あえる ヤれる アイドル『TRK26』まな板ショー 作:添牙いろは
ヤれるかヤれないか――俺だってそこまで単純ではない。もっと仲良くなれたら――そしてあわよくば――そのくらいのもので。
一昨年、就職に行き詰って院へ進学して一時的に誤魔化したものの、さすがに今度こそ腹を括らなくてはならないだろう。社会人になってしまったら恋愛を楽しむ余裕なんてない。だから、これが最後なのだと覚悟していた。
カンナ――いまの彼女は、どーにも束縛感と、被害妄想が少々キツくてなぁ。いい女ではあるのだけれど。それに引き替え、サークルの後輩のユイ――
だからこそ、あの佑衣がまさかの……ストリッパーとはなぁ……。しかも、脱ぐだけでなく、観客とヤリまくるとか。ヤスモトのやつ、佑衣に何を吹き込んだんだよ。明らかにイキすぎだ。
とはいえ、彼氏がいても頑張ればヤれそう――俺の見立てはある意味間違ってはいなかったってことでもある。佑衣ってのは、潜在的には勢力旺盛だったということだ。ヤスモトの器には大きすぎる。これからはヤスモトに代わって俺が愛でてやろうじゃないか。
ストリッパーとはいえ個人ファンクラブもあって、その会員特典――これまでのアーカイブ動画見放題――これはスゲーな。スマホで観ながら、ある意味感心させられるよ。だって、ホントに
【Trip Strip】
作詞:このきのこ
遊び半分 背中押されて
いつの間にか この舞台にいた
古い常識 脱ぎ捨てて
自分らしい 新世界を見てる
この手を伸ばせば つながる光に
包まれたら さあ飛び立とう
恥ずかしいけど!
夜の街に響き渡れ 私たちの裸の歌
Dance! 胸を撫でてく Sense
Flash! 一瞬のための Cloth
Trip するような Strip!
ストリップ劇場でストリップの歌って……なんかシュールだな。しかも……正直そんなに上手くもない。けど……やっぱ、顔見知りがステージに立ってて、しかも――うおぉ……マジで脱いでるぜ。上どころか下まで全部。これは……めっちゃ燃える……っ!
それにしても、ストリップ劇場のホールって妙な形してるのな。メインステージから客席の方に通路が伸びてて。で、その先端――ちょうど、部屋の真ん中くらいかな。そこが少し膨らんでるのは、まさにカリみたいな感じだ。そこで女のコたちが全裸になって両脚おっぴろげたりしてるわけだが――メインステージの奥とその中央舞台を行ったり来たりできる円形のリフトのようなものがあるらしい。しかも、中央舞台ではリフトごと回転できる仕組みになっているようで――床にペタンと尻を着けて、例の両脚おっぴろげポーズで――そのまま会場に向けてグルグル回るわけだ。
で、佑衣は――唄い終わると、何故かそのままリフトに運ばれて舞台の方へと回収されていく。大サビに入ってカリ型舞台に立つ頃には次の出番の準備もあるらしく幕は閉じられていて、その閉じた幕に向かってリフトで運ばれて行って――二枚の緞帳の間に吸い込まれていくのが佑衣独自の段取りらしい。
佑衣って、唄い終わると気が抜けるのか、呆けた表情してんのな。その、呆けた表情のまま運ばれていくのが、全裸ということもあって、何ともドナドナチックである。せっかくいい舞台なんだから、退場までシャンとしてほしいところだが。
そして、そんな歌と踊りと全裸のステージとは別に、まな板ショーってのもあって――全員の歌が一通り終わって、カーテンコールの後、女のコたちが改めて中央のカリ舞台にひとりずつ出てきて……うわ、マジで佑衣がセックスしてるわ。ステージの上で。目下には観客もいるのに。立ちバックで派手に喘いで。
これが、この劇場の演目の流れである。で、このあたりでフィニッシュするのが俺のいつもの流れでもあるのだが――やはり、実際に観に行ってみたいというのは否めない。けど、この劇場って小さそうなんだよな。ステージの上から俺が来てるのに気づかれたら気不味いだろ。目なんて合ったりしたらさー、佑衣もやりづらいだろうし。
そんなわけで、これまで劇場までは行ったことはなかったんだが……つい、気の迷いでチケット申し込みボタンタップしちまってな。しかも――まさか、その一発で当たっちまうなんて。こんなん、二〇世紀のエロ漫画じゃあるまいし。……変装とかしたらバレないか……? いや、バレるだろうなぁ……。
***
失念していたけれど、そーいやファンクラブの特典ってアーカイブ動画見放題の他にも、チケット優遇ってのがあったんだよな。だとしても、こんな簡単に当たっちまうなんて……アイツ、人気ないのか?
