※この作品はR-18です。

仮面を被った、人間達の英雄譚   作:とも667

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 お待たせしました。


隕・石・落・下

俺はあの後、警備を交代して睡眠を2時間取った後に、トレーニングをこなして、今回の件を学園長に報告しに行った。

 

「……その人の顔は、本当に雪村くんだったのかい?」

 

「はい、間違いありません。私も未だに信じられませんけど……」

 

「リブラも、偶然通り掛かるような時間帯でもないし、ずっと潜伏していたのか……? それに、どうして学園に来ない?」

 

 それが疑問なんだ……仮説はあるが、俺の憶測の域を出ないし……

 

「説明をつけるなら、完全に憶測になってしまいますしね……」

 

「君の予想を聞いておきたい……君はどう考えている?」

 

「僕の考えとしては……奴らは財団Xと関わりを持った、もう1つの組織ではないかと考えています」

 

 これが一番、筋が通っていると思う。

 

「ほう、何故だい?」

 

「はい。奴らは財団Xが度々口にしていた『危険因子』という呼び方を全くしていません……危険因子を狙いに来たという情報もありませんしね。ハウンドは個人的に僕を恨んでいましたし……」

 

「危険因子の排除が史上目的ではない、ということか……では、その組織の目的は?」

 

 少なくとも俺は、それ以外に考えられない。あんなに危険因子を排除したがっていたのに、急に心変わりするなんて……奴らにとってもメリットがないはずだ、危険因子に成長されてしまって、叩き潰されたら一巻の終わりなのだから。

 

「これもほぼ根拠のない僕の憶測なので、話半分に聞いていただきたいのですが……ハウンドやリブラの言っていた『覚醒』、そしてペルセウスに起こった謎の現象。ゾディアーツは特定の条件下で覚醒を起こす……それが奴らの目的かと」

 

「強いゾディアーツの生産か……? それを作って、何をする? 世界を侵略するつもりなのか?」

 

「そこまでは、まだわかりませんが……恐らく、例のスイッチを財団Xから売ってもらったのでしょう。奴らを完全に叩き潰せたわけではありませんから……暁を殺さない限り、奴らはしぶとく蘇るでしょう」

 

 名前でしか聞いたことがないが、度々奴らが口にする名前。暁は多分、奴らのボスだ。

 

「今は蘇るための準備期間というわけか……本拠地を突き止めたいところだが、私達は全能ではないし……」

 

「スライガーで行ける範囲にも、警備やトレーニングを考えると限界がありますよ……」

 

「こちらの手札が少なすぎる……奴らの方が誰がどう見ても強いのに、我々に大きなハンディをつけてきている……理不尽極まりない」

 

 デルタギアとジェットスライガー。俺が手に入れて、現在唯一使える、仮面ライダーの力……それでも、この力を量産できる財団Xの方が、圧倒的に有利だ。

 

「兎も角、今は取り逃したゾディアーツを捜索します。残しておいたら……あいつは確実に、人を殺す」

 

「一度倒しているからな、恐らく『ラストワン』になるだろう。くれぐれも気をつけてね」

 

「わかっています。それでは……」

 

 学園長の部屋を出て、考える。サソリ野郎や天秤野郎がよく口にする『ホロスコープス』という単語、そしてあの時の『ヴァルゴ』……

 

「確認できているのは三人……十二星座って言うからには、あと九人いるはずだ」

 

 そいつらのボスなら、暁のことを知っているかもしれない。

 

「奴らのボスを見つけ出したら、締め上げて暁の情報を吐かせてやる……!!」

 

 これからは捜索範囲をもう少し広げてみよう。千葉や神奈川の方にも行って……奴らを探す。あと、取り逃したあいつもな。

 

「100の言葉より1つの行動だ、早く行こう……!!」

 

 ホロスコープスや逃がしたあいつが動き出していない保証はどこにもない。そう思って、デルタギアを構える。

 

「変身!!」

 

『Standing by』

 

『Compleat』

 

 デルタに変身し、校庭のスライガーに飛び乗る。準備OKだな……!! 

