※この作品はR-18です。

カズマがクレアと結婚する話   作:てつろう

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アイリス可愛い


この二人の花嫁に選別を!(R15)

 

 

 

 

二回も暴れたということでめぐみん殿は式場から追い出された。一悶着あったが、披露宴は滞りなく進み、絶え間なく訪れていた出席者達の列も捌けている。私はカズマと二人の時間を楽しんでいた。

 

 

「レイン殿によるとアイリス様は披露宴に来ないそうだ」

 

 

私達が話しているのはアイリス様のこと。彼女は結局最後まで私達の結婚式には来なかった。

 

 

「そうか……やっぱりアイリスは来てないのか」

 

 

彼が少し残念そうに呟く。もうそろそろ披露宴も終わってしまう。このままアイリス様に認められずに結婚してしまうのだろうか。

 

 

「ああ、レイン殿にも確認したが、アイリス様は式には行かないと断固として拒否していたらしい」

 

 

元々アイリス様はレイン殿と一緒に来る手筈だった。彼女も必ずアイリス様を連れてくると言っていたが、アイリス様が部屋に引きこもってしまい為す術がなくなったそうだ。

 

 

「……なあ、クレア」

 

 

カズマは世間話でもするかのように聞く。

 

 

「俺と結婚して良かったか?後悔はしていないか?」

 

 

今更彼との結婚を後悔する訳がない。ただアイリス様と仲違いしたのがショックなだけで。かと言ってカズマをアイリス様に譲る事も出来ない。そう、全ては仕方ない事なのだ。

 

 

「……ああ、結婚して良かったに決まっている。アイリス様の件は残念だが、カズマが傍に居てくれるだけで私は幸せなのだ」

 

 

私の言葉を聞くとカズマは『そうか……』と小さく呟いて、グラスに注いであるシュワシュワを飲む。彼もアイリス様の告白を断ったことに罪悪感を感じているのだろうか。

 

私達にとってアイリス様は大切な人で、あまりにも大きな存在だった。それだけ私達に及ぼす影響が強かったのだ。だから彼女には是非来て欲しかった。

 

 

「やはりアイリス様は来ないようだな……。そろそろ披露宴もお開きにしようか」

 

 

披露宴を終わろうとしていたその時だった。会場の扉がギイっと開く。 私はまさかと思ってドアの方を注視する。そしてドアから人が出てきた瞬間、会場には大きなどよめきが起こった。

 

そこには純白のウエディングドレスに身を包むアイリス様がいた。

 

カズマも私も貴族も冒険者も全員がアイリス様に釘付けになっている。今日は私とカズマの結婚式だ。なぜ部外者のアイリス様がウエディングドレスを身にまとっているのか。そんな疑問を他所にアイリス様は一歩ずつ会場の中を歩いてくる。

 

 

「お、おい!誰かあの人を止めろ!」

 

 

職員の誰かがそう叫ぶ。だが、誰もアイリス様を止めようとしなかった。王族である彼女を止めることなど誰にもできない。

 

そしてアイリス様は私とカズマが座っているテーブルの前まで来た。アイリス様がゆっくりと口を開く。

 

 

「お久しぶりですお兄様」

 

 

アイリス様は私には目もくれずにカズマに話しかける。少し見ない間に彼女は身長がすくすくと伸び、豊かな双丘にくびれた腰、どれもが大人の女性の姿へと変貌していた。

 

 

「……ああ、久しぶりだなアイリス。随分と大きくなったんじゃないか?」

 

 

カズマは敢えてウェディングドレスの事には触れず返事をする。

 

 

「ええ、前よりもずっとお兄様の好きな女性の理想の姿に近づいたつもりです」

 

 

アイリス様は一体何を考えているのだろう。私の結婚式を壊しに来たのか、それともカズマとまだ結婚するつもりなのか。私は固唾を飲んでアイリス様を見守った。

 

 

「今日はお兄様の本当の気持ちを聞きに来たのです」

 

