※この作品はR-18です。

敵幹部でも主人公見たらテンションあがる…やらかし   作:苦味100%(後悔)

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酒の夜/1

 蘭善の1区には遊びがない。

 この国の中央(セントラル)に住む人々は口々にそう言う。

 だから1区の人々は、歓楽地である4区に集う。

 

 4区には数多くの娯楽が集っている。書店、ゲームショップ、アパレルと言った基本的なものから、テーマパークやカジノといっものまで、とにかくその内容は豊富だ。

 同時に、その内容に制限はない。

 だが区内を細分化し年齢層ごとに入場出来る場を制限することで、一定の風紀と秩序は守られている。

 

「いや、いやいやいや」

 

 此処はその4区にある施設の一つ。

 ムーディな曲。甘い雰囲気だがどこか寂しげなもの。

 そして音楽に合わせた暖色の照明。

 部屋に置かれた調度品は、その雰囲気に合わせてからアンティークなものが多かった。

 

 部屋にはアロマが焚かれている。

 淡く、甘い香りが程よく頭を麻痺させてくる。匂いを脳に届かせれば、ある種の実感を想起させ、心臓の音を早めるだろう。

 …極め付けは大きなベッド。花びらが散らされた、本来ならば体を休めるためのそれ。

 だがこの場において、それは耽溺の場。睦言を紡ぐための、或いは嬌声を愛でる褥。

 

「…」

 

 とどのつまり、連れ込み宿(ラブホテル)だ。

 気がつけばそこにいた、完全に酔っている青褪めた髪を持つ少年───ブラス・リッターはぼんやりとしている。

 彼の記憶の限りでは、今日飲んだ相手であるフジワラ・アマネを宿に送ろうとした筈なのだが。

 

 そう思って、彼はアマネの方を見た。

 緑のショートヘア。同じ色の瞳。ブラスと同じ様な黒色を基調としたスーツを着ている彼女も、完全に酔っ払っているのか、顔を真っ赤にさせてヘラヘラと笑っていた。

 

「…来ちゃったねぇ」

「………来ちゃった」

 

 半ば呆然としている少年に、少女はしなだれかかる。

 体温はひどく高い。酒が回っているから、当然と言えば当然の話。だが、この場においての体の熱は、他の意味もあることを2人は知っていた。

 …ブラスは何もしない。耐えているのか、迷っているのか。ベッドの上で、座ったまま。

 

 女はそれがつまらないと思ったのか、猫の様にそっぽを向いた。けれど、体は依然として密着したままで、離れるつもりは無いらしい。

 

「…なんだよ、いまさら紳士ぶっちゃって」

「……俺、そんな遊び人に見える?」

「…一緒に休みたいって言ったら、ちゃんと意味が通じちゃうのが少し気になっただけ」

 

 背中合わせ、乾いた音が聞こえる。

 カリカリ、カリカリと。爪と紙の箱が擦れる音。

 …言うまでもなくゴムだ。あらかじめ部屋に用意されていたそれを、手慰みにいじる。

 

「どうだろう、本当に休むだけかも」

「……意気地なし」

 

 そこまで言って、お互いに笑った。

 ───かと思えば、女の方が目の色を変える。

 ネクタイをほどき、ジャケットとシャツのボタンを外していく。布ずれの音、金具の音、肌と布が擦れる音。

 

 スーツを脱ぎ去った女の肢体(からだ)は、彼女の口調とは違ってひどく女性的だ。しっかりと膨らんだ胸、丸みを帯びた体格。男性的な身体特徴は皆無だ。

 これも、ある種の恵まれた体格。

 胸の大きさ故に、悩む服もないだろう。

 

 彼女の白い肌とくびれた身体には、ボタニカルな装飾があしらわれた黒い下着が映えていた。

 彼女はそのまま、背中を合わせていた少年を押し倒す。

 

 ようやく女を見た男は、顔の赤を濃くする。

 

「……音で興奮しちゃった?」

「それよりも何で脱いでるんだよ…!」

「だって」

 

