性欲が秩序を上回った世界でTSしたオレとインポ疑惑のイケメン 作:ぶるきえ
パーソナルスペースとは、他人との距離で近づかれると不快に思う空間のことである。その距離は、概ね親密さに依存すると考えることができる。
セイジは女になる前から、パーソナルスペースが狭かった。女になって以降もそれは変わらない。ただ、現れる男達が悉くセイジを犯そうとするせいで、常に警戒する必要があっただけである。
そんなセイジは今、アズマという男と同じ屋根の下で生活をしている。時が過ぎて行く中で、セイジはアズマを信頼できる相手であると認識した。女となって以降、その様な存在はアズマを除いて他にいない。結果、セイジのアズマに対するパーソナルスペースは無に等しい程まで狭まった。全幅の信頼を寄せるようになったのである。アズマが携帯を操作していれば後ろから抱き着いて覗き込んだり、胡坐をかいているアズマの膝を枕に一眠りしたりする。
「このパーカー良いな。俺にくれ!」
休日の昼、押し入れを覗いているセイジはアズマの服が入っている箱を物色し、その中から気に入った白い長袖のパーカーを取り出した。手触りが良く、上質な生地で作られていることが分かる。
「…別に良いか。けど、お前には大きくないか?」
強請られたアズマは少し考えた後にそう言った。問いを投げられ、セイジは「それが良いんだよ」と返した。
「それにしても、お前こんなの持ってたんだ。良いやつだろコレ」
機嫌を良くしたセイジがパーカーを抱きしめる。
「俺が買ったんじゃなくて、貰ったんだよ」
「誰に?」
「ヨウタさんっていう俺がよく世話になっている人。あの人、何かにつけて物くれんだよなぁ」
ヨウタという人物の顔を思い浮かべているのであろうアズマに、セイジは薄笑いを向ける。
「アズマ、知ってるか? 男が服を贈る意味を…」
「は? 急に何だよ」
「いや~愛されてんなぁ! そのヨウタって奴はさ、これを着ているお前を脱がせたかったんだぜ?」
「ハァ…。馬鹿、俺とヨウタさんはそんな関係じゃねぇよ」
揶揄っているセイジに対しアズマは面倒くさそうに言った。貰った物でも買った物でも、セイジには関係ない。早速、手に入れたパーカーを着るために、身に着けていたシャツを脱いだ。
「……」
気にせず肌を晒すセイジから、アズマは目を逸らした。動揺している気配は無い。
「アズマ、どうだ! 似合ってるか?」
その言葉に、アズマはセイジへと視線を向けた。セイジは先程まで抱いていた白のパーカーに袖を通しており、足元には脱いだシャツが落ちている。パーカーはアズマが言っていた通りセイジには大きく、胸囲を除いて"ゆとり"があった。
「おう。似合ってる」
褒められたことが嬉しくて、セイジは顔を赤らめながらアズマに抱き着いた。背に回したセイジの腕には力が込められていたが、アズマはそれを容易く解き、セイジの身を畳に転がした。優しく放り投げられたセイジは仰向けになってケラケラと笑う。そんなセイジを見下ろして、アズマは小さく溜め息を吐いた。
セイジのアズマに対するパーソナルスペースが並大抵ではない程にまで狭まっていることは前述の通りだが、それによってアズマの方にも変化が起きていた。セイジのスキンシップに対して動揺しなくなったのだ。セイジと出会う前、アズマはあまり女性と接する機会が無かった。そのため、始めは女であるセイジの接触に動揺を露わにし、その都度注意をしていたが、時が過ぎていくうちに「またか」と流せるようになった。つまり慣れたのである。これはセイジに性的な意図が無いことも影響している。
夜を迎え、セイジとアズマは布団を敷いた。数日前からアズマは押し入れの中で寝るのを止め、セイジから少し離れたところに新たに買った布団を敷くようになった。
「……」
「……」
明かりを消してから何時間が経っただろうか。もしかすると一時間にも満たないかもしれない。眠りにつけないまま、セイジは何度も寝返りをうった。耳をすませばアズマの静かな寝息が聞こえる。