シレっと劇場にやって来てみると、中の雰囲気は完全にソープである。壁のポスターが軒並みエロエロなところも。軽くブロマイド売り場も覗いてみると……マジであるんだなぁ、佑衣のも。けど、雰囲気が雰囲気だけに、壁に飾られちまうと、これもソープの出勤表みたいだ。
多分、終了後でも買えるんだろ? 気が向いたら後でもっかい寄ってみっかー……とかぼんやりと考えながら、早々に席取りを。指定とかないからな。もちろん、狙うは中央舞台の真ん前で。上から顔バレしそうだけど、ここまで来たのに遠慮してどーすんだ。
しばらくすると席は人で埋まり、照明も落ちて、派手派手しい音楽が流れ始める。ここからの流れは佑衣と同じだ。いい感じに唄って、大サビで全裸ショー。これを……佑衣もやるんだよな……? これから、目の前のステージで。そんなの、楽しみすぎるだろ……!
何人かのヌードを鑑賞したところで、次はようやく佑衣の番……っ! ……と、心して身構えていたのだが――
「お楽しみのところ申し訳ありません」
肩を叩かれて低い女の声で耳打ち――さすがにこれは心臓に悪いぞ。
「島門さんから言伝をいただいておりまして」
そこで女の言葉は途切れる。詳細はホールの外で、ということなのだろう。
廊下に連れ出されたところで、その女はこの劇場の社長秘書だと名乗った。
「曲が終わったらそのまま盆で待っているので、自由にまな板ショーをしていい、とのことです」
な、なに……? この眼鏡の社長秘書、すました顔ですげぇこと言いやがる。だって、まな板ショーっつーたら……アレだろ? 動画で観てたからよく知ってる。けど、それって抽選のはずじゃあ……?
あまりに出来すぎた展開に、最初は半信半疑だったが……スタッフエリア内に案内されて……出演者の女のコたちにも会釈されて……どんどん現実味が増してくる。
「ああ、ただし――」
幕が下り、閑散とした舞台に着いたところで、社長秘書ははちょっとした軽い話題を思い出したかのように。
「アイドルに対して故意に傷を負わせようとする行為は劇場として禁止しておりますので、常識の範囲内でのセックスにてお願いします」
い……いま、間違いなくセックスって言ったよな……? 間違いねぇ。俺は、まな板ショーとして、これから佑衣と……!
