視点変更が入ります。
原作88話IF
パンッパンッパンッと、肉と肉がぶつかり合う音が響く。
魔防隊7番組の寮、その物陰で和倉優希は壁に手を付く東日万凛にバックから挿入し、腰を振っていた。
「毎回っ、こんなご褒美要求してっ……本当にいやらしいんだから……っ!!」
優希の動きに合わせて、日万凛から喘ぎ声が漏れる。
2人はさっきまで『
一線を超えてからの2人は、こうしてご褒美の度に交わっている。
最初は自室で行っていた行為も徐々にエスカレートし、こうして野外で交わるまでになっていた。誰かに見られるかもしれないという背徳感が、2人をさらに興奮させている。
腰の振りがだんだんと速くなり、ラストスパートに入る。
唇を重ね合わせ、幾度もの抽送の末、腰を強く押し付け優希は果てた。
同時に、近くの草陰で何かが走り去る音がしたが、行為の音に紛れ2人に届くことはなかった。
「にしてもアンタって身持ち固いのね」
行為の後始末をしていると、日万凛が優希にそう語りかけた。
事実、優希は日万凛以外とは一線を超えていない。
「京香さんにこんなことっ……!いや、必死に我慢してるんだよ。欲求が出ないように」
何度かご褒美をもらえる機会はあったが、必死に抑え、なんとか一線は守っている。だが、それがより一層日万凛との行為をエスカレートさせていることには、彼は無自覚であった。
「そう……」
日万凛としては、他の人との行為について聞いたら真っ先に敬愛する組長である、京香の名が出た事に思うところがあったが、自分から襲ったという負い目と、行為はするが交際には至っていない2人の関係性から、問い質すことはなかった。
しかし、それは何も牽制しないということではない。
「私はあんたがどうしようと別いいけど。でも……」
そう言うと後始末を終えた日万凛は不意打ち気味にキスをしてから立ち上がり、優希を指差す。
「わっ、私を放置したらまた襲ってやるんだから!」
日万凛の顔が朱く染まった。
「そっそんだけ!」
そう言い残して日万凛は脱兎のごとく去っていった。
「あっ、あと今日は豚骨ラーメンね!」
わざわざ一度止まって夕飯の催促をしながら。
「ハア……」
優希は深いため息を吐いてから、その場を立ち去った。
◇◇◇◇◇
日万凛とのご褒美が、ついに野外プレイにまで至ってしまった数日後、俺は珍しく休日が重なった、
以前からプレイしていたゲームの最新作。八雷神の脅威もあるが、寧ちゃんの休む時は休みましょうという言葉を思い出し、休暇を楽しむことにした。
朱々ちゃんとのゲームは新しい要素で盛り上がったり、対戦で白熱したりと、自然体で楽しめていた。
「あはは、ユッキー元気いっぱいだね!」
「気を遣う必要がないからついはしゃいじゃうよ。誘ってくれてありがとう」
最近は、京香さんという主がいながら、日万凛との行為に嵌ってきている自分がいる。油断していると、他の人相手にもそういうことを考えてしまいそうになる。
朱々ちゃんとの時間は、そんなモヤモヤも忘れさせてくれていた。
「じゃあ、もうひとつ誘っちゃお。このゲームのコラボカフェ行きたくない?」
オシャレした朱々ちゃんに連れられ、街へと繰り出す。道中、降りられなくなった猫を助けたりしながらもコラボカフェに到着し、コラボメニューや店内の装飾を楽しんだ。
その後は近くの服屋さんで俺の服を選んでもらったり……これってまるでデートみたいだ。まあ、朱々ちゃんはそんなこと思ってないだろうけど。
「あのさ、ちょっと2人で話したいことがあるんだけど……」
次はどこに行こうかと話していた時に、朱々ちゃんからそう伝えられた。いつもと雰囲気の違う朱々ちゃんに、少し鼓動が高鳴る。
「なに?」
「ここじゃなんだし、2人きりになれる場所で……」
「うん、分かった」
朱々ちゃんに手を引かれ街を歩く。俺はこの街に詳しくないが、この先にカラオケとか、個室のある場所があるのだろう。
「ここに……入ろっか」
そう言って指差した先は──ご休憩と書かれた看板、けばけばしい装飾。まだ日は高く、華やかなネオンで彩られてはいなかったが、ここが所謂ラブホと呼ばれる場所なのは理解できた。
「朱々ちゃん!ここがどんな場所かわかってる!?」
思わずそう聞き返すと、朱々ちゃんはスマホの画面を見せてきた。そこに映っていたのは……
「ちょっと、聞きたいことがあるんだけど……」
俺と日万凛が、寮の物陰で体を重ねているところだった。
◇◇◇◇◇
部屋に入ると、大きなベッドや2人掛けのソファ、そしてアーケード音ゲームの筐体などが並べられていた。
「わあ〜ラブホって初めて来たけど、こんな感じなんだ〜」
でも話しかけたユッキーの反応は硬い。
まあそうだよね。いきなりあの写真見せられて連れ込まれたんだから。
アタシがあの場所に居合わせたのはただの気まぐれだった。
最近ひまりんとの距離近くない?と思って、何となく訓練後の2人を探していて──あの光景に出くわした。
最初は目を疑った。
あの2人が?どうして?