「…はぁ」
セイジには悩みが出来ていた。就寝時や平日の昼間などに、身体の奥が何かを欲しているような感覚に陥るのである。肌が敏感になり、すこし布が擦れる感覚に震えてしまう。股が濡れ、気付けばそこに手を伸ばしている自分がいた。こういった問題を何とかしようにも、セイジには原因が思い当たらない。
「んふッ…! んあ♡」
服の中に手を入れて、硬くなっている胸の頂を指で弄ぶ。そうすれば良いのだと身体は分かっていた。少し騒がしい外の音によって、微かな嬌声はかき消される。
「あっ、そこぉ…!♡」
本人の知るところではないが、快楽にとても敏感なセイジの身体は、性的な意図は無くとも、アズマという男との接触によって欲求を高められていた。
悶々とした末に、セイジはそうなった原因は分からずとも、自身が発情していることに気付いた。
「んっ…!♡ あ、あっ…いぁ♡」
平日の昼間、アズマは仕事で居らずセイジは家に一人。抱えている性欲を発散するなら今しかないと、座り込んだセイジは股に片手を伸ばして自慰をしていた。下半身には何も身に着けていないが、大き目のシャツのお陰でそこは露わになっていない。
「ふっ、んん゛…っ♡、も、もっとぉ…!♡」
足りない。思わず不満を漏らした。恐る恐る中を弄る指に対し、中はもっと奥を刺激されることを望んでいるのである。もう片方の手で胸を弄るが、絶頂には至らず、性欲がむしろ増してしまった。
「ア、アズマぁ…っ」
快感を求める自身の身体が怖くなって、セイジは思わず此処にいない同居人の名を口にした。
―――ピンポーン
「うぇっ、…あ゛っ!?♡」
インターフォンが鳴った。驚いたセイジの指が意図せず中に強い刺激を与える。それによってぼんやりとした脳が、来客を待たせてはいけないと訴えた。
「は、はーい…ッ♡」
セイジが立ち上がると、しとどに濡れた割れ目から太腿へと体液が伝っていく。シャツを突き上げる乳頭をそのままに、赤い顔をしたセイジは玄関へと向かった。
扉を開けたその先には、髪型を整えスーツを着ている男性がいた。
「こんにちは、お忙しい所失礼します」
男性は挨拶の後、名を名乗り、自身がアダルトグッズの訪問販売をしていることをセイジに伝えた。
「篠さんに是非使用していただきたい商品がありまして、本日お伺いさせていただいました」
「は、はぁ…」
突然のことで理性を取り戻しつつあるセイジに、男性は続ける。
「このタイミングで篠さんのお宅を訪れて正解だったようですね、一目で分かりました。篠さん、貴女は今誰かに抱かれたくてたまらないのでしょう」
「い゛っ…!?」
セイジの頬に熱が集まる。男性は表情を変えず、爽やかな笑みを浮かべたままである。
「恥ずかしがらないでください。そんな貴女の為に用意した商品があるのです。その前に…」
「ちょっ…!?」
男性がスラックスを下ろすと、そこには下着を濡らす屹立があった。先程まで求めていたものではあるが、突然差し出されて喜ぶはずもなく、セイジはただただ驚いた。
「まずはコチラをお試しください!」
玄関に入ってすぐ、居間へと繋がる廊下で仰向けに押し倒されたセイジは、自身のナカを突く屹立に喘ぎながらも心の底から満足することはできなかった。
「あっあ゛っ…!♡ も、もうやめッ!♡ はなせ、ん゛ぅ♡、ふ…!♡ うぁッ♡」
「篠さん、私のちんぽはどうでしょう?」
足りない。セイジは自身が自慰をしていたときと同じ気持ちを抱いた。
今挿入している男性の屹立は硬さはあるものの、今まで犯して来た男達と比べてかなり小さかった。加えてナカを突く動きも単調である。何度も射精した男性に対し、セイジは一度も絶頂を迎えずにいた。
女になってから犯されるようになって、足りないなどと思ったことなどセイジには今日まで一度も無かった。
「あ゛っ…!♡ もう、いくッ…!♡」
じわじわと上り詰めてきた快感に、セイジはようやく絶頂を迎えようとしていた。しかし、あと少しというところで男性が動きを止めた。
「え゛っ…!?♡」
