ある日、事務所に忘れ物を取りに戻ったらプロデューサーさんが1人泣いている所を見てしまった
話を聞こうとドアに手をかけたが、プロデューサーさんは席を立ち別の場所へと移動してしまった
「私の...知らない顔や……」
いつも、みんなに笑顔のプロデューサーさんが誰もいない部屋で1人で涙を流す姿に私はその場を動けず、汗ばんだ手はドアノブを強く握り締め、心臓はドキドキと音を立てていた
ー次の日
「プロデューサーさんおはようございます!」
『おはよう!今日も元気だね!』
挨拶を交わすプロデューサーさんはいつも通りだった
「...元気ですか?」
『ん?元気だよ?』
「せやったらええんですけど」
私の心配も知らずに、プロデューサーさんからは変なのーと返ってきた
『……ねぇ、奈緒ちゃん、今日はやたらチラチラ私の方見てくるけどどうしたの?』
何かあった?と聞かれるが
「いや、それはこっちのセリフですー!」
『??』
私は昨日見た事を話した
『あぁ、ちょうどドラマの感動シーン見てたから』
と笑われた
「へ?」
「なんや、そうやったんですか〜心配して損したわ」
『ふふ、優しいね、ありがとう』
「でも、なんやプロデューサーさんがそういうので泣く思いませんでした」
『失礼な!私も人の子だからね、感動して涙を流すくらいはするよ』
「あはは!でも良かったです、なにもなくて」
それからプロデューサーさんと一緒にお仕事へ行く機会が増えてきて色んなことを知るようになった
甘いものが好き、小動物が好き、怖いものは苦手...
劇場のみんなはきっと知らないプロデューサーさんの一面を知る度に嬉しくなる
「今日は久しぶりにプロデューサーさんと一緒のお仕事や〜、何話そ〜」
たった数週間合わないだけで話したい事がたくさん溜まっていた
お喋り不足解消したるで〜とウキウキとした足取りで劇場の方へ向かうとプロデューサーさんの声が聞こえる
「後ろから近づいて脅かしたろかな?」
ふふふと背後に近寄ろうと歩みを進めると歌織さんと話をしてる声が聞こえる
「...なんや、楽しそうやな」
私と居る時より楽しそうな笑顔に心がズキッとした
「あー...あかんかも」
プロデューサーさんの背中まであと数センチの距離なのに視界が滲んで動けなくなる
「わぁ、ごめんなさい…奈緒ちゃん…?」
プロデューサーさんが私に触れた瞬間、背中に顔を隠した
「うっ...ぐすっ...」
なんでこんなに寂しい気持ちになるのか自分ではわからなかった
プロデューサーさんと会議室で2人っきりになり、気持ちを整理しようと話し出したものの上手く言えずたどたどしい説明になってしまった
それでもプロデューサーさんは真剣に私の話を聞いてくれる
『ねぇ、奈緒ちゃん今日のお仕事の予定は?』
「えと、ダンスレッスンとボーカルレッスンです」
『それさ、サボっちゃおうか』
「……、えぇっ!それホンマにいうてます?!」
突然の提案に驚いた
『だってさ、今日の奈緒ちゃんちょっと心配なんだよね、
体を休ませることは当然として、心を休めるための休暇っていうものも同じくらい大事なんだよ』
休む事も大事って言うなら...
「…せやったら、プロデューサーさんも一緒に仕事サボって今日1日私と一緒にいてください」
『いいよ、美咲ちゃんに説明してくるから帰る支度しててね』
あっさりOKしてくれた
一緒にいられるの嬉しいな、と思った