※この作品はR-18です。

(仮題)サ終から始まる人間関係   作:御代川辰

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No.00-1.5B 恋人でもないのに

「はいっ……はい!」

 

 カヤメは嬉(うれ)しそうに抱き返(かえ)し、自分の体温の高さを伝えるかの如(ごと)く全身を擦(こす)り付けてアピールしている。

 尖(とが)った耳もぴくぴくと上下に動いており、眞穹(まそら)も改(あらた)めて愛らしさ、あるいは庇護欲を煽(あお)られる。

 

「……じゃあ、服脱ごうか」

 

 すぐにでももう一度唇(くちびる)を奪(うば)ってしまいたい衝動に駆られつつもカヤメを膝から下ろし、自分の着る服のボタンに手を掛けて一つずつ外(はず)していく。

 

 上着も白い肌着(はだぎ)も脱ぎ去(さ)れば、腹に薄く筋を張る日焼けも体毛もない象牙色の肌が姿を現し、カヤメも思わず釘付けになってしまう。

 

(うそ!?……日嗣(ひつぎ)さんって、こんなに……こんなに綺麗な体してるの……!?)

 

 眞穹(まそら)が現役であった頃から、彼のアバターの最大の特徴である女顔(おんながお)は見慣れていたし、成人男性にしては声が少し高いのもキャラ付けのための設定だと勘違いしていた事実がある。

 

 ところが、その日嗣(ひつぎ)という男が現実でもアバターと全(まった)く同じ顔と声調(せいちょう)を持つ人間であることを知ったのは昨日の夜で、しかも顔合わせをしていた時には気付いておらず家に帰ってから気付いたため、ある種の恐ろしさを禁じ得ない。

 

 増(ま)して自分のアバターには全(まった)く手を加えていないと言うのだから、今(いま)仮想(バーチャル)のアバターを介してカヤメが見ているのは、眞穹(まそら)の紛(まぎ)れもないありのままの姿。

 何を問われても嘘(うそ)を吐(つ)かない彼が言うのだから、現実(リアル)でも恵(めぐ)まれた容姿の持ち主であることは疑(うたが)いの余地もない。

 

「分かるかな?僕、顔も……体も、女の子みたいで……」

 

 全身から吹き出す汗で湿(しめ)りきった滑(なめ)らかでハリのあるその肌は、部屋と二人を照らす照明の色の効果で更(さら)に艶(なまめ)かしさを顕著なものとし、カヤメの心(こころ)に宿(やど)る女の情欲を掻き立てる。

 

 肌から視線を遠ざけて肩から腰にかけての胸と胴の辺(あた)りをよく見れば、下手な半裸より扇情的な印象に満たされる。腰幅と肩幅も同年代の男性より小(ちい)さく、特に腰の部分には格好つけのための長いベルトをコルセットのようにきつく繋(つな)ぎ、腰の部分が広い長ズボンがずり落ちないようにしている。

 

 腹も全体的に細(ほそ)く痩せ型で、手足も小(・)枝(・)のあだ名を持つ某女性モデルに似て線の細さが目立つものの、適度な脂肪と筋肉のおかげで骨が浮き出ているということはないためか、とても本人の弁である“不健康”には見えない。

 

「素敵……」

 

 少し細身(ほそみ)すぎるのが難点だが、恐らく多くの女性たちが憧(あこが)れているであろう外観の中でも、ある意味最(もっと)も理想的な体型の一例と言える。そして、その一例を自分の容姿として持っている異性(おとこ)が目の前にいるのだから、興奮を隠せないのは否(いな)めない。

 

 今(いま)呟(つぶや)いた言葉も自然と漏(も)れ出た感想で、嘘偽(うそいつわ)りなど欠片(かけら)もない。言葉の通り、見たままの印象を素直に口にしただけだ。そしてその言葉が聞こえた瞬間、眞穹(まそら)の顔全体に火でも点(つ)いたかの如(ごと)く再(ふたた)び赤く染まり、羞恥(しゅうち)のあまり脱いだ服で体を隠(かく)し、顔を背(そむ)けてしまう。

 

「……本当?」

 

 しかし、褒(ほ)められたこと自体に関しては恥(は)ずかしさより嬉(うれ)しさの度合いが大きいらしく、視線をちらりとカヤメに向(む)けて様子を窺(うかが)いつつ、彼女に問いを返(かえ)す。

 

「僕の…………こんなにやせっぽちで……貧弱な体が……?」

 

 今度(こんど)は眞穹(まそら)が目元に涙(なみだ)を溜めており、ぴったりと閉じた唇(くちびる)もシナジーを起こし、より愛らしい表情に見える。その男らしくない女性的美しさと、顔全体を真っ赤に染め汗と涙(なみだ)に濡れながら恥(は)じらう姿に、カヤメは惚(ほう)けたように見とれてしまっていた。