「ふう…これ以上やっていると私のちんぽが可笑しくなっちゃいますね」
満足した様子で男根を抜かれ、割れ目から白濁液が零れる。迎えそうになった絶頂を奪われたセイジは呆気にとられた。
男性は乱れた髪を整えてから、股を開き熱を持て余したセイジに微笑みかける。
「『色んなところを刺激して』と思っても相手は腰をただ前後させるばかり、『もっと奥を突いて欲しい』と思ったのに相手のモノじゃ届かない、『あともうちょっとでイケるのに』と思ったときに限って相手が動きを止めてしまう、セックスの最中にそう思ったことは一度だけではないでしょう。その心中お察しします。…そこで! 本日! 紹介したい商品が…こちらです!」
そう言って男性が側に置いていた鞄から取り出したのは男性器を模したアダルトグッズである。それはセイジの肘から手首までの大きさがあり、太さもセイジの拳に等しい。
「見てください。凄いでしょう、この大きさ! 弊社が取り扱っている商品の内で一二を争うほどの大きさですよ! どうぞ手に取ってみてください」
そう言って差し出されたディルドをセイジは受け取らざるを得なかった。手に持ったことでショッキングピンクの"それ"の大きさや太さを実感し、セイジの頬が引き攣る。
目を逸らせないセイジの手から商品を離した男性は子供のように興奮した様子で、それを割れ目へとあてがった。
「ワクワクするでしょう? これがナカを可愛がってくれますからね」
「ふーっ、ふーっ…!♡」
力の抜けた身体の中で心臓が脈打っているのが分かる。セイジは落ち着こうと息を深く吐いた。
「リラックスしてくださいね…!」
「う゛ぁ゛ッ…!♡♡ ん゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ!!!♡♡♡♡♡」
ディルドはどんどんセイジのナカに入っていく。内臓を押し上げるようなその存在感にセイジは悲鳴を上げて仰け反る。その声は男性の耳に届いているはずだが、彼の手の動きは止まらない。
「あ゛ッ、むり゛っ!♡♡ やめ、ろぉ゛!♡ おっぎぃ゛…!♡ じ、じぬぅ゛…!!♡♡♡」
男性は、セイジの叫びが苦痛だけではなく快感も含んでいることに気付いていた。ある程度の深さまで挿入した後、それが馴染むまで様子を窺う。
「はぁ…っ!♡♡ あっあっ、…んう゛…ッ!!♡♡」
「篠さん、こちらの商品はですね、ただ大きいだけじゃないんですよ」
「んぃ゛…?♡♡」
そういって男性は小さなリモコンを取り出した。そして一つだけ付いているスイッチを押した。ヴヴヴッと振動する音がセイジの下腹部からした。
「んお゛ッ!♡♡♡♡」
セイジの身体が大きく震える。バイブレーション機能によって振動するディルドが、セイジの脳に強い快感を与えた。絶え間ない刺激がセイジの脳を麻痺させる。
「や゛っ♡、やめ゛ろ゛ぉ…!♡♡ あ゛っんあっ♡ んお゛ぉ゛!!!♡♡♡ お゛っ゛…お゛っぎぃ゛!♡♡ と、とめろ゛ッ♡♡、やぶれ…るう゛ぅ゛!!♡♡♡♡ あぐぅっ♡、まんごっ…まんごやぶれりゅう゛う゛ぅ゛!!!♡♡♡♡」
逃れようとするセイジの腰を男性が掴んで離さない。セイジは汗で濡れた足をバタつかせる。
「この商品、実はバイブ機能があるんですよ! 予想のつかない動きで色んなところを刺激してくれます!」
「お゛っお゛っ!♡♡ や゛ぁ゛♡、わがっだ…!!♡♡♡ はぁ゛ッ、んほっ゛!!♡ わがっだから゛ぁ゛!!!♡♡♡ ひぎぃ゛ッ♡、どめ゛、っでぇ゛…あ゛ぅ゛!♡ んお゛お゛お゛ぉ゛!!♡♡♡♡」
先程とは違い、セイジは幾度も絶頂を迎えていた。腕程の大きさのディルドを挿入され、若干腹が膨らんでいる。セイジのその言葉を聞いて、男性は嬉しそうな声色で話す。
「ご購入いただけるのですね! ありがとうございます!」
その後男性が口にした商品の値段は安くはなかったが、セイジがアズマから貰った小遣いで何とか賄える範囲であった。それを聞いている間も、セイジの中はディルドにいじめられていた。