貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】 作:たんばりん
「そう……幸恵さんのお孫さんが……」
眠りから覚めた碧理にテング戦の顛末を話すと彼女は下を向き、身体を震わせた。
ここは、先の河童の時にもお世話になった病院の一室。
もはや常連になりつつある俺たちは、同じ部屋で入院となり、ややスペースの空いた病床で半身を起こして向かい合っていた。
「テングも倒せなかったわね……」
シーツを握り、拳に涙を落とす彼女に俺は明るい声音で返した。
「そもそも、寺社仏閣に祀られている妖怪は、封印元を破壊しない限り、消滅しないのを忘れてたよ」
俺のことばに「そうね」とどこか心ここに非ずの声音で返事をする彼女に思わず苦笑いが浮かんだ。
機関で習ったことを忘れていた。
祀られる怪異は祀られるだけの理由がある。
当時に討伐が困難なレベルによる永代封印。それゆえに祀り、畏れ、敬う。
故に、かの大天狗もとい武蔵坊弁慶も言ってしまえば怪異であれど半ば、神の一種であり討伐は困難だったと言わざるを得ない。
「……でも、アタシは足手まといだったわ……」
彼女らしくない、しおらしい反応に眉を顰める。
「碧理は頑張ってるさ。それに
彼女の求める言葉ではないだろうことは理解している。
それでも彼女に無理を強いることはどうしても出来ない。
故に軽口を載せての言葉に碧理は「ふざけないでよ」と俺を睨んだ。
「タクミは良いわよね。人並外れた精氣があって。まさに人外よ」
「碧理も多いほうじゃないか」
彼女の言葉に思わず即答してしまう。
彼女は下級なれど、氣の多さはそれこそ目を見張るレベルであり、そこを卑下するほどではないのだ。
「人なみにはでしょ」
もはややけくそと言った表情を浮かべる彼女にため息をついた。
「アタシも、あなたやお姉ちゃんのように強くなりたい。次にテングと戦った時には足手まといにならないように。
それこそ、ぬらりひょんを前にした”幸恵さん”のようにッ!」
自身の太ももに拳を何度も振り下ろす彼女に「でもどうやって……」と言葉が漏れた。
「その話、”お姉ちゃん”が聞いて差し上げましょう!!」
病室が勢いよく開かれて金髪の女性が声をあげた。
手にはフルーツの盛り合わせを携え、今日は陰陽師を表す狩衣ではなく、ピチっとしたスーツスタイルでその胸部を強調していた。
特級陰陽師の東司 育美その人である。
「……誰よ……」
涙を拭いながら闖入者を碧理が睨み、俺は苦笑いを浮かべた。
「さっき言った特級の陰陽師だよ。御三家の東司 育美さん」
俺の言葉に碧理が口を開けて呆然とする。
「少女よ!その願い。この”お姉ちゃん”が託された!」
手ぶらな方の右手には包帯が巻かれているのを厭わず、バシバシと碧理の肩を叩く。
「っ!痛いわね!誰がお姉ちゃんよ」
衝撃に顔を歪める碧理を無視して東司が俺に振り返り、胸元に手を突っ込み、にょきにょきと一振りの刀を取り出し突き付けた。
「これは?」
摩訶不思議なポケットが谷間の下にでもあるのか。
凡そ、式神の能力だろう。
通常ではありえない長さの太刀が谷間に納められていたことを無視して物について問う。
「おめでとう。賀茂くん。これが中級の証である専用の斬魔刀だよ」
やや人肌なみに暖かい太刀を受け取り鞘から刀身を覗く。
「妖刀
前髪で隠していない左目を細める東司は碧理に向き直り、「君にはこれを」といって、
自身のスカートに下から上へと挿し込んで、お札の束を彼女へ差し出した。
「い……いらないわっ!」
碧理が顔をひきつけながら答える。
それはそうだろう。
もっと、マシな出し方があるだろうに、この人物、実力は本物だろうが、どこか頭がおかしいらしい。
「……?なんでかな。この特級陰陽師の東司様ご謹製の結界用護符だよ?」
心底不思議そうに首を傾げる彼女に碧理が「そもそもなんて所から出してるのよ」
とついにはツッコミが入ってしまった。
「あぁ、ごめん。ちょっとしたお茶目さが出てしまったんだ。別にここじゃなくても、ほら」
そう言って空中にむけて手をあげると次元がゆがみ、黒い亀裂が不意に現れた。
「便利だよ。なんでも入るから。ほら、これもお近づきの印にどうぞ」
亀裂の中に手を差し込み取り出した皿に盛られた焼き鳥。もうもうと湯気を放ち、まるで出来立てと言わんばかりのそれを碧理へ突き出す。
「いちいちチョイスが気持ち悪いわよ!」
金切声をあげて突っ込む彼女に東司はため息をついて、俺に振り返る。
「君にはこれをあげよう」
コップに入れられた透明の液体を突き出すので、ペコリを頭をさげて受け取ってそのまま飲み干す。
丁度喉が渇いていたところだ。
喉をするすると透き通り口内に塩気のような酸味が広がった。
「ありがとうございます。ちなみにこれはなんだったのでしょうか?」
空になったコップを指さすと彼女はいらずらっぽい笑みを浮かべる。
「私の潮よ」
「なんてもんの飲ますのよ!アンタ!」
瞬間、碧理がベッドから立ち上がった。
「なるほど。道理で飲みなれた味だなと思いました」
俺の言葉に「あ、そうなの、じゃあ今度は愛液を持ってくるね」とウインクをする彼女に「ご自由に」と答えて破顔する。
「それで、いつまで冗談は続く感じですか?」
俺の言葉に彼女の目つきが、値踏みするようなものへと変化した。
「賀茂匠下級サムライ並びに賀茂碧理下級結界師。本日ヒトニ―マルマルをもって中級への昇格を承認す。しかと励め」
重圧を載せた声音に思わず身が震える。
「って、
賀茂蒼佳中級陰陽師についても同時刻に上級へと昇格したわ。
もっとも彼女については”蟲毒”から生きて帰ればの条件付だけどねっ」
先の表情とは打って変わりふざけた顔つきに戻る彼女は「さて碧理ちゃん」と顔を彼女へ向けた。
「賀茂蒼佳の現時点の状況についてはお答えできません。御三家の試練については正式に守秘が私のも課せられてます。
しかしながら、あなたが望む”強くなること”についてはある程度、助言はできるつもりよ」
そこにはいままでの悪ふざけをしていた人物には全く見えない貫禄があった。
「貴方、ユキ。って言っても伝わりにくいわね。田井中幸恵さんのお孫さん。私のバディーの特級結界師の田井中
東司の言葉に碧理が息を詰まらせる。
「貴方の術式は幸恵さんの影響が若干残ってるわ。でもそれは不完全で強度も及ばない。
それをユキの元で完成させなさい。
もっとも場所が関東だから彼とは離れるわ」
そう言って顎で俺を指差す東司に、彼女は首を横に振った。
「出来ないとは言わせないわよ」
碧理との距離を詰めて声音を強める。
「賀茂蒼佳がもし蠱毒を成功させた暁には貴方は完全にチームの足手纏いになる。それでも良いというのならそのままそこでへこたれてなさい。
私は立ち上がる者にしか手を差し伸べないわ」
不意に碧理が俺に視線を向けた。
「タクミは洗濯も料理も出来ないわ」
「家事代行を雇いなさい」
「掃除なんてもっての外できっと部屋を散らかすわよ」
「家事代行を雇いなさい」
「アタシがいないと家に他の女をきっと連れ込むわよ」
「それのどこがいけないのかしら。
男子、ましてや精氣溢れるサムライは国の宝よ。
それこそ賀茂蒼佳より彼の特殊な事情。
それこそ女に膣内射精をするたびに器が拡がるのは支部を通して私も知っているわ。どんどんSEXしなさいな」
「いつか孕ませるわよ」
「それも上等。精氣溢れる男子が成す子は総じて氣が普通より多いし、願ったり叶ったりじゃない」
東司の言葉に思わず唸ってしまう。
それは初耳だ。
「アタシは彼のそばにいたい」
碧理の瞳から大粒の涙が溢れ出た。
「そばに居たいなら努力しなさい。このままだといつか貴方は死ぬか切り捨てられるわよ」
東司がため息一つ吐いてから続ける。
「自分で決めなさい。このままその立場にしがみつき自分は足手まといと卑下するままなのか。
それとも彼の横に立ち、怪異から国を救うべく前に進むのか。次は言わないわよ。
貴方がどうしたいかを」
暫しの沈黙の後、碧理が項垂れてから「お願いします」とか細い声で答えた。
「決まりね。じゃあ早速だけど、今から関東に戻るわよ」
東司の言葉に俺と碧理の腑抜けた声が重なる。
「療養なんて東司家でいくらでも出来るわ。私たちには時間が無いのよ」
そうだ。何故こんなにも彼女が協力的且つ、精力的なのか。
根本の理由がわからずに彼女に尋ねた。
「安倍家の嫡子及び次女が昨夜死亡したわ」
その言葉にゴクリと息を飲み込む。
「弁慶さんの妖氣に当てられた結果、自暴自棄になり自殺したそうよ。
高々第十位階の妖氣でね」
彼女の言葉であるが、それはたかだかでは決して無い。
奴の妖氣はそれこそ精神を蝕み死を予感させるだけの鋭さがあったのだ。
「それに“百鬼夜行“が近いの。私たちはそれまでに有望な退魔師を育てるのが急務であり、先のテング戦ではそれが裏目にでたわ。
将来有望な退魔師を派遣してこのザマよ。
生き残ったのは貴方達だけ。
あ、コムロっていうおサムライ様も生き残ったけれど、片腕欠損の上、除隊申請をしてこれが可決された」
彼女の言葉に碧理が絶句する。
それなりに軽口を言い合う仲の者の死だ。
それも自死となれば尚更か。
「分かりました。ちなみに俺には何か助言を頂けないのですか?早く上級になれるように」
俺の言葉に眉をピクリとあげて彼女は笑った。
「何?そんなに私にパイズリをして欲しいのかしら」
彼女が谷間を寄せて見せつけながら口角を上げる。
「貴方はこれまで通りいっぱいセックスしなさい。それが近道よ」
彼女の言葉に「はぁ」と間抜けた返事を返した。
「あ、それと、ちょっと指出してくれる。利き手じゃない方でいいわ」
不意にこちらに歩み寄る彼女に俺は反射的に左手を差し出す。
「よいしょ」
ポキリ。
まるで菓子を折るように俺の人差し指と中指を一緒に折り曲げ、小気味よい音が部屋に響いた。
「――っツ“! 」
不意に訪れた痛みに俺は手を引き
「貴方に私の術式を付与したわ。
これで貴方も私と同様に次元を操れるわ。
もっとも物を入れるだけで出すことは出来ないけど」
真顔でそう宣う阿呆が「手を伸ばして空間が避けるように意識してみなさい」と告げる。
心底、その巨大な乳房を叩きたい心情を抱きながら俺は指示通り、心に願い、空中に手を伸ばす。
寸前、指の先で空間が裂けた。
「貴方は、毎日3回はオナニーして容器はなんでも良いから精液を三人分、そこにしまって。
それを私とユキと彼女はマンコへと毎日流し込むから」
鮮度が落ちないことは先の焼き鳥で十分伝わっている。
しかしながらこの阿呆はそんなことのために俺の指を2本折ったのか。
思わず憎々し気に目を吊り上げてしまうのを彼女はため息を返した。
「……そうね。流石にいきなり折ったことは謝るわ。お詫びに一つ。
もし強くなりたいならまた鞍馬寺に行って弁慶さんに話してみなさい。何かしらの収穫があるかもしれないから」
弁慶とは先の大天狗だろう。
それはお前達が封印したのだろうと俺は睨みながら首を傾げる。
「説明もめんどくさいからとりあえず行ってみなさいな。じゃあ、彼女は連れて行くわね」
俺から視線を外し、俺の折れ曲がった指と阿呆の顔を交互に見比べながら呆ける碧理の元へと歩み寄り、そのまま肩抱きをして持ち上げる。
「――えっ?あの、ちょっとっ!」
ジタバタと東司の肩で暴れる彼女を気にせず、
「それじゃあ、ザーメンよろしくねー」
っと手を振りながら彼女は碧理を連れて去って行く。
瞬間に訪れる嵐が過ぎ去った後のような静けさの中で俺のため息が響いた。
「絶対に気絶するまで犯してやるわ、あのクソ金髪」
反対に折れ曲がった指を見つめながら、俺の心がメラメラと燃えるのを感じながら俺はナースコールを押す。
「すいませーん。指を折られましたー」
俺の言葉に駆けつけたナースが叫び声を上げるのは言うまでもなかった。