 

「はい……すごく…………本当に綺麗で……あの……ごめんなさいっ!もう我慢できないです!」

 

 カヤメはもう辛抱堪(たま)らないとばかりに眞穹(まそら)に飛び付き、そのままの勢(いきお)いで押し倒す。

 そして互いの性器を触(ふ)れ合わせつつ、腰を太ももで挟(はさ)んで馬乗りになると、上半身を覆(おお)い隠(かく)すように未(いま)だに手に持っている上着を取り上げ、再(ふたた)び胸と腹を露(あらわ)にする。

 

 いくつかの布を介して性器どうしが擦(こす)れた時、二人の体が少し跳ねる。

 

「……んっ……!」

 

 女陰(ほと)から全身に快感が走り、小さく嬌声が漏(も)れ出る。既(すで)に身が焼けるほどに体温が高くなっているというのに、性器の感覚は少し触(ふ)れるだけで意識が朦朧(もうろう)とするほどに鋭敏になっている。

 

 水を差(さ)すようだが、二人は恋人でもなければ両想(りょうおも)いでもない。方や片想(かたおも)いをしつつ性的な要求をする少女と、方や少女の願いにぎこちなく応(おう)じる男という、とても純粋とは言い難(がた)い歪(ゆが)んだ関係となった。

 

 その歪(ゆが)みを自覚しているからであろうか、カヤメの目にも、眞穹(まそら)の目にも、少し怯(おび)えの色が見える。

 

「ふふ……」

 

 カヤメは自分と眞穹(まそら)の体を倒して裸の胸に頬(ほほ)を擦(こす)り付け、少し意地悪そうな表情を浮かべる。対して押し倒された眞穹(まそら)は大きな動きができず、されるがままに悦楽に耐える。

 

(日嗣(ひつぎ)さん……すごく大きい……)

 

 上に乗る自(みずか)らの女陰(ほと)と真下に寝そべる彼の性器を衣服越(ご)しに擦(こす)り合わせながら、体を起こして装備画面を開(ひら)きローブとローブの下に纏(まと)う装備を取り除(のぞ)いてしまう。

 

 そして、彼女が身に着けている衣服がポリゴンと化して消失する演出と共に、シミ一つない綺麗(きれい)な柔肌(やわはだ)と肌の色に近いベージュ色の肌着が露(あらわ)となる。

 

「恥ずかしいけど……わたしの体、見てください……!」

 

 カヤメの体も細身の見た目ではあるが、脂肪の比率が少ない眞穹(まそら)と比較すれば遥かに多く肉が付いた健康的な体格であり、特に乳房(ちぶさ)の膨らみは体格相応と言う印象である。

 

(ダメだこれ……もっと……茅芽(かやめ)ちゃんのもっとかわいい姿を見たい……!)

 

 思わず仰向(あおむ)けのまま両腕を伸ばし、掌(てのひら)で乳房(ちぶさ)を包み込むように触(さわ)った。

 

「ひゃうっ!?」

 

 突然胸を触(さわ)られたことに驚(おどろ)き、大きく声をあげるカヤメ。しかし、不思議と嫌悪感は微塵(みじん)たりともなく、ますます体が上気して興奮が増(ま)していく。

 

「ひつぎさん……わたしたち……」

 

 カヤメは、自分の乳房(ちぶさ)に手を伸ばしたままの眞穹(まそら)を見下ろしながら、静(しず)かに呟(つぶや)いた。

 

「……恋人じゃないのに……恋人同士みたいですね……」

 

 眞穹(まそら)は彼女の胸から手を離すと、体を起こして再(ふたた)び目線を合わせ、額(ひたい)と額(ひたい)を触(ふ)れ合わせる。

 離れていた顔がまた近付いたことで、恥(は)ずかしさが増(ま)して心音が高鳴っている。

 

「もう、恋人だよ」

 

 そう答(こた)えると、どちらともなく二度目のキスをし、そしてまた顔を離す。眞穹(まそら)がカヤメの背中に手を伸ばしてブラジャーを外(はず)せば、あまり大きくはないものの柔らかく滑(なめ)らかな乳房(ちぶさ)、そして微(かす)かに上を向(む)くようにつんと尖(とが)った薄桃(うすもも)色の乳頭(にゅうとう)が露出(ろしゅつ)した。

 

 だがカヤメは先ほど彼がしたように羞恥(しゅうち)で顔を背(そむ)け、彼の傍(かたわ)らから再(ふたた)び上着を奪(うば)って上半身を隠(かく)してしまう。

 

「ごめんなさい……!」

 

 そして、申し訳なさそうに俯(うつむ)いて続ける。

 

「……あんまり……見ないでください……」

 

 彼女の謝罪と懇願に答(こた)えないまま、今度(こんど)は下着を脱がせようとゆっくりと腰に手を伸ばす。指先が腰に触れた瞬間、ぴくりと反応して体を硬(かた)くしたが、特に妨(さまた)げるような動きは見せない。

 

 眞穹(まそら)の上着を抱き締めたまま彼を見返(かえ)す素振(そぶ)りも見せないため、そのままパンティの端(はし)に指をかけて脱がせようとする。が、しかし、彼女が脚で自分の腰を挟む姿勢のまま座っていれば、当然ながら穿(は)き物を脱がせることはできないので、彼女が自(おの)ずから動くしかない。

 

「……うう……」

 

 ここまでくると羞恥(しゅうち)を大きく通り越して恥辱(ちじょく)にも似た感覚なのだろう。先ほどまで逸(そ)らしていた視線をこちらへと向(む)け、やめて欲しいと言いたそうな表情で震(ふる)えている。

 

 あまりにも可愛らしい上目遣(うわめづか)い、上気して朱色に染まった頬(ほほ)、そして長く美しい銀髪。その全(すべ)てが情欲を煽(あお)る。理性が限界に近付きつつある眞穹(まそら)の声は低くなっており、焦(あせ)りを含んだ声色で告(つ)げる。

 

「……茅芽(かやめ)ちゃん、腰を上げて」

 

 カヤメはいやいやと顔を横に振って眞穹(まそら)の要求を拒否するが、布(ぬの)数枚を隔(へだ)てて性器どうしが触(ふ)れ合っている事実は更(さら)なる興奮を刺激する。

 

「ほら、下着が汚れちゃうから」

 

 なおも黙り込む様子に仕方がないと溜め息を吐(つ)き、彼女の背中を支(ささ)えて優(やさ)しく押し倒すと、パンティの両端(りょうはし)に指をかけてゆっくりと脱がせる。

 全身の肌を被(おお)う衣服の最後の一枚を脱がされたことで、遂(つい)に女陰(ほと)を隠(かく)すものがなくなって一糸(いっし)纏(まと)わぬ姿となってしまったカヤメは、ぽろぽろと涙(なみだ)を溢(こぼ)しながら眞穹(まそら)の上着で肩から股を被(おお)い隠(かく)した。

 

「……ひつぎさぁん……」

 

 上着の裾(すそ)で隠(かく)れて見えないが、毛孔(けあな)と黒ずみが全(まった)くなくぴったりとした縦(たて)の筋(すじ)を描(えが)く、それこそ幼女のそれのような女陰(ほと)は今(いま)までに溢(あふ)れた愛液で充分過ぎるほどに潤(うるお)っている。

 

 だが眞穹(まそら)の男根は手首より太(ふと)く、加(くわ)えてへそまで届く長さを誇(ほこ)るため、行為の相手が仮想体(アバター)であることを加味しても不安が残(のこ)るのが本心だろう。

 

(……もう少し解(ほぐ)さなきゃ……)

 

 少し体を動かせば、隆起しきった性器がズボンと下着を押し上げ、露出した亀頭(きとう)の粘膜が布と擦(す)れ合って痛みが走る。ベルトを外(はず)してファスナーを下ろすと、今(いま)まで圧迫されていた眞穹(まそら)の雄の部分が姿を現(あらわ)す。

 

 当然眞穹(まそら)の性器はカヤメからも見えており、それは股間で触(ふ)れ合う感覚でしか分からなかったが、彼女はそのあまりの大きさに目を丸くしている。

 

(……っ!?……本当におっきい……!)

 

 いかに現実世界でアダルトビデオ専門の女優兼監督・脚本家として多方面に人脈を持つかななでも、恐らく出会った事など数えるほどしかないであろう立派な逸物。

 それをただのゲーマーで自分たち《やまとまほろば》のリーダーある眞穹(まそら)が有しているとは思いもよらず、ただただ驚(おどろ)くほかになかった。

 

「……ぐすっ……」

 

 彼の性器が自分の性器に侵入する情景を思い浮かべると、今更(いまさら)になって胸中を恐怖が満たし、顔から血の気が引いて嗚咽(おえつ)してしまう。

 しかも彼女は処女であり、現実世界ではないとはいえどこのEVSON-THWOEはアダルトゲームとしての側面を有している。

 

 コンピューターのプログラムを介して再現され、アバターを通じて神経もたらされる彼女の破瓜(はか)に伴(ともな)う痛みは、とても辛(つら)いものとなるであろうことは容易に想像できる。

 

「わっ!……えっと、泣かないで!」

 

 泣き出してしまったカヤメに覆(おお)い被(かぶ)さるように体を倒し、そのまま手を背中に回して抱きしめた。

 

「大丈夫!えっと……初めてだけど、痛くならないようにがんばるから!落ち着いて!」

 

 抱きしめたまま、宥(なだ)めの言葉を投げ掛ける。初体験まではもう少し時間がかかるようだった。

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