でも、覗き見ているうちに確信した。2人は好き合っているんだって。
快楽に喘ぐ2人の声、密着する肌と肌、とろけた瞳で唇を重ねる姿。なんで、ひまりんの場所にいるのが、アタシじゃないんだろう。もっと早く気持ちを伝えておけばよかった。そうすれば──たとえ叶わなくとも、こんな……惨めな気持ちを味わわずにすんだかもしれないのに。
後悔してても仕方ない。だから、これがアタシなりの区切りの付け方。
いつか、ユッキーと来たいと思っていたこの場所で、アタシの気持ちに決着をつける。
「朱々ちゃん、話って……?」
「せっかくあるんだし、遊んでいこうよ!」
本題に入ろうとするユッキーを制して、音ゲームの前へと連れ出す。
流れて来る矢印に合わせてステップを踏んでいく有名な音ゲーム、ここではそれがフリープレイになっている。
「俺、このゲーム始めてだよ」
「そうなの?じゃあレベルは低めで……負けたら罰ゲームね!」
「えっ!?」
ユッキーを隣に立たせて2人モードを選び、ゲームをスタートさせる。
低いレベルだけあって経験者のアタシには簡単だけど、ユッキーは時々足をもつれさせている。
結果は当然アタシの勝ち
「朱々ちゃんノーミスじゃん」
「ふっふっふー、さすがに経験の差がね」
「それで罰ゲームは……」
「それは後で!もうちょっとこれで遊ぼう!コツとか教えてあげるよ!」
「……っ、うん!」
手取り足取り教えてあげて、数回目には難しめの曲でも足がもつれず1曲踊り切れるようになっていた。
「どう?ちゃんと踏めると楽しいでしょ!」
「うん、全身で遊ぶ感じが面白いよ!」
「じゃあ次は……歌でも歌っちゃう?」
アタシはマイクとデンモクを取り出し、ユッキーを誘う。
「えっ、カラオケもあるの?」
その驚いた表情。こういう反応を楽しみにしてた!
2人でモニター前のソファーに並び、マイクを手に持つ。
「今度こそ負けないよ?」
そう言ってユッキーが入れた曲は、一昔前の男性アイドルグループの曲。
罰ゲームは今回もありにしているから、ユッキーも本気だ。
「こういうの好きなの?ちょっと意外かも」
「姉さんが好きでね。カラオケ行ったら毎回歌わされてたよ」
「そうなんだ」
ユッキーの歌は想像以上に上手くて、点数は94.3点。
これは負けてられない!
私もこんな時のために練習してきた、あの曲で!
私の十八番のラブソングは92.0点だった……悔しい。
「いやー負けちゃった。なんでも1つお願いしていいよ」
ユッキーはどんな罰ゲームにするかな?
そんな少し油断していた時に……
「じゃあ……そろそろ教えてくれないかな。ここに連れてきてまで、話したかった事」
ユッキーは本題に入ることを求めてきた。
……アタシから誘ったのに、結局ユッキーに気を使わせちゃった。こういうの、カッコ悪いなあ……
2人で踊ったり、歌ったりしたのはただの未練。いつか、好き合った2人でここにきて、遊んで、そして……結ばれたかった。でもそれは叶わない。
アタシは今から、生まれて初めての失恋をするんだ。
喉が震える。
心臓が早鐘を打つ。
顔から血の気が引いていく。
でも、ここで逃げるわけにはいかない。じゃないと……あたしは前に進めないから。
「ユッキーはさ……ひまりんと付き合ってるの?」
震える声を抑え込み、なんとか言葉を吐き出す。
分かり切った答え。でも、アタシは受け入れなければいけない。
永遠にも思える時が過ぎ、ユッキーが口を開いた。
「……いや、付き合っては……ないよ?」
でも、その答えは想像と違っていた。
混乱する脳が、矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「ふっ、ふーん、ユッキーてば付き合ってもない女の子とあんなことするような人だったんだ」
「うっ……」
「どっちから……誘ったの?」
「あのときは……
「じゃあ最初は?」
「最初は……日万凛から……」
「ユッキーはさ、ひまりんのこと好きなの?」
「好き……だけど、男女の好きとは違う気がする」
「そっか」
そっか。ユッキーは今、フリーなんだ。
勝手に勘違いして、勝手に落ち込んで、バカだなあ、アタシ。
そう思った時、ふと、今の状況が恥ずかしくなった。
ソファーで並んで密着し、顔を合わせての会話。そして何より、ここがラブホテルと言うことに羞恥心が揺れ動かされる。
おっ、男の子と2人っきりでこんなところにいるなんて……顔、赤くなってないよね?
