性欲が秩序を上回った世界でTSしたオレとインポ疑惑のイケメン 作:ぶるきえ
男は目の前にいる女を犯さずにはいられない。それが事実なのであれば、俺はきっと男ではないのだろう。性欲が無いわけではない。女が嫌いなわけでもない。同性愛者ってわけでもない。
「よく覚えておいて。…女は悪魔なのよ」
今となっては疎遠の母が俺に言い聞かせていたことだ。幼いながら俺の世界は母に支配されておらず、適当に相槌を打ち、話半分に聞いていた。ただ何度も耳にしたものだから、その言葉だけは時折思い出すことがあった。
母自身も女であるのにも関わらず、如何に女が危険であるかを俺に教え込んだのか。それはきっと、俺を女に近づけないようにしたいと思ったのだろう。男が女を忌避すれば、女は襲われることが無くなる。母にとって俺は、子どもである前に一人の男だったのだ。
「忘れるんじゃねぇぞ。女ってのはな、ヤられているときが一番輝いてんだ」
とっくの昔に縁を切った父が俺にそう言ったことがある。父はその時、見知らぬ女を犯していた。キャッチボールでもしようかと、二人で大きな公園に向かっている途中だったと思う。
女は父によって服を剥ぎ取られ、背後から揺さぶられていた。アスファルトの道で擦られた胸から血が出ていた。
「んお゛っお゛♡! そ、そこのぼくッ…おほっ゛!♡♡♡ み゛ッ♡…あ゛ぅ♡♡、みないでぇ…っ!!♡♡♡ いあ゛ぁ゛!♡♡ やめ、てぇ゛…!♡ んお゛っ♡、んお゛ッ!!!♡♡♡♡」
ガキが見てると締まりが良くなんだ。父はズボンのチャックを上げながら言っていた。
ガキに見られて興奮するなんて変態だよな、お前もそう思うよな。同意を求められる度に俺は頷いた。否定すれば、父の機嫌が悪くなるからだ。
結局その日に公園でキャッチボールをしたのかは覚えていない。
「このクソ女! てめぇの卵子もビッチだってのか!?」
「んひぃ゛っ!♡ ご、ごかいよ゛ぉ゛…ッ!♡♡ し、しんじてっ♡、…あや゛っ!!♡ ど、どうッ、じでっ…!!♡♡ お゛っお゛っ!♡♡ ゆ、ゆるじでえぇぇ゛!!!♡♡♡♡」
「まんこ広げてよぉ!? もう生む準備してんのかぁ!?」
「そ、それは…ッ!♡♡ お゛お゛んっ!!♡♡♡ あなた、がぁッ♡、…はあ゛んっ゛!!!♡♡ ま、まいにちっ♡、おちん…ぽをぉ゛!!!♡♡♡」
「俺のせいだって言いたいのか!!! あと『おちんちん』と言え!!!」
幼い俺はお兄ちゃんになるのだと胸を躍らせたが、父は違ったらしい。母が妊娠していることが分かったある日、父は激昂して母を襲った。浮気を疑ったのだろう。
「ねぇ、私…綺麗だった?」
身体中に痣を作り、乱れた髪の母は俺を呼んでそう尋ねた。
それから暫くの間、昼夜問わず二人は繋がっていた。
母の努力が報われたとでも言うべきか、俺は他の男と比べて性欲がない。道端で倒れている全裸の女を見ても勃起しなかったし、電車で痴漢をしようと思ったことは一度だって無かった。
学生の頃、クラス一の美少女と言われていた女子生徒が「性処理係」に選ばれた。係といっても、勿論学校公認のものではなく、男子生徒が勝手に任命したものである。役割は名前の通り、男子生徒の性行為の相手をすることだ。
「お゛…♡ あ、あ…♡」
放課後、忘れ物を取りに教室に入ると、そこには誰かの相手をした後の女子生徒がいた。大雑把に捨てられている制服の側で、何も身に着けていないまま壁に凭れて座っていた。身体からは力が抜けきっていて、時折小さく震えていた。
女子生徒の肌には歯形と手形と精液が残っていて、そのことに気付いた俺は、教室に入ったことを後悔した。見て見ぬふりをするには罪悪感が重すぎた。
しばらく悩んだ挙句、俺は自分の上着を脱いで女子生徒の身体に掛け、忘れ物を手に持ち教室を後にした。今思えば、信頼できる教師に報告すれば良かったのだ。
「ねぇ、これ貴方のでしょ?」
次の日、女子生徒は皺を伸ばされて綺麗になった上着を俺に渡した。周囲が向ける数奇の目の中で、俺はそれを受けとった。
それ以降女子生徒は休憩時間の度に、彼女を呼ぶ者がいなければ、俺の側にいた。
「来週小テストがあるんだって。難しいかな、勉強してる?」
「放課後さ、暇? 今のところ私は暇だからさ、良かったら一緒にクレープ食べようよ」
他愛のない会話を幾度も交わした。結局、女子生徒と放課後に何処かに行くことはなかった。
俺は女子生徒が性処理係であることを肯定も否定もしなかった。救いの手を差し伸べようとしない俺を、彼女が敵だと認識しても可笑しくないだろうに、毎日親しげに話しかけて来た。
女子生徒の性処理係としての仕事は、クラスの垣根を越えて学校にいる全ての男子生徒が相手となった。彼女は言われた時間に言われた場所に赴き、抵抗を許されないまま好き勝手に犯される。
