「先生…。気を悪くしないでくださいね。あの子のことを心配している人、何人かいるんですよ…。」
「………私は…ピノコに対して…警察とお話しするような事は……何も……。」
「…そうは言ってもねぇ……。手遅れな事が起きてからじゃあ遅いからね。」
「…………………………。」
「癇癪持ちで幼稚園を飛び出した事があるのか……。養護施設で暮らすのは厳しいかな……?。」
「…そっ…そうだ………。ピノコに集団生活なんて、とんでもない……。」
「……じゃあ、ピノコちゃんの双子のお姉さん?。その女性の実家に連絡を取るしか……。」
「…!?。……待ってくれ。それはやめてくれ……ピノコの姉とピノコは……嫌い合っているんだ……。とても一緒に暮らせるとは……。」
「でもピノコちゃんが白血病になった時は治療のためにそのお姉さん来てくれたんでしょ?。そんなに冷たい人じゃないよね。」
「………それは…………。」
「それに…ピノコちゃんの本当のお父さんとお母さん、ピノコちゃんの事何も知らない可能性があるんでしょう?。事情を話したら引き取って貰えるかも…………。」
「………やめてくれ!!。」
「先生……。何でそんなにあの子に執着しているの……?。おかしいよ……血の繋がってない、あんなからだの小さな子に。」
「………………………………………。」
「…先生だってもう良い歳なんだから……お嫁さん貰うこととか、考えないの…?。あの子と一緒に暮らしていたら結婚するの、難しいよね…。」
「…………………………………。」
「とにかく、ピノコちゃんのお姉さんと一緒に先生の元に現れた可仁先生?。…そのお医者さんを警察の方で探してみるよ……。」
「……駄目だっ……!。…やめてくれ……。ピノコは……私と…………。」
「…先生……やっぱり………あんた…………。」
「……………………………。」
「……悪く思わないでくれ…………。ピノコちゃんは先生の家にはもう帰す事はできない。」
「…………………そん…な…………。」
「さっきも言ったでしょう。心配している人がいっぱい居るんだって……。先生も心配されているんですよ…。」
「…私の……心配……?」
「……性的虐待が明るみに出たら……もう医者の仕事できなくなるでしょう……?」
淡々とした警察官のこの言葉を聞いた途端、私の頭の中は真っ白になってしまった……。
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「……っ…!?。」
酷い悪夢を見た……。
気がつくと私は自宅の机にうつ伏していた。
(……夢…?。)
私とピノコが一緒に暮らしていることが、倫理に反していると警察が動く夢…。
(…性的…虐待……。)
……おぞましい言葉……。
「……先生…?。」
廊下からピノコが現れた。
「……ピノコ……。」
「…ずいぶんうなしゃれてたけろ……。大丈夫??」
「…そうか…うなされてたか……。ちょっと怖い夢をみてな……。」
「……怖い…夢?。」
「……情けないだろう……?。」
「…………………………。」
「…………………………。」
「…先生……。もう…ベッドで休んだら……?。」
「……ああ…。そうす…………」
言いかけて、私は先ほど見た夢の内容を思い出す。
「…今日はソファーで寝る。」
「…へ……なんれ……?。」
「…理由なんでなんでもいい……。とにかく私はソファーで寝るんだ…。」
「…………………………。」
悪夢の事を思うと、もうピノコと一緒の寝室では寝たくない。しかし、彼女にどう説明して良いかわからない……。
「布団と枕を取ってくる……。」
「…………………………。」
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とりあえずソファーに枕と布団をセッティングし、私は一息ついた。
「これで大丈夫そうだ…。」
「先生…。明日もここれ寝うの…?。」
「いいや…。明日になったら私のベッドを別の部屋に移す。寝室を分けよう…。」
「!?。…どうちて…?。」
「どうしてって…。お前さんはもう生まれてしばらく経ったのだから…、もう1人で寝るのに問題ないだろう…。」
「………………………………。」
「それに…私も…1人で寝た方が落ち着く……。」
「……………うちょよ………。」
「……ピノコ……?。」
「…先生……。寝つきは凄くいいじゃない。1人の方が落ち着くなんれうちょよ……。」
「……………。」
「…先生…何かあっらの……?。」
「……言いたくない……。」
「何で言ってくえないの…?。ピノコ……先生のおくたん……なのに……。」