 

「確か、逃がしたあいつはあっちから走ってきてたよな……」

 

 見に行ってみるか……そう思って、俺はスライガーのエンジンを入れて、離陸した。

 

「流石に前みたいに堂々とはしてないか……」

 

 当然だろう、昨日はそのせいで散々な目に遭ったのだから。

 

「どこか行きたいところがあるみたいだったが……一体どこに行くつもりだったんだろう?」

 

 奴が来た方向に行っても、人が住んでいそうな場所なんて山ほどある。それなら……

 

「聞き込みをしてみるか……」

 

 スライガーを駐車場に置いて、デルタの姿のまま街に出る。

 

「おい、あれデルタじゃないか?」

 

「はい! 仮面ライダーデルタです!!」

 

「やっぱり……!!」

 

 よし……みんなの気をいい感じに引けているな。

 

「すみません、こちらの方から化け物が走ってきませんでしたか?」

 

「化け物? う~ん、見てないな……」

 

「私も……」

 

 みんな見てないか……やっぱり、もうどこかへ向かってしまったのだろうか?

 

「わかりました、ご協力感謝します!!」

 

「あ、サイン……!!」

 

「ごめんね、また今度!!」

 

 男の子にそう言って、走り去る。今は一刻も早く奴を見つけねばならない。誰を殺すかわからない以上は……!!

 

「さて……一体、どこに行ったのか……」

 

 ここでじっとしていても、変わることはない。なら、もう一回学園の方をパトロールしてみるか。

 

「あいつがあれで諦めてくれるとは思えない……出発に間に合わなかったなら、急がないと」

 

 そう呟いて、俺はまたスライガーに乗り込もうとしたが……電話がかかってきた。変身を解いて、ポケットからスマホを取り出す。

 

「はい、雪村です……どうしました?」

 

『一破です! 雪村さん、未確認生命体の目撃情報が入りました!!』

 

「本当ですか!? そいつらはどこに!?」

 

 早く向かわないと、また犠牲者が出てしまう……デルタフォンを構え直したが、一破さんはそこへさらに衝撃的な言葉を口にした。

 

『今、衛星が位置情報を送ってくれています。そちらに転送しますね!!』

 

「ありがとうございます!! 衛星もちゃんと役に立ったな!!」

 

『私もその場に急行しますので、切りますね!!』

 

 そう言って、電話は切れた。昨日の奴の目的は結局、わからなかったな。それなら……

 

「今日こそはとっ捕まえて、その後に聞き出してやる!! 変身!!」

 

『Standing by』

 

『Complete』

 

 スライガーに乗り込んで、すぐに離陸する。思い切りレバーを引いて、スピードを上げていく……

 

「……あそこだな!?」

 

「やっと着いたァ……!!」

 

「おい、待て!!」

 

 そう叫んでみたが、奴には届いていないようだ。家のドアを突き破って、入っていってしまった。

 

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「待てっての!!」

 

「きゃあぁぁぁーっ!!!」

 

 そこに行ってみると、昨日の奴が家族に爪を向けていた。

 

「会いたかったぜぇ、優美……!!!」

 

「まさか……浩輝!? どうしてここが……」

 

「ずっと追いかけてたんだよォ!! よくも、よくも俺を捨ててくれたな!!!」

 

 言い終わる前に、奴の前に立ち塞がる。

 

「おい、やめろ!!」

 

「あぁん!?」

 

「もう大丈夫ですよ。この人とはどういう関係ですか?」

 

 とりあえず、関係性を尋ねる。関係が分からないままだと困るからな……

 

「も、元夫です。ライダー不況でリストラに遭って……それからこんな風に暴れ始めて……子供まで叩かれて、仕方なく離婚したんです」

 

「自分が正しいかのように言いやがってッ!! 俺の気も知らないで、またぶん殴ってやる!!!」

 

「八つ当たりで虐待とDVとは……大丈夫か? もう心配いらないぞ」

 

 男の子に語りかける。もう傷つけさせない……

 

「ほんと……?」

 

「ホントさ!! 心配するなって!!」

 

「死ね!! ……なに!?」

 

 奴の爪を受け止める。昨日戦ったばかりだからな……

 

「君の名前を聞かせてくれ!!」

 

「アツト!!」

 

