※この作品はR-18です。

仮面を被った、人間達の英雄譚   作:とも667

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 オーガVSデルタ。


Dead or alive

体に浮かび上がった、白い線。肩の飾りに白線が通り、天使の羽根のような模様になっている……その体はその名に違わず、Δの文字をイメージしたであろうデザインだ。その場に降り立った、この世界の『仮面ライダー』。

 

『デルタだとォ……!? そうか、あそこに置いてあったのか……だが、何故デモンズスレートで正気を失わない!? デルタギアは……雪村康太を選んだというのか!?』

 

「そうらしいな……今井、お前の誤算は俺にこれを手に入れられたことだ!! なんたって、お前らが散々憎んでた仮面ライダーが、今ここにいるんだからな!!」

 

『おい、どうなってるんだ!? 今井社長ッ!! 奴はただの人間じゃなかったのか!? やられるのが遅すぎるぞ!!』

 

 Boo!! Boo!! Booo!! Boooo!!

 

 ヘイトが今井に向いている……明らかに焦ってるな。俺の目的は仮面ライダーオーガを倒して、あやめを助けることだ。奴らが邪魔である以上、自滅してくれれば楽になる!!

 

『……み、皆様!! ご安心ください、これは奴の苦し紛れのハッタリです!! 仮面ライダーオーガは最強の仮面ライダー!! あんな雑魚に負ける道理など、あろうはずがございません!!!』

 

『本当か? 随分と焦っているように見えるが? 嘘つきは嫌いだよ、私は……場合によっては、取引を取りやめることも考えさせてもらう』

 

『っ、くゥ……!! 百鬼あやめェェ!! デルタをさっさと片付けろ!! そいつだけは……生かして返すわけにはいかん!!』

 

 どうやら、完全に想定外のことらしい……俺も想定してなかったし、当然だけどな。でも……おかげで、勝てる見込みが一気に出てきた。力が湧き上がってくるし、視界も180度確保されている。

 

「康太様が何をしたのかはわかんないけど……まだ戦えるってことだよね!! 嬉しい!! 全ッ然戦い足りないもん!!」

 

「戦いはここで終わりだ……あやめ、何がなんでもお前を止める!! 歯ァ食いしばれ!! 死ぬ程痛いぞ!!」

 

「できるものなら……やってみろよ!!」

 

 こちらに走って向かってくるオーガを見据えて、地面を蹴りつける。蹴りつけた衝撃で、地面が砕け……その勢いのまま、膝をオーガの腹に叩き込んだ。

 

「うぉらぁぁぁぁ!!」

 

「ッぐ……強いな……!!」

 

「よし、攻撃が通ってる……!!」

 

 続けて攻撃するために、デルタムーバーを取り外して叫ぶ。

 

「ファイア!!」

 

『Burst Mode』

 

「く……ッ!!」

 

 デルタムーバーから、フォトンブラッドの光弾が放たれた。それらは全て、オーガの体に白い光と共に炸裂する。

 

『追い詰められてるぞ!! やっぱり最強のライダーなんて嘘じゃねぇか!! どうなってやがる!? 金返せ、今井!! これ見るためにいくら払ったと思ってんだよ!!』

 

『お、落ち着いてくださ……ッ、株価が暴落している!? こんな、こんなはずじゃなかったのにィ……!! おのれ、雪村康太ァァ!! かくなる上は……!!』

 

「……なに!?」

 

 壁を突き破って、オルフェノクが出てきた……声から考えると、今井だろう。ようやくお出ましらしい……

 

「貴様らのせいで私の計画は滅茶苦茶だ!! あと少しで私も、会長からお褒めの言葉をいただけたのに……許さんぞ!! もうショーなんざどうでもいい、私が直々にぶち殺してやる!!」

 

「ようやく会えたな、今井。かかってこいよ、お前も灰にしてやる……!! これまでの分、全部まとめて返してやるぜ!!!」

 

「抜かせ、人間如きが……オルフェノクに勝てていいはずがないんだァァ!! ッ、ガァ!? 百鬼あやめ、何をする!?」

 

 後ろから衝撃を受けて、今井が壁に吹っ飛んだ。後ろからあやめが殴ったようだ。

 