 熱いから、そう言って女は己の下腹部に手を添えた。恥じらう様に顔を逸らし、涙で瞳を浸しながら。

 どくん、と一際大きな鼓動が互いに響く。

 扇状的で、背徳的なそれに、ぞわりと獣欲が掻き立てられるのは当然の話。

 それでも男は踏ん切りがつかない様だった。

 

「…だからって脱ぐなよ…」

「キミも脱ぐんだよおっ!!」

「バカ暑いからってんなこと…!」

 

 ムキになったように、女が男の服を剥ぐ。

 酔いの回りは男の方が深刻なのか、なすすべも無く男はスーツを脱がされ捨てられる。

 薄らと肋骨が浮き、鎖骨がはっきりと分かる身体。スラリとした体躯に───既に仕上がった屹立した雄。

 

 女はそれを見て、満足そうな顔をする。

 そして男に覆い被さる様になり、彼の鎖骨に唇を落とす。吸い付く様に、二度三度。

 …キスの場所には意味があるらしいが、男はその場所へのキスが意味するところを知らない。

 

 でも、次のキスの意味はいやでもわかった。

 唇と唇、いやその先。舌と舌を絡める行為。擬似的な意味も含んだ粘膜同士の接触。

 

「んっ…ちゅ、む……」

「……ぅ……」

「ふ、はぁ……」

「…………」

 

 深く口付け合う。もう否定や誤魔化しの言葉は紡げない。その為の器官は、既に互いの唾液を交換しあい、貪る様なそれに使われている。

 息継ぎの合間に漏れ出る吐息はひどく甘く、官能的な響きを持っていた。

 

「んー……ふふっ…!」

 

 女は心底嬉しそうに、更に体を密着させる。

 汗ばんだ肌と肌が、互いを求めるように重なる。

 

 そして、男の体が唐突に跳ねる。彼の目は、驚きながらも恨めしそうに女を見ている。

 女の方は悪戯が成功したと言わんばかりに、不敵に笑っていて───そのまま、左手で男の雄を布越しに、愛でる様に撫でていた。

 

「……っ……おまっ……!」

「ずー……っとこっちはやる気満々だけど…すごく熱い…あはっ、また跳ねた…!」

「く、う……」

 

 女の手つきはひどく淫靡だ。

 指先で円を描くようにして、ゆっくりと。焦らす様なそれは、快楽を拒もうとする少年にとってあまりに苛烈で、思わず声を上げてしまう程。

 

「ね、いいよね?

 キミのコレ、こんなになってるもん」

「……そ、れは……お前も一緒じゃねえか……!」

「うん、そうだよ……ボクも同じ……ほら、わかる?」

 

 ブラスの足に、アマネの足が絡む。彼は太腿に濡れて、しかし熱い下着が当たっていることを理解する。

 …女の身体。愛しい人の熱を迎え入れたいと涙を流す、肉の入り口。それを覆う、薄く確かな布。

 

 …男は観念する様に、女の顔を見る。

 瞳は潤んでなんていない。蕩けている。小刻みに荒く息を吐く唇とは震えて、疼く様に身体は時折震えていた。

 ねだる様に、下着越しに、男の足を借りて女は自分を慰める。

 濡れた布と皮膚が微かに擦れて、その感覚が男に伝う。

 

「…お酒で熱くなってるから、…絶対気持ちいいよ?」

「………ぁ」

 

 ぷつん、と男の中で何かが切れた。

 理性と言う名の縛鎖は此処でおしまい。女の痴態によって断ちきられたそれは、もう何の役にも立たない。

 男はガバリと体を起こしては、女を押し倒し返す。

 

「えっ……ちょっ、…と…!」

 

 唐突なことに驚いたのか、女は目を見開いて男を見た。

 …体格は僅かに男の方が大きい。まるでケダモノに捕食されるような、そんな気分。

 

 興奮と、恐怖。

 求めたくせに、いざとなれば躊躇して、瞳孔が開く。

 涙と熱に溺れた緑の瞳は、限りなく淫らな翡翠だ。

 男は、それにキスをする。

 女は怯えた様に、びくりと震えた。

 

「……止め、なんて無しだ」

 

 怯える女に、男が囁く。彼は左手で女の両手首を掴み、支配する様に見下ろす。

 投げ出されていたゴムの箱を乱雑に開け、そのまま焦る様に付けた。

 そして右手で彼女の下着を剥ぎ取り、男は己の欲望を、濡れて蠢くそれにあてがった。

 

「……ひっ……! 待って、まだ……!」

「先に押し倒したのは誰だよ。

 散々迫ったんだ、こっちが責めても良いだろ」

「それは…! …そう、だけどぉ…!」

 

 男の目はひどく鋭い。ギラついた、雄の目。狙った女をもう逃す気はないと、瞳が雄弁に語っていた。

 女は抵抗しようと身を捩るが、力で勝てるはずもなく、ただ徒労に終わる。

 そして、男は腰を沈めた。

 

「ひぅ……!」

「っ……!」

 

 悲鳴ともつかない、女の声。

 痛いほど強く締め付ける入り口。侵入を恐れる様な、あるいは歓迎するかのような矛盾した動き。

 熱と水気を帯びた肉の壁が、男のそれを包む様に吸い付く。媚びる様に、すがる様に。

 

 ───快楽に、犯されたように。

 

「〜〜〜〜〜ッ!!」

「…ははっ、これ、凄え響く」

 

 支配者が変わる。快楽を与えて、乱す立場が変わる。ブラスは跳ねる様に達したアマネを見て、心の中でゾクゾクと沸き立つ何かを感じていた。

 …水音と、肌が打つかる音が始まった。

 女はもがくが、両手は押さえつけられ、覆い被されて満足に腰も動かせない。

 

「ぁ…、だめ…ぇ!やぁ、ぁ……ッ!」

 

 逃せない快楽が溜まっていく。その都度に爆ぜていく。なのに身体が震えるばかりで、一方的に責めたてられて、教え込まれるように奥を擦られて、快楽に壊されていく。

 泡立つ接合部。きゅうきゅうと、甘える様に肉壁は雄を締め付け、餌を与えられた獣欲は熱を帯びたまま衰えを知らない。

 

 ごちゅ、どちゅと重たい粘液と肉の音。

 一人の女が男の手で入念に滅茶苦茶にされる退廃の音。

 女は抗う術もなく何度も快の海に沈められる。

 

「あ゛ああぁっ…!ゃ、あ゛あっ…や゛っ!!」

 

 首を横に振られても止まらない。女の口から出るのは拒絶の言葉ばかりだが、体はもっと欲しいとばかりに絡みつく。

 男は女の両手を自由にする。その代わり、男の手は女の下腹部に置かれた。それを見た女は、目を見開いて、弱々しい力で男の手首を掴もうとする。

 

「まっ…へ…それ、だめ…!それぜったいだめだ…!」

「……っ!」

 

 抵抗はひどく虚しく、意味がない。

 男は笑って、ぐっと力を込めた。

 

「ぃ、ぎ…ぃ…!?」

 

 ぐっと、腹の奥を押される感覚。

 鈍く緩やかな圧。しかし確実に押し潰される感覚に、女は背筋を震わせながら絶頂を迎えた。

 同時に理解する。自分の体が、どうしようも出来ないほど深くまで、男のものを飲み込んでいることを。

 

「ぁ……ぉ…ほ…っ…ぁ…!」

 

 身体がガクガクと震え、声にならない声をあげる。

 それでもなお、男の動きは止まらない。

 女が悶えるほどに、男はその動きをより強くする。

 まるで、その様が見たいと言うかのように。

 

「や ぁ ぁ……!うごくの、まってよ……!いまイって、んっ……あ゛あぁっ゛…!」

「知るかよ」

 

 女は涙を流し、懇願するが、男はそれを一蹴して、また責め立てる。

 女は男の体の下で身悶え、その度に胸が大きく揺れる。

 

 男は更に体を倒した。女の耳がすぐ横に来るほど。逃げ出す術のない体位。そしてそのまま、女の耳側で〝アマネ〟と優しい声で名前を囁いて、キスをした。

 変化は劇的だった。

 

「~~~ッッ!!?」

 

