※この作品はR-18です。

貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】   作:たんばりん

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第弐拾話 河童

「なぁ、河童って位階どのくらいだったっけ?」

 黒バイの後ろに碧理を乗せながら俺はインカムで彼女に問う。

「報告では推定第五位階相当よ。伝えなかった?」

 彼女の言葉に首を横にふる。

 その上での確認だ。

「第五位階が人に化けてプールに忍びこむかねぇ」

 俺の言葉に背中にしがみつく碧理がひゅと息を飲み込むのが伝わった。

「……ヒトガタかも……しれないわね」

 そうなのだ。

 河童とは本来至る所に出現する低位の怪異である。

 それこそ人には危害を加えど、縄張りの中で人を河へと誘い喰らう妖怪であり、そこから出てしかも人間に化けるなどの知能は持ち合わせていないはずだ。

 ということは、それだけの知能を持つ(あやかし)であるという訳だが、報告には第五位階。

 全く解せない。

「近く、本庁に行って確認すべきかな。あまりにも予測が不明確でありお粗末だ」

 俺の言葉に「そうね」と短く答える彼女をよそに、何故俺たちの管轄するエリアだけ、こうも緊急討伐ばかりが発生するのかを考えて一つの結論が浮かんだ。

「……俺か。目的は」

 先のぬらりひょんの久方ぶりの登場と言い、裏に何かがあると予感が告げる。

「ん?ごめん。なんて?」

 碧理がそう聞き返すも俺はなんでもないと首を横に振ってアクセルを全開に回した。

 現場は近い。

 先程から絶えず響くサイレンは俺の黒バイだけでなく救急車やパトカーの音も響きわたり、今般の救急性を物語っていた。

 

 

 

 ――――――――――

「酷い有様ね……」

 現場である室内水泳競技場の出入り口には人がごった返し、あたりにはけが人が多く地に伏していた。

 そのほとんどは怪異に傷をつけられたのではないだろう。

 避難時の混乱により捻挫、打撲、擦傷、体中に靴の足跡が残る人が多い。

 

「京都退魔庁 第参地区所属 下級結界師 賀茂碧理」

「同じく下級サムライの賀茂匠」

 入口に立つ警察の状況を確認しようと声をかけるも、彼らもいま現着したばかりで詳細は不明とのことで空振りに終わった。

「これ、またぬらりひょんが出てきたりしないでしょうね」

 ややデジャブを感じながら碧理がそんなことを口にするので「フラグはやめろ」と応えながら俺たちは出入口をくぐりながらあたりを警戒する。

「河童ということであればやっぱりプールにいるんじゃない?」

 彼女の言葉に頷いてプール競技場につながる入口を目掛けて走る。

「碧理、けがで動けない人に結界を」

 至る所で倒れる人を視界に捉えながら彼女に伝える。

「わかってるわよ」

 言われなくてもということだろう。

 やはり、こういった緊急時には結界師の有用性がありありと分かるのもだ。

 

「……いるわね……」

 プールから漂う妖氣を感じて碧理が呟く。

「あぁ、それもかなり強めだ」

 肌にひしひしと感じる氣の凶悪さに俺がゆがむ。

「気を付けてね」

 背後から背中をバンっと叩く衝撃を感じ、コクリと頷いて俺は足に力を込めてプールへと駆けこんだ。

 ここからも主役は俺である。

 結界師はあくまで結界を張るだけであり直接的な攻撃を持ちえない。

 故に彼女はここからサポートに回るのだ。

 凶悪な氣に充てられながらも思わず嗤ってしまう自身を戒めてプールへと躍り出た。

 

「……河童だけど河童か、あれは?」

 

