原作第81話(単行本10巻)までのネタバレを含みます。苦手な方はご注意下さい。
覚醒を始める意識の中、瞼の上から暖かみのある光が降り注ぐ。いつもとは違うその光に記憶を漁ると、京香さんに部屋で下着姿のまま眠りについたことに思い当たった。
そうだ、昨日は……っ、〜〜!!
京香さんにしてもらった行為の数々を思い出し、思わず身悶える。
俺はまたっ……今度は京香さんと……こんなことじゃみんなに申し訳が立たない……!
俺は、天花さんや朱々ちゃんから向けられている好意に向き合ってきちんと告白の返事をしたい。そして日万凛や寧ちゃんともいい関係を築いていきたい。
みんなのことは大好きだし、とても魅力的に感じている。でも俺の感じている好きは2人のものとはどこか違っていて、そんな自分でも理解し切れていない曖昧な感情で告白を受け入れてしまうのも断ってしまうのも不誠実な気がしている。かといって先延ばしにしてしまうのは彼女達の想いに失礼だ。
だから未だに答えをだせていない。
そして今回の京香さんとの事で、更に悩みが増えてしまった。今まで俺と京香さんは主と奴隷という関係だった。それに満足していたし、これからも共に戦っていきたいと思っていた。でも明日からも今のままでいられるのだろうか……?
そんなことを考えていると、俺の体の上──胸元に重みを感じた。
京香さんが寝返りでも打ったのだろうか。いや、それにしては感触がおかしい。ずっしりとくる重みに、体の側面にまで伸びている人肌の感触……そして、胸の中心に感じる水気。肌から伝わってくる情報は、誰かが俺に馬乗りになっているということを伝えてくる。
相手から感じる淫靡な雰囲気に恐る恐る目を開く。視界が徐々に鮮明になっていき、視線が交差する。
……目の前にいたのは京香さんだった。
「ど、どうしたんですか?」
下着姿の京香さんは問いかけには答えず、俺の腕へと手を伸ばした。
荒い呼吸に上気した顔、そして触れ合う肌の感触に、昨晩の記憶が嫌が応にも引き起こされ、思わず視線を逸らす。
あの時は、昂って眠れない俺を思ってのことなのだと自分を納得させていた。だが、今の京香さんは、天花さんや日万凛を思い出すような……
困惑する中、気づけば両腕を頭の上に押さえつけられていた。
片手で俺の両腕を拘束した京香さんは、俺の頬に手を添え顔を正面に向けさせながら体を倒していき──俺の唇を奪った。
「んっ! んんぁ、んん……」
京香さん!? なんでっ……これもご褒美!?
そんな思考も侵入してきた舌に絡みとられ、俺の口腔と共に蹂躙される。
奥の奥まで舌が入り込み、上顎も歯茎もなぞられ、唾液も舌も吸い尽くされていく。呼吸ができなくなり、頭の中が白く染められていく。
「ん、んぁっ……っっ! んんーっ、はふぁっ、はあっ、はあっ……」
永遠とも取れる時間が過ぎ、遂に唇が離れると、プツンと途切れ垂れる唾液を感じながら、必死に酸素を取り入れる。
だがそんな暇もなく、京香さんは俺の下着の中へと手を伸ばした。
「っっ!!!」
軽く一撫でされた、ただそれだけのはずなのに、その絶妙な指使いは俺の陰茎を立ち上がらせた。
指が絡みつき、スベスベとした感触が裏筋をなぞり、カリを擦りあげ、着実に俺の興奮を高めていく。
っ〜〜、今の京香さんはおかしい。具体的にどこが違う訳じゃないないけど、少なくとも、こんな押さえつけて無理矢理迫るようなことをする人じゃ……
「優希……お前のことが好きだ……!」
唐突に耳元で囁かれたその告白に、俺の思考は停止した。
俺の視界は京香さんが下着を脱ぎ捨てるところも、俺の下着を脱がすところも捉えている。だか、その光景を処理することができない。
京香さんが……俺のことを好き……?
そうあって欲しいと思ったことはあるし、実際にその言葉を聞けて、俺は嬉しい……はずだ。
いつの間にか京香さんは俺の腰の上へと移り、屹立した肉棒に京香さんの局部が押し付けられ、重みが伝わってくる。京香さんが体を前後するたびに肉棒は硬さを増し、ヌルヌルとした感触に包まれていく。
「くっ……あっ……」
擦れ合う度に快感が走り、思考が乱れる。
朱に染まった京香さんの顔、均整の取れた身体、綺麗な銀の長髪、幾度も見てきたはずのそれに目が奪われ、否応なく鼓動が高まる。
もう、このまま受け入れてしまっても、いいかな……?
