貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】 作:たんばりん
「タクミ……1人で平気?」
不安気な顔で俺を覗く碧理に「問題ないよ」と返して腰に佩いた妖刀 叢雲を抜刀し、空を見上げる。
天空に羽ばたく1匹の鴉。
怪異だ。
しかもそれは低級ではない。
特級たる、東司と田井中に降った討伐指令。
位階は九の天空を羽ばたく八咫烏と呼ばれる化け物である。
奴が今、こちらを睨み咆哮と一緒に光の球を放つ。
“燃やし尽くせ 玉藻前“
紅い刀身から炎が吹き出し、やがて俺の身体を包む。
熱くはない。
それどころか、むしろ心地よい程に快適な炎舞。
「朧火」
背中に等身大ほどの火の玉をいくつか出現させて、向かう光線の斜線へと飛ばす。
――瞬間
衝突した瞬間、ボンっ、ボンッ、と小気味良い爆発音を響かせ爆風が吹き荒れるのも気にせず刀を振るった。
「不知火」
顕現される一匹の緋色の狐。
腰に跨り、空へ駆ける
「
刀を持っていない手をカラスへ突き出し、氣を混ぜる。
イメージは火炎放射器。
掌がジンワリと暖かくなった瞬間、“ゴゥッ“と音を立てて火柱が吹き出しカラスの翼を焼いた。
「退魔の太刀」
炎に包まれた妖刀を振り上げ、―――――――― 一閃
接敵からおよそ15秒程度。
九位階の八咫烏は鳴き声をあげて泡沫の如く消えた。
――――――――
「化け物ね……」
空を見上げた東司さんがぼそりと漏らし、
「すごい……」
空を見上げ、思わず感嘆とした息が漏れた。
また、差が広がったということを思わせる余地のないほどに、彼は美しい。
「碧理さんも頑張りましょう」
師匠である幸が私の顔を見て優しく微笑む。
「はい。タクミの横に立てるようにこれからもお願いします。幸さん」
私が頭を下げると東司さんが“はっ“と乾いた笑い声を漏らした。
「生半可な覚悟じゃ無理よ。彼はもはや特級クラスに足を突っ込んでいるから」
“特級“
今,目の前に立つ2人がまさにその上位を関する者たちが、タクミの実力を認めた。
別に驚いてはいない。というのが正直な感想だ。
彼はすごい。
強く、逞しく、美しく、優しい。
分かりきったことであり、私の一番大好きな
「お疲れ様。タクミくん」
狐に乗って地上へと降りた彼に東司さんが笑顔を浮かべて声をかけた。
「流石ね。これは私がパイズリする日も近いわね」
彼女の言葉にピクンと眉が吊り上がった。
「ちなみに、何尾まで使えるのかしら?」
東司さんの言葉にタクミが一瞬驚いた顔を浮かべてから“四尾です。貴女はどこまで知っているんですか?“と苦笑いを浮かべた。
「四尾ってなんですか?」
隣に立つ幸に問うと彼女は厳しい顔つきでタクミを見つめたまま答える。
「伏見の妖狐は九尾と呼ばれる妖よ。彼女は尾の数だけ能力を持っているの」
そう答えた幸の声音は硬い。
彼女は祖母を賀茂家。とりわけタクミに奪われたと憎んでいる。
一緒に過ごす中で何度もその誤解を解こうとするも、彼女の考えを変えることはついぞ、出来なかった。
「四尾……坂本
幸の言葉に首を傾げる。
「坂本龍馬よ」
私の疑問に補足するように答える彼女の言葉に目を見開いた。
「私のパイズリは沼よ。楽しみにしておくことね」
タクミがニタニタと笑う東司を連れ立って私の元に歩み寄る。
「……タクミ、お疲れ様」
手を挙げ、ハイタッチを求めるとパチンと乾いた音が響き彼が笑った。
「ありがとう。碧理」
未だ彼の後ろでは東司さんが「沼パイズリよ。沼パイズリ」と宣い、胸の下で腕を組みその豊満なバストを上下に揺らす。
「……パイズリなんて、アタシ聞いてないけど?」
頬が引きつき、彼に言葉を向けると「言ってなかったっけ?」と苦笑いを浮かべた。
「まあ、それよりどうだった?玉藻の能力」
彼は目を泳がせながら話題を変えるので、ため息を吐いて応じる。
「綺麗だったわ」
凄いとか、強いとか、そう言った感想の前に最初に感じた感想を彼に述べるとタクミは「碧理の方が綺麗だよ」と、調子の良いおべっかを述べて私の頬を撫でた。
仕方ない。
また、他の女に手を出そうしていたのも目を瞑ろう。
以前お姉ちゃんに言われた『独占欲は女の恥』という言葉を思い浮かべ、思わず破顔した。
「ありがと……。今日はパイズリでいっぱい抜いてあげるから覚悟なさい」
目は瞑るが、私にもプライドはあった。
私の言葉に彼は「上等」と返して嗤う。
修行の目処は未だ経っておらず、タクミと一緒に過ごせるのは残り5日間。
その間にできるだけ彼に甘えようと私は心の中で決意するのであった。