「本当の気持ち……?」

 

「ええ、お兄様が本当は誰を愛しているか教えて欲しいのです」

 

 

アイリス様はまだカズマを諦めていなかったようだ。彼に自分の事を好きだと言ってもらいたいのだろう。カズマはアイリス様を傷つけないように、しかしハッキリと答える。

 

 

「俺はクレアを愛している。これは本心だ」

 

 

私は彼の愛の言葉を素直に喜べなかった。アイリス様がここまでしたのに振られる事に同情してしまったのだ。だが、彼女もしつこく食い下がる。

 

 

「……私の事は?」

 

「?」

 

「私の事は愛してくれないのですか?」

 

 

彼女は真剣な顔で聞く。多分心は悲しんでいるが、感情に蓋をしているのだろう。かつての私と同じだ。それでもカズマはキッパリと断る。

 

 

「ああ、俺はアイリスの事を異性として愛することはない」

 

 

カズマはアイリス様を哀れに思いながらもそう言った。彼女の表情に陰りが見える。そして小さく『そうですか』と言うと彼女は踵を返して会場を出て行こうとする。

 

アイリス様の様子を見ていた周りの群衆も自然と彼女が通る道を開け、遠巻きから彼女を見守っている。そのままアイリス様は会場の扉を開け帰って行った。

 

 

「アイリス、大丈夫かな」

 

 

隣のカズマが誰に言うでもなく呟く。先程の事は今までで最も盛大な振られ方と言ってもいいだろう。折角ウエディングドレスまで着たのに、みんなの前で断られたのだ。

 

 

「私がアイリス様の様子を見て来る」

 

 

彼女の事が心配で私が後を追いかける事にした。今ここで行かなければずっとアイリス様と仲違いしたままだ。それに半年間彼女に会えなかったのでずっとアイリス様と話したかった。私は走って会場を抜ける。左右を見渡すと花嫁姿のアイリス様が廊下の奥にいた。

 

 

「アイリス様!」

 

 

私が声を上げるとアイリス様が振り向いて私を一瞥する。だが、すぐに前を向き私から離れて行った。私は彼女の後をついていく。

 

 

「ごめんなさいアイリス様、カズマを奪ってしまって」

 

 

スタスタと歩く彼女に私は横から声をかける。その顔は涙で滲んでいた。やはり傷ついていたようだ。

 

 

「定期的に二人でアイリス様の城を尋ねに行きます。また二人でお話しましょう。話したい事が沢山あるのです」

 

 

私の言葉を聞いたアイリス様がピタリとその足を止める。

 

 

「……何の嫌がらせですか?」

 

 

低い声だった。

 

 

「い、嫌がらせ等ではありません。ただアイリス様と今まで通り接したいだけで……」

 

「私にお兄様を譲ってくれると、クレアが言っていました。あれも全部嘘だったのですね。本当はお兄様に振られた私の事を嘲笑(あざわら)っていたのでしょう」

 

 

アイリス様は肩で息をしながら言葉をまくし立てる。その顔は怒りや悔しさに満ち溢れていて私はかける言葉が見当たらなかった。

 

 

「クレアがいつも曖昧な事を言うから私はお兄様と結婚できると思っていたのです。それなのに……どうして今更お兄様を奪っていくのですか!私を傷つける為にわざとやっていたのでしょう!」

 

 

レイン殿が昔言っていた。『クレア殿が明確な答えを出さなければ出さない程、アイリス様を傷つけることになる』と。私は今になって初めてその言葉の意味に気がついた。

 

 

「……すみません、言い過ぎました。でも、今のクレアを見ていると私の中でどんどん嫌な思いが溜まっていくのです。少し一人にさせてください……」

 

 

アイリス様はそう言い残すと、どんどん歩いて行き私から離れていく。彼女にそこまで言われて私は追いかけることが出来なかった。ただ小さくなっていく花嫁姿のアイリス様をじっと見ていた。