「……もう……それ……やめてくれ……!。」
「……!!?。」
「…………………………。」
「……先生………ピノコのこと……きらいになったの……?。」
「……そうじゃないんだ………。」
「……………………。」
彼女にきちんと説明するため、私は一旦呼吸を整えた。
「ピノコ………。お前が私のことが好きだとか…奥さんだとか言うのは…そう思わないと、この生活が辛くなるからだろう……。」
「……!!……どういう……いみ……。」
「こんな暗くてつまらない男と2人で暮らすなんて……。好きだと思い込まないと耐えれないんだろう………。」
「…………!!?。」
「…だから私は……お前さんが自分のことを奥さんと言うのをやめさせなかったんだ……。本当はお前さんとは親子のような関係になれたら良いと最初は思っていたのだが……私とピノコは全く似ていないし……強制するのも良くないと判断した…。」
「………………。」
「…私の奥さんだなんて……最初の頃は生まれたてのくせに何を生意気な事を言うんだと思ったが…私はそれを…嬉しいと思いはじめてしまった……。」
「…!。」
「……しかし良識のある大人として…こどもに恋心を抱かれて喜んじゃいけないんだ……だから…奥さんなんて…もう言わないでくれ…お願いだ…。」
「………………………………………………。」
「………もう寝よう……。寝室に行くんだピノコ……。」
「……嫌よ……。まだおはなち、おわってない………。」
「……もう話すことなんて何もない………。」
「……ピノコにわあるのよ……。」
「…ききたくない……。」
「…先生……。」
「……………………。」
「……わかった……。おやすみなちゃい先生……。」
「…………………。」
そう言ってピノコは部屋から出て行ってくれた……。
+++++++++++++++++++++++++++++++++
……………。
眠れない………。
……………。
ピノコにあんな話をして、本当によかったのだろうか……。
明日の朝、今まで通りにピノコは私に対して接してくれるのだろうか…。
……そんな事を考えていると、部屋のドアが開く音が聞こえてきた。
(……ピノコか…………?。)
「…先生……。起きてゆ……?。」
(……………………………。)
彼女には悪いが、寝たふりをすることにする。
「……先生………。」
(……………………………。)
「…………先生……。ピノコね、図書館に行って大人のひとのからだについて調べたことがあゆんだよ……。」
(……………………………。)
「先生は大人で男の人だから………その……女の人のからだに触りたくなったり……するよね……。」
いったいどんな本を読んだんだ……。
「…ピノコは先生が好きらから……。浮気して欲しくなかったけお………。」
(……………………………。)
「…本当は………。ピノコの見てないとこおで…先生にはからだを触ったりする関係の女の人が…いるかも…しれないと思ったけお……こわくて…確かめれなくて………。」
(……………………………。)
「…先生……。ピノコのこのからだでよかったら、先生の好きなよおに……。」
「…駄目だピノコ……。二度とそんな事は言うな。」
「!!?。……先生……。」
狸寝入りをやめ、私はからだを起こす。
「…先生……。ピノコわ中身は大人なのよ……子どもとして扱わなくちぇもかまわないでちょ……。」
「…だめだ……。」
「……誰にも言わないかや……。ねえ……絶対に誰にも言わないって約束すゆかや……。」
「……だめなんだ……。」
「ピノコは秘密は守れないっていゆの……?。」
「……そうじゃない!。…問題はそれだけじゃあないんだ……。」
「………………な…に…?。……先生の言ゆ問題って…なに?」
「………………………。」
言うしかないのか……。覚悟を決めて私は口を開いた。
「…ピノコ………お前さんのからだは私がつくった。だから私は…知っているんだ……。」
「…何お……?。」
「ピノコのからだは………快楽を感じない………。」
「…………………。」
「……皮膚のほとんどが人工皮膚なんだ…しょうがないんだ…。」
「…全然問題ないやない……。」
「…!。…お前さん何言って……。」
「……先生は…。どうなの……?。快楽を感じるからだらの……?」
「……私?……そうだ……。快楽を感じるからだだ……。」
「じゃあ。なんにも問題ないわ……。」
「…なんでだ…!!。」
「…先生を気持ち良くできゆんだったら…ピノコにとって全然問題ないわ。」
「……そんな訳あるか!。」
「何れ……?。」
「快楽を感じない触れあいなんて……苦しいだけだ…。」
「…快楽を感じなかったって、先生と触れ合ええばピノコ幸せよ……。」
「…それでも駄目だ…。元の関係に戻れなくなる…。」
「……先生……。」
「私は快楽なんて要らないし、今の生活をかえなくない……!。」
きっぱりと、私は言い放った。
「さっき見た悪い夢の内容…教えてやろうか……?。」
「……聞かちぇて………。」
「私とピノコが2人で暮らすのは悪い事だと、警察が来てお前さんが連れていかれる夢だよ……。」
「………………………。」
「ピノコを施設へ入れるか、ピノコをあの双子の姉の家に引き取って貰うって言われて……私は狼狽えるんだ……。」
「………………………。」
「大の大人である私が…こんな夢であんなにうなされるんだ……!。…秘密なんて……抱えられない……。」
「…一緒に…かかえゆわ……。」
「…よせ……。」
「……先生があんなにうなされるほど怖がっていることだもの………ピノコ絶対…秘密守ゆ……。」
「………………………………。」
「……先生……ピノコのこと……ちゅき……?。」
「……考えた事も……ない……。」
「………先生……。」
「…………………………………………。」
「……ひどいわ………こたえてよ……。」
「無理だ……すまん………。」
「…………………………。」
「…………………………。」
「………先生……ピノコにキチュされるの…しゅき…?。」
「……!。…それは…………。」
「…………ちゃんとこたえて……。ピノコにキチュされるの…しゅき?。」
「………………………。」
ピノコにキスされるのは好きじゃない………。そう言わなきゃいけないと理性ではわかっている。
だけど、どうしても…口が動かない。
なぜなら……私はピノコにキスされるのが……大好きだから。
「……先生………。」
ピノコがソファーに近づき、私の頬に触れようとする。
「…まて……。」
「…いやよ……。先生ひどいぢゃない……。ピノコのことちゅきって言ってくれないのにキチュされるのはちゅきなんて……。」
「…………………。」
「………先生……。ピノコが…先生以外の人にキチュするのは……やだ…?」
「…昔公園で男の子とキスしてただろお前さん……。あの時はお前たち2人を私は応援してたんだんだぞ……。」
「…しょんなこともあったけろ!。今はどうなの……?。ピノコが先生以外の人とキチュしても平気やの!?。」
「…へ…いき……。」
「…本当……ピノコが他の人をちゅきになって…キチュしても平気……?」
「……へ………い…………」
「…先生平気なら…本当にピノコ他にちゅきになれう人探すかあね。……そしてもちも……両想いに、なえたら……この家を出て…ちゅきな人といっちょに暮らちたいわ……。」
「………………………。」
「…ねえ……そうちても……いい…?。」
「……………いや……だ……。」
「…え………。」
「……………………。」
「……先生……。」
……小さく漏れてしまった私の本音を、彼女は聞き逃さなかったようだ。
「先生…。」
「……………。」
「…どうしても……ピノコがちゅきかどうか、教えてくえないの……?」
「………………………。」
「…ピノコが……セックスできないからだらから…………ちゅきになりらくないの……?。」
「…!。そんなこと……。」
「……それなら……そうゆってくえれば……あきらめらえゆ……。」
「………………………。」
拒まなければいけないと…理性ではわかっている。
だが……彼女を愛おしいと思う本心にもう嘘はつけない……。
「ピノコ……。」
「…なあに……。」
「……あいしてる………。」
「……!!!?。」
ああ……言ってしまった……。
「……先生………。」
「……愛してる。ずっと私と一緒に……暮らして欲しい。」
……思わずプロポーズのような言葉を吐いてしまった。
ピノコは結婚に憧れているのに、ムードもなく指輪も用意してないのに、こんな事を言ってしまった。
「……先生………!。」
「……すまん……。結婚指輪……用意してないんだが……。」
「……結婚指輪……なんていやないでちょ………。私達の事は秘密にしなきゃなやないんだかや……。」
「………指輪じゃなくても……代わりのアクセサリーを何か……いずれ用意するから……。」
「そんなの…いやない…いやないから……………。」
「………………………。」
「…ピノコも……あいちてます………ずっと……ピノコといっちょに……暮らしてくだちゃい………。」
「………………ピノコ………。」
「……先生………。」
私は駄目な大人だ………。彼女を私の罪深い感情に巻き込んでしまった…。
どうか………罰が当たるならピノコではなく私1人に当たりますように。
end