「ありがとう……アツトくんの分と優美さんの恨み、俺が代わりに晴らしてやる!! 覚悟しやがれ!!!」

 

 肩に力を込めて、タックルを繰り出す。奴を玄関の方へと押し出し、スライガーのある外に放り出した。

 

「グフゥッ!!」

 

「ここなら遠慮はいらんな……!!」

 

「ふざけんな!! 俺は被害者だぞォ!!!」

 

 喚き散らす男に、拳と共に怒りをぶつける。

 

「だから被害者を増やしていいのか!? そんなわけねぇだろ!!」

 

「若造が偉そうなことを抜かすなァァァ!!!」

 

「犯罪者が偉そうなことを抜かすな!!!」

 

 銃声が響いて、青い閃光が三発同時に炸裂する。サイガフォンだ。

 

「ギャアァァッ!?」

 

「一破さん、ナイスアシスト!!」

 

「今のうちに倒してしまいましょう!!」

 

 その言葉に頷いて返し、スライガーに乗り込む。メモリをデルタムーバーに差し込んで、必殺技の準備だ。

 

『Ready』

 

「ジェットスライガー……行くぞ!!」

 

「ギ、ガァ……!!」

 

 よし、当たる。これでおしまいだ……!! スライガーが発進しようとしていた、その時。

 

「そうはいくかァ!!!」

 

「なにっ!? タイヤが……!!」

 

「貴様は……雪村さんの言っていた、スコーピオンか!?」

 

 一破さんの声を聞いて、急いで振り向く。そこには、一破さんの言った通り……サソリ野郎がいた。

 

「貴様のせいで……私の立場はァ!! 絶対に許さんぞ、貴様だけはぶち殺す!! 最大の苦しみを味あわせてな!!!」

 

「……その様子だと、俺にボロ負けして上の人にクビにされたか? ざまぁみやがれ」

 

「その口を閉じろ、クソッタレがぁぁぁ!!!」

 

 図星らしいな。狙いすらつけず、浅い踏み込みの後に放たれた、乱雑な膝……体を捻って難なく躱し、地面を蹴りつける。奴の腰を見据えて、横から膝を突き刺した。

 

「ごぁッ!!」

 

「チェック!!」

 

『Exceed Charge』

 

 こいつで終わりだ。そう思って、サソリ野郎へとデルタムーバーを向けた。白い光が銃に集中して、必殺技の準備が成される。そのまま、ポインターをサソリ野郎に撃ち込む。

 

「ガッ……し、しまった……!!」

 

「お前からくたばれ!!!」

 

「……!! させるか!!」

 

 飛び上がろうとしていたところで、声を聞いて振り向くと……もう一方の奴が向かってきて、俺に爪を振り下ろしていた。咄嗟に防御したが……足の肉が思い切り抉られる。どうやら、サイガフォンは避けられたらしい。

 

「グゥッ……!!」

 

「油断大敵だぜ、デルタ!! おい、サソリ!! 俺に協力しな、さもないとぶち殺すぞ?」

 

「グァァァ……!! くっ、そぉぉ……リンクスゥ……!!」

 

 俺を後目に、奴はサソリ野郎の首を絞めている。顔面には爪が突きつけられており、とてもじゃないけど抜け出せないだろう。

 

「さっさと返事しな。さーん、にー、いーち……」

 

「わ、わかった……協力してやる!!」

 

「させてください、だろォ? オラ!!」

 

 爪の一撃を喰らって、サソリ野郎が地面を転がる……

 

「リンクス……山猫座か!!」

 

「山猫!! 仲間を大切にしない群れは破滅するぜ!!」

 

「仲間ァ? 違うね、俺が最強なんだ!! 俺が王なんだよ!! お前を殺せばそうなれる!! サソリも他の奴らもそのための駒なのさ!!!」

 

 傲慢な奴だな……だからクビになったんじゃないのか?