 

 

 

+

 

 

 

披露宴が終わった後、私はすぐにアイリス様に手紙を書いた。カズマを奪ってしまった事やアイリス様に嘘をついてしまった事を丁寧に謝罪した。それでも彼女からの返事はなかった。

 

私は毎週彼女に手紙を書いた。きっと彼女は私の手紙を読んでいるはずだと信じていた。出来るだけカズマの話題は出さないようにして、アイリス様が興味のある庶民の料理について詳しく書いた。だが、返事は来なかった。

 

月に一度程、城にも彼女の様子を見に行った。今日こそは会えるかもと思っていたが、何度訪ねても面会してくれなかった。

 

やはりアイリス様は私の事が本当に嫌いになってしまったのかもしれない。その事を思うと胸が痛かった。

 

そして私がカズマと結婚式を挙げてから一年の月日が経った。今日は朝から城に行ったが、とうとう城に入ることすら許可されず門前払いされたのだ。私は憂鬱な気持ちで家に帰る。

 

 

「ただいま、帰ったぞ」

 

「おかえりー」

 

 

家の中からカズマの返事が聞こえる。私がアイリス様の護衛を辞めた日から私は彼の住む屋敷に居候(いそうろう)していた。元々は二人で新居に住む予定だったが、めぐみん殿とダステイネス卿が、カズマが屋敷から出て行くことに大反対し、結局私が彼の屋敷にお邪魔することになったのだ。

 

 

「クレア、どうだった?アイリスには会えたか?」

 

 

リビングに入るとカズマが聞いてくる。私は首を横に振って彼に答えた。だが、そんな事よりも彼の隣に陣取っている少女が鼻につく。

 

 

「おい、めぐみん殿。私の夫に近づき過ぎではないか?」

 

 

カズマはソファに座って紅茶を飲んでいる。その横でめぐみん殿がベッタリと彼の腕に引っ付いていた。

 

 

「別にパーティ仲間ならこれくらい普通ですよ。それよりいつからクレアがカズマの夫になったのですか?」

 

 

めぐみん殿はいつもこの調子で事あるごとにカズマを誘惑している。私は彼を奪われないように日夜彼女を監視しているが、最近はダスティネス卿まで薄着でカズマの周りをうろつくようになった。私は常に彼女らを警戒しているのだ。

 

 

「ちゃんと結婚もしているし、式も挙げた!全くカズマからも何か言ってやれ……」

 

「おう、お前ら、そんなに俺を取り合うな」

 

「なんでしょう、その言い方は無性にイラッとします……」

 

 

私とめぐみん殿がカズマを冷めた目で見つめる。

 

 

「……そ、そうだ。クレアに手紙が届いていたぞ」

 

 

カズマは分が悪いと思ったのか話題を変える。そして私に封筒を渡してきた。彼に浮気しないように厳重注意したい所だが、私はその手紙をとりあえず受け取る。封筒の中身を開けて、その差出人を見た瞬間、私は言葉を失った。

 

手紙はアイリス様からだった。

 

もう彼女とは一年以上話していない。完全に消息を絶っていたのに急に手紙が来た事に驚いた。だが、それ以上に喜ぶ気持ちが湧き出てくる。私は急いで手紙を開ける。

 

 

『久しぶりですクレア、そちらは元気ですか?いつも私に手紙を書いてくれてありがとう。返事は書けていませんが、内容には全て目を通しました───』

 

「食い入るように手紙を見てどうかしましたか?」

 

 

めぐみん殿が私に尋ねてくるが彼女の発言は無視した。今はアイリス様の手紙を見る方が大事だ。カズマは何となく手紙の差出人が分かっていたのか、何も聞いて来なかった。

 

 

『───本当にクレアにはお世話になりました。だからまずはクレアに謝りたいのです。クレアはいつも私に寄り添ってくれたのに、その恩を仇で返したこと。ずっと後悔していました。当時の私はお兄様に夢中で周りが見えていなかったのです。本当にごめんなさい───』