「今は康太様と余が戦ってるの。それに水を差すなら、誰だろうと絶対に許さない……!!」

 

「百鬼あやめ、貴様ァ……!! 記憶改変が意味をなさなくなってきているのか……!? 戦闘本能が、記憶改変に打ち勝っているとでも!?」

 

『Excced charge』

 

 オーガ・ストラッシュが、今井に向けられた。今井は焦りながら、怒りを露わにしている。自分の思い通りにいかないのが、余程気に入らないらしい……子供かよ。

 

「ふざけるな!! 私はお前の恩人だぞッ、こんなことをしていいとでも……ゴゲァッ!!」

 

「残念だったな、記憶を弄ってもあやめはあやめ……デモンズスレートを投与しなかったら、結果は違ったかもな? まぁ、それだったら暴れないだろうけど……どちらにせよ、あやめを利用したのが間違いだ」

 

「こ、こうなったら、最後の手段を……ギャアァッ!!」

 

 今井はあやめのオーガ・ストラッシュで、引きずり回された後に投げ飛ばされた。相当効いているのか、体が動かせなくなっている……

 

「邪魔者はいなくなった余、康太様!! 最後まで楽しもう!!」

 

「……絶対に止めてやる!! あやめ、覚悟しろッ!!」

 

「康太様と戦えるならなんでもいい!! らぁぁッ!!」

 

 今井のトドメは後回しだ、今はあやめを助けないと。そう思って、走る……走るのも早くなってるな、これが仮面ライダーの力か。余りにも早すぎて、少し持て余している。それでも、どうにかあやめの攻撃を躱して……反撃のために、デルタムーバーを前に突き出した。

 

「っと……喰らえ!!」

 

「何度も同じ手は食わない余!!」

 

「躱されたか……流石だな」

 

 外野の声が聞こえなくなった、つまらないから見なくなったんだろうか? それとも何かしているのか……どちらにせよ、集中できなかったんだ。黙ってくれるのはありがたい!!

 

「余裕ぶってていいの!? 余は全然疲れてない余!! ほら、次の作戦考えて!!」

 

「っぐ……!! がっ!!」

 

「もう一発……!!」

 

 二回斬られたが、これまでと比べるとダメージが少ない。鎧としても優秀だな、仮面ライダーは……体勢を立て直して、足で地面をまた蹴りつける。その勢いで膝をオーガの腕に突き刺した。剣を持ったオーガの腕が、進行するはずだった方向と反対方向に吹っ飛ばされ、あやめが怯む……

 

「そう何度も……やられるかよ!!」

 

「ぎっ……やっぱり面白い!! いつやっても、本当に……戦ってる間は何にも辛くない、痛いことも苦しいことも忘れられる!!」

 

「ッ……畜生、今井……!! あやめに何の恨みがあるんだよ!? くそったれ!!」

 

 叫んでも、あやめの心には届かない。財団Xはそこにつけ込んでいるんだ……なんて惨いことを。ドス黒い怒りが湧き上がってくるが、今はあやめに集中しなければ。奴らにこれまでの分を返してやるのは、被害者を救ってからだ。

 

「まだ本気出してないでしょ、康太様!? もっと、強い攻撃……見せて余!!」

 

「これでも、全力出してるんだが……鬼人は体の強さが違うってことか!!」

 

「殴り合いじゃ……余には勝てない余!!」

 

 あやめに向かって走る。思いっきり踏み込んで、拳を突き出したが……避けられた。反撃の拳が飛んでくる……無論、避けられない。思いっきり吹っ飛ばされた。

 

「ぐっ、は……!!」

 

「そこだ!! 喰ら……」

 

「……なんてな、お前が喰らえ!!」

 

 オーガストラッシュを放つ気でいるあやめに、そう言い放って……吹っ飛ばされたまま、銃弾を撃ち込んだ。

 

「なッ……ガァァ!?」

 

「強すぎるパワーが仇になったな……おっと、弾切れか。チャージ!!」

 

『Charge』

 

 今のうちに弾を装填しておく……さて、効果の程はどうだろうか? 少しは効いていてくれるとありがたいのだが。

 

「っ、ぐ……あはははは、最高だ余……!! やっぱり康太様はそうでなくっちゃ!! 余はこれが見たかった、ここからが面白い時間になる!!」

 

「面白い時間じゃない……お前を正気に戻すために、戦う時間だ!! とっとと目を覚ましやがれ、あやめ!! お前のいるべき場所はここじゃない!!」

 

「たとえ、そうだとしても……今、この戦いは楽しい!! もっともっと……死ぬまで戦いたい!!」

 

 効いてはいる、みたいだけど……戦闘に支障が出そうな感じじゃねぇな。もう少し効いてて欲しかったが……仕方ない。

 

「だったら、無理矢理にでも連れ帰る!! 骨の一本は覚悟しろよ!!」

 

「やれるもんなら、やってみろ!! 余は今度こそ……絶対負けてやらない!! 誰にも負けられないんだ!!」

 

「俺だってそうだぜ!! 負けたら……何もかも失う!! 大切なものも、思い出も……何もかも!! だから、死ぬまで殺し合うんだ!! あやめ、お前ともな!!」

 

 殺し合わないと……何もかも失ってしまう。それは当然のことだし、敵が殺す気なら戦わないと……話し合いをしようなんて、そんなことでどうにかなるはずもない。奴らがそれに応じるわけがないんだから。だからこそ、戦えない人の分まで俺が殺し合う。精一杯生きてる人達の時代を、奴らから奪い返してやる。そのためには、目の前の今井と『仮面ライダーオーガ』が邪魔だ!!

 

「殺し合いでもなんでもいいッ!! 康太様、もっと戦おう余!! お互い朽ち果てるまで……永遠に、ここで!!」

 

「絶対に嫌だ!! 仮面ライダーオーガ、お前に構ってる暇はない……とっととどいて、俺の親友のあやめを返せ!!」

 

「さっきから……言ってることが意味わかんない余!! 康太様、どうしちゃったの!?」

 

 今、目の前にいるのは……俺の親友の『百鬼あやめ』じゃない。誰かの命を奪う、財団Xの仮面ライダーだ。躊躇するな……殺すつもりでいけ。そうでないと……オーガには勝てねぇぞ!! 自分を無理矢理奮い立たせる。

 

「後で教えてやる……今のお前は仮面ライダーオーガだ、俺が暴力機関として排除しなきゃならん相手なんだよ!! そういうわけだ、消えてもらうぞ!!」

 

「もういい……考えるのやめた!! 今は戦うことに集中する!! 今が一番楽しいし、それでいいや!!」

 

「い、いぞ……オーガ、そいつを殺せ……!!」

 

 今井が起きた……もう少し寝てていいんだがな。だがダメージが深刻で、立てないようだ。

 

「殺されてやると思うか、今井!? それより、今のうちに暁に謝っとけよ? 計画は大失敗で終わったって!!」

 

「そうは、いくか……オーガは、デルタ如きが殺せていい相手じゃないんだ!! 私は信じている……頑張れ、仮面ライダーオーガ!!」

 

「よそ見しないで、こっち向いてて余!!」

 

 オーガはこっちに向かってきている……無傷で連れ帰ろうなんて考えるな。そんなことができる程、お前は器用じゃないだろ!? 必殺技をいつでも放てるように、メモリを説明書通りに銃に差し込んでおく。

 

『Ready』

 

「そうだった、な……ッが!?」

 

「だりゃっ、うぉりゃあぁぁ!!」

 

「いいぞ、仮面ライダーオーガ!! デルタを殺すんだ!!」

 

 避けきれずに拳を喰らう。怯んだところに、打撃の雨あられが浴びせられた……体の骨が砕けていくのがわかる。鎧があっても、ダメージは喰らうな……ゼロ距離で剣を押し付けられた、まずい。

 

「し、まった……!!」

 

『Exceed Charge』

 

「こいつで……終わりだぁ!!」

 

 剣が思いっきり伸びる、オーガストラッシュだ。またアレをやられたら……デルタでも、大ダメージは免れない。どうする? 必死に思考を回している間に、壁に叩きつけられた。

 

「ぐ、ごっ……!!」

 

「そのままやれ!! 殺してしまえッ!!」

 

「うぉりゃあぁぁっ!!」

 

 壁に擦り付けられている……装甲が削られてるのがわかった、早く何とかしないと……よし、思いついた!!