 

「俺より強い人なんかごまんといる!! デルタを倒したら最強だなんて、安易に考えてると痛い目見るぜ!!」

 

「謙虚ぶってんじゃねぇぞ、クソライダーが!! ほら、行けサソリ!! あいつをぶち殺せ!!」

 

「くっ……うぉぉぉぉーっ!!」

 

 サソリ野郎がこちらへとビームを撃ちつつ、向かってくる……躱すのは簡単だが、決定打を与えられない。二対一で、しかも相手が強いとあってはな……一方は倒すと、周囲に被害が及ぶし。

 

「さてと、どうするか……!!」

 

「今のうちに……!!」

 

「行かせるかよ!! ファイア!!」

 

 メモリを取り外して、銃を構える。一破さんも撃って止めてくれているな。

 

『Burst Mode』

 

「ぐぁぁぁぁっ!! くそぉっ、邪魔なんだよ!! おい、サソリ!! ちゃんと仕事しろ!! 警察もどうにかしろよ!!」

 

「うるさい、な……!! おのれぇ!!」

 

 さっきまでは手の針で刺そうとしてきていたが、頭の後ろの針が伸びてきた。さらに踏み込んで、腹を狙った足先が飛んでくる……俺は足先を横に移動して躱し、伸びてきた針を掴んだ。そして、奴が足を元の位置に戻す前に持ち上げて、転ばせる。

 

「うぉりゃあぁぁっ!!」

 

「な、なにィ!?」

 

「もらった!!」

 

 サソリ野郎を引き摺り回す。向かうのは、リンクスのところだ。

 

「おい!! こっち来んじゃねぇ!!」

 

「お前が……喰らえ!!」

 

「グギャァァァァーッ!!!」

 

 こいつの毒がなんなのかは知らないが、これでリンクスは動けないはずだ。

 

「ッ、神経系の毒が……!!」

 

「アガ、ガ……」

 

「これで実質、お前だけってわけだ!! 覚悟しろ!!」

 

 こいつさえ倒せば、あとはどうとでもなる。奴は明らかに焦っている……一回負けてるもんな。

 

「く……来るな!!」

 

「断る!!」

 

「うぐぁぁっ!!」

 

 銃弾が炸裂した。これで終わりだ……!!

 

『Ready』

 

「今度こそ顔を見せてもらうぞ!!」

 

「……なんてなァ?」

 

 奴はそう言って、地面を蹴りつけて大きく跳び、俺の後ろに回った。針を突き刺す気だと思って、拳を構えて振り向いたが……奴の針は、そこにはなかった。それが向けられているのは……さっき俺が動けなくした、リンクスだった。

 

「ッ、しまった……これでは……!!」

 

「ククク、最後の最後で墓穴を掘ったな……お前が私の毒針を使ったせいで、こいつは身動きが取れん。もしも私がこいつの心臓を一突きにすれば、この家の者達にも被害が及ぶなぁ……どうする!?」

 

「畜生……!! 考えたな!!!」

 

 まさか、あの行動が墓穴を掘っていたとは……本当にどうする? 奴に攻撃させたら、一巻の終わりだ。

 

「お褒めの言葉、どうもありがとう……さて。動くなよ、雪村康太? 動いたら、こいつにトドメを刺すぞ」

 

「ッ、卑劣なことを……!!」

 

「すぐに二人とも黙らせてやる……死ね!!!」

 

 こちらに走ってくる。どうする、考えろ。そう思っていた時……奴は、衝撃の行動に出た。一破さんを狙ったのだ。

 

「なっ!?」

 

「一破さん、危ないッ!!!」

 

「そうすると思っていたぞォ!!!」

 

 奴の手の針が、俺の胸に突き刺さりそうになって……間一髪、腕を受け止める。しかしその後、地面を蹴りつける音が聞こえて……左足に、激痛が走った。その場に崩れ落ちる……足が言うことを利かない。

 

「がぁ……!!!」

 

「阿呆は行動が読みやすくて助かるな……その毒は筋肉麻痺の毒だ。激痛を伴いながら体が動かなくなり、最後には心臓麻痺で死亡する……コズミックエナジーを使用した特別製だ、解毒は不可能!!! 悶え苦しんで死ぬがいいッ!!!」

 

「雪村さん!! スコーピオン、貴様ァァ!!!」

 

 怒りながら、一破さんがサイガフォンを撃ってくれたが……難なく避けられた。

 

「おっと。さて……雪村、お前は今動いたな? そういうわけで、こいつにはトドメを刺すぞ……悪く思うな!!」

 

「や、めろ…….!!」

 

「卑怯者めぇぇぇっ!!!」

 

 どうする? どうする!? 考えろ、そうしないとまた被害が出る。罪のない人が死ぬ、一破さんが殺される!!