 

「だ、大丈夫ですか?酷い顔をしていますよ」

 

 

めぐみん殿が私の様子を見て心配そうに尋ねてくる。勿論彼女の事は無視だ。

 

 

『───本当はクレアのことが大好きでした。でも、お兄様の事を考えるととても胸が痛くなってしまいます。好きなクレアの事がどうしても憎くなってしまうのです。だから私は暫くクレアと距離を置きました。私の中で心の整理をしたかったのです───』

 

 

私はてっきり彼女が私の事を憎んでいるのだと思っていた。でも、状況はもう少し複雑で、アイリス様は私を憎まないように必死に感情を抑えていたらしい。その事を知って少し報われたような気がした。

 

 

『───でも、まだ心の整理は出来ていません。お兄様の事を思うと今でもクレアが悪女に見える時があります。だから、私の心の整理がついたら、私がクレアを心から信頼出来たら、その時はまたお城にいらして下さい。いつかクレアに会える日を楽しみにしています』

 

 

手紙はそこで終わっていた。私は何度も手紙を読み返す。アイリス様が私の為に書いてくれた文を一言一句目に焼き付けた。

 

 

「……アイリスとは仲直り出来たか?」

 

 

カズマが私に聞いてきた。

 

 

「……分からない。ただ今までより少し前進したとは思う」

 

 

手紙をもう一度見る。私に会える日を楽しみにしていると書いてあった。その手紙をギュッと抱きしめる。

 

 

「待っていますアイリス様……」

 

 

私はその手紙を大切に封筒の中に入れる。私の様子をめぐみん殿もカズマもただ見守っていた。

 

 

「夜ご飯が出来たわよー」

 

 

呑気なアクア殿の声で我に返る。アイリス様のことに夢中になりすぎたようだ。私は涙が溢れないようにして日常生活へと戻っていく。

 

 

「クレア、私の下っ端の事で困ったらいつでも私を頼ってくださいね」

 

 

めぐみん殿が優しく言ってくれるのがありがたい。そう思いつつアクア殿のいるキッチンへと脚を進めた。

 

 

 

+

 

 

アイリス様から手紙を貰ったその日の夜、私は風呂から上がり脱衣場で鏡とにらめっこしていた。私の左手にはいつも着ているシンプルなパジャマ、右手にはかなり際どいハレンチなネグリジェが握られていた。

 

 

「どっちの服を着るべきだろうか……」

 

 

私はかれこれ十分間、鏡の前で迷っていた。普段なら迷わずシンプルなパジャマを選ぶだろうが、今日は違う。カズマを性的に誘惑したいのだ。

 

私の頭に思い浮かぶのはアイリス様の手紙。あの手紙には『私の心の整理がついたらクレアとお兄様に会いたい』と書かれていた。それは即ち、再びアイリス様がカズマに接触するという事。カズマをアイリス様に取られないように今の内にマーキングしておこうと思ったのだ。

 

私は散々悩んだ末、右手の服を選んだ。そう、ハレンチなネグリジェだ。実際に着て鏡を見てみると確かに際どい。胸元もザックリ開いているし、股の所も透けていて下着がうっすら見えている。正直言ってかなり恥ずかしい格好だ。だが、この服なら確実にカズマを落とせるはず。

 

誰かに見られる前に早くカズマの部屋に突撃しよう。特にめぐみん殿やダスティネス卿にこの姿を見られたら、この上なく恥ずかしい。私は脱衣場から顔だけ出してそっと左右の様子を見た。……誰もいないようだ。私は静かにドアを閉めカズマの部屋へ向かう。

 

脱衣場からカズマの部屋まではそう遠くない。私は急いで彼の部屋へと走った。そして、廊下を曲がろうとして、

 

 

「全くカズマはどこに行ったのでしょう……」

 

 