 50mの競技用プールの真ん中にソレは立って、いや俺を待ち構えていた。

 おおよそ5mを超える体躯に緑色の肌に頭上に一枚の皿、しかしながらその巨大な体を支えるムキムキとした筋肉量に俺はいつぞやの鬼を思いだしながら刀を抜刀する。

「ほぅ。思ったより早いではないか」

 突入後すぐに俺に首を向け、流ちょうな言葉をしゃべる河童が俺に向けて氣を放つ。

 その姿はもはや河童というよりも“化け物“というに相応しい。

 

(ぼん)や。ちょいと我に喰らわれてはくれまいか」

 河童がプールの中に入れた腕をこちらに向けて振るう。

 水が鉄砲の如く幾千もの飛沫が弾丸となり飛来した。

「はい、そうですかとはなかなか言えないかな」

 氣を足元に込めてその場から跳躍し水面を走り首を目掛けて刀を振るった。

「まあ、我もそう簡単に行くまいとは思うておるよ」

 刀との間合いを図り首をかしげるようにして斬撃を躱しながら嗤う河童に俺も思わず破顔した。

「せめて我を楽しませろよ。サムライ」

 氣を放出させて俺の左側より津波の如く壁となり迫ってきた。

 天井に着くかと思われるほどの高さに質量保存の法則なる前世で齧った知識が一瞬脳裏に浮かぶも、この程度であれば造作はない。

 切り裂いてしまえば良いのだ。

 刀に氣を込めて剣を構えた瞬間、河童が呟いた。

「よそ見はいかんのぅ」

 足元から奴の妖氣を感じてその場から後ろに跳躍し距離を取る。

 ついでと言わんばかりに迫っていた壁も切り裂いた。

「ご丁寧に悪いね」

 悪態を奴に浴びせるも河童は「なんの、なんの」と気にした様子はない。

「ほれ、右じゃ」

 ご丁寧に忠告を告げるそれに従うように右側に視線を向けた瞬間、反対側より衝撃を感じて俺は観客席へと叩き込まれた。

「あ、すまん。我から見て()じゃったな」

 クソ狸め。

 カカカカと大声の笑い声が響く。

 瓦礫に埋もれながら俺は舌打ちをしてその場から起き上がる。

「ん?」

 横に震えるように固まる一団と目が合った。

 そこには見知った人間が震えながらこちらに視線を向けていた。

「吉田さんじゃん。何、水泳部だったんだ」

 クラスメイトの目をつけていた女性の登場である。

 ハイレグタイプの競泳水着に包まれた大きめな乳房に思わず俺は笑みを浮かべた。

「……か、賀茂……くん?」

 彼女も俺に気がついたのか。やや目を見開いてこちらを伺う。

「ちょっと!タクミ!河童が行ったわよ!」

 どこからか碧理の声がこだまする頃に飛翔するように観客席に乗り込り込む、化け物に吉田を筆頭とした連中がヒッと言葉を漏らした。

「碧理ぃ〜護符使うねー!」

 きっとどこかで河童の様子をみながら結界を張っているだろう彼女に向けて声をあげ、俺はポケットから取り出したお札を吉田に投げて「結」と呟く。

 彼女の氣を触媒に作られる防護結界が一団を覆う。

 これは先の一つ目鬼にも蒼佳が使用した碧理謹製の簡易結界である。

 先に氣をお札に閉じ込めることで誰でも結界を展開できるという便利アイテムではあるが、

 維持には作成者の氣を普通よりも多めに蝕むという燃費の悪いシロモノだが、目の前で知り合いが死ぬのも目覚めが悪い。

(ぼん)の連れか?」

 どすんと足音を立てながら河童が首を傾げた。

「だったら?」

「目の前で坊を喰らった後に喰ろうてやるまでよ」

 醜悪な笑みを浮かべる河童に俺も笑みを浮かべる。

「畜生は腐っても畜生だな」

 右手に残魔刀を握りしめ、左手ペンダントを剥ぎ取り氣を送り式神刀を顕現させる。

「流石に女の子の前でカッコ悪い姿は見せられないでしょ」

 完全に顕現した式神刀は脇差のサイズに調整する。

 打刀と脇差。

 二刀流に行き着いた末に辿り着いた型である。

 十字に構え、正眼に奴を捉える。