「今日、時間ある?」
誘われた先には、女子生徒がいつも犯されている教室があった。慣れた手つきで扉の鍵を閉めた後、俺の胸に飛び込んできた。思わず受け止めると、女子生徒は俺を見上げて一筋の涙を流した。
「一度でいいから、抱いて。貴方に抱かれたら私、それを思い出に生きていけるから」
彼女は俺に跨り、避妊具を付けた男性器を受け入れた。彼女の中が吸いつき、俺の種を欲しがった。下から突き上げると、彼女は甘い声をあげ、喜んだ。
「んあ゛っ♡、はぁ…!♡♡ すきっ、すきぃ゛…♡♡♡ はうぅ!♡ んっ、んっ♡♡ ね、ねぇっ? わたしの、なか…っ♡♡ きもち…?♡♡♡」
女子生徒の手に導かれ、俺は胸に口をつけ赤子のように吸った。彼女は俺の頭を抱え悶えていた。
彼女が幾度かの絶頂を迎えた後、俺は避妊具の中で果てた。
「ゴムなんてしなくてもいいのに」
身なりを整えた後女子生徒はそう言った。彼女は卒業まで性処理係として、男子生徒の相手をし続けた。彼女との連絡手段は無い。
卒業と共に家を出た。引っ越し先は二階建ての古いアパートの一室だ。日銭を稼いでいく中で、俺はとある男性と知り合いになった。
「女性にだって性欲はあるものさ。そこら辺にいる女性と比べたら、君の方がずっと潔白だと思うよ。…まあ、大抵は性欲が高まる前に一人で発散したり誰かに犯されたりするから、女性が欲求不満になっている姿を見ることは滅多にないだろうけどね」
その男性とは、しばしば連絡を取り合う仲になった。彼は俺が今まで出会った人物とは全く異なる存在であり、驚いたことに、女性の方から誘われるらしい。本人が言うには「僕は人の中身を見るのさ。だから女性ってだけで犯そうとは思わない。多分、それが彼女たちにとって楽で良いんじゃない?」とのことである。
社会に出たばかりで飢えを凌ぐのに精一杯だった俺に、男性はとても親身になってくれた。彼は他人の為に金を使いたがる人だと思う。ある日、デパートでの買い物に付き合った際に、ファッションに疎い俺でも知っている高級ブランドの服を礼として貰ったことがあった。
「苦労したんだねぇ…」
男性に連れられて入ったバーで酒に酔い、両親のことを掻い摘んで話し、女は悪魔であると思うか尋ねたとき彼はそう言った。他人に両親のことを話したのはこれが初めてだった。
「そうだねぇ。まず質問に答える前に言わせてもらうけど、女が悪魔かどうかに…わらず…ちゃ……さ…って、…おか…い…」
何と言われたのかは覚えていないが、嬉しかったというか腑に落ちたというか、とにかくスッキリとしたことは覚えている。それからというもの、あまり両親のことを深く考えなくなった。
「無理に抱こうって思わなくて良いんじゃないかな。…あ、もし誰か好きな人ができたら言ってね。いつでも相談に乗るし協力するから」
男性は胡散臭い所もあるが、それでも頼りになる存在であることには変わりない。誰かを好きになったとき、彼に相談するのも良いかもしれない。
働き始めて数年が経った。生活が安定してきて、少額ではあるが貯金だってある。
ゴミ袋の口を縛り、それを手に持って玄関の扉を開けた。向かう先はアパートのゴミ捨て場である。すぐに家に戻る予定だったので、サンダルを履いた。
「……」
ゴミ捨て場には一人の女が裸で倒れていた。下敷きになっているゴミ袋が破れているのか、生臭い匂いがした。恐らく誰かに犯された後、ここに捨てられたのだろう。胸が微かに上下していることから生きていることが分かる。
「……」
女に声を掛けたが返事は無く、俺の足元を見続けていた。辺りを見回すが、防護服はおろか服すら見つからない。
一先ず手に持っていたゴミ袋を下ろし、女を見た。その身体が、犯されていたことを証明する十分な証拠だった。
『忘れるんじゃねぇぞ。女ってのはな、ヤられているときが一番輝いてんだ』
父の言葉を思い出した。実際に犯されている場にいたわけじゃないが、女の姿を見てそれは違うと思った。
俺は女を家に入れることにした。あのままにしておけば、通りがかった誰かに襲われることは明らかだ。
始めに向かったのは風呂場であり、女の身体を湯で洗った。途中色々と問題はあったものの、何とか汚れを落とせた。
「俺を、犯すためか?」
着せた服は胸部が窮屈そうで、女の身体というものを嫌でも強調していた。他に良い服があったかと考えているときに女にそう言われ、俺の思考が一瞬止まった気がした。この後、俺は怒りに任せて、威圧的な態度を取ってしまった。
「お、おれ゛…ッ! お゛どごだっ!!! ひぐっ、…お゛どこだっ゛だの゛…!」
女…いや、セイジが泣きながら俺にそう告げるのはこれより少し後の話である。