「久しぶりだね」
そう言って出迎えてくれた蔵馬は、三ヶ月前まで自分に見せてくれていたあの優しい笑顔をしていた。 でも違うところもあった。
伸びた髪、少し大人びた顔立ち――少し新鮮でドキドキする。
蔵馬の匂いがふわりと香る部屋は、とても居心地がいい。
蔵馬は由良に冷たいお茶を出す。沈黙が流れる部屋に、時計の針の音が響いている。
「ごめん……なさい」
最初に口を開いたのは由良だった。
「一方的にふっておきながら、突然電話したりして……驚いたよね」
「うん、正直驚いた」
蔵馬はベッドに腰掛けた。ベッドの上に乱雑におかれたワイシャツを、綺麗に畳みながら
「三ヶ月、全く連絡くれなかったのに今頃……って少し呆れたかな」
と言って、畳み終えたシャツを横に置いた。
「――なんて、嘘ですよ。寧ろ逆」
一呼吸おいて、ふっと蔵馬が由良に笑った。
「蔵馬……私、忍耐力なくてごめんね。待っててって言われたのに、待てなくて」
蔵馬は驚いたように由良を見た。
「でもやっぱり私、あなたがいないとだめで――」
涙が溢れた。喉の奥が痛くて、唾を飲み込むのがやっとだ。
「由良、こっちにおいで」
涙を包むような声が聞こえた。蔵馬を見れば、手を由良に差し伸ばしている。
「いいから。おいで」
その言葉に、ズキンとした鈍い痛みが体に走った。 何も言わず、由良は蔵馬の胸に飛び込んだ。 久しぶりに感じた蔵馬の体温は、凄く暖かくて……ふんわりとしたい蔵馬の香りが優しく包む。
大好きだった、蔵馬の匂い。 蔵馬は由良の髪をゆっくりと撫でながら言う。
「オレも……待っててと言うばかりで由良に何もしてやらなかった。オレこそごめん」
蔵馬はそう言うとクスっと笑って言った。
「ところで由良、オレが三ヶ月間どんな思いで過ごしてたか知ってるよね」
「蔵馬だって、連絡くれなかったくせに」
「オレは由良の気持ちが落ち着くまで待っていようと思っただけなんだけど」
蔵馬が由良の頭に頬を寄せる。頬で由良の髪を撫でた。それが気持ち良くて由良は顔を上げた。
「私蔵馬じゃなきゃやっぱりだめだから、そばにいたい」
「今更気付いた?」
蔵馬は由良の顎を引き寄せて、優しい口づけを何度も何度も落とした。 僅かな唇の隙間から、蔵馬は舌を滑らせて由良の舌と絡めた。
蔵馬の服を握る由良の手に、ぎゅっと力がこもる。そんな事は構いもせずに、蔵馬は滑らせた舌で由良の反応を楽しむように、口唇内を舌先でゆっくりと舐めていく。そして銀色の糸を引きながら、唇を離した。
「んぁ……や、やめてよ……」
「嫌だった?」
蔵馬が指で唇を拭きながら意地悪く訊く。
「い、嫌……じゃないけど……」
(だって久しぶりすぎて……その……)
蔵馬と最後にこんな事をしたのはいつぶりだろう。いつもなんだかんだプラトニックな関係だったし、蔵馬も由良を気遣ってか無理なことはしてこなかったから、少し驚いている。
「由良、今日こそ責任取ってくれるよね」
蔵馬が突然そんな事を言い出した。
「え?」
「……オレもう後に戻れない」
切ない声で蔵馬が言った。
「由良が今すぐ欲しい」
由良の腰に鈍い痛みが走った。南野秀一と妖狐蔵馬が混ざりあった鋭い瞳にじっと見つめられて、ドキドキと胸が高鳴っている。
「ねえ、……嫌?」
蔵馬は由良の頬に手を寄せた。
「今なら最終電車に間に合うけど、ここにいたらもう乗れないしオレも我慢できない。選んで」
真剣な眼で言う蔵馬に、由良は
「嫌じゃない。最終電車には……乗らないから」
そう言うと、蔵馬自身が反応した。
蔵馬は我慢ならずに、蔵馬は服を着たままの由良を押さえつけるように深いキスを落とした。そして片手で器用に胸のボタンを外す。
そのまま背中に手を入れ、ブラジャーのホックも片手で外しながら、由良の首筋に優しく舌を這わせた。 露わになった柔らかい胸の膨らみを手で包むと、由良の体がぴくっと反応した。
鎖骨を舌でなぞり、そのまま膨らみの先にある小さな突起を口に含んだ。
「ひあ………っ」
由良は身を捩らせて声を上げる。蔵馬は構いもせずに、固くなった突起を舌先で転がすように愛でた。
「あ……いやあ……」
由良の体に、指先から引きつるような快感が走った。 蔵馬は突起を舌先でつつくように舐めながら、上目遣いで由良を見る。 その表情が男としてあまりにも色っぽくて、由良の腰にジンとした痺れが走った。
蔵馬は片方の手で、由良の体のラインをなぞるように撫でる。そのままスカートをめくり、由良のショーツに軽く触れた瞬間、
「あっ、だめっ……」
ビクッと由良の腰が反応して、膝を固く閉じられた。
「何が駄目なの? オレまだちゃんと触れてない。足、開いて」
蔵馬は由良の唇に吐息がかかる程の距離で、囁くように言う。由良は首を横に振った。そんな反応を見せる由良にふっと笑って、そして由良の唇を噛みつくように塞いだ。先程よりも激しく、舌を絡める。固く閉じられた由良の足が、一瞬緩くなった。