「カカカ。やってみぃ坊」

 河童が腕を振るうと水が顕現し弾丸の雨となり降り注ぐ。

 全身に氣を送り二刀を振るってそれらを叩き落とす。

 いくつか落とし損ねた飛沫が服を肌を切り裂き身体に弾痕を刻む。

「キリがないか」

 どちらもともなく呟いた言葉が重なり俺と河童が距離を詰めてぶつかる。

「死にさらせ!」

 右の打刀を振るうと相対するように左手の拳でガードする

 左の脇差はそれの反対で。

 筋肉と妖氣で固めた河童の拳は正に鋼鉄の如く硬く、打ち合う瞬間に金属がぶつかり合う音を立てて火花が走る。

「タクミ。私だよ」

 殴り合う河童の顔が不意に碧理へと変わる

 気がついた瞬間にはもう遅く、一瞬だけ怯んだ俺の顔に衝撃が走り、再度後方に吹き飛ばされる。

 額の皮膚が裂け壁に激突し口から血が吹き出した。

「……ちょっとそれは卑怯じゃないか?」

 思わずそんな悪態を漏らす俺に「勝てば官軍と人間はよく言うではないのか?」と河童が快活に嗤った。

「畜生のくせに博識なことで」

 目に血が流れ込み視界が赤く染まるのも気にせず俺も同じように顔を歪めた。

「知ってるか。氣って言うのは使い方によっては色んなことが出来るって」

 先の衝撃で折れたのだろう。右手にもっていた残魔刀が半ばで折れていた為、地面に放って河童に向けて手のひらを突き出す。

「――カカ。まるで(あやかし)のようじゃな。坊」

 全身から噴出する氣にそんな回答をする河童を無視し、氣を右手に凝縮させる。

「吹き飛べ」

 

 刹那、氣を放出し空気砲のような圧力が化け物へ射出され衝突する。

 よっぽど己の肉体強度に自信があるのだろう。

 河童が腕を交差させて 受け止める体制のまま後方へと吹き飛んだ。

 同じように俺も風のように河童目掛けて跳躍する。

「河童。右だ」

 そう呟いた瞬間、()側より脇差をズブリと頭蓋に刺しこんだ。

「あ、わりぃ。()()()()()だったわ」

 そのまま式神刀に渾身の精氣を送り込むと頭蓋がパンッと音を立てて破裂した。

 次の瞬間には光の泡がプールへと舞っていた。

 

 

 

 

「……ごめん。ちょっと無茶し過ぎたわ」

 救急車に運ばれながら付き添う碧理に声をかける。

 今ばかりは彼女も目に涙を浮かべながら俯くばかり。

 つい先程までは「阿保!馬鹿!ドジ!オタンコナス!無鉄砲!」とさまざまなレパートリーの罵詈雑言を告げられたモノ……。

 別に致命傷と呼ばれるものはそこまでない。

 それこそ身体のいたるところに出来た銃創に割れた額ぐらいだろうか。

 それよりも碧理が心配しているのは精氣の使い過ぎである。

 戦いで使う氣、源氣、精氣問わずこれらは生命エネルギーでもあり、無作為に使うと死に至るのだ。

 故に氣に聡い彼女曰く、今日の俺は使い過ぎたらしい。

 俯き肩を震わせる彼女の頭に手を置いて、俺はそのまま意気を失った。

 




本作をお楽しみの読者の皆様。
いつもご愛読いただきまことにありがとうございます。
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ノクターンノベルズ様にて本作を先行して公開しております。
現時点で39話まで公開しており、
3/31,4/1までに47話まで一挙公開予定です。
可能であれば続きはノクターンノベルズ様に移動して読んでいただけると幸いです。
できましたら、ブックマーク、評価もしていただけると嬉しいです・・・・

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よろしくお願い致します。
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