お待たせしました。
俺はあの後、警備を交代して睡眠を2時間取った後に、トレーニングをこなして、今回の件を学園長に報告しに行った。
「……その人の顔は、本当に雪村くんだったのかい?」
「はい、間違いありません。私も未だに信じられませんけど……」
「リブラも、偶然通り掛かるような時間帯でもないし、ずっと潜伏していたのか……? それに、どうして学園に来ない?」
それが疑問なんだ……仮説はあるが、俺の憶測の域を出ないし……
「説明をつけるなら、完全に憶測になってしまいますしね……」
「君の予想を聞いておきたい……君はどう考えている?」
「僕の考えとしては……奴らは財団Xと関わりを持った、もう1つの組織ではないかと考えています」
これが一番、筋が通っていると思う。
「ほう、何故だい?」
「はい。奴らは財団Xが度々口にしていた『危険因子』という呼び方を全くしていません……危険因子を狙いに来たという情報もありませんしね。ハウンドは個人的に僕を恨んでいましたし……」
「危険因子の排除が史上目的ではない、ということか……では、その組織の目的は?」
少なくとも俺は、それ以外に考えられない。あんなに危険因子を排除したがっていたのに、急に心変わりするなんて……奴らにとってもメリットがないはずだ、危険因子に成長されてしまって、叩き潰されたら一巻の終わりなのだから。
「これもほぼ根拠のない僕の憶測なので、話半分に聞いていただきたいのですが……ハウンドやリブラの言っていた『覚醒』、そしてペルセウスに起こった謎の現象。ゾディアーツは特定の条件下で覚醒を起こす……それが奴らの目的かと」
「強いゾディアーツの生産か……? それを作って、何をする? 世界を侵略するつもりなのか?」
「そこまでは、まだわかりませんが……恐らく、例のスイッチを財団Xから売ってもらったのでしょう。奴らを完全に叩き潰せたわけではありませんから……暁を殺さない限り、奴らはしぶとく蘇るでしょう」
名前でしか聞いたことがないが、度々奴らが口にする名前。暁は多分、奴らのボスだ。
「今は蘇るための準備期間というわけか……本拠地を突き止めたいところだが、私達は全能ではないし……」
「スライガーで行ける範囲にも、警備やトレーニングを考えると限界がありますよ……」
「こちらの手札が少なすぎる……奴らの方が誰がどう見ても強いのに、我々に大きなハンディをつけてきている……理不尽極まりない」
デルタギアとジェットスライガー。俺が手に入れて、現在唯一使える、仮面ライダーの力……それでも、この力を量産できる財団Xの方が、圧倒的に有利だ。
「兎も角、今は取り逃したゾディアーツを捜索します。残しておいたら……あいつは確実に、人を殺す」
「一度倒しているからな、恐らく『ラストワン』になるだろう。くれぐれも気をつけてね」
「わかっています。それでは……」
学園長の部屋を出て、考える。サソリ野郎や天秤野郎がよく口にする『ホロスコープス』という単語、そしてあの時の『ヴァルゴ』……
「確認できているのは三人……十二星座って言うからには、あと九人いるはずだ」
そいつらのボスなら、暁のことを知っているかもしれない。
「奴らのボスを見つけ出したら、締め上げて暁の情報を吐かせてやる……!!」
これからは捜索範囲をもう少し広げてみよう。千葉や神奈川の方にも行って……奴らを探す。あと、取り逃したあいつもな。
「100の言葉より1つの行動だ、早く行こう……!!」
ホロスコープスや逃がしたあいつが動き出していない保証はどこにもない。そう思って、デルタギアを構える。
「変身!!」
『Standing by』
『Compleat』
デルタに変身し、校庭のスライガーに飛び乗る。準備OKだな……!!
「確か、逃がしたあいつはあっちから走ってきてたよな……」
見に行ってみるか……そう思って、俺はスライガーのエンジンを入れて、離陸した。
「流石に前みたいに堂々とはしてないか……」
当然だろう、昨日はそのせいで散々な目に遭ったのだから。
「どこか行きたいところがあるみたいだったが……一体どこに行くつもりだったんだろう?」
奴が来た方向に行っても、人が住んでいそうな場所なんて山ほどある。それなら……
「聞き込みをしてみるか……」
スライガーを駐車場に置いて、デルタの姿のまま街に出る。
「おい、あれデルタじゃないか?」
「はい! 仮面ライダーデルタです!!」
「やっぱり……!!」
よし……みんなの気をいい感じに引けているな。
「すみません、こちらの方から化け物が走ってきませんでしたか?」
「化け物? う~ん、見てないな……」
「私も……」
みんな見てないか……やっぱり、もうどこかへ向かってしまったのだろうか?
「わかりました、ご協力感謝します!!」
「あ、サイン……!!」
「ごめんね、また今度!!」
男の子にそう言って、走り去る。今は一刻も早く奴を見つけねばならない。誰を殺すかわからない以上は……!!
「さて……一体、どこに行ったのか……」
ここでじっとしていても、変わることはない。なら、もう一回学園の方をパトロールしてみるか。
「あいつがあれで諦めてくれるとは思えない……出発に間に合わなかったなら、急がないと」
そう呟いて、俺はまたスライガーに乗り込もうとしたが……電話がかかってきた。変身を解いて、ポケットからスマホを取り出す。
「はい、雪村です……どうしました?」
『一破です! 雪村さん、未確認生命体の目撃情報が入りました!!』
「本当ですか!? そいつらはどこに!?」
早く向かわないと、また犠牲者が出てしまう……デルタフォンを構え直したが、一破さんはそこへさらに衝撃的な言葉を口にした。
『今、衛星が位置情報を送ってくれています。そちらに転送しますね!!』
「ありがとうございます!! 衛星もちゃんと役に立ったな!!」
『私もその場に急行しますので、切りますね!!』
そう言って、電話は切れた。昨日の奴の目的は結局、わからなかったな。それなら……
「今日こそはとっ捕まえて、その後に聞き出してやる!! 変身!!」
『Standing by』
『Complete』
スライガーに乗り込んで、すぐに離陸する。思い切りレバーを引いて、スピードを上げていく……
「……あそこだな!?」
「やっと着いたァ……!!」
「おい、待て!!」
そう叫んでみたが、奴には届いていないようだ。家のドアを突き破って、入っていってしまった。
「うぉぉぉぉっ!!」
「待てっての!!」
「きゃあぁぁぁーっ!!!」
そこに行ってみると、昨日の奴が家族に爪を向けていた。
「会いたかったぜぇ、優美……!!!」
「まさか……浩輝!? どうしてここが……」
「ずっと追いかけてたんだよォ!! よくも、よくも俺を捨ててくれたな!!!」
言い終わる前に、奴の前に立ち塞がる。
「おい、やめろ!!」
「あぁん!?」
「もう大丈夫ですよ。この人とはどういう関係ですか?」
とりあえず、関係性を尋ねる。関係が分からないままだと困るからな……
「も、元夫です。ライダー不況でリストラに遭って……それからこんな風に暴れ始めて……子供まで叩かれて、仕方なく離婚したんです」
「自分が正しいかのように言いやがってッ!! 俺の気も知らないで、またぶん殴ってやる!!!」
「八つ当たりで虐待とDVとは……大丈夫か? もう心配いらないぞ」
男の子に語りかける。もう傷つけさせない……
「ほんと……?」
「ホントさ!! 心配するなって!!」
「死ね!! ……なに!?」
奴の爪を受け止める。昨日戦ったばかりだからな……
「君の名前を聞かせてくれ!!」
「アツト!!」
「ありがとう……アツトくんの分と優美さんの恨み、俺が代わりに晴らしてやる!! 覚悟しやがれ!!!」
肩に力を込めて、タックルを繰り出す。奴を玄関の方へと押し出し、スライガーのある外に放り出した。
「グフゥッ!!」
「ここなら遠慮はいらんな……!!」
「ふざけんな!! 俺は被害者だぞォ!!!」
喚き散らす男に、拳と共に怒りをぶつける。
「だから被害者を増やしていいのか!? そんなわけねぇだろ!!」
「若造が偉そうなことを抜かすなァァァ!!!」
「犯罪者が偉そうなことを抜かすな!!!」
銃声が響いて、青い閃光が三発同時に炸裂する。サイガフォンだ。
「ギャアァァッ!?」
「一破さん、ナイスアシスