない雰囲気だ。仕方なく、俺はお湯の中で押さえ込んでいた手を外したが、それで納得する姉ではない。
「ちゃんと立ち上がって、お湯から出して」
ぅ、ぅ……そんなことしたら……バレてしまう……ねーちゃん相手に……けど……この生理現象の言い訳を考えながら、観念して、俺は姉の指示に従った。
「……わっ、すごい……♡」
姉といえども一応女だ。女のコにアソコを見せてこういうリアクションが来ると……どこか複雑な気分である。ほんのりと昔を思い出しているのかもしれない。
「そ、そんなに毛深いかな……?」
ねーちゃんのを見せてもらったときは、まだ生え始めたばかりだったから。それと比べると……なんて子供の頃のことを考えていると。
「あ、ううん、永兎に毛が生えたのもスゴイけど……チンチンも、すっかりオトナになっちゃって……」
「ね、ねーちゃん! こ、これは……」
決してねーちゃんに欲情しているわけではなく――疲れていると
「はむっ!」
「ねーちゃん!?」
俺の先端をじっと見ていたと思ったら、まるで釣り餌に食いつく魚のように――!
けれど――顔を前後させながら軽く舌を回したところで――思いの外あっさり放してくれた。そして姉は満足気に。
「ふふ、アタシだってこんなことまでできるようになっちゃったんだから」
俺のソコには、まだねーちゃんの唇の――舌の感触が残っている。そんな下半身にひきずられてしまっているからか――俺はねーちゃんから目を放せなくなっていた。ペタンと床にお尻を着けて、足を開いていくねーちゃんの姿を。
「だから、そのー……驚かないで、聞いてほしいんだけど……」
ねーちゃんの右手が、左の乳首へ――ねーちゃんの左手が、股の間へ――けれど、それは恥部を隠すためではなく――
「あ、アタシね……永兎で……オナったこと、ある……」
「え……?」
俺のココを咥えたくらいなのだから――想像の中なら――もっと――
「永兎と、そのー……エッチ、してるところ……想像して……ムラムラして……」
そう言いながら――ねーちゃんは手を当てていた乳首をきゅっと摘み、割れ目の中の好きなところを、その指先で探り当てて――
「え、えへへ……永兎がアタシのこと見てチンチンおっきくしてると思ったら……もう……ガマンできなくて……」
「ね、ねーちゃん……」
もう言い訳のしようもない。いまさら別の理由で――勃起の理由を口にしても、ねーちゃんは止まらないだろう。
「永兎のチンチンも苦しそうだよ? 我慢してない?」
「そ、それは……」
力んでいるつもりはないのに勝手に上下に脈打って――収まるどころかいまにも爆発してしまいそうだ。
「ね、いいから。永兎も……シたいように……シて……」
ぅ、ぅ……ねーちゃんが……くりくりと指を回して――
「ん、はぁ……あぁ……♪」
気持ちよさそうに喉を鳴らして――そんなところ見せられたら……俺だって……! 迷いながらも、俺は自分の膨張したところを握り込んだが――
「違うでしょっ!」
それは上目遣いで。イタズラを叱るような――それでも、姉自身もイタズラっぽく。
「手じゃなくて……ココ、でしょ?」
ねーちゃんは右手も股の間に下ろして――指で念入りに掻き分けながら――中のピンクに色づいたところがキレイに見えるように――!
けど……ココ、と言われても、そこはさすがに……俺たち、姉弟だし――超えてはいけない一線があるというか……!
股間を持て余してモジモジしていると――ねーちゃんの方が痺れを切らしたらしい。
「うーん……それじゃー……」
ねーちゃんは立ち上がると――ジャプッ、ジャプンと俺を避けるように湯船に侵入してきた。そして、そのまま俺にぎゅっとしがみついてくる。裸のねーちゃんが――裸の俺に――!
「……ふふ、気持ちいいね。永兎も、気持ちいい?」
「う、うん……」
ねーちゃんの胸……柔らかくて……それに……俺の
「それじゃ、一緒にあったまろっか」
まあ、うちの浴槽は広いからな……。ふたりで入っても問題ない。けれど――ねーちゃんは俺にしがみついたままで――浴槽の縁を枕にして、俺はそんなねーちゃんを上から抱きかかえているような体勢になってしまった。
それどころか、ねーちゃんは俺を引き寄せて――顔と顔――唇と唇を――
「ちゅ、ん、あむん……♪」
俺……俺……ねーちゃんと……キス、してる……。それも、子供の頃にしたようなのじゃなくて――
「れろ、れろぉ……あむぅ……♡」
ねーちゃんの舌が俺の口の中を駆け巡って……あぁ……こんなの……
そうこうしているうちに……お湯の中でねーちゃんのふくらはぎが――太ももが――俺の腰回りに絡みつくように――女のコが股の間が開いてしまったことで、俺の股の間も――ねーちゃんの――その中心の割れ目に向けて――
俺の先が――硬くて柔らかい部分にぶつかっている。この感触は――初めてだけど間違いない。ここはねーちゃんの――女のコの――俺は迷いに迷って、けれど腰を上下にモジモジさせていると――ポコリ、と軽くハマり込んでしまった。もっと先に進んだらきっと――それに、ねーちゃんの踵も俺に催促している。
「れろれろ……はむぅ……はむぅん……♪」
唇に……舌にまで誘われてしまったら……先だけなら……もう少しだけなら……そんな快楽に、俺は負けてしまった。
「ああああああっ♡」
結局、根本まで……! しかも、ねーちゃんは悶えるように腰を泳がせて……そんなことされたら俺だってじっとしていることはできない。ねーちゃんのリズムに合わせて俺も……ねーちゃんの
「あんっ、あぁんっ、はぁんっ、あぁ……っ!」
あのときの質問――アタシとエッチできる? ――おそらく、あのとき逆に質問すべきだったのだろう。そう言うねーちゃんは俺とできるのか――そうしたら、きっとねーちゃんは自信満々に答えただろう。できる、と。そして――
結局逃れられないのなら、無駄に怒らせることはなかった。こんな無茶をさせることもなかった。俺の部屋のベッドであれば――こんなに窮屈なことはなかったのだから。
「ご、ごめん……ねーちゃん……俺……っ」
小刻みながらねーちゃんの
「ねーちゃん……
申し訳ないけど、ねーちゃんに放してもらわなきゃ。けれど――
「うんっ、うん……いいよ……アタシも……
ねーちゃんは足も腕も解いてくれない。けれども腰だけは艶めかしく求め続けて――僕だって本能に溺れていいのなら――けど――けど――
「
それができればどんなに幸せか――そんな誘惑に、俺は抗えず――
「いいから……うん、うん……アタシの……おねーちゃんの
ダメだ……っ! ねーちゃんは……ねーちゃんなのだから……女として……異性として見るようなことは……ッ! けど――うっすらと開けた目蓋の向こうに、ねーちゃんの顔を見てしまった。カワイイ――からキレイ――になって――胸もこんなに柔らかくて――何より――俺の男が、ねーちゃんの女を
ビュルッ! ドクンッ、ドクンッ、ドクン……ッ!
「あっ、はぁぁぁぁぁぁぁぁ♡♡♡」
お、俺は……ねーちゃんの
「はぁ……あぁ……永兎……カワイイねぇ……♪」
俺はまだねーちゃんの
「大丈夫だよ、おねーちゃん、永兎のこと、大好きだから……♡」
何がどう大丈夫かはわからない。けれど――その言葉だけで救われてしまっている俺がいた。
***
非常にマズイ関係になってしまった、と自分でも思っている。こんなこと親にバレたらどうなるか――結局いまでも家には寝るために帰ってくるようなものだし、ねーちゃんがいるときは夕食くらいは一緒に宅を囲むが、その程度である。ま、いまに始まったことでもないし、俺にはねーちゃんがいるし――とか、そうやって甘えていたから、こんなことになってしまったのかもしれない。
当然、ねーちゃんとの関係はあの一回だけ――で終わることはなく――良くないこととはわかっているけれど、それでねーちゃんを元気づけられるのなら……と思うと、求められるがままに、つい。
ねーちゃん曰く、家の外だと誰の目があるかわからないから――記者の類の連中も、まさか実家に帰った
けど、こないだついに、ねーちゃんの動画で
「あっ、あぁんっ、はぁっ、いい……っ♡」
姉弟でヤれるというのをメンバーたちに証明したい、などと変なことをねーちゃんは言い出して……アタシが上になってあげるから! ……そんな誘惑に負けてしまうあたり、我ながらどうかと思う。
「いいよ、いいよ……っ!
まな板ショー――歌が終わった後、観客の前でセックスする催し――客席に混ざっていた俺は、予定通りに選ばれた。 一応観客に関係者はいないはずだけど――俺がねーちゃんの弟であることを知っているのはメンバーの皆さんだけであってほしいと願うばかりだ。俺が――
「あっ……はぁぁぁぁんっ!
――実の姉の