 

「もっと苦しめ、雪村康太!! せめて……貴様の死体だけは持ち帰ってやるよ!!」

 

「ぎぃぃっ……ヘッ、死体になるのはお前の方じゃないのか? 今井?」

 

「負け惜しみか!? その状態でなにか出来るとでも!? 超能力はお前にない、詰みなんだよ詰み!!」

 

 勝利宣言をしているが……俺は仮面越しに笑ってやる。

 

「ググッ……勝利宣言して負けた時程、恥ずかしいもんはないぜ!! やめとけ、今井!!」

 

「このまま……終わらせる!!」

 

「チェック!!」

 

 この音声入力で、エクシードチャージ……要するに必殺技が可能と書いてあった。それに賭ける!!

 

『Exceed Charge』

 

「なにィ!?」

 

「銃にフォトンブラッドが……よし、喰らえ!!」

 

 剣に向かって、銃を撃ち込むと……それはドリルのような形になった。説明書ではここに向かって、キックをしていたが……やってみるしかない!!

 

「ルシファーズハンマーか!? オーガ、早く投げ飛ばせ!!」

 

「だぁりゃあぁぁっ!!!」

 

「えっ!?」

 

 両足でドリルを蹴りつけた瞬間、自分の体がドリルに吸い込まれ……高速回転して、剣を削り取り始めた。すごい技だ……

 

「オーガ、早く振り払え!! 削り取られるぞ!!」

 

「っ……ぐぁぁぁ!?」

 

「オーガストランザーが……!!」

 

 ドリルが消えて、一体化していた俺も出現する。剣は天高く吹っ飛ばされて……地面に刺さった。必殺技を使っていた仮面ライダーオーガも、バランスを崩したようだ……

 

「最強のライダーのオーガストラッシュ、破ってやったぞ……!! どうだ、今井!? 最高傑作の必殺技が破られた気分は!?」

 

「ふ、ふざけるな……こんな戦法、使っていいわけがない!! 反則だろうが!!」

 

「だったら最初からそう言えよ、ルール説明しないのが悪いんだろ!! 俺はただ、必殺技を剣に叩き込んだだけだぜ!?」

 

 これでもう、オーガストラッシュは怖くないな……!! むしろ、打ってくれたら反撃のチャンスだ!!

 

「おのれぇぇぇ、いつもいつも……卑怯な真似ばかりしやがって!! 恥ずかしいとは思わないのかァ!?」

 

「テメェらこそ……ただの人間や、この世界の人相手に理屈の一切が通用しない仮面ライダーとか、オルフェノクとか持ち出しやがって……恥ずかしくねぇのか!?」

 

「くっそぉぉぉーッ!!! 調子に乗るなよただの人間如きがぁぁぁ!!!」

 

 オルフェノク状態で話している時……人の顔が後ろに浮かんでいるが、どういう原理なんだろうか。

 

「今はそれより……オーガだな!!」

 

「くぅぅ……早く、取らないとっ!!」

 

「させるかよ!!」

 

 取られる前に腕を掴んで……そのまま踏み込み、腹に拳を叩き込んだ。

 

「ごぅ、げっ……!!」

 

「スマッシュビートォォォ!!」

 

「が、ごぁぁ、ぎぎっ……ぐぶっ!!」

 

 何発か腹にぶち込んだ後、脳天に一撃を叩き込む。頭の飾りが砕けて、片方無くなった……

 

「アルティメットクラウンが壊された……!? 馬鹿な、ソルメタルより硬いルナメタルで構成されているのに!?」

 

「もう一発……こいつも持っていきな!!! だぁぁりゃあぁぁッ!!!」

 

「ガハァァッ!!!」

 

 肩に力を込めて、肩が白く光り輝いたところで……思い切りタックルした。今にも立ち上がろうとしていたオーガに命中して、大きく吹っ飛ばす。

 

「あの技まで……くそっ、なんて奴だ!! オーガ、負けるな!! ……オーガ?」

 

「いっ、だぁぁ……余は……余は……!!」

 

「……あやめか? 頑張れ、あやめ!! ナノマシンなんかに負けるな!!」

 

