あえる ヤれる アイドル『TRK26』まな板ショー 作:添牙いろは
「
「む、むぅ……これはチンチンの資料に必要で……」
「だったら咥える必要ないじゃないですかっ!」
「ほら……いい絵を描くには味も見ておいた方が?」
「そっちはシナリオの領分ですっ! ……ふむ、そういう意味だと、あたしこそ味見しといた方がいいかもですねー……?」
「え、えーと……礼菜は何か用事があったはずじゃ……」
少なくとも、咥えに来た以外の用件が。それでも、一度火がついたら消えないのか、横から僕の膝に乗り上げている。そして、収まることを知らない僕の
「えーとですね、さっきスレが立ってましたよ。
「あぁ……またか……」
このような心配もあったので、優加さんがここに勤めていることは公表していない。もしここに彼女がいると知られれば、捨てられた男たちが詰めかけてくることだろう。いまは、劇場の方が一手に引き受けてくれている状況だが。やはり、専門のアイドル事務所だけに、そのような輩への対応も慣れているということで。
優加さんの悪癖については春萌先輩も重々承知している。だからこそ――けれども、どこか他人事で――礼菜とは逆側から舌を這わせつつのんびりと。
「というか、よく平常運転してるね、そのー……TRKってゆったっけ?」
ちなみに礼菜の方は、女のコ同士でもディープキスまではセーフらしい。
さて、TRK26――ストリッパーによるアイドルユニットと聞いて――当時、優加さんはライブアイドルとしてある種の事故を起こし――といっても、怪我人が出る類のものではなく――素っ裸になってしまったのである。新歌舞伎町の舞台ならばともかく、渋谷のライブハウスで。その際には偶発的なトラブルとして押し切ったが……結果として彼女に貸してくれる箱はなくなり、ライブアイドル界隈から追放されてしまった。そして、その事態を引き起こしたことに関して、僕たちは無関係ともいえない。優加さんはまだ唄いたがっていた――もう未練はない、と口では言いながらも。
ゆえに、礼菜からの紹介もあり――とはいえ、礼菜も話で聞いただけだったが――僕は優加さんにそのユニットへの加入を勧めたのである。
そこが、ビジネスライクな芸能事務所ならば良かったのだが――
「……そこのふたり、今日のおちんぽ当番は私のはずでしょう?」
「あ、あるぇ~……専門ちゃん、今日は直行のはずではぁ……?」
「先方の都合でオンラインになったのよ。だから、
「部長さんこそ、下半裸なの映らないよう気をつけてくださいね」
「私は
……弊社が五名なのに対して、先方は優加さん含めて二六人。そこまでの大所帯となれば――僕の方は、こうして三人目の裸の女のコが現れただけで対応しきれていない。……まあ、先方もさすがに捌ききれていないところもあるようだが。
そんなところに、『サークルブレイカー』として悪名高い優加さんを送り込んでしまったとなると……さすがに他の二五人のメンバーを出し抜いて簡単に壊されるとは思っていないが、何らかの軋轢がある可能性は否めない。
ここで、礼菜はふと舌を止めて僕のことを軽く見上げた。
「コースケくん、もしかして、心配です?」
僕が何を言わずとも、彼女にはやはり筒抜けらしい。
「まー……最近はラジオ風雑談やらゲーム化の件で劇場さんとは密に関わってますからねー。……いいですよ、様子見てきて」
他の女のコとのふたりきりのデート――恋人がいるのに――お外で、かつ全裸で過ごすのなら、という条件でのみ看過するとされているのは、礼菜が生粋の露出狂だからこそ。同じ露出仲間だと認めるからこそ。それ以外は、基本的に今回のようなオフィスラブ――という名の乱交だけだ。
礼菜としては、劇場での行いは室内プレイに含まれる――と、結論付けている。以前、一度だけ出演させてもらった際に。やはり、自分には向かなかった、として。
なので、今回は特例なのだろう。まあ、優加さんの出演している回を一通り観て、そのまま帰してもらえれば良いのだが……優加さんは何かにつけて抜け目がない。僕が客席に混ざっていることに気づけば……最近始まった『まな板ショー』――あくまでステージの一環だと言い張って間違いなく僕を巻き込んでくるはずだ。
礼菜もそれは承知しているので……そこまで含めて見逃してくれるということなのだろう。ただし、最低限の対策はしていくべきだが。
***
普段、僕がスーツを着ることはない。社長という立場ではあるが、僕自身が前線に立たなくてはならない程度の事業規模だからだ。……ちなみに、職場にいると女のコたちに脱がされてしまうので、業務らしい業務は自宅中心で行っている。礼菜も家の中で、他の女子がいなければ大人しいので。
それもあり、あえて自分らしからぬ変装ともいえる様相で劇場に赴いてみたが……逆に浮いてしまった感が否めない。一応新宿という街並みも考慮したし、新歌舞伎町も通りはスーツ姿が多かったのだが。その中でも劇場に入るとなると、客層も少々偏るのかもしれない。
そして、ステージは始まった。TRKは二六人グループだけに、様々な女のコたちが舞台に上がる。その中でも数人のグループを作ることもあるが、舞台に上がった優加さんは――いわゆるソロだった。
【Marionette】
作詞:憐夜希
儚い光は消えて
真実だけ残された
透きとおる窓の果て
ひとり眺め続けて
憐れ stepping stone
貴方に帰る場所はない
割かれた気持ちとココロ break
深く突き刺す夢と偽りの未来
蝕むその想いが
甘く囁き合う砂上の楼閣に
縛りつけてる
暗い悪夢の底から
今更手を伸ばしても
希望などそこになく
あがき苦しむだけ
――これは、優加さんがライブアイドルをしていた頃からの楽曲である。ロックな曲調ゆえに歌詞もどことなくマッチしているが――彼女の本質を知っている立場としては笑顔で聴くことは難しい。ぼかしてはいるが――彼女自身、己の所業を理解して――それを楽しんでいるのだろう。
ストリップダンスについては、何度か披露してもらったことがある。それは、礼菜許可済みのデートの際だったり、オフィスで女のコたちから求められた際だったり。
だが――やはり、彼女の歌も踊りも、ステージのためにあるものなのだろう。激しい音響、眩い光線の中で、彼女は輝いていた。それは――かつて渋谷のライブで見せた投げやりな脱ぎ方ではなく、一枚一枚魅せるように。少なくとも、表舞台から裏舞台に移ったことによる足枷はなさそうだ。
夜の部すべての演目が終わったところでカーテンコール――こうして出演者たちが裸で並んでいる様子はまさにチーム一丸であり、実に仲睦まじく見える。少なくとも、表層的に揉め事を巻き起こしている様子はなさそうだ。――だからこそ、恐ろしい。優加安里という女性は、そういうときこそ牙を剥くのだから。
さて、僕としてはこれでやるべきこと――TRKさんに対する義理は一先ず確認できたと思っている。なので、これ以上は彼女次第――
『さて、今夜のお相手は――』
暗いままの客席にドラムロールと共にスポットライトが回される。これは、『まな板ショー』の抽選だ。
『まな板ショー』とは、ステージ上でアイドルと本番行為を行うサービスである。ただし、誰でも参加できるわけではなくアイドルのファンクラブに加入しなければならない。その判別は基本的に顔認証によって行われる。僕は優加さんのファン――というより、会社の経費で優加さんを応援している。なので、まな板ショーの抽選権を持ってしまっているため――僕が僕であることを隠すために、下を向いて中折れ帽を深くかぶり直した。
しかし――
『この方です!』
場内アナウンスと共に停止したスポットライトが照らすのは――僕だった。どうやら……ステージの上からでも、僕の来場はバレバレだったらしい。
そもそも僕は恋人持ちである。ゆえに、本来はこのような劇場に足を運ぶこと自体が不貞行為にあたり――まあ、そのあたりはふたりの合意によるところはあり、今回は恋人たる礼菜の許可を得て来ているわけではあるのだが――他の女性との肉体関係は礼菜の魂ともいえる野外プレイか――職場ルールによってローテーションが決められている。あとで礼菜から何か言われないか心配ではあるが――優加さんによる指名を無視して立ち去っては、それはそれで後で何を言われるかわからない。
これもまた、優加さんを劇場に送り込んだ者の責任として、僕はステージに上がった。幕は下りており、その向こう側の花道の終着点――『盆』と呼ばれる小さな舞台で、彼女は待っているのだろう。
逃げるどころか待たせるわけにもいかないので、僕は左右二枚の幕の間をくぐる。熱いほどに眩いライトと百を超える視線――やはり、僕が浴びるようなものではない。それに相応しいのは、ホール中央に屹立している――彼女なのだろう。
裸でありながら堂々と、怯むことなく両腕は胸を隠すどころか、むしろ強調するように横から下からしっかりと支えて。下の毛に到るまで恥じることなく。僕と彼女はすでに裸の仲ではあるが、そこは客席すべての注目を浴びる中心地だ。それでも動じることのない度胸は――アイドルゆえなのだろう。