その一瞬の隙に、ショーツがほんのり濡れたそこを擦るように触れた。
「んんっ……」
舌を絡ませながら由良が苦しそうに喘ぐ。蔵馬が唇を離すと、激しく呼吸をした。
ショーツの下に指を潜らせ、由良の秘部に触れる。 ねっとりとした愛液が、蔵馬の指を汚した。
「どうしたのかな? 凄いよ、もうこんなに濡れてる」
蔵馬は由良の秘部の割れ目をねっとりとした感触を楽しむように中指で擦った。
「な、何すんっ……」
「何も。でも気持ちいいんでしょ?」
「やだ、そんな事言わな……」
言葉も途中で出なくなった。由良は一番敏感な場所が徐々に熱を帯び、感度が増していくのがわかった。 くちゅくちゅと水の音が響く。この水の音が、由良が何よりも感じている証。 蔵馬は由良の脱ぎかけのショーツを強引に剥いで、両脚を強引に開かせた。
「ひゃあ! 蔵馬ぁっ……だめっ……」
秘部が露わになって、由良はそこにひんやりとした空気を感じた。 蔵馬は割れ目を指で更に広げる。由良の一番敏感な場所が、濡れてテラテラと光っていた。
「や、やだ! 何見てんのよバカっ! 見ないでっ……いやっ」
由良は必死に閉じようと足に力を込める。けれども、蔵馬に足を押さえられ、閉じる事ができない。
「駄目ですよ。ほら、力抜いて。オレにもっと良く見せて」
視姦したあと蔵馬は顔を近づけ、指で広げた由良の秘部に舌を這わせた。
「ひあっ……あ……だめ、汚いから……だめだよぉ……あぁっ……」
味わった事の無い快感に、自分でも驚く程甘い声が漏れた。
膨れ上がった一粒の突起を、強弱をつけて吸われては舌先で小刻みに舐められる。膨れ上がった突起は、蔵馬の唇の中で更に固くなった。
「由良のその声、もっとオレに聞かせて」
蔵馬は舌先で愛撫を続けながら言う。かつてない感覚に由良の足が、がくがくと震えた。水の音が先程とは比べものにならないくらい増している。 蔵馬は舌を深部まで挿入させ、出し入れを繰り返した。その度に温かい愛液が溢れ出して、蔵馬の口をいやらしく汚す。
「……ああ……んっ、だめ……、私おかしくなっちゃうからっ……」
「いいよ、おかしくなっても」
皮を被っていた一粒の突起は、蔵馬の愛撫ですっかりめくれて真っ赤に熱を帯びている。まるで、そこが好きと言わんばかりに主張するそこを集中的に吸い上げた。
「ああっ……はぁっ……」
由良の腰の中から押し寄せる止まらない快感の波に、由良の腰は自然と浮いて、愛液がだらだらと出ているのがわかる。
そして、
「んっ……ああっ……やああっ!」
そんなどうしようもない声を出しながら、びくびくと敏感な部分が痙攣したと共に腰を震わせ、足に力をぎゅっと入れた後、ぐったりと力が抜け、ただひたすらに息をした。
「もしかして、クリトリスでいっちゃった?」
唇から銀色の糸を垂らしながら言う。由良は恥ずかしさのあまり顔を背けた。
「顔背けないの。気持ち良かった?」
蔵馬は背けた顔を強引に向かせて、そっと由良の耳元で囁いた。
蔵馬の妖狐のように妖艶な瞳が急に恥ずかしくなって、由良は顔を手で覆って、首を縦に振った。
「由良の感じている姿、凄く興奮する。もっと淫らな姿……オレに見せて」
左手で中指と薬指をゆっくりと由良の深部に進めた。
それはいとも簡単に蔵馬の指を飲み込んで、指の動きに合わせて熱い液体が止め処なく溢れた。
由良の体に、軽くジンとした痺れが走る。指を動かされるたびに指先がピリピリして、いやらしい声が漏れた。
乱れた呼吸は治まる事を知らない。
次第に指だけでは物足りなくなって、本能的に蔵馬を求めた。
「由良がオレの指を凄く締め付けてくる。由良、どうして欲しい?」
蔵馬は意地悪く言う。しかし指を抜くことはない。
「わかってるくせに……」
「言わないとわからないよ。ほら、どうして欲しいか……お願いしてごらん」
由良は意地悪な蔵馬の目から逸らして言う。
「……蔵馬が……欲しいの……」
途切れ途切れに必死で出した声で言う。
「オレの何が欲しいの?」
裏のある笑みで首を傾げる。本当に蔵馬は意地悪だ。
「くらま…の…その……それ……」
遠目でもわかるくらい張り詰めた蔵馬のズボンを指差した。
「ソレ、じゃなくて。これは何?」
どうしても単語を言わせたいらしい。
「い、いじわる!」
由良は潤んだ瞳で蔵馬を睨むと、妖狐のような眼で
「じゃあ、オレのに触れて」
そう言って、蔵馬は由良に入れていた指をゆっくりと抜くと、由良の愛液で濡れて光った指をいやらしく由良の前で舐めた。
「や、舐めないでよ!」
「何を今更」
蔵馬はにこっと微笑んだ。そして由良は呼吸を整えながら起き上がり、服を着たままの蔵馬のベルトに手をかけた。