貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】 作:たんばりん
最寄駅よりから歩いて5分。
京都の中心である京都御所の一角に俺が住む家がある。
比較的広大な土地に建てられた日本邸宅と呼ばれる家の門扉を潜り、俺はガラガラと引いて開けるタイプの玄関を開けた。
「ただいま」
「遅いッ!」
土間に入り言葉を発した瞬間に怒声が返ってきた。
「一体今日もどこ行ってたの!?」
水色の瞳を三角に吊り上げ、大きな胸部を突き出すように仁王立ちし、銀髪のツインテールをした女性に短く「討伐」と答えて無造作に靴を脱ぎ捨て廊下を歩く。
「嘘でしょ!昨日も、一昨日もその前も、帰りが遅かったじゃない!そんなに毎日野良の怪異に出くわすわけないでしょ!」
ガミガミガミガミ。
まさにそんな形容詞が当てはまるほどに矢継ぎ早で行われる詰問を無視して、居間の隅に置かれた仏壇の前に座って手を合わせた。
信心深いツインテールもその間は空気を見て押し黙る。
仏壇に置かれた写真は合計6人。年齢はバラバラで一番若いもので8歳。一番上で行くと100歳を超える。
「ただいま。母さん、姉さんたち、あとばあちゃんたち」
全員に声をかけて俺は帰宅のこと、昨日今日あったことを彼女達に心の中で報告する。
もちろんセックスのことはかいつまんである。
もしそんなこと知れば母さんと姉さんは怒るだろうか?
叔母は間違いなく『賀茂家の男子として恥ずかしい』というだろう。しかしなんとなくだが祖母や
心の中で報告を終え、その場から立ち上がると待ってましたと言わんばかりに背後に立っていた女性からの追撃が始まった。
「うるさいなぁ。蒼佳姉は?」
堪えかねてて思わず悪態をつき、目の前で騒ぐ女性の姉について、所在を問うも、どうやら『うるさい』と言われたのがよほど嫌だったのか、もはや発狂するように女性は怒り狂って叫び声をあげた。
はあ、本当にうるさい。
思わずそんなことを口から出しそうになり慌てて言葉を飲み込んで目の前の女性にジトリとした目で観察する。
サラリとした銀色の髪を両サイドに
前の世界であればもはや女神と崇められるような美貌の持ち主であるが、その性格は短気で喧嘩っ早く、すぐに手が出るじゃじゃ馬娘である。
彼女の名は
俺の従妹にあたり、年齢は同じ15歳である。
「~ッ!!!!アタシはねぇッ!賀茂家の者として恥ずかしくないように・・・・」
その後も、ガミガミと目を吊り上げながら説教垂れる彼女を無視して冷蔵庫よりお茶を取り出しぐびぐびとあおった。
「
ポリポリと首を掻きながらRPGゲームよろしく常に背後に付き纏う彼女に告げると『はあ』と大きな溜め息が返ってきた。
「アタシだって好きでガミガミ言っているんじゃないわよ!アンタがいつもほっつき歩いているから賀茂家を代表してッ・・・ッ!!」
喋る彼女の唇にキスをし俺は彼女を黙らせる。
「ンッ、そ、そんなのでッ。ちゅ、ンッ、ご、ごまかせ、られ、んッ、ないんだからぁ〜」
先程まで釣り上げていた青色の瞳はまたたく間にトロンと目尻を下げ、怒気がみるみると無散していく。
「ちゅ…ずるい…レロ…こんなに、されたら…れろぉ…怒れない…じゃない」
舌を入れた瞬間は歯を閉じることで侵入を防いでいた彼女も気がつけば俺の口内ににゅるりと舌を入れ込み身体を擦りつけて首元に両腕を回した。。
……レロ……チュ……クチャ。
「朝からお盛んね」
不意に背後から声が掛かると先ほどまでトロ顔で唇を貪っていた碧理がその場からバッと離れた。
「お姉ちゃんっ!?」
「あ、おはよう。蒼佳姉」
碧理はその場であわあわと
「こ、これは違うの!!私はタクミにちゃんと言ったのに、タクミがいきなりキスするから」
と矢継ぎ早に応えると
「アンタも本当に懲りないわねぇ」と碧理に言ってから俺の元へと歩み寄った。
「
そう耳元で言って、菩薩のように慈愛の満ちた笑顔に思わず背筋に寒気を覚えた。
碧理と同じ彫刻のように整った顔に銀色の髪をサラリと腰まで落としたストレートヘア
姉妹よろしく白魚のように白い肌に盛り上がる胸部は彼女愛用のルームウェアからブルンと谷間を覗かせる。
「もし、良ければ今日当たり私もいかがかしら?」
サワリ。
抱きつくように密着して俺の下腹部にそっと手を添えてそんな提案を出す彼女に、
「う、うん。考えておきます」と答えてすごすご退散するようにそっと身を離して食卓の