廊下を曲がろうとするとめぐみん殿の姿が目に入る。私は急いで壁に身を隠しそっと様子を窺った。カズマの部屋の前でめぐみん殿がウロウロしている。

 

 

「まあこのまま部屋の前で待っていたらいつかカズマからやって来るでしょう。しばらく待ちますか」

 

 

めぐみん殿はカズマの部屋の前で座っている。彼女の話を聞くと、どうやら彼はまだ部屋に戻って来ていないようだ。それなら私が先に彼を見つけてしまおう。

 

私はすぐにUターンして脱衣場の方へと戻る。カズマがこの時間に屋敷に見当たらないのなら外に出ている可能性が高い。庭に夜風に当たりに出ているかもしれない。私は庭へ続く廊下を曲がろうとして、

 

 

「全く、カズマはどこに行ったのだ……」

 

 

危うくダスティネス卿と鉢合わせする所だった。私は慌てて壁に身を隠す。さっきからめぐみん殿と言いダスティネス卿と言い何故こんなにも邪魔が入るのだ。私はそっとダスティネス卿の様子を窺う。彼女もカズマを探しているようだ。

 

 

「一度カズマの部屋に行ってみるか……」

 

 

ダスティネス卿がそう言いながら私の方に近づいてきた。私は急いで彼女から逃げる。だが、ダスティネス卿はカズマの部屋に向かうと言っていた。このままじゃめぐみん殿とダスティネス卿に挟み打ちにされてしまう。

 

 

「ど、どうしよう……!?このままでは、この際どい姿を見られることに……」

 

 

前にはめぐみん殿、後ろにはダスティネス卿。完全に逃げる所がなくなってしまった。私の頭は急速にフル回転し、解決策を模索する。そして、一つの案が私の頭の中に舞い降りた。

 

私はすぐに走り自分の部屋に入る。私が普段寝泊まりしている部屋、それは脱衣場とカズマの部屋の間にあった。自分の部屋に隠れれば彼女らに見つかることはない。

 

 

「ふぅ……どうにか逃げきれたな……」

 

 

そう考えていたのだが、一つ誤算があった。私が後ろを振り向くとカズマが居たのだ。

 

 

「く、クレア?そんなに慌ててどうしたんだ?」

 

 

私は驚きすぎて腰が抜けそうになった。

 

 

「お、驚かせるなっ……!び、びっくりしたではないか……。そもそもなぜお前が私の部屋にいるのだ」

 

「わ、悪い。たまにはクレアと二人で話したくてな。というか今日のクレアの格好……」

 

 

彼が私の顔から視線を徐々に下にズラしていく。私の胸元、下着を舐め回すように見つめてくる。私は咄嗟に自分の体を手で隠した。

 

 

「あ、あまりジロジロ見るな……!こ、これでも結構恥ずかしいのだ……」

 

「お構いなく」

 

「私が構うのだ!」

 

 

私は彼に文句を言いながらも内心ホッとしていた。この恥ずかしい格好も彼にはちゃんと効果があったみたいだ。私は彼が座っているベッドに腰かける。

 

 

「遂にクレアも痴女になったか」

 

「だ、誰が痴女だ!わ、私は痴女では……ううっ……痴女では……なぃ……」

 

 

彼の痴女という言葉を否定できなかった。私の声が尻すぼみに小さくなる。するとカズマが私の自信がない様子を見て可哀想に思ったのか、一つ提案してきた。

 

 

「正直今のクレアはめちゃくちゃ可愛いぞ……。理性を保つのが大変なくらいだ」

 

 

彼のズボンを見れば息子がテントを張っている。彼も興奮しているのだ。私は彼の顔に目を移す。そこには笑顔のカズマがいた。私が一番好きな彼の笑っている顔。

 

自然と私も顔を近づける。彼が私にキスをしようとした。でも、私はそっと人差し指を彼の口に当てキスを拒んだ。

 

 

「どうした、クレア?」

 

 