 

「爆裂しろォ、リンクスゥゥ!!」

 

「やめろぉぉぉーっ!!!」

 

「うぉぉぉぉぉッ!!!」

 

 毒が回るまでには、少し時間があると奴は言っていた。なら……毒が回らないようにしてしまえばいい!!! そう思って、俺は……仮面ライダーの力を使って、切れ込みの入った自分の足を……無理矢理、引き千切った。ブチブチと音がして、凄まじい痛みが走ったが……気にしてなどいられない。

 

「なんだ? 無駄な足掻きは……なにィィッ!?」

 

「グガッ、ギ……オラァァァァ!!!」

 

「ごぶぅっ!?」

 

 奴が驚いたところに、乱雑に千切った足を投げつける。硬い装甲を纏っていたおかげで、それにぶつかって奴は倒れ込んだ。驚いていたからか、避けることもできなかったらしいな。

 

「な、なんてことを……!!! それは自分の足ですよ!?」

 

「ははは、わかって、ますよ……あやめに、大目玉喰らいそうだな……一破さんこそ、怪我は……?」

 

「私は無傷ですが……こんな時まで!!」

 

 なら、よかった。これで毒は帳消しだな……!!

 

「こ、こいつ……狂ってる……!!」

 

「狂っているだと……? お前の方が狂人だろうが、クソサソリ……!!」

 

「ッ、だが……これでは、必殺技は撃てないだろう!! 私の優勢に何ら変わりは無いッ!!!」

 

 そこが問題だよな……さて、どうするか。立つこともままならないし……

 

「チャージ……!!」

 

『Charge』

 

「おっと、撃ってみろ!! こいつは爆発するぞ!?」

 

 奴はリンクスを盾にしている……本当にどうしようもないのか? いや……!!

 

「うぉぉぉぉっ!!」

 

「無謀にも這ってくるか!! 雪村康太、愚かなり!! その愚かさ……死をもって償え!!!」

 

「雪村さん、何を!?」

 

 それはどうかな? 仮面の下で笑って……足を持って、血を吹き出させた。狙いは奴の顔面……銃を構えてないからって、油断したな!!

 

「ぎぃぃ!? くそっ、自分の足だというのに……!!」

 

「自分の足、だからだよ……!!」

 

「……なに!?」

 

 奴が顔を擦って、血を払っている時を狙い……落ちている足を拾い上げ、その足先をリンクスと奴の体の隙間に引っ掛けて……てこの原理で、無理矢理引き抜いた。これで盾はないな!!

 

「い、いかん……!! 私の盾が……」

 

「喰らえ!!!」

 

「グワァァァァァッ!!!」

 

 銃弾が12発、全弾炸裂する。奴に追い討ちをかけるために、また這っていこうとしたが……

 

「せ、せめて……リンクスだけでもッ!!」

 

「ッ……しまった!!」

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

 頭の後ろの針が、伸びてきた。ダメだ、戻るには間に合わない……!! 銃弾を装填し直そうとした、その時……青い光が、夜空を駆け抜けた。

 

「ぐはぁぁっ!?」

 

「青い星が……降ってきた!?」

 

「貴様……何者だ!?」

 

 青い光が、地面に降りてきて……そこから現れたのは。

 

「ベルトがある……仮面ライダーか……?」

 

「……仮面ライダーメテオ。アンタの運命は……私が決める」

 

「メテオ……!? なんだそれは、私は知らんぞ!? まさか、例のライダーシステム……完成したのか!?」

 

 声にエフェクトがかかっていて、性別が判別できない。メテオはこちらを見た後に、サソリ野郎に向かってゆく……

 

「うぉらぁぁぁっ!!」

 

「グフッ!? このパワー……デルタに匹敵する……!!」

 

「こいつを喰らえっ!!」

 

 腕に装備されている装置を、メテオが操作すると……音声が鳴った。

 

『サターン、Leady?』

 

『OK! サターン!!』

 

「そりゃあぁぁっ!!」

 