「あら、残念。私が直々に立てなくなるまで抜いてあげようって言ってるのに」
ペロリ。
流し目で
彼女たちは俺の従姉妹に当たり、俺を含めて3人が現存する陰陽師の名家と呼ばれる賀茂家の全員である。
そしてそれぞれが対怪異を生業としていた。
俺がサムライ、蒼佳が陰陽師、碧理が結界師と見事に棲み分けた
退魔師は
加えてそのまま一緒に住み寝食と共にするのが一般的である。
そのため、というか昔から共に暮らす関係もあり、俺の養成期間を終えて先月より晴れて賀茂家チームが結成された。
ちなみにその中で長女の蒼佳に至っては賀茂家当主でもあり
加えてチーム唯一の”中級”に区分される第一戦級の陰陽師であったりする。
年齢は俺の8歳上の今年で23歳と大人の魅力あふれる女性だ。
そんな大人のエロさを醸し出す
”性欲が強いものこそ退魔師として強い”
とされるこの世界で、名家と呼ばれる賀茂家、とりわけ”稀代の傑作”と称される蒼佳は正しくサキュバスであり、
この世界でも性欲過多な俺でさえ骨抜きにされる。
そしてもちろん碧理も姉ほどではないにしてもサキュバス見習いといった具合に二人して責められた際には次の日には腰がガクガクと震え、立つことが困難になることも珍しくない。
「まあ、私も別に今からとは言わないわ。今日は”みんな”の命日でもあるのだし、夜には
席に座る俺に視線を送りながら話す彼女はそう言って碧理のそばによって彼女の頭を撫でた。
「貴方もほどほどにね。感情が激しい結界師は術に影響を及ぼすわよ」
優しく微笑みながら碧理を諭す蒼佳に
「それが一番危険なのはわかるわよね」
目を細めて答える彼女に碧理はビクリと肩を震わせた。
「また私たちの目の前で第二のぬらりひょんが現れてたっくんを襲ったらどうするの。その時に気が動転して結界張れませんでしたってことにならないようにも、気をつけなさい」
蒼佳のことばに碧理は「わ、分かってわよ」と俯き、応えると
「ふふ、信頼しているわ」とほほ笑みぽんぽんと碧理の頭を優しく叩いてキッチンへと朝食の準備へと向かった。
残された碧理は俯きながら俺の対面の席へと座り意気消沈を表していたので「まあ、そう気にするな。碧理なら大丈夫だよ」と励ますと、
「元はアンタのせいでしょ!!」と突っ込みを返された。またプリプリと怒りを表した。
「そういう所だぞ」と俺は喉まで出かかった言葉を飲み込み「ごめんごめん」と彼女に謝罪をするのであった。
――――――――――
「蒼佳姉の膝枕は世界イチだよ」
俺はそう言って彼女の滑らかな太ももに頬をつけ、彼女の膝を優しく撫でる。
時刻は日も暮れ夜の
すでに命日の祝詞も上げ、3人そろって晩ごはんを食べてしばらく、俺は蒼佳の膝を枕にソファーに寝転がり耳掃除をしてもらっていた。
「それ、一昨日ぐらいに碧理にも言ってたわよね?」
俺の頭上から声を返す彼女は「ふふふ」と微笑んで俺の耳に優しく綿棒を当てがい、カリカリと耳垢をほじくり返す。
「言ってたかもね。でも今の気持ちも本当だし、もうそれで良いんじゃない?」
俺の言葉に蒼佳は「本当に適当なんだから」と微笑み
「はい。こっち側終わり。反対向いてくれる?」と優しく耳元で囁いた。
ぐるり。
俺はその場で寝返りを打つように身体を反転させて彼女の腹の方へと顔を向けた。
クンクンクン。
「ちょっと、なに嗅いでるのかしら?」
鼻を鳴らしてたことに目ざとく気づいた蒼佳はほじる手を止めて俺に問いかけた。
「ん。いや別に。ただの本能というか。いい匂いだなって思っただけ」
実際風呂から上がったばかりの彼女からはフローラルな香りを発しており、シルク生地のショートパンツ。特に股の間の匂いを強く感じた。
「それに眼福でもあるしね」
ペラリ。
彼女の太ももの隙間を指で引っ張りその中を覗く。
年上の彼女らしい黒の総レースでできた下着がチラリと見えて思わず俺はゴクリと唾を飲み込んだ。
「こーら。そんなことしてると鼓膜破れちゃうかもでしょ?」
俺の行動に彼女はそう言葉を返す。
「おぉ、怖い怖い。それは気をつけないと」
彼女の言葉に大袈裟に俺は手をあげて降参のポーズを取る。
「冗談よ。でも見たいのは下着で良いのかしら?」
そう呟いて彼女がショートパンツの裾から指を突っ込みぐいっと引っ張り、中身を見せようとした瞬間。
”キュウン!キュン!キュキュキュキュキーーー!!!!
退魔庁より配布されたスマートフォンから緊急時に発せられる警戒アラームが家中に鳴り響く。
「……しょうがないわね。耳掃除はおしまい。行くわよ」
引っ掛けていた指を離し俺の頭をポンポンと叩き合図を送る彼女に不承不承と顔を上げた。
「そんな顔してもダメよ。続きは返ってからね」
器用にウインクをする蒼佳に俺は「はあ〜」とため息を就いてその場から起き上がった。
「タクミッ!お姉ちゃんっ!」
バタンッ!!
入浴中だったらしく、頭にバスタオルを巻き全身ずぶ濡れで恵まれた肢体を惜しげもなく披露するように全裸の碧理がブルンっと乳を揺らして入ってきた。
相変わらず白魚のように真っ白の肌に桜色の乳輪。毛のひとつもない下腹部が視界に入り思わず俺のチンポがピクンと反応する。
「ええ、緊急討伐司令だわ。私は詳細を本部に確認するから、たっくんと碧理は準備出来たら私のところに来て。
その後すぐに出動するわよ。」
全裸の妹を前にしても毅然と指示を出す蒼佳にさすが『中級』陰陽師だと舌を巻きつつ、俺たちは急いで討伐の準備を始めた。
『それで位階や場所は?』
全身黒のボディースーツにスーツと同じ黒一色のコートに着替えた俺は同じく黒色の狩衣(陰陽師の和服)に着替えていた蒼佳と合流する。
「位階は報告によると第六位階の妖怪でここから現場まで車で20分ほど行ったところみたいね」
蒼佳は俺に今般の緊急指令の怪異の情報を表示したタブレットが差し出された。
怪異には驚異度を示す第一〜第十までの位階と呼ばれるランク付けがされており、驚異度が強いものほど数も大きくなる。
第六と言えばそこまで強いランクでは無いため今回の緊急サイレンに俺は首を傾げた。
「対応していたサムライが2組消失したそうよ」
蒼佳の補足に俺は更に首を傾げるものだった。
「それはもはや支部の占いが当てにならないってことじゃないか?」
俺の言葉に蒼佳はコクリと頷く。
蒼佳をはじめとする陰陽師には怪異における役割は実に様々であり、支部に務め討伐を主としない者は怪異の位階や、顕現場所の占いが含まれるのだが、それは時として当たらないこともままある。
これは高位階の怪異には稀に力を隠すなにかしらの技能があるからとされ、低位階ではほとんど的中するそれも高位階の場合はまま外れるのだ。
もちろん本部(退魔庁)もそれについては散々言及していることである。
「準備できたわッ!」
バタンッ!
その時白い巫女装束を羽織った碧理も合流しあらかたの報告を聞いた後、俺たちは蒼佳運転のもと現場へと急いだ。
“現在 対象は中級結界師が張る結界内になんとか取り込めている状態です“
車の中に設置された無線が支部からの連絡を告げる。
”了解。現在現場の小学校からおよそ500m西。到着後に討伐に移ります。どうぞ”
”こちら、本部。了解した。健闘を祈る”
無線が切られ車内に沈黙が走る。
「命日に緊急討伐とかついてないわね」
蒼佳の言葉に後部座席に座る俺と碧理がコクン、コクンと頷いた。
「まもなく現着よ。碧理は結界構築の用意。たっくんは準備出来てる?」
蒼佳の指示に「もちろんだ。いつでもいける」と抑揚なく答えると彼女は「頼もしいわね」とルームミラー越しに微笑んだ。
「あそこで降りるわよ!」
運転席の蒼佳は前方、小学校の正門を指さして、後部座席のスライドドア開閉のボダンを押した。
風を切りさく音が車内に響くのを気にせず、彼女はそのままサイドブレーキを引き上げながらハンドルをグルンと回した。
キキキキィィイイイイイ!!
タイヤがロックされ地面と擦れる音を立てながら正門に横付けされた瞬間に俺は車から飛び出し現場であろう校庭の中心を目指す。
正門付近には何人かの民間人が首から先をなくした状態で倒れ伏し、すぐ近くには巫女装束を来た骸も転がっていた。
正門を囲うように建てられた左右の建物からはもうもうと炎を上げており、まさに地獄絵図といった様子を表していた。
報告によれば結界師の健闘によりぐるりと学校を覆うよう張る薄ピンク色の結界が空高く展開されているが、感じる気配から、その限界が近いことを察した。
「たっくん!校庭はあっちからいけるみたいよ!」
追うように後続する二人のうち、蒼佳が東を指さしたので頷き指示された方向から俺たちは校庭へとむかった。
「
校庭につき、中央で横たわるサムライの服を着た骸の下腹部を啄む”ソレ”を見つけて俺はその正体をつぶやく。
クマほどの体躯を持ち、サルの顔面、タヌキように長い胴体、手足は虎のような斑ら模様を描いてそこから突き出た鋭い爪。
尾にヘビをフラフラと生やしたソレは一般的に
そして
ヌチャぁあ
口元にべったりと付着する血をきにすることなく醜悪な笑みを浮かべる
“斬魔刀“
怪異を斬ることができる刀の一種であり、日本刀に陰陽師の源氣とサムライの精氣を当てた刀。
これ以外にも先の討伐で使ったネックレスタイプの式神剣なども一般的だが、あれは使い切りのため、こうして準備できる時には専用で打たれた斬魔刀を持ち込むのがほとんどだ。
「クキョキョキョキョ」
距離を取る俺に視線を合わせて不意に首をカタカタと震わせて笑い出した鵺はその場で”翼”を広げた。
バサリ。
そう、
「碧理、奴は飛ぶぞ。足場を頼む」
「分かってるわ!」
後方から遅れてやってきた碧理に声をかけ、蒼佳には「一瞬だけでもいいからヤツを拘束してくれ」と指示を飛ばす。
退魔師とチームの攻撃戦術はチームそれぞれ異なる。
しかしながら、幼少期より共に暮らし鍛錬を続けてきた俺たちはほかの成りたて退魔師パーティーとは違い、1ヶ月の中で他の追随を許さないほどに討伐実績を積んできた。
その主たる戦術とは、俺を主軸におき、
本来対象を拘束・保護する結界を、足場として展開させ、サムライの俺が精氣を使い圧倒的な肉体能力でもはや前後不覚と思われる多方面的な動きをして対象を討伐する。
その為には俺と息の合う碧理の結界術。時として俺のサポートを行うこれも息の合った連携のできる蒼佳の陰陽術の為せる、俺たちだけの特有の戦術である。
バサリッ!バサリッ!
「飛んだぞ!!碧理“
俺の言葉に碧は「えぇ」と息を合わせて俺の目の前に四角い桜色の結界が展開せさた。
「角!角!角!角!かーーっく!!!」
俺の目の前に階段のように角度をつけて展開させる10センチ角の結界。それに飛び乗りまるで走るように俺は空を駆ける。
「掛けまくも畏き
詠唱を唱えて蒼佳の腕が大蛇の蛇へと代わり口を開いて羽ばたいた鵺に向かって飛び掛かる。
バサリ、バサリ
飛び掛かる大蛇に翼をはためかせ、縦横無尽に鵺はかわした。
「絶対、これ第六位階じゃねえだろ」
そもそも飛行能力を持つ怪異は総じて討伐難易度が跳ね上がる。それこそ足元にころがる退魔師の骸の数がそれを肯定している事実に思わず俺は舌打ちを漏らした。
「キョギョっ!!」
ブワンッ。
空を羽ばたく鵺が猿の顔を見にくくゆがめて翼をひときわ大きくはためかせるといくつもの羽がナイフのように地上に立つ彼女たちへと降りかかる。
「お前の相手はおれだろうッ!」
足元の結界から強制的に身をひるがえして羽の射線に割り込み俺は刀を振るった。
キンキンキン
弾丸を打ち落とすように刃に羽があたる瞬間、火花をいくつも飛ばしながらすべてを打ち落とす。
”サムライとはもはや人間に区分されるような
いつかテレビでみた退魔師の解説者の言を思い出す。
『退魔師にはそれぞれの役割があり
陰陽師や結界師はそれぞれが術を行使しますが
サムライはただひたすらに刀を振るうだけです。
しかしながら、彼らは100mを3秒で走りますし、10mの壁を跳躍します。
さすがに空を飛ぶことはできませんがそれでも10mをも跳躍する人間はもはや人間と呼べるでしょうか?』
ブウンっ!
足場のなかった空中から突如ステージのように長方形の結界が出現し、俺は空中で身を反転させて着地と同時に鵺に再度飛び掛かる。
「ナイス!碧理ッ!」
視線を鵺に見据えてたまま、絶妙なサポートをした彼女に賛美を送り、俺は眼前へと迫った鵺に向かって刀を振り下ろした。
ヌプリ。
刀が鵺の肩から斜めに入る瞬間、スライムを切るような手ごたえの無さを感じながら俺はそのまま鵺を両断する。
「クケケケケケ」
斬られ、斜めに両断される鵺は、気味悪く笑った。
「「キョ―!キョッキョキョ!!」」
分断された鵺の断面からニョキニョキと形を変えて、サイズが半分になった2頭の鵺となり、高笑いをするので、俺は思わずニヤリと口角をあげた。
フシャー!!!
二体の鵺をものともせず一匹の大蛇がやつらを拘束せんと雄たけびを上げながら巻き付いていく。
「捕まえた。あとはよろしくね。碧理」
蒼佳は、にやりと口角をあげて妹にバトンタッチすると碧理もこくんと頷き右手で印を組み詠唱を始める。
詠唱の最中、逃げようと藻掻く鵺に
「もう離さないわよ」と応える蒼佳も印を結び、ぎちぎちと蛇を締めあげる。
「
結び、
封印結界 ”
角はと違う黒い結界が鵺を、蒼佳が顕現した蛇ごと囲んだ。
「分裂することぐらい想定済なんだよぉッ!!!」
ギチリ。
刀を握る腕にいくつもの筋を起たせて俺は体中から精氣を噴出させそれを斬魔刀に集約させた。
「成仏しやがれっ!”破魔の剣”」
銀色の刀が精氣を纏い白色の刀身へと変わり、あたりに栗の花の匂いが漂いはじめる中、俺は鵺に向かい幾千も斬りかかる。
斬ッ!斬!斬斬斬斬斬斬斬斬斬ザンッ!
肉体を無理やり高速化させ、まるで早送りのように刀を振るい、
サイコロステーキよりも更に細かく結界ごと切り刻む。
刻まれた欠片がポワポワと泡沫に変わりはじめ、最後にはその場からシャボン玉のような泡だけとなった。
「お疲れ様、タクミ」
結界を足場に地上に降りた俺に走り寄りながら碧理が俺にねぎらいの言葉をかける。
「ナイスアシスト」
ぽんぽん。
彼女の頭に手を載せると彼女は猫のように目を細める。
「蒼佳姉もナイス拘束だったよ」
もちろん、蒼佳にも同じように俺はねぎらいの言葉を伝えて同様に彼女の頭を撫でた。
「アタシたちに掛かればこんなものねっ!」
討伐に、撫でられた頭に、気分を良くした碧理からそんな言葉が漏れると
蒼佳は「油断しないの。いつ私たちが彼らと変わらない保障はないのよ」
そう言って足元に転がっている骸を見つめながら窘めた。
「まあ、とりあえず本部には討伐完了の報告をするわね」
蒼佳はそう言ってスマートフォンを袖から取り出し電話をかけ討伐の終了を報告した。
――――――――――
「家に帰ったらお母さんたちに報告しないとね」
運転席に座る蒼佳がコーヒーを啜りながら、感慨深げに言葉を漏らした。
「あぁ」「そうだね」
俺も、碧理も思うことは同じで彼女の意見に同意して窓へと視線を移した。
サムライとなり初の命日に怪異 ”妖怪”との一戦。
10年前を思い出し沸々と心から憤怒がこみ上げて自然と拳に力が入った。
「タクミ…」
横に座る碧理がそっと俺の名を呼んで拳の上に手を重ねた。
「…ありがとな」
先ほどまでこみ上げていた怒りの感情はふっと夢散し感情が落ち着き俺は彼女の頭を抱き寄せた。
「ううん。いいの。タクミが大丈夫なら」
ぐりぐりとこちらに身を預けてさらに重なるかのように頭を寄せる碧理に俺はやさしく頭を撫でた。
「ちょっと、後ろであまりいちゃつかないでね」
席を挟んでハンドルより手が離せない蒼佳が恨みがましそうに軽口を叩く。
「帰ったら、ちゃんと私も労ってね」
蒼佳の言葉に俺は「さっき途中までだったしね」と家での膝枕のことを思い出しながら言葉を返した。
これから待ち受ける試練を分かっていながらも、どこまでも俺の下半身は正直なようだ。
チンポが心と同調するようにムクムクとそそり立つのを感じながら、再度視線を窓へと向ける。
空はまだ暗く、朝日が昇るのはまだ先であった。