浮かれた足取りで幕の合わせのあたりへと近づき、その間をちょっとだけ指で開いて覗いてみると――ホールは暗いが中央舞台――盆、と秘書さんは呼んでいたか――そこだけは明るい。だからこそ、真っ白な光に照らされた佑衣は――燃え尽きちまってるように見える。真っ白にな。高くなった台座の上に棒立ちで、こちらに返ってくる様子もない。いつものように、リフトの上で運ばれるのを待っているんだろう。
だが、いまは歌が終わったままであって……観客もそのままだし。怖い秘書ネーチャンからはセックスと言われたが……。チラリと後ろを窺うと、まだこっちを睨みつけている。早く行けと言わんばかりに。
というか。
「この場で脱いでから出られるのであれば、脱衣籠をご用意いたしますが」
ガチだ。ガチでこれから佑衣とセックスすんだ。しかも強制。逃げられない。いや、逃げる必要もないけど。
スーツ女からの威圧感に押されるように思い切ってホールの方へと幕を突き抜けてみると――あ、意外と反応薄い。そりゃそーか。あっちには全裸の女子が立ってんだし。当然みんなそっち見るだろ。
けど……考えようによっては、俺って超特等席で佑衣の全身をくまなく観れるんだよな。前から後から、上から下から。
決して急いでいるわけではないが、俺は自然と小走りになって――中央舞台に到着。おおお……佑衣だ。全裸の佑衣だ。けど、何だか様子がおかしい。男が――しかも、顔見知りが舞台の上までやってきたというのに無反応で……何も目に入ってないというか。これは、動画で観たいつもの放心で――アレって演技や演出じゃなかったんだな。
ちょっとグルリと……おっぱいからお尻まで見回して――それでも佑衣はまるで俺に気づいてないように呆けている。さ、触って……いいんだよな……? だって俺たち、これからセックスするわけだし。
軽くフニフニ……と。うん、怒られねぇ。けど……佑衣って結構胸あるよな。乳首もピンピンに
『……はぁ……』
お、いま色っぽい息吐いたぞ。マイクに拾われてすげぇはっきりと聴こえた。こんな大音量で喘がれると、やっぱショーだって実感させられる。だったらもっと喘がせた方が他の客も喜ぶよな。俺は俄然ヤる気になって、指で捏ね繰り回しながら舌で味わってみたり。
『……はっ、あっ、あっ……』
こういうのって立ちマグロっていうのか? 聞いたことないけど。ただ、完全に無反応なのではなく、ピクピクと小さく痙攣する感じが地味に嬉しい。こっちの気分も盛り上がってくる。
勢いのままに下の方も触ってみると……うわっ、すげっ、ローション仕込んでたのか、ってほどヌルヌルじゃねぇか! 指もスルリと
『……は……ぁぅん……』
こ、これは……
俺はガチャガチャとズボンを緩め、自分のモノを取り出すが……ぬぅ、棒立ち相手ゆえにどうにも
『あ……はぁぅん……っ』
前のめりになっていく佑衣の上半身をすかさず支えて――せっかくだから乳も揉んで――あー……柔らけぇ……露骨な声は出さないけど、こうして乳首が
それにナニより、
『あぁ……っ』
言葉にせずとも、女の本能が肉厚で応えてくれる。摘んで、回して、上下に弾いて――おぉ……おおぉ……っ、佑衣め、しきりにキュウキュウさせて――こんなに期待されたら……こっちだって応えずにはいられてねぇっての!
『あっ、あぁっ、はぁっ、あぁぁっ』
俺が佑衣の
俺は後ろから抱きしめるように――派手には動けねぇけど、むしろそのおかげで力強い締め付けを
『あぁ……はぁぁぁ……はぁぁぁぁぁぁぁぁ……っ』
すげぇ、すげぇな、コレ……こんなセックス……初めてだけど……いい……いい……っ、こんなの……
だが、それより先に――
ピチャァァァァ……ッ、ピチャァァァァァ……ッ。
おおおおっ!? 佑衣のヤツ、お漏らし――潮噴きか? 俺とのつながりに温かい迸りが注がれて――やべ、やべ、
ドプッ、ドプ……ッ、ドク、ドクン……ッ
最初は自分でも気づかないほど――温もりを浴びる心地よさに夢中になっている間に、俺は佑衣の
ピチャァァァァァァ……ッ!