 びくん、と大きく震えた。

 女は今までにない程、激しく痙攣し、声にもならない叫びにも似た喘ぎを上げ、涙を零した。

 そして、秘部から潮を吹く。同時に、自由になった手が、男の首後ろに回される。

 

「あ ぁ ぁ ぁ ぁ……!」

「……可愛い」

「だめ……!みみ、しゃべらな……ひぅ……!」

 

 離れないでと、懇願する様に頭を抱く彼女は今なお達した感覚に浸されている。

 男はそれを知っていながら、ゆっくりと口を開く。

 

 同時に、男の腰が構える様に位置を変えた。

 ぐちゃ、と水の音がすると同時、女の体も微かに震えて、彼女自身も身構える。

 

「…一旦おしまいにしよう、俺も限界…かなり動くよ」

「───…! まっ、…まって、だめ…だ…」

「待たない…待てるかよ…!こっちだって、こわれそうなんだから…!」

「ひぁあ……!!」

 

 ずるりと引き抜かれる、熱くて大きなモノ。

 入り口が捲れて、ヒダ一つ一つに引っかかり、快楽が走る。

 そして、一気に最奥を突かれた。

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

 一瞬にして、意識が弾ける。

 視界が真っ白に染まる。全身の神経が焼き切れたような錯覚さえ覚えた。

 そんな状態にも関わらず、男の動きは止まらない。むしろ激しさを増していく。

 

「ぁ、ぁぁぁ……!や、だめ……!だめぇぇ! やぁぁ…!まっ…!いっ…!やめ、あ゛ぁっ…!おかじぐな゛る゛ッッ…むり、だからあ゛…ッんんッ…!?っきっ…あァうぅ゛う゛ッ!!」

 

 何度も何度も責め立てられる。快楽を無理くりにでも飲み込ませられる。

 …歌声を紡ぐ為の喉は、今や一人の男によって、壊されんばかりに鳴かされていた。

 

「おねがぃぃ…ぃ! もうむりっ…!もうむりっ!!…イっ…!へるからっ、ずっとイぅからぁぁああぁァアアッ…!!!」

 

 男は一言足りとも返さない。

 ばちゅんと重い粘液の音。

 強い衝撃と共に、女は再び果てた。

 男の欲望を全て受け入れて、悦びに打ち震えるように体を震わせて、体の奥で薄い膜越しに粘度のある熱を吐き出されていく感覚を覚える。

 

「あ゛ぁ゛っ、ぁ"…やぁ…!~~ッ!!」

 

 ひゅ、ひゅ、と喉笛が鳴る。何度も果てた女の体は、何もせずとも震えた。

 男はそんな彼女の体に溺れる様に沈んでいる。

 

 そうして、どれ程時間が経ったか。

 男はゆっくりと起き上がる。同時に、奥深く突き刺さっていた剛直は、惜しまれながらも蜜壺から引き抜かれた。

 

 瞬間、女の体は余韻に震える。びくん、と震えたと同時に潮を散らした。

 腰は今も微かに震えており、肉の口は、はくはくと無くなったものを食んでいる。

 

「……やっ…ばぁ……♡」

「…あんま見ないでよ」

 

 呆然とした女の声。それは、男の雄を覆っていた膜に溜まった白濁の量を見て。

 男は恥じ入るように、その膜の口を縛って早々にゴミ箱へ入れた。

 

 同時に、ベッドに転がっていたゴムの箱を手に取り、もう一枚ゴムを出す。

 女はそれを見て、目を剥く。

 そして何か言おうと口を開いたが、それよりも早く男がその唇をキスで塞いだ。

 

「……ふぁ……ゃ、ぅ…」

 

 抵抗はない。あるはずもない。

 舌と唾液を交換し合いながら、お互い夢中で求め合う。

 暫くして、口が銀の糸を伸ばして離れていく。

 …女は多幸感に満ちた顔で、この場にそぐわないほど穏やかな笑みを見せた。

 

 これは、酔った二人の話。頭が痛むほど酒に溺れて、のちに無くしてから思い出す記憶。

 …まあ思い出した結果、二人とも希死念慮まっしぐらになるのだが、それはまた別の話だ。

 

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