「ねっ、ねえユッキー。女の子に誘われて、こんなところ来ちゃうなんて、警戒心足りないんじゃない?」
照れ隠しに、目を背けながら話しかける。
あの時とは──私が、ユッキーを奴隷にしたときとは言ってる人が反対だなあ。
「それは……朱々ちゃんが相手だから」
トクンッと……心臓が高鳴った。
……ホント、ユッキーはずるい。そんなこと言われたら……アタシは……抑えられなくなっちゃう……
「ねえ、ユッキー」
「なに?」
「アタシにキスして?」
「えっ……」
「罰ゲーム。ひまりんとはやったのに、アタシにはできない?」
「それはっ……じゃあ……目、瞑って」
「うん……」
頬に感じる少しゴツゴツした手の感触。徐々に近づいてくる吐息。唇に重ねられる柔らかな感触。
瞳を開くと、ユッキーは強張った顔で必死に唇を重ねていた。
そーっと舌を侵入させると、ユッキーの目が見開き、唇を離そうとする。私は首に腕を回し抱き寄せ、ソファーにユッキーを押し倒す。唇を強く押し付け、舌を絡ませ、呼吸も忘れ夢中に口を吸い続ける。
唇を離し、垂れた唾液を舐め取ると、ユッキーは顔を真っ赤にして慄いていた。
ユッキーに馬乗りになったアタシは、ベルトを緩める。
「ちょっ、ちょっと朱々ちゃん!?これ以上はさすがに!!」
慌てた様子でアタシの腕を掴むユッキー。
「こういうのは、もっとちゃんと……こんな軽々しくやっちゃだめだと思う」
ユッキーもひまりんとヤッていた後ろめたさがあるのか、目を背け、弱弱しい表情で訴えかける。
でも、アタシは……
「ひまりんとは、こうじゃなかったの?」
「それは……その……」
「ひまりんとはよくて、私はダメなの?」
「……」
どうしても、嫉妬を抑えきれなかった。
感情に身を任せ、
ベルトを取り、服を脱ぎ捨て、ユッキーの胸元に跨る。
「朱々ちゃん!それ以上はっ……!」
制止を無視して、ユッキーの服を脱がしていく。パンツを脱がすと、中からは上向いた肉棒がボロンと飛び出た。
以前ハプニングで見たことはあったが、まじまじと見るのは、これが初めてだ。
アタシはそれを──口に含んだ。
少しムッとする汗の匂いと色んな匂いが入り混じったものが口腔に広がる。これがユッキーの匂い……なのかな……?
