※この作品はR-18です。

貞操逆転世界のおちんぽサムライ〜私は彼女ですか?いいえ。あなた“も“セフレです〜【挿絵あり】   作:たんばりん

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第陸拾弐話 怪我の功名

「ちょっと、起きなさいよ!この狸おんな!」

 布団をガバリと剥がされ衝撃で目を覚ます。

「あ、おはようございます」

 寝ぼけ眼に映る恵とクルミの姿に俺はその場で挨拶を交わすと彼女たちもおはようと返礼を返した。

「ん?いま何時ですか?」

 二度寝の習慣は俺にはない。

 夢はだいたい悪夢ばかりだ。

 気がつけば眠ることを嫌っているフシがあり、久方ぶりに感じる爽快感。あくびをしながら時計を探すべくあたりをキョロキョロと見渡すもあいにく時刻が分かるものは辺りになかった。

「もう、12時で午前の練習は終わったわ!」

「おーきーなーさーいー!」

 恵が答えてクルミが未だ俺の身体に張り付くように眠っている美優の腰を叩く。

 あいにく二度寝で家族に会うことは叶わなかったが、それでも暖かさは消えることなかった理由をなんとなく理解した気がした。

 

「……む、……あと4時間……」

 腰を叩かれて眉を顰めて美優がぼそりと呟き顔をベッドへと押し付ける。

「どんだけ寝るつもりなのよ!」

 恵が美優の尻をパシンと叩くと、「ひゃいっ!」と彼女が声を上げて飛び跳ねた。

「……なに?……襲撃?」

 どうやら、まだ寝ぼけているらしい。

 あたりを睨みつけるように目を細めてキョロキョロと見渡す彼女にクルミが怒鳴った。

「ほら!いい加減起きなさいよ!独裁部長がおかんむりだよっ!」

 美優の手を引っ張り無理やり立たせようとするクルミ。

「……仕方ない……たくみんの人肌はまるで麻薬……ボクはまだ夢の中……」

 そんなわけのわからないことを言いながら立たされた彼女の膣内からぼとりと溜まっていた精液が流れ落ちる。

「ほら、ワケの分からないこと言ってないでいくよ!」

 まるで中世の王族のように恵とクルミに甲斐甲斐しく着替えされて三人はドタドタと部屋を去る。

 

「さてと、俺も仕事に行きますか」

 昨夜の頃よりは幾分かスッキリとした頭で、俺はそのまま背伸びをして、シャワー室へと向かう。

 どこか今までとは違う。

 そんな思いが胸に溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――

 

「戻りました……」

「お、おかえりなさい……」

 討伐を終えて、和食に舌鼓をうっていた水泳部連中と合流し、空いたスペースに腰を下ろす。

「ちょっ、大丈夫?!タクミくんっ」

 横に慌てる美咲の肩にもたれるようにしなだれかかり俺は苦笑いを浮かべた。

「ちょっと、疲れた」

 ズキズキと痛む肩を手で押さえるとじんわりとした暖かさと共に血が流れる。

「ちょっと、ケガしてるじゃない!」

「タチバナっ!救急車!」

 周りの連中が顔を青白くさせて声を荒げるのを手を突き出して制す。

「……大丈夫です。これくらいならよくあることなんで。それより俺も何か食わせてください。お腹が空きすぎて……」

 実際、本当によくあることである。

 肉が削がれることなど日常茶飯事。

 沖縄では低級しか出くわすことはなかった為、油断していた。

 まさか第七位階の妖を三体同時に襲いかかってくるとは思っても見なかった。

 もちろん全て返り討ちにはしたが……。

「そ、それでもせめて止血しないとっ」

 美咲がお手拭きを俺の肩に当てて、ぎゅっと圧迫するように抑えつけた。

「……飯を……」

 テーブルに並ぶ色とりどりな寿司に手を伸ばし、俺はそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

「……腹減った……」

 空腹感に耐えかねて、目を覚ます。

「……おはよう……」

 目を開けると視界いっぱいに映る美咲の顔に俺は「おはよう」と言葉を返し、後頭部に感じる柔らかい感触に若干の驚きを感じつつ「いま、何時?」と彼女に問うた。

「深夜の1時よ」

 さわりと前髪を撫でる美咲の瞳はどこか揺れている。

「みんなは?」

 静寂が場を支配しており、目を動かして辺りを伺う。

 どうやらあの後、自室に運び込まれたらしい。

「みんな寝てるわ。美優さんが、膝枕して上げてって言ったきりみんなを連れて出て言ったから、もう寝てるんじゃないかしら」

 ぐっちょぶ。美優。

 脳内で彼女がしたり顔で微笑む姿が思い浮かんだ。

「邪魔なようなら膝枕やめるけど?」

 美咲の言葉に俺は首を横に振って「もう少し」と伝えて彼女の太ももに頬を当てて柔肌の感触を享受する。

 

「エッチなことしたら叩くからね」

 ペロリと舐めようとした瞬間に告げられた彼女の言葉に、俺は出していた舌を引っ込めて苦笑いを浮かべた。

「あ、手当してくれてありがとう」

 肩を圧迫するように巻かれた包帯に気付き、彼女に感謝を告げるも、どうやら手当したのはタチバナを始めとしたこのホテルの従業員らしい。

 流石に高校生だけではこうはいくまい。

 それほどまでには丁寧に巻かれた包帯だった。

「一応、ご飯は部屋に運んでもらったわ。食べる?」

 俺は首を横に振って「少しの間このままでいさせて」と返すと彼女はコクンと頷いた。

「……よくあることなの?」

 沈黙の後、美咲が俺の瞳を見つめながら問いかける。

「なにが?」

 俺の言葉に彼女が「それ……」と肩に優しく触れた。

「うん。まぁ生きてるだけ儲けものだね」

 生命の危機を感じる程の相手ではなかったにしろ、この程度のケガであれば精氣を纏うサムライからすれば1日、2日でキズは塞がる。

 現に、今は痛みを感じなくなり始めてきている頃なので恐らく皮膚の癒着が進み始めて来ている頃だろう。

「……ありがとね……」

 頭上から美咲がふとそんなことを宣い俺は首を傾げる。

「なんでありがとう?」

 彼女のスベスベな太ももに手を添えて指先でフェザータッチをしようとするもパチンっと甲を打たれた。

「あなたたち、退魔師の方々に救われる人は多いわ……きっと」

 そう言うと彼女は顔を見上げる。

「……でも君の弟さんは救われなかった……」

 俺の言葉に枕にした太ももがピクリと動いた。

「どんな妖怪にやられたの?」

 暫しの沈黙の後、彼女はぼそりと「ボロ布を被って前歯が突き出た男のような妖怪だったわ……」と言葉を吐いて続ける。

「そいつが急に家にやってきたの。

 律儀にインターホンを鳴らして」

 彼女の言葉で妖怪の正体に粗方目星をつける。

「私が応対した時にそいつは嗤ってお腹を殴りつけてきたの。うずくまる私を無視して、土足で家に入り、食事をしていた弟の頭を齧ったわ」

身体がプルプルと震え出し頬に彼女の涙がかかった。

「……ネズミ小僧か」

 位階は高くない。第7位階の人語を理解する妖の名。

 告げる俺に彼女は「えぇ。その後やってきた退魔師の人も同じことを言っていたわ」と答えて拳を強く握った。

 

 

 “ネズミ小僧“

 ヒトガタの怪異である。先の河童や、大天狗(弁慶)と同じ人語を理解するソレであるが、奴の場合、少しだけ異質だ。

 退魔師の臭いに聡く、駆けつけようとすると即座に姿をくらます。

 加えて種族として複数体は確認出来ていない。

 恐らくぬらりひょんのように、個体数は1だと言われている。

 希少性は高いが、退魔師が現れると即座に逃げるが故にカテゴリーは第七位階となっているわけだが……。

 

「タクミくん……」

 ふと美咲が俺の名前を呼んで顔を見つめる。

「ん?」

「怪異のいない世界。本当に作れると思う?」

 瞳に涙を蓄える彼女を見つめ返しながら俺はほほ笑む。

 

「作れるかじゃないよ。創るんだよ」

 禅問答のように返事を返す俺に彼女は「……そう」と答えて頷いた。

「ねずみ小僧も、ぬらりひょんも龍や、鬼もすべての妖をぜーんぶ俺が殺すよ」

 俺の言葉に彼女がうんうんと首を縦に振ると、いくつもの涙が顔にかかった。

「……無理はしないでね……」

 ふと告げられた彼女の言葉に俺は笑みだけを返した。

 

「それより、もうお腹が限界かな」

 ぎゅるるるるとタイミングよく腹が鳴ると彼女がほほ笑んだ。

「多分冷めてるわよ」

 彼女の太ももの感触に若干ながらの名残惜しさを感じつつ身を起こす。

「いいよ。時間も遅いしこのまま食べるから」

 ベッドから出て、食事が置かれたテーブルに向かい、イスに腰かけ手を合わせる。

「あ、そうだ。なんなら美咲が口移しで食べさせてくれる?」

 俺の軽口に彼女は「嫌よ」と短く返すが、その表情はいつもと違い柔らかい。

 

 「だよね」

 笑みを交わし合う、彼女と俺。

 以前のような剣呑さはなくなり、どこか暖かい雰囲気が漂っていた。

 

「俺は君のことが好き……なのかもしれない」

 冷めた天ぷらに手を伸ばしながらぼそりと呟く。

「急になによ」

 いまだベッドに座りこちらを見つめる彼女は目を見開いていた。

「でも、分からない。君の言う”愛”というのがどんなものなのか。いくら考えても、分からなくなってしまう」

 サーモンの寿司を口に運ぶと魚特有の甘さがじわっと口内に広がった。

「ルルさんや、ナナさん。恵先輩・クルミ先輩。そして美優先輩。

 他にもちなみや、碧理。君は知らないだろうけど碧理の姉の蒼佳。クラスメイトもみんな、大事……だとは思う」

 俺の言葉に美咲はただ押し黙っている。

「大事と思うのと好きだと思うこと。そこに愛があるのかということ……。明確な答えは全くないけれど……」

 

 ”みんなと同じように君も大事に思っているよ”

 

 俺の言葉に美咲がため息をついた後、ほほ笑んだ。

「とんでもない女たらしね」

「まぁ、俺だからね」

 大トロを口に運ぶと瞬時に泡のように溶けだした。

 

 彼女との関係がまた一歩前進したと思わずにはいられない手ごたえに俺は破顔しながら、料理を平らげる。

「というわけではさ」

 彼女をチラリと見つめると彼女は首を横に振った。

「エッチはしないわ。でも……フェラならしてあげる」

 その提案にどこか悲しさも覚えるも俺の顔は明るい。

「じゃあ、さっそくお願いしようかな」

 ごくりと水を飲み干して、俺は彼女のもとへ歩みよる。

 ぴくぴくと下半身が期待してか、大きく張りつめていくのを感じながら。

 

 

 

 

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