一般人である僕は緊張しながら、申し訳なさそうに優加さんの前までやってくると――彼女はヘッドセットのスイッチを切っていたらしい。
「バレないと思ってた?」
僕だけに聞こえる声で問い詰める。帽子の鍔をその指でくいと上げながら。
「まったく、スーツで固めてくるなんて……脱ぐ気ないわね」
中途半端な変装が、逆に優加さんの目に留まる要因となってしまったようだ。
と、思ったが、理由はそれだけではなかったらしい。
「アナタには絶対に対応できないだろうからネタバレしちゃうけど……ワタシ、ステージから客席の視線を選りすぐるの、得意でね」
それは、寝取る獲物を見定めるために――どのような目で自分が見られているかを判別できるのであれば、僕からの視線はさぞ異質だっただろう。関係者としてハラハラしながら座っていたのは、おそらくこの劇場で僕だけだ。
と、いうことで。
「ったく、慣れないネクタイまでしっかり締めて……面倒くさいから下だけでいいわね?」
ここまで指示を出したところで、優加さんは改めてマイクを入れ直した。
「それじゃ、そこに寝てもらえる?」
このあたりの口調はオンでもオフでも変わらない。それが、ライブアイドル時代からの彼女のキャラクターだ。なので、客席の方も慣れたもので――僕もまた、素直に従う。
「さぁて、どうしてあげようかしら……?」
優加さんにとって、他の女性とつき合っている男を寝取ることはただの趣味――だが、それゆえに極めて床上手だ。ただズボンから取り出すだけでもゆっくりと、それでいて的確に撫で――生地の上からでも弱いところを刺激してくる。これには僕も――さらには特殊な状況も手伝って、
それを脱がすことなく確認すると――そこでようやく、ズボンのファスナーに手をかける。すると、彼女が指を添えることなく内側からテントの屋根が突き上がり、そこに軽く口付けしただけで――ピョコリと頭が顔を出してしまった。
そこを狙い打つように、優加さんの唇が改めて襲いかかる。
「はむ♪」
手を使うことなくしっかりと幹まで――僕は女のコのクチの中に含まれたまま、すっかり服の外へと引きずり出されてしまった。
それでも、まだ彼女が唇を放すことはない。
「あむ、はむ、ん、ん……♡」
顔を引いても僕は逃さず、再び喉の奥を目指しながら舌で攻め――職場の女のコたちは皆上手だが、優加さんも例外ではない。
「ん、ん……ジュルルル……っ」
それでいて、マイクを意識したアピールまで。わざと大きな音を出しながら……彼女はようやく僕を開放してくれた。
それは、次の工程へと進めるため。
「ふふ、
身を起こし、豊かな胸をたぷんと揺らしながら――彼女は僕の上に跨る。そして、
そして、僕を捕らえた。
「は、あぁ、ん……♡」
あとは腰を落としていくだけで――僕の男子は、優加さんの女のコの
「それじゃあ……スラックス、汚れちゃうけど構わないわね」
まるで、そんな格好でこんなところへ来たのが悪い、と言わんばかりの傲慢さで。とはいえ、実際ビジネスルックで来場しているのは僕だけだ。この時間ともなれば、これから客先に赴く用件もないだろう。不幸な食べこぼしだとだと思って――この場合、食べられているのは僕の方なのだが。
「あぅんっ、はぅんっ、あぁっ、はぁっ♡」
ファスナーを開けただけなので、金具が彼女の柔らかいところにぶつかっているはず。それでも、彼女は痛がる素振りを見せない。本当に大丈夫なのか、それとも、耐えているだけなのか。もしくは――
「あぁんっ、はぁん……やっぱり……いい……っ♡」
快楽が刺痛を上回っているためか。
「ふふっ、ふふ……いいわ……アナタの……チンコ……っ」
僕の
「さぁ……
優加さんの
「
倒れかけた上半身を両腕で支え、下半身の動きはさらに激しく――そんな彼女の愛撫に負けじと、僕は手を伸ばし――その胸を撫で、乳首を軽く摘み上げると――
「あっ、はぁぅんっ!?」
それで彼女の
「
それは短く、呻きのような嬌声――だが、その直後、僕の
ビュルッ、ビュクッ、ビュクゥ……ッ!
「あはぁ……
そんな僕の杞憂を気にかけることなく、優加さんは満足そうに僕の上にしなだれかかってくる。
「……はぁ、はぁ……いいチンチンだったわ……」
そして、マイクを切って。
「……大好きよ、コースケ♡」
それは、プライベートのときだけ彼女が口にする秘密の呼び名。優加さんはまだ、僕のことを――諦めていないのである。
やはり、彼女はどこまでも執念深い。そんな優加さんがこの先このTRK26というユニットでどんな騒動を巻き起こすことか――できれば、何事もないことを願いながら、僕たちは羨望の眼差しに囲まれながら唇を交わした。