味のないソーセージみたいなそれに舌を這わし、全体を包み込むように舐め回すと、硬く、大きくなっていく。
「むちゅ……レロ……レルッ……」
「くっ……うぅ……」
舐めまわす度にユッキーから情けない声が漏れ出る。
アタシで、気持ちよくなってくれてるんだ……もっと……ひまりんよりも、気持ちよくしてあげたい。
若干の嗜虐心を覚えながら、アタシはブラを外し、胸で肉棒を包み込み、擦っていく。
「朱々ちゃん……もうっ……」
「えっ?」
ユッキーの限界を伝える声に合わせて、肉棒がドクンッドクンッと脈打ち、谷間から白い液が噴出した。
これが……ユッキーの精液か……
手で掬って口に運ぶと、苦味と生臭さを覚えた。でも、これがユッキーから出たんだと思うと……どうしても、体が熱くなってしまう。
「ごめん……」
謝るユッキーを横目に、糸引くパンツを脱ぎ捨て、ユッキーの方を向きながら腰に跨がる。
服を脱がしてユッキーの体に触れていく。管理人になった時とは見違えるほど鍛えられた肉体。この体に、何度も守られてきたんだよね……
「朱々ちゃん……さすがにっ……それはっ……」
ユッキーを押さえつけながら肉棒をアタシの股間にあてがい、
はじめてくらい、そのままの──ユッキーが、いちばんいいって言ってくれた姿で迎えたい。
ユッキーのお腹に腕を突いてバランスを取り、ちょっとずつ腰を降ろしていく。アタシの膣内が押し広げられていくのが分かる。
少しキツイが想像よりも痛くない。アタシは覚悟を決めて、一気に腰を降ろす。
「ヒグッッッ!!!」
想像を絶する痛みに、悲鳴が漏れ、涙が溢れる。
バランスが崩れ、体が前に倒れてしまった。
「だっ、大丈夫?」
背中に添えられるユッキーの手。
胸と胸が重なって、ユッキーの鼓動が聞こえてくる。
痛みが和らぎ、ぬくもりに包み込まれる。
「ねえ、ユッキー」
口が勝手に言葉を紡ぐ。
「アタシは、ユッキーのことが好き」
涙を、感情が抑えられない。
「返事はいらない。付き合ってくれなくてもいい」
こんな状況で言っちゃうなんて……アタシはズルいなあ……
「ただ……今だけは、アタシに夢を魅せてくれない?」
その答えは──優しいキス。ああ……なんて……心が安らぐんだろう……
「……ありがとう」
互いに抱きしめ合う。最初に感じてた痛みは消え、快楽だけが残った。
体が回り、上下が逆転した。
「じゃあ……いくよ」
「うん……」
唇を離したユッキーが体を起こし、アタシの腰を掴む。ゆっくりと、そして優しく肉棒を動かしていく。
「あっ……あっ♡」
一突きされる度に快楽が走る。
「すきっ……だいすき……!」
ずっと、こうしたかった。好き合った2人で、結ばれたかった。
永遠にも思える幸せな時間。ユッキーは必死に腰を振る姿に、微笑ましさすら覚える。
アタシはユッキーを抱き寄せ、部分的
肌と肌が密着し、体温が混ざり合う。肉棒が奥深くまで刺さり、より強い快感が迸る。
体の中で爆発しそうな熱を必死に抑え込む。少しでもこの時間が長く続いてほしいと願う。
「くっ……朱々ちゃん、そろそろ……」
ユッキーの表情が険しくなる。
アタシも限界が近い。
アタシは足を絡め、ユッキーを繋ぎ止める。今、この瞬間は、どこにも行って欲しくない。
「朱々ちゃん……!」
「ユッキー……!」
互いに名前を呼び合い、同時に果てた。
全身に電気のような快感が走る。一瞬置いて、膣内に広がっていくぬくもり。
肉棒が抜けると、コポッと膣内から精液が溢れ出た。
「ベタベタだね……2人とも」
胸に射精した後に抱きしめ合ったから、精液と汗と、色々な液体が入り混じっている。
アタシはユッキーの手を引き、お風呂へと向かった。
「ふふふ、ムーディーだね……」
「……うん」
ピンクのライトに照らされながら、2人で湯船に浸かる。
一呼吸置いて冷静になると、自分のやってしまったことのヤバさを実感してしまう。
顔を半分くらい沈めて赤らむ顔を少しでも隠そうとする。
「ねえ、ユッキー。今日のこと、組長に言ってもいいからね……?」
「えっ?」
「悪いのはアタシだし、それで恨んだりはしないよ」
「でも……」
今日のことは、男女が逆だったら問答無用で刑務所に入れられるような所業だ。
この世の中だとアタシの主張を通してくれるだろうけど、アタシはそんなことしたくない。何より、ユッキーが嫌がっているなら、アタシはそれを受け入れる。
そんな覚悟を込めて言ったけど……
「日万凛とのこともまだ言えてないし……俺は朱々ちゃんが困るなら、誰にも言わない」
「……優しいね」
ユッキーはアタシを受け入れてくれた。
「それに京香さんにはこんなこと……」
でも、そこで気がつく。ユッキーがアタシやひまりんのことを話す時と、組長のことを話す時じゃ、込められた熱量が違っている。
そっか……ユッキーは組長のことを……
でも、まだ決まったわけじゃない。これからもっと好きになってもらって、アタシが1番だって言われて、胸張って結ばれてみせる。
……今日のことは……とんでもないマイナスだけど……
「よし、じゃあ急いで帰ろっか!みんながユッキーのご飯楽しみにしてるし!」
支払いを済ませ、ホテルから出ると、見事なまでの夕焼け空。
赤らむ空の下、アタシはユッキーの手を引いて帰っていった。
原作68話の策士好き