これまで俺たちに振り回されて巻き散らかされていた潮の残りが、コップを傾けたように溢れ落ちた。あー……ズボンまでびしょ濡れだけど……うん、まあ、いい経験できたから良しとすっか。
佑衣の
なお、ステージの方では、学生服の集団と例のスーツ女が待機していた。きっと、これから何事もなかったかのようにステージは再開されるのだろう。
スーツ女から着替えのジャージズボンを渡され、それと引き換えにこちらからは佑衣の身柄を渡して――あのスーツ女、見るからにタッパあったけど、それに見合った腕力もあるらしい。細っこい佑衣を脇の下から力強く抱き上げて袖の方へと連れて行った。そして俺は、えーと……入ってきたのはこっちからだったっけ……? ……ふむ、佑衣たちとは逆方向か。
学生集団の出番も控えているので、俺は速やかに無人の袖へと捌けていく。そして、そこでズボンを穿き替えることにした。パンツも濡れたが替えはないのでノーパンだけど。
……あぁ、結局佑衣とは一言も話せなかったな。けど……気持ち良かったし、身体で会話した、ということにしておこう。
***
星の数ほど女はいるが、同じ数だけ営みもある。
「やっ、あ、ん、んん……っ」
あぁ……やっぱカンナとのセックスはサイコーだぜ。男女がつき合っていくってのには身体の相性も重要だよなぁ。などと、カノジョとの出逢いに感謝しつつ……盛大に一発抜いて、ゆるりと熱い抱擁を解いた。
そして、ささやかなピロートーク――というか、雑談。
「なぁ、最近島門がどーしてるか知ってる?」
ヤスモトと別れてから部室にも出てこなくなったのは周知のことだが。
「なんか、ソープの仕事始めたんだって?」
俺の問いに、カンナはさほど興味なさそうに答える。ヤスモトからそういうふうに聞いたんだろうが……なるほど、アイツの中ではそういう扱いになってるんだな、TRKって。しかし。
「いや、ソープじゃなくて、アイドルらしーぞ」
「はぁっ!?」
あまりの食い違い――というより、突拍子もない転身に、カンナも素っ頓狂な声を上げる。そりゃまあ、突然知り合いがアイドルになった、とか言われたらなぁ。
「アイドルといっても、ストリップ・アイドルってやつみたいだけど」
「じゃあ、ただのストリッパーじゃん」
それならソープ嬢と大差ない――そのように考えているようだが……違うぞカンナ、アレはストリッパーの枠に収まるものじゃない。
俺はあれから歴史的資料ともいえる二〇世紀のストリップショーの動画を漁ってみたが……そもそも、ストリッパーは基本唄わない。いや、唄う人もいたようだが、少数派だったようだ。ああして全員に唄わせてる時点でストリッパーとは一線を画していると俺は思う。
が、それを熱弁するのは怪しい。俺は
「てかさー、いまどきストリップが生き残ってたなんてすごくね?」
熱弁しないよう意識していたつもりだったが。
「何? 見たいの?」
俺の熱だけは伝わってしまったようだ。カンナの口調は怒っているというより呆れている。まあ、俺がエロいのは知ってるから、この程度で驚くことはない。むしろ、そう言うカンナだって結構エロいところあるだろ。
しかし、まー……女には女の都合があるらしい。
「ユイが出てない日ならいいけどね」
顔見知りが裸で踊っているところは見たくないのだろう。……いや、親しい仲でこれからも応援していくー、とかならともかく、サークルを去っていった相手だからなぁ。女の都合というより、俺だって普通に考えれば気不味い関係だったといえる。
が、それは目的じゃない。
「まあ、毎日毎回
「暇だったらね」
ストリップショーは夜遅くまでやってるからな。カンナもそんな時間までバイト入れてねーだろ。
ともあれ、これで……うん、大丈夫なはず。というのも――佑衣のヤツ、俺のことを名指しこそしなかったが……『一度相手すれば満足すると思って。彼女持ちが劇場に来るなら次は彼女の許可をもらってから――許可の証明として、彼女を劇場へ連れてこい』――みたいなことゆってたからなぁ。こないだ、ラジオ番組で。けど、自分のステージに連れてこいとは言ってないし。なので、カンナが鉢合わせを避けたいというのなら願ったり叶ったりだ。
カンナはカンナで別腹として……TRK26、か……。エロい女子が二六人もいるんだよなぁ。それも、若いコから熟女まで……巨乳から貧乳までよりどりみどり……これは盛り上がるぜ。けど……もし、カンナまで劇場デビューしたい、とか言い出したら……ま、それもそれでアリか。というより、そのコネでメンバーと知り合いになれたら……!
これはめっちゃ夢広がるだろ! みんなで行こう、自分の彼女を連れて劇場へ……ッ!