 3つの輪をメテオが投げると、それは勝手にサソリ野郎に飛んでいき、サソリ野郎を切り裂いていく。

 

「ぐはぁぁぁっ!? な、なんだこの力は……!? どこから現れた!?」

 

『ジュピター、Leady?』

 

「土星の次は木星か……!?」

 

 一破さんがそう言っている……メテオって名乗るだけあって、攻撃も星の名前なんだな。

 

『OK! ジュピター!!』

 

「オラァァァァ!!」

 

「ごぶっ!!!」

 

 メテオが手に木星の形をした大きな球を出して、サソリ野郎を殴りつける。奴は思いっきり地面に叩きつけられた……そうだ、加勢しないと……

 

「メテオ、手を貸すぜ……チャージ!!」

 

『Charge』

 

「おのれ……図に乗るな!!」

 

 頭の後ろの針が、メテオに向かって突き出された……だがメテオは、それを難なく躱した……その後にサソリ野郎が放った光線も、全て当たっていない。

 

「なんて戦闘センス……踊るように攻撃を躱している……」

 

「踊ってる……確かに言われてみれば……」

 

「くぅ、当たれっ……!!」

 

 ひらひらと、恰も風に吹かれて舞う木の葉のように、攻撃を全て避けながら、サソリ野郎に接近していく……

 

『マーズ、Leady?』

 

『OK! マーズ!!』

 

「喰らえぇぇっ!!」

 

 周りが歪んで見える程の熱を纏った、赤い球がサソリ野郎に炸裂して……サソリ野郎を大きく吹っ飛ばした。こちらにサソリ野郎が飛んでくる……迷わず、銃を構えた。

 

「そこだ、喰らいやがれ!!」

 

「こいつも持っていけ!!」

 

「ギャアァァァーッ!!! い、いかん……このままでは、やられる!! 一旦撤退だ……覚えておけッ!!!」

 

 奴は忍者を出して、どこかに行ってしまった。こいつらは弱いが……くそ。

 

「ッ、待て!!」

 

「ダメだ、今から追いかけても間に合わない!!」

 

「メテオさん、こっちは任せてください!!」

 

 台詞取られちゃったな。そう思いつつ、銃を忍者達に構えた。

 

「邪魔はさせんぞ!!」

 

「消えろ、消えろぉ!!」

 

「……アンタの運命が決まる時だ、リンクス」

 

 メテオがそう言って、リンクスを上空に放り投げた。それから青い何かを、腕の装備に差し込む。すると……また音が鳴り始めた。

 

『LIMIT BREAK!!』

 

「ダメだ、メテオ!! そいつはラストワンになってる、大爆発するぞ!!」

 

『LIMIT BREAK!!』

 

 俺達の言葉に耳を貸すことはなく、メテオは攻撃する気満々だ。

 

『OK!』

 

「はぁぁぁぁ……でぇやぁぁぁぁっ!!!」

 

「手から青い光線が出た!?」

 

 メテオが腕を突き出す度に、光線がリンクスを上へと押し上げてゆく。奴が上空に上がっていって、見えなくなったところで……爆発した。

 

「外れか……まぁ、仕方ない」

 

「ま、待ってください! あなたは……?」

 

「……」

 

 一破さんの質問に答えることはなく、メテオはどこかへと走り去ってしまった。

 

「行ってしまった……」

 

「外れって、何のことだ……? 覚醒のことか? 倒す気満々に見えたけどな……」

 

「ッ、今はそれよりも……なんて量の出血だ、早く処置しないと……!! 今救急車を呼びますからね!!」

 

 そう言われて、しばらくすると……救急隊員さん達が来て、病院に運ばれた。足がない理由を説明したら……みんな呆れていた。ちなみに、治療費は学園側が持ってくれるようだ。ありがとうございます。

 

「毒を打ち込まれたからって、自分の足を引き千切るなんて……おかしいですよ」

 

「いや、心臓麻痺するって言われたんで……仕方なく」

 

「それに、どうして足を武器にしようという考えに至るんですか? 意味がわかりませんよ」

 

 本気で困惑すると同時に、ドン引きしているようだ。まぁ、こんなことするのは俺くらいのもんだよな。

 