いや、なにかがおかしい!
昨日とは大きく違う京香さんの行動。それに京香さんの腕は離れ、とうに自由になっているはずの俺の両腕は動かない。
この感覚には、覚えがある。
荒唐無稽な状況、自分の意思に反する身体……
「挿入れるぞ……?」
そんな端的な言葉と共に、肉棒が京香さんの膣内に沈んでいった。
「ちょっ、待っ……空折! お前、こんな夢見せてどうするつもりだっ、くぅぅ……っ〜〜!」
きゅうきゅうときつく締め付けられ、搾り取ろうとする京香さんの膣内の感触に意識を持っていかれそうになるが、俺は覗き込んでくる人影へと視線を向ける。
「るっはっは〜。昨日は見てて面白かったよ〜」
「お前なあ!」
「優希も楽しんでくれると思ったんだけどな。実際、私が迫った時よりもイイ反応してるし」
そう厚かましい声色で話しかけながら、俺の中に居着いている神──
「っ〜〜……!!」
なにっ……今の……??
電流みたいなのがっ、ビリって……
「やっぱり。京香がいるとお前は感度が上がる!」
「そんなことは……っ!!」
その物言いに苛立ちを覚えるが、思考が幻想の京香さんへと引き戻される。
「優希っ、どうだっ、はぁっ、気持ちいいだろっ? いつでもっ、射精していいからなっ……?」
腹に手を乗せられ、京香さんの体が激しく上下する。腰を打ちつけられ、その度に肉壁と擦れ合い、精液が込み上げてくる。
その姿は現実の京香さんと寸分違わず、その淫欲に染まる表情と声色を本物の京香さんと重ね合わせてしまって……
「京香さんはこんな人じゃ……!」
「優希がそう思ってるだけで、意外と間違ってないかもな」
「ひゃわぅっ!」
生暖かい肉の感触が胸の頂点をなぞる。
いつの間にか空折が胸に顔を乗せていた。舌先が勃ち上がった先端にまとわりつき、その器用な舌使いで刺激する。
余った胸先は伸ばされた手に摘まれ、感じたことのない刺激が快感として脳に伝わってくる。
こんな……こんなの……東家の時の何倍も……!
「優希のっ……ビクビクしてる……!」
「もうイきそうなのか? そんなに乳首がいいのか〜?」
京香さんが腰を打ちつけ、空折が乳首を責める。別種の刺激が不規則に襲いかかり、射精感が高まり続ける。
「ゆうきぃ……? ビュービューって、好きなだけ気持ちよくなってくれぇ♡」
「情けない男なんだから、乳首で無様にイっちゃえ♡」
その快感に込み上げる射精感を押さえきれなかった。
「ああっ、あああ!」
爆発的な快感と共に、京香さんの膣内に精子をぶちまける。
肉棒が脈打つ度に頭の中がスッキリしていき、徐々に理性が戻ってくる。
「はあ、はあ、はあ」
「じゃあ次は私と……なーんだ時間切れか」
気づくと身体が薄くなっていた。
現実の俺が目覚めようとしているのだろう。
……京香さんと、最後までしてしまった。
ここは夢の世界だけど、あまりにも現実味がある。触れる肌の感触も、聞こえてくる声も……こうして射精した時の感覚も。俺は、明日からこの出来事を現実の京香さんに重ねずにはいられないだろう。
みんなとの関係を、どう収めていけばいいんだろうか。
「また今度、私ともヤろうな!」
「……御免だよ」
「そうか? ……まあ外も面白いことになってたし、しばらくは楽しめそうだ」
空折がにやけ面で放つその言葉の意味もわからないまま、大きな不安を抱え、俺は現実世界へと帰還していった。
◇◇◇◇◇
目を瞑り、眠ろうと試みる。だが私の脳裏からは、優希の顔が張り付いて離れなかった。
……私は優希と……あんな、胸も口も使って……!
明らかに冷静さを欠いていた行為の数々を思い浮かべ、顔が熱くなる。
だが、あんなに気持ちよさそうな優希は、初めて見た。優希もまあ……うん、スッキリしてくれただろう。
そう納得させようとするが、私の体は、疼きを訴えていた。
体を動かすたびに、擦れる布を意識してしまう、鼓動が早まり、下腹部に熱が集まっていく。
瞼に力が入り、奥歯を噛み締めるが、到底意識せず眠れるような気がしない。
一度水でも飲んで気分を落ち着かせようと考え、目を開く。目の前には安らかに眠る優希の顔があった。
ゴクリと、生唾を飲み込む音が聞こえてくる。いや、私の中で響いていたのか?