 脳天への拳が効いたのか、正気を取り戻してきている。だが……

 

「ふざけるな!! あと少しで……私は暁様と同等に立てるのに!! そのためにどれだけ努力したと思っているんだ!?」

 

「お前らに殺された人達は、それをそっくりそのまま返したい気分だろうよ!! だから……今返すぜ、ふざけんな!!」

 

「あぐっ、うぅぅ……あ゛ぁぁぁ!! 余は……何にも守れなかった!! 康太様も、人間様も、父上も母上も……みんな余を恨んでる……!! 殺されたのも、当然なんだ……余への罰なんだ……」

 

 恨んでるだって? まさか……

 

「今井、貴様……!!」

 

「何もしておらん!! こいつが勝手に夢を見たんだ!!」

 

「あやめ、俺も一破さんも……誰一人、あやめを恨んでなんかない!! 戻ってきてくれよ、頼む!!」

 

 必死に叫ぶ……あやめを連れ戻さないと。

 

「余はぁ……うぐぐぐ……!!」

 

「……そうだッ!! 百鬼あやめェ!! こいつは私達を罠で何度も倒してきた、つまり嘘つきだ!! 一破もお前の両親も、お前を恨んでいるぞ!! 嘘つきの言うことを信用できるかァ!?」

 

「なっ……今井、テメェ!!」

 

 今井に銃を向けて、撃とうとしたが……あやめが叫び始めて、そちらに向き直る。

 

「あ、アア……ご、めん、なさ……あぁぁぁぁ!!!」

 

「残念だったな、あと少しだったのに……お前が悪いんだぞ? 『オオカミ少年』は知ってるよな? 嘘をつき続けてたら、誰にも信じて貰えなくなった少年の話だ。自業自得だよ。雪村康太……実に愉快だ、クヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」

 

「今井ィィィッ!!! 貴様はどこまであやめを苦しめれば気が済むんだァァ!!」

 

 全力で叫んだが……遅かった。剣は拾われて、こちらに向かってくる。

 

「アハハ、何でこんなに楽しいのに手を止めてたんだろう!? もう何にもわかんないや、楽しい楽しい!!!」

 

「そうだオーガ、今が良ければそれでいい!! そいつを殺して、罪悪感を取り払ってしまえ!!!」

 

「バカ言ってんじゃねぇよ……ぐっ、ゴァァッ!!」

 

 胸を袈裟切りで切り裂かれる。マスクの中で血反吐をぶち撒けて、顔にそのまま血反吐が染み込む……脳にケーブル直結で助かったな。

 

「もう説得は通じんぞ、友人同士……どちらか死ぬまで戦い続けるがいいさ!!」

 

「アハッハッハッハッハ!!!」

 

「……諦めてたまるかよ!! 信じろあやめ、俺はお前を恨んでない!! 一破さんも……柊真さんも百合香さんもだ!!」

 

 叫び続ける。フォトンブラッドが漏れているが、お構い無しだ。

 

「無駄だと言ってなぜ分からん!? 自業自得なんだよ、全て貴様のな!! さっさと諦めろ!!」

 

「どうしたの、康太様!? 殴ってきてよ!!」

 

「……この世界にはついていい嘘と、悪い嘘がある。悪い嘘ってのは……誰も人を助けないし、傷つけることしかできない嘘だ。例えば……約束を破ることとか、な……ご、ぐぅっ……」

 

 静かに言う。俺は……自分で言ったことを取り消さないし、奴らを罠に嵌めてきたことも認める……だが。殴られながら、叫び散らす。

 

「それがどうした!? 貴様は嘘をついただろうが、私達財団Xにな!!」

 

「グフッ……ゴホ、ゴホ……俺は絶対に約束を破らないぜ、あやめ……ついちゃいけない嘘も、絶対につかない!! ガッ、グゥ……今ここで宣言してやるよ、もし俺がそんなことしたら……小細工無し、本当に針千本飲んで死んでやるぜ!! これは嘘じゃないぞ!! ヤスリにもかけないし、何年も時間かけたりも絶対しないッ!! 約束だ!!!」

 

「……針千本、のーます……あ、あ……!!」

 

 頭を抱え始めた……どうやら、聞こえたらしい。

 

「ば、馬鹿な……!? お人好しが過ぎるぞ!?」

 

「あやめは、誰とでも仲良くなれる優しい人だ……!! 舐めてたな、あやめの優しさを!! お前らの利用してるのは、自分の悪意に負けた人達だ……だけど、あやめはそうじゃない!! 自分の悪意に打ち勝てる、強い精神を持った人なんだよ!!」

 

「く……クソッタレ!! おい、百鬼あやめ!! そいつを早く殺せ、さもないと……今ここにいる、お前の両親をぶち殺してやるぞぉぉ!!」

 

 それを言った瞬間……あやめがさらに苦しみ始めた。

 

「えっ、あ……ああ、嫌だ……死んじゃやだ、父上、母上……やだ、やだ……!! うぁぁぁぁぁッ!!!」

 

「よしっ!! 幻覚剤の効果が残っていたんだッ!! 私の勝ちだな、雪村康太!! 今度こそ……地獄に行けェ!!!」

 

「地獄に行くのはテメェの方だ、暁のオマケの不良品玩具野郎!! あやめを助けたら……その次はお前だ!! そこでじっとしてやがれ!!!」

 

 あやめはもう戦う気力が無いのに、それを脅しているんだ……こんなの、もう戦いじゃない。

 

『Exceed Charge』

 

「そんなの、そんなのやだぁ!!!」

 

「うぉっ……!! もう振り回し方も滅茶苦茶だな、あやめ!! ちょっと痛いけど……我慢だぞ!! すぐに助けてやるからな!!」

 

 体中の骨はへし折れているが……関係あるか。あやめは今……もっと苦しいんだ!! そう思って、あやめの足元を狙い撃ちながら、飛び上がる。あやめがこちらを向いた……オーガの仮面であやめの顔が見えない。

 

「邪魔なんだよ、オーガ!! あやめの涙が……拭けないだろうが!! チェック!!」

 

『Exceed Charge』

 

「うぁぁぁぁぁぁーッ!!!」

 

 こちらに向けられた、金色の光剣。それに向かって、銃弾を撃ち込んで……紫色のドリルにする。

 

「だぁぁりゃあぁぁーッ!!!」

 

「馬鹿め!! ルシファーズハンマー程度で帝王の剣を砕けるか!! 切り裂け、オーガ!!!」

 

「……馬鹿はお前だ。だから不良品なんだよ……あやめの足元を見てみな!!」

 

 奴があやめの足元に視線を向けて……驚愕の声を上げた。そうさ、仮面ライダーが大暴れした後の校庭がヒビだらけだったように……ここの床もヒビだらけ、そこにさらに負荷を与えた状態で……!!

 

「なっ……地面にヒビが!?」

 

「そして今……仮面ライダーオーガは足を地面に食い込ませて、全力で踏ん張っている!! そんなことをしたら、どうなるか……わかるだろ!?」

 

「そんな……嘘だ!! こんなことが有り得てたまるか!! オーガは最強のライダーなんだァァァ!!!」

 

 ヒビがさらに入って、ついに地面が崩れた。あの時と同じだな……ベトベトオルフェノクの時もそうだった。

 

「ッあ……!!」

 

「だぁぁぁりゃあぁぁぁぁッ!!!!」

 

「オーガストラッシュが……砕かれた!?」

 

 剣を砕きながら、進む。ドリルがオーガの鎧をぶち抜くために、超高速で回転している……しばらくすると、激しい衝撃と共にオーガを吹っ飛ばした。

 

「がは……ッ……あ……」

 

「はぁ、はぁ……」

 

「嘘だろ……こんなこと……おいオーガ、立てよ!! おい!!」

 

 金色の線が消えて、あやめに戻った。最強の帝王は、死んだんだ。

 

「あやめ!!」

 

「こ、うた……さま、ごめん、ね……余が、弱いから……」

 

「いいんだ、泣きたいなら泣け……泣き疲れたら寝ろ、後は俺に任せて……な?」

 

 ぐちゃぐちゃの顔で泣くあやめの涙を、何回か拭ってやると……余程疲れていたのか、眠ってしまった。体には鎖らしき痕がある、なんと惨いことを……鼻血だって、出てしまっているし……そう思いつつ、後ろから来ていた今井の拳を止めた。

