執行官(処刑担当官) 刑を執行する下人 謎が多い
長老 村一番の長老、村とともに生きる男
代官補佐 代官の補佐
夕方、代官屋敷の庭で事の顛末と今後の沙汰が言い渡されるとあって、
噂好きの町民が押し寄せていた。
言い渡しの刻限となり、庭中央の茣蓙に引っ立てられる辰巳の姿を見て衝撃を覚える町民。
一般的な捕縄はもちろん、猿轡と目隠しを着けられていたのだ。
「まず、今回の騒動の発端は。腹を空かせている辰巳に、男が食べ歩きをしているところを襲撃し、男の食べ物を強奪した際、
男の利き手の親指を噛み千切った」
代官が気だるげに捏造された顛末を読み上げていく
町民の反応も二分した
普段親しくしている辰巳が、その様な凶行に及んだという話に
驚きを隠せないとざわめきだす者。
人間モドキを排斥するべきと騒ぎ出す者。
構わず続ける
「とても身勝手な行動にて、前途ある人間の未来に、影を落としたその暴挙許しがたく、
辰巳を鋸挽きの刑とする、開始の刻限は翌日明朝、刻限までは町内引き回し、以上」
捏造された成行きにひとしきり、
騒然とした町民たちが、ばらばらと帰っていく中、男はほくそ笑んでいた。
「雑魚が、素直に抱かせていればこんな目にはあんなかっただろうに……」
そう宵闇の中呟いた。
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宵五つの頃、町内を引く馬にまたがる辰巳。
「おい、人間モドキ、
お前のせいでこの俺が、終業の鐘の後も残ってお前の処刑準備をしなければならないって事分かってんだろうな?」
引き回しが始まってから、既に四回は聞いた、処刑担当官の台詞に辰巳は思ってもないことを言う
「ああ、申し訳ないと思ってるのじゃ……」
真実を訴えても、泣きついても噛みついても
暴力で黙らさせられるので、ほかに言うことは無かった。
「素直になったな……良い事だ。まぁ、明朝までにはちょうどいい鋸を調達してやるよ」
担当官はそういうと辰巳の容姿を一瞥し、舌なめずりする。
「岩が降っても折れることのない
鉄よりも固く木材よりも軽いと言われる
人間モドキが本物の象徴》と言う角も、
凡百の鋸の前に膨大な時間を掛けれさえすれば凡夫でも切断できる、いずれ人間モドキ自体を滅ぼすへ道具すら生み出されるだろうな」
カカカッと笑う担当官
「なぜ我を、我らを、そこまで嫌う?」
「逆に問おう、人間モドキ----
民を動かす一番の大義名分とは何だと思う?」
質問の真意がわからない、素直に答えても問題ないだろう
「……食料と身の安全か?」
うすら笑いをする担当官
「半分近くて、半分誤りだ、答えは恐怖と・怒り。恐怖で民を縛り、抑えつけて、怒りで動かすのさ」
「そんな世が長続きするとは思えないのだが」
「するともさ、そのためには生きた火種……、贄が必要……」
「それにお前が選ばれた」
背筋に冷たいものが走る
「そんな……そんな下らん陰謀のためにこの我を罰するというのか!?」
「うるせえよ、黙れ」
鞭でたたかれる
「おぐっ……!!」
「こっちも民の米で飯食ってんだ、贄にもならねぇって言うなら、ばらして飯にしてやっても良いんだぞ?嫌だろ?」
「ひっ……」
「そろそろ最後の集落だな」
月明かりに照らされる数人の影が見える
「「へっへっへ……」」
「ここは荒くれ者の多いところだ」
「辰巳ちゃん……だっけ?可愛いねぇ」
おもむろに石を取る男衆
「可愛い女の子に石を投げるのは楽しいんだぁ」
「痛っ……!!」
「良いねぇその表情、もっと見せてよっと!!」
「ふぎゃっ!!やっ止めるのじゃ!!」
「なぁ、お代官様ぁ?棒は?」
男達が尋ねる。
「チッ……まぁ馬に当てなければ、いいだろう……」
「ありがとうございますぅ」
おもむろに棒を振るう
「オラ!!極悪人が!!」
風を切る音がした。
「っがああぁぁ!!」
激痛に悶える辰巳。馬を足でけりつけ振り落とされる
「んぎゃっ!」
馬は、手綱をつかんでいる担当官ごと引きずって
走り出す
「おいおいおい……!!落ち着け、落ち着け……!!。お前ら戻ったら
ただじゃ済まさないからな!!」
担当官を引きずった馬は山へと駆け抜けていく
「ははは、一人になっちゃったねぇ辰巳ちゃん」
「ち……近寄るな!!」
「非道いなぁ、辰巳ちゃんさぁ……」
「俺たちの傷ついた心、責任取ってくれよ」
騒ぎを聞きつけて、家屋の中の住民も集まってきた。
「おいおい……なんだこの騒ぎは……」
「物騒だな……止めなくていいのか……?」
戸惑う住民たち
「こいつはなぁ……人間を襲って、手を噛みぢきった極悪なバケモンだぞ!!」
男達の一人が声高に喧伝する
「ちがう……違うのじゃ……」
血と涙でドロドロになった顔を横に振る辰巳。
「……とにかく、今後、俺たちに牙をむかないよう、叩き潰しておかないとなぁ……!!」
男達が石を投げる、徐々に石の勢いが増してくる。
「……や、やめる……のじゃ……」
「これも食らいやがれぇ、バケモノォッ!!」
屈強な男が、辰巳の顔よりも大きな石を投げる。
「やめ……んぎぅっっ!!!!」
背後から、首に石を投げつけられたことで
意識が遠のく
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「起きろ、人間モドキ」
頬を叩かれて目覚める。
「酷い顔だな……川で顔を洗ってやるから
降りろ……」
担当官が、顔を拭う
「うわ、血やら泥やらが落ちると痣がすごいな……白塗りと頬紅で誤魔化せるか……?」
「……?」
声にならないうめき声しか出ない
「喉も潰されてるのか、派手にやられたな」
担当官の懐から出された、とても苦く臭い粉を飲まされる
「……っげ……!!っげぇえええ!!!!」
たまらず、戻す。
「っま、不味い!!不味いのじゃ!!」
「荒療治だがこれで大抵何とかなる」
「毒、毒なのか!!??」
「騒ぐな、落ち着け。ワサビと山椒と……で作った、万能薬だ。」
一体何を使ったのか尋ねようと思う間もなく
思考は彼方に飛び去った
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……身体が、灼ける……熱い、暗い
「これより、鋸挽きの刑の執行を始める!!」
……まわりが、とても煩い。地面がない、浮いている?気持ち良いような悪いような
「処刑具の枷を着けろ」
「んっだぁあああああああ!!」
急に地面に叩きつけられて、うめき声が出た
「角は最初に切り落とした者にくれてやる!!
都で十石はくだらないぞ!!」
地面が揺れる
「鋸を寄越せ!!」「斧でもいいのか!!??」
「顔を見ながらやろうぜ!!こういうのは
そうしたほうが味がある!!」
急に空が割れた、眩しい!!目が痛い!!!!
「んぁ!!」
「ほう、結構いい面してるじゃねえか……
これは角が無いほうが見た目もいいかもな」
いたい、頭を割られているようだ……
「ぐ……や、やめろ……人間……あああああ……」
「愛らしくしてやってるのに、やめろは無いだろ」
斧が振り下ろされる
「ぐああああああああああああああああ!!」
「全然切れないし、傷も入らないな……」
「あ゛あ゛あああああああああ!!!!」
絶叫は終業の金がなるまでの間、
村中に響いた
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その日の晩
「どうして?」
赤い涙を流し、爛々とした瞳で睨み付けてくる昼間の竜人
「俺にも家族がいるんだ……十石とは言わない一石もあれば、食わせてやれる……」
「ユルサナイ、お前も家族もみんな殺してやる……」ゆらゆら近づいてくる
「なんで俺だけ……?」
答えない
「や……やめてくれ近づかないでくれ……」
にやりと笑う竜人
「やめろ!!」
飛び起きる村男
「……夢かよ……」
周りを見渡して呟く
翌日、血を吐いて頭から血を流して
冷たくなっている人間が十数人出て
村は恐怖で混乱に陥った。
「これは、竜人の魂である角を人の手で切り落とすなどという禁忌を犯した我らへの、
辰巳の始祖による祟りじゃ」
村の長老は言う
「なぜこのような愚行を……
直ちに、辰巳を開放して清めの儀を執り行わなければこの村は……」
民衆がつめかけたことで、代官による
辰巳の沙汰は取り消され、急遽解放された
二話目出ましたね
紆余曲折ありましたが、
なんとかプロット通りに進んでおります
罪が取り消され
解放されても今までのことがなかったことになる
なんて甘い世界も無く……
次回のただ絶も
タツミ、絶望、オレ、ヒイコラ、オマエ、マンゾク
となるよう精進・努力します
竜族と人間族の過去の因縁とかもそろそろ書いてみたいですね
ぢっと機を待つ
では!