……優希の顔は特別整っているという訳ではないが、優希の真っ直ぐな瞳には何度も勇気をもらってきた。だが、この寝顔は……半開きになった口からは規則正しい寝息が溢れ、力の抜けた目尻はどこか幼さを感じさせられる。
優希は……私の4つ年下なんだよな……
軽く優希の顔を撫でる。石鹸の香りに混じってツンとくる甘酸っぱい匂いが鼻腔をくすぐる。ついさっき、何度も嗅いでいた香り。優希の匂い。
いつの間にか下腹部に伸びていた右手が、布の上から局部を軽くなぞった。
「ひゃぅっ!」
……今のは、私からでた声なのか?
私だって、こういった行為は経験がない訳じゃない。普段は訓練で発散しているが、月に1度くらいは、こういうこともする。だが……今の感覚は……!
左腕を口に当て、再び、右手を陰部へと誘う。
中指で軽くスジをなぞると、体が跳ねた。
「んむぅっ……んんっ! ふぁぅわっ……!」
腕を甘噛みして、必死に声を抑える。
指を往復させる度に電流が走り、脳が快感に侵されていく。太腿を擦り合わせ、指を強く押し付け、動きを早め、前を擦り、快感を求めていく。いつの間にか指は粘液に塗れ、下着はすでに役目を果たせないほど水気を帯びていて、ヌチュヌチュという水音が私から響いていることに意識が向けられることはなかった。
だが体はより強い快感を求めて、右手を下着の下に進めていく。
「っっ〜〜!」
花弁に包まれた突起が下着を介さず弾かれ、快楽が波及する。
「フーッ、ハッ、フーッ」
呼吸は乱れ、口から溢れた雫がシーツを濡らす。
徐々に真っ白になっていく頭が行為をエスカレートさせていき、陰核を手のひらで押しつぶしながら、中指を窪みへとあてがって……
「ん〜京香さん……」
焦りが脳裏に満ちる。冷や汗が玉のように吹き出し、慌てて手を引き戻して平静を装うが、優希が起きる気配はなかった。
寝返りをうち、私の名前を口にする優希。無防備な寝顔に安心しきった寝姿。そんな優希に鼓動がドクンッと高鳴った。
「優希……起きないよな……?」
優希の手首を握って、そっと胸へと押し当てる。私の手よりも大きくゴツゴツとしたそれは、私が息をする度に当たる場所が変化し、がっしりとした感触を伝えてくる。
そして何より、優希の手首から伝わる規則正しい鼓動……私の心臓の高鳴りも、優希に伝わってしまっているのだろうか。
自然と右手が下腹部に伸びていき、下着をズラして指が膣内へと侵入した。
「んっ……!」
雫が滴るほど濡れていた淫裂はあっさりと指を受け入れて、優希の体温を感じながら指を抽送していくと、その度に体に快感が走る。
挿入れる度に指が奥へ奥へと誘われ、吸い付いて離そうとしない。そんな“ナニカ“を求める肉壁を自覚させられ──私の頭は蕩けきった。
「優希……優希……!」
そっと優希の指を口に含む。自分の膣内を真似るように、舌を巻きつけ、指を吸い上げ、爪の感触に意識を傾ける。口に含む指を増やし、膣内に挿入する指の数が増え、膣内が擦られる。
「んぷっ、んんん、んあぁ!」
優希のを入れた時よりも隙間はあるはずなのに、口が苦しい。でもそれも気持ちいい……!
指を曲げ、親指を陰核へと伸ばしラストスパートをかける。
「はぅっ、うぅうう、あああ!」
引き抜く抵抗が強まり、擦られる場所が変わって魂すら抜けてしまうほどの錯覚に陥る。整えられた爪が舌の裏を擦り上げ、呼吸するたびに口腔を蹂躙する。
そんな中親指に淫蕾が押しつぶされ、快楽のダムが決壊した。
「あああっぁああああ!!」
吹き出した潮が手を濡らし、布団にシミを作っていく。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
私は息を整え、台所に向かって一杯の水を飲み、後始末を始める。
優希の指を拭き取り、シーツにタオルを当てて水分を吸い取る。洗濯は優希の仕事だ。タオルはともかくシーツが増えていたら何事かと訝しむだろう。今日はこうするしかない。
一通りの処理を終え、優希の隣へと寝転がる。
横でこれだけのことをされていながらも、優希の寝顔は穏やかだ。
気付かれなかったことに安堵しながらも、一抹の寂しさも覚えた。
その寂しさを埋めるように優希の頭を抱きしめ、瞳を閉じる。
「これからも、隣にいてくれ……!」
そんな呟きは月の光に溶けていった。
アニメ2話も楽しみ