 

「……わかってんだよ、お前のやることなんか」

 

「な……ごぶっ!!」

 

「いいか、今の一発はあやめの分だ……みんなの分まで俺がお前を殴る!!」

 

 仮面ライダーの力でカバーを叩き割りながら、合図を出して侵入を促す。その間にも、俺は今井を殴った。

 

「ぐふっ、がぁぁ……ごげっ!!」

 

「ファイア!!」

 

『Burst Mode』

 

 12発、全弾撃ち込む。今井に白い閃光が炸裂していく……

 

「ぐぉぉぉぉっ……が……」

 

「こいつで終わりだ、死ね……!!!」

 

「……死ぬのはお前だ!! クヒャヒャヒャ、もう百鬼あやめも会社もどうでもいい!! 全て消えてなくなれ!!」

 

 奴が何かを押した、その瞬間……凄まじい轟音が響き渡り始める。建物中に響く、鈍重な音。

 

「なんだ……貴様、まさか自爆スイッチでも押したのか!?」

 

「違うね!! それより……ずっと恐ろしいものさ!!」

 

「貴様、何を言って……!?」

 

 ズガッシャアァァン!!!

 

 轟音と共に、壁が叩き割られて……建物の天井まである、化け物が現れた。

 

「ギャオォォォォン!!」

 

「この化け物は……なんだ!?」

 

「冥土の土産に教えてやる、こいつはエラスモテリウムオルフェノク、激情態!! 開発するのには凄まじく苦労したぞ……お前らどちらが勝っても、こいつなら踏み潰せるからな!! 苦労した価値はあるというものだ!!」

 

 オルフェノク? これがか……? どっからどう見ても怪獣だぞ、こいつは……人間が本当に、こんなものになれるのか?

 

「貴様、最初から……あやめを使い捨てにするつもりだったんだな!? ド畜生が!!」

 

「エラスモテリウム!! 餌の時間だ、人間が二人だぞ!! 食ってしまえッ!! ……おい、何故こっちを向く!? 餌はあっちだ!!」

 

「お前の方が美味そうなんじゃねぇか?」

 

 今井の体に無数の針が飛んでいく。

 

「ふ、ふざけるな!! 私は襲わないように躾をしてあると、暁様は……ギィヤァァァァーッ!?!?」

 

「まずいな、あやめを助けないと……!!」

 

「や、やめろ……やめろと言うのが……グゲァァァッ!!」

 

 奴の体が燃えている、毒が入ってるらしい……ダメージのせいか、そのまま倒れ込んだ。すぐさま今井に足が振り下ろされて……針がさらに食い込む。どうやら嘘八百だったらしい、暁も大嘘つきだな。今井が針千本飲んでいる横で、エラスモテリウムの足を避けながら、どうにかあやめに近づく。

 

「あやめ……うぉぉっ!?」

 

「ぎぃぃあぁぁっ!? 嫌だ、死にたくない死にたくない!! 暁様、助けて……助けてぇぇぇ!!!」

 

「喰われてる……悪食だな、あいつ」

 

 肉を砕く音を立てながら、奴が喰われていく。自分の呼び出した切り札で自滅するとは……哀れな死に方だ。

 

「暁、様……会長……ぁ……」

 

「……美味いか、エラスモテリウム? お腹いっぱいならそこをどいて……」

 

「ギャオォォォォッ!!!」

 

 どうやら、まだ腹が減っているらしい……デカい体の分、食べる量も多いのか。

 

「だからって、食べられてやるつもりはない!! ここで灰になってもらうぞ!!」

 

「グルァァァァァッ!!!」

 

「あやめ……待ってろ、すぐ助けてやる!!」

 

 構える。こいつを倒して……あやめと一緒に帰るんだ、約束を守るために……生きて帰って、もう一回戦うんだ!! そのために……

 

「邪魔だデカブツ、そこをどけぇぇ!!!」

 

「ガァァァァァァッ!!!」

 

 そう叫んで、エラスモテリウムに向かっていく……絶対にあやめを守り抜くんだ。何があっても……!!




Take alive,It's Dead or alive.
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