貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】 作:たんばりん
「合宿するわよ!!ッ」
ある日の放課後。
夏休みが近くなり、日差しが照らす7月の頭。
部長のルルが水泳部のみんなを集めて声高々に叫ぶ。
「どこにっすか?」
日々の部活動の賜物か、小麦色に肌を焼いたクルミが眉をぴくりとあげた。
「沖縄よ」
副部長のナナが目を細めて答える。
先ほどまでプールで練習していた彼女達の肌は水気を帯びており、サポーターを履いていないのか、マン筋がピタリと線を主張している。
「沖縄って……」
ほかのみんなが顔を見合わせる。その表情はどこか不安気であった。
「部長〜美優はお金ありませんよ」
寝ていることが多いからか、他の連中よりは幾分か肌の白い美優が手を挙げるとルルは胸を張って「無料だ。全部水川家がもつ」と答えると、恵が口笛を吹いた。
「さすが、天下の水川家様々っ!ゴチになります」
ぴょんぴょんと恵が跳ねると、ビキニから柔らかい乳房が溢れそうになるほど上下した。
「いや、いつもながら貴女は競泳水着着なさいよ」
ナナが恵を諭すが彼女は「日焼け後がダサイからいやでーす」と唇を尖らせた。
「いつ、行くんですか?」
ハイレグタイプの競泳水着を着た美咲が手を挙げると「夏休み入ってすぐだな。私たちの引退試合も近いし」とルルが8月頭にある試合のスケジュールを伝える。
「俺も行っていいんですか?」
男子が少なすぎる営業で、高校生の大会で男子の部は存在していない。
俺はここ3ヶ月あまりはあくまでマネージャー的なポジションで、気が向いたら泳ぐだけであり、普段はムラムラしたら部員を抱くという乱痴気な部活生活をしているのだ。
念の為にそれをルルに確認すると彼女は鷹揚に頷いて「もちろん無料だ。と言うか、賀茂くんも是非来てくれ。場所が沖縄ということもあるが、それだけで三馬鹿はやる気になる」としたり顔で答えた。
「とりあえず夏休みに初日に全員が朝8時に学校前に集合するように。
そこから先は全部私たちに任せてくれ」
ルルの言葉に各々が「はーい」と間延びした声で返事を返して練習は解散となった。
「タクミくん、合宿ではウチの身体に日焼け止め塗ってね」
俺の腕を抱くように絡ませて恵が微笑む。
日焼け止めも何も、つい先日ローションを塗ってのプレイをしたので目新しさはないのだが……。
「討伐指令が無ければ同行しますね」
スライムのような乳房に挟まれる腕に下半身がピクピクとしだすのを無視して俺は微笑んだ。
夏は始まったばかりだ。
――――――――
「いらっしゃいませ」
結局のところ、あれから一ヶ月あまり。
取り立ててこれといったイベントも起こらず、俺は五体満足で水泳部連中を連れ立って沖縄の、“超“がつくほどの高級ホテルのロビーへと来ていた。
「お待ちしておりました。ルル様、ナナ様のご学友の方々。
本日より一週間。ごゆるりと本ホテルでお過ごし下さい」
ロビーに入った瞬間、十数人の従業員が左右に整列し頭を下げる。
「……すっげぇ……」
クルミがぼそりと感想を漏らすと水川姉妹を除いた全員がこくりと頷いた。
「ここは、水川家所有のホテルなのよ。全部屋プール付きのスイートルーム。
ホテル内を移動する際はゴルフカートで移動してもらうわ」
ロビー奥に並ぶカートを指差すナナ。
ルルがそこに「競技用プールもコースは少ないが一応あるからな。合宿にはもってこいということだ」と補足するが、一堂は周りをキョロキョロとするだけで彼女達の言葉には生返事を返した。
「あの、これって、普通は一泊おいくらになるんでしょうか?」
美咲がおずおずと手を挙げるとルルとナナは顔を見合わせてから「知らない」と返事を返す。
「おひとり様、一泊およそ20万円ほどでございます」
まるで合いの手を入れるように全身黒スーツを着た妙齢の美人が前に出て答える。
「え゛っ!なんでタチバナがここにいるのよっ!」
カエルを潰したように鳴いた後、ルルがあたふたとし出すと、タチバナと呼ばれた女性は「ルル様とナナ様のご学友。失礼がないようにと奥様からのご連絡がありましたので」とぺこりと頭を下げる。
「久しぶりね。タチバナ」