彼が私に尋ねると同時に部屋のドアがドンドン、と叩かれる。誰かが部屋に来た気配を感じて私はキスをやめたのだ。

 

 

「クレアー、ここにカズマが来ていませんか?」

 

 

めぐみん殿の声だ。そういえばさっきカズマを探していると言っていた気がする。

 

 

「すまない、ちょっとめぐみん殿の相手をしてくる」

 

 

私は彼女の言葉に答えようとベッドから離れる。だが、私の腕をカズマに掴まれた。どうしたのだと、振り向こうとして───

 

カズマに口を塞がれた。

 

不意打ちのキス。今まで何度もキスをしていたが、彼からキスをしてくれたのは初めてだ。そして彼はそのまま舌を私の口に入れてきた。ディープキスだ。舌を絡め合うキスから歯茎、歯の裏と次々に蹂躙されていく。

 

 

「クレアー、寝ているのですか?」

 

 

ドアを隔てて向こうにはめぐみん殿がいる。私達のディープキスのグチュグチュという下品な音が外に漏れてないか不安になる。だが、それ以上にイケナイ事をしている背徳感で私は興奮してしまった。

 

 

「めぐみん、今日のクレア殿はアイリス様の手紙を読んでから様子がおかしいのだ。今夜はそっとしておいてあげよう」

 

「むぅ……分かりました」

 

 

ダスティネス卿がそう言うと外から二人が立ち去っていく足音が聞こえる。私達はそれから暫くキスをしていたがやがてゆっくりと顔を離す。

 

 

「はぁ……カズマ……!」

 

 

私はカズマの名前を呼びながら更にキスをねだる。だが、少し落ち着いた様子のカズマが私の肩に手を当てそっと顔を離した。

 

 

「?、どうしたのだカズマ?」

 

「クレア、無理してないか?」

 

 

彼が何を言おうとしているのか分からない。私は首を傾げて彼に話の続きを促した。

 

 

「さっきダクネスが言ってたけど、今夜その格好をしてここに来たのもアイリスの手紙が原因だろ?やっぱり今でもアイリスの事を気にしているんじゃないか?」

 

 

私の考えは彼に読まれていたようだ。確かにアイリス様の手紙が理由で彼を誘惑している。でも、それは決してアイリス様に遠慮している訳ではない。

 

 

「そんな事はない。私はカズマが大好きだからここまでしているのだ。この格好も自発的に思いついた」

 

「本当に?」

 

 

まだ何か言うカズマの口を唇で塞ぎながら私は彼をベッドに押し倒す。彼の上に馬乗りになって硬くなっている彼の息子を足でげしげし押した。カズマが喘ぎ声に似た声を上げる。

 

 

「アイリス様の事は忘れろ。私の事だけを考えてくれ」

 

 

私はそう言って彼を誘惑した。カズマも私に応えるように舌を絡めてくる。もう誰も私達の愛を止められない。

 

 

その晩、私はカズマと一線を超えた。私は再びアイリス様を裏切った。

 

 

 

 

~完~

 

 

 

 




という事で遂に完結です。執筆期間三ヶ月にして総文字数約10万字。我ながらよくここまで続いたと思います。今まで応援してくださった皆様ありがとうございます。

さて、本作品はここでおしまいですが、どういう訳か私の中の小説を書きたいという気持ちは留まることを知りません。相変わらずこのすばの二次創作に飢えているみたいです。次回作のアンケートも取りましたがあの中から次に書く作品を決めようと思います。

また、よく感想で短編等で続きを出して欲しいという声が上がっています。私もクレアとカズマがイチャイチャする所を書くのは好きですから気が向いたら続編を出すかもです。内容は恐らくカズマとクレアがひたすらエッチする話になると思います。

長くなりましたが、『カズマがクレアと結婚する話』を書き終えた感想は活動報告の方で語りたいと思います。気が向いたらそちらも見てやってください。

それでは、次回作でお会いしましょう。

てね
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