「オラァ!このクソガキ!頭かち割ってやろうか!」
握られたトンカチが動けない少年の頭を何度も叩く。
最初は頭の痛みだけで済んだが今では一発、一発打たれるたびに寒気と吐き気が走り、幾度か吐血してしまった。
「ガァ!ゲェッ!」
吐いた血が彼を殴る男の顔に掛かる。
「ヘッヘッヘ‥‥テメェー!」
男は怒りに身を任せ更に少年を打った。
狂気を宿しながら振り降ろされたトンカチによって少年は気絶した。
「いいかお前はまだ殺さん!お前もだ小娘!‥‥‥ハハハハハハ!絶対逃さんからな」
大きく目を見開いて笑うと男は部屋から出ていった。
「燼刃君!」
倒れる少年‥‥
「はぁ‥‥ははは‥‥‥俺まだ生きてんだな‥‥」
「うん!生きてるよ!‥生きてるよっ‥‥‥!」
ギュウとかすみは燼刃を抱きしめた。
二人の日常が壊されたのは10日前‥‥虹ヶ咲学園に通う二人は共通の趣味から意気投合して晴れてカップルとなった。
彼女が所属していたスクールアイドル同好会の皆からも「おめでとう!」と祝われ素直に喜んでいた。
その日も二人で一緒に帰っていた。
「燼刃君。今日眠そうだねぇ」
「実際眠い。今日の2時までオンラインゲームやってたしドリンクで何とか眠気誤魔化してたが‥‥もう無理だわ‥‥」
彼の足がふらつく。
「こ、こら!こんなとこで寝ないの!もうちょっとしたらかすみんの家だからそこで寝かせてあげる」
「いいのかよ」
「こんなあぶない状態じゃ燼刃君車にでも轢かれちゃうよ!」
彼女に言われ燼刃は従った。
「ついで何だが、じゃーん」
「‥‥馬鹿っ!何がじゃーんよ!」
燼刃が取り出した物を見てかすみは赤面しながら彼の手を引き路地裏に駆け込んだ。
「何ってコンド‥‥」
「見れば分かります!」
「大丈夫だよ。先公共なんて居ねぇし」
「そう言う問題じゃない!もうモラル皆無なんだからぁ‥‥」
「すまん。眠くて正常な思考が出来てねぇみたいだわ俺」
「‥‥そのようだね」
怒りの口調から一転、かすみは上目遣いをしながら「家まで我慢して♡」と彼に告げた。
「今日お父さんもお母さんもいないの」
「マジか」
ガッツポーズをする燼刃の頭を叩くといい音が鳴り響いた。
「いってぇーなー」
「どう見たってどう考えたって100:0で燼刃君が悪いですっ!」
「分かったから怒らないでくれ」
「また変な事言ったら燼刃君の股間蹴り上げるから」
「‥‥‥へい」
「宜しい♪さぁエスコートしてください王子様♪」
「喜んでお姫様」
腕を絡ませながら二人はかすみの家を目指し歩いた。
「この前は凄かったよな」
「んぅー何が〜」
「かすみの乱れっぷり」
「もぅ♡恥ずかしい♡」
「事実だ」
「何よ。燼刃君だってぇ―――」
他愛も無い話をしてるうちにかすみの家についた。
「ただいま」 「お邪魔します」
かすみに連れられ彼女の部屋に入る。
「飲み物何がいい?」
「その前に‥‥」
「ひゃ♡ちょっとぉ♡」
「かすみが欲しい」
「正直ねぇ♡んちゅ‥‥はぁ‥」
「はぁ‥ちゅる‥‥‥」
部屋の中で2つの水音が響く。
「私以外何も考えなくさせてあげる♡」
「望むところだ」