ルルと違い、ナナは笑顔を浮かべて彼女に近づくと、タチバナも「お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです」とナナに微笑みかける。
「紹介するわ。水川家の家令のタチバナよ」
家令とは執事筆頭的な立ち位置の職位だ。
ナナの紹介にタチバナはぺこりと頭を下げた。
「普段はお母様と世界中飛び回っているから会うこと自体は珍しいけど、皆も何かあれば彼女に頼って頂戴」
そう紹介を終えるとタチバナ再度頭を下げた。
「じゃあ、30分後に全員水着に着替えてロビーに集合で」
一通りのホテルの説明を聞き終えて、最後にルルがそう言うと各自、係員の誘導に従ってゴルフカートに乗り込み別れていく。
「賀茂様はこちらでございます」
どうやら俺の相手はタチバナがするらしい。
ゴルフカートに乗り込みゆっくりと走り出し、ロビーを抜けると空から熱い陽射しが俺の肌を焼いた。
「凄くいいところですね」
あたりを見渡しながら思わず感想を告げる。
一面に広がる緑色の芝生。
所々に南国を象徴するようにヤシの木がなっている。
「タクミ様はおサムライ様だとか……」
ハンドルを握り前を見据えながらタチバナが口を開く。
「そうですね。一応中級をやらせてもらってます」
彼女の硬い声音に思わず眉がぴくりと上がった。
「どうかこれを最後にルル様、ナナ様とは会わないようにお願い致します」
タチバナの言葉に俺は思わず顔をしかめる。
「理由をお聞きしても?」
拳を握る力が強まる。
揺れるカートの空気に緊張が走った。
「ルル様は水川家の跡取り、ナナ様は次女でございます。既に将来は婚約する相手もいらっしゃいますので、何卒ご理解頂ければ」
こちらを振り向くことなく、前を見据えたタチバナ。
やがてカートは一つの平屋の前に止まった。
「タクミ様のお宿はこちらになります。御用があればいつでもお電話でお呼び下さい」
カートに積んだ荷物を取り扉を開ける。
白の調度品で整えられた室内。
廊下扉が開いており、室内を照らす大きな窓からプライベートプールの水面が光を照らし幻想的な光景を映し出していた。
「それで、詳しく教えてくれませんか?」
いくら幻想的な風景が目の前でくり広げられていようと、俺の目つきは変わらない。
俺の言葉にタチバナはペコリと頭を下げて口を開いた。
「恐らくですが姦通をされていらっしゃるのでしょう」
彼女の言葉に「それがなにか?」と剣呑に返す。
すでに身体を交えてはいるが、別にそのことについて否とする社会ではない。
俺の年齢が未だ16歳未満ということはあるが、それでは誕生日を迎えてから会えば良いのだ。
「愛はありますか?そこに」
頭を上げた彼女の眼はこちらを見据えていた。
「愛ですか?」
いつぞや聞いた美咲のセリフのような言葉に首を傾げた。
「無いのでしょう?ルル様にも、ナナ様にも」
目を細める彼女に思わず歯を強く食いしばった。
「なぜ、あなたにそこまで干渉される必要が?」
額に青筋を浮かべる俺をみて”はぁ”と短く息を吐いてから、タチバナが室内に置かれた一つの茶封筒と俺に差し出す。
「差し出がましいでしょうが、水川家としてあなたを調査させていただきました」
中身をあけるとクラスの女子連中の写真がクリップに止められている。
「クラスメイトだけに飽き足らず、ルル様、ナナ様に同じ水泳部の方々。はては街に出ては行きずりの女性とも逢瀬を交わしていらっしゃる」
”随分とお盛んな方で”
タチバナの顔つきが次第に厳めしく変わり、牙をむく。
「ルル様にナナ様は卒業した暁には、結婚がすでに内々に決まっております」
「その相手に愛はあるので?聞けば第八夫人とかそれぐらいでしょう」
「無いですね」
「だったらっ!……」
俺の言葉に首を振った後、彼女がぴしゃりと告げる。
「しかし、ご結婚はされます。愛がなくとも」
タチバナの有無を言わせぬ覇気に俺は押し黙る。
「ご当主様。ルル様とナナ様のおかあ様から伝言です。この沖縄が最後だと」
そう言って最後に失礼いたしますと続けて彼女が部屋を辞する。
プールから反射する光が壁にもうもうとした光を放ち、俺は手にした書類をくしゃりと潰した。