「その場にあった武器だったのでね。多分あれ、使えないですよね?」

 

「まぁ、仮面ライダーの力で血管を押し潰しちゃってるし、穴も空いてるし……義足にするしかないでしょうね」

 

「これで腕一本と足一本、か……俺もサイボーグ化が進んできたなぁ」

 

 呑気にそう言っていると、お医者さんに溜息をつかれた。

 

「はぁぁ……腕に続いて足すらも無くなっているのに、その明るさはどこから来るのやら……」

 

「はい! 頭から来てます!!」

 

「……とりあえず、義足が出来たら連絡します。それまでは戦えないので、絶ッッ対に動かないでください」

 

 強調して言われた。まぁ、立てなきゃ流石に戦えない。大人しくしていよう……

 

「わかりました、大人しくしてます」

 

「言っといてなんだけど、信用できないな……拘束具でもつけるか?」

 

「普通に苦しそうなんでやめてください」

 

 戦いで苦しむのは当然だし、全然構わないが……拘束具は窮屈そうだから嫌だ。テレビが見れないし、果物も食べられないし……

 

「じゃあ、安静にしていてくださいね。くれぐれも」

 

「はい!!」

 

「では、失礼します」

 

 お医者さんが次の人のところに行った……動けないので、メテオについて考える。

 

「そもそも、なんで助けてくれたんだ……?」

 

 多分、財団X製じゃないよな。危険因子を助ける理由なんてゼロだもん……

 

「ホロスコープスのサソリ野郎が知らなかったってことは、クビになった後に作られたのか。変身者は誰だ?」

 

 声に強いエフェクトがかかっていて、男女どちらかが判別できなかったけど……

 

「助けてくれたし、味方だよな……今度会えたら、まずお礼言わないと」

 

 そう呟きながら、俺は空を見つめていた……のだが。扉が開かれる音が聞こえて、そちらを振り向くと……

 

「……康太様~?」

 

「あっ……あやめ……怒ってる?」

 

「怒ってない余? でも……針千本、持ってきた余!!」

 

 超怒ってるじゃんっ!!!

 

 

 

「おい、八神。どうしてデルタを助けた?」

 

 佐々木が八神に、怒りの籠った声で言う。八神は相も変わらず、気だるそうに欠伸をしながら答えた。

 

「ふぁ~あ……なんだよ天秤野郎。文句あんのか?」

 

「リブラと呼べと言っているだろうが!!」

 

「へいへい、クソリブラ……昼寝してんだよ、俺。見てわかんない? しっしっ」

 

 仲間同士とは思えない、憤怒と嫌悪の漂う空間。

 

「質問に答えろ。どうして社長の邪魔者を助けた!?」

 

「性能テスト。あと、あいつがムカついたからだよ……調子乗ったこと言ってやがったからな、俺直々に行こうかと思ったが……せっかくだから、あいつを使った。これで満足だろ? 出ていけ。それとも殺されたいか?」

 

「チッ……死ぬのは貴様だ。いつか殺してやる」

 

 そう言って、佐々木が姿を消した。八神はそんな佐々木を嘲笑っている……

 

「負け犬もここまで極まると、哀れだねェ……さてと、こちらヴァルゴ。聞こえてるかぁ?」

 

『……こちら、メテオ。ヴァルゴ、何の用?』

 

「いや、着心地はどうだったかを確認したくてな。最高だったろ?」

 

 メテオはヴァルゴに対して、不快感を露わにしている。

 

『そんなことより……私が使命を果たせば、本当にあの子は開放されるんだね?』

 

「お前もしつこいなぁ……前からそうだって言ってるだろうが」

 

『もしも嘘だったら、何がなんでも貴様らを殺すよ……私の手でね』

 

 明確な殺意の籠った、脅迫。それをヴァルゴは、鼻で笑った。

 

「あーはいはい。頑張ってみろよ、機会があればなァ」

 

『……切るよ』

 

「ったく、佐々木といい神宮寺といい、短気は損気ってわからねぇのかね……バカだからか!! ヘヘヘッ……さてと、もう一眠りするかな……」

 

 そう言ってヴァルゴは、今一度惰眠に身を任せた。




 仮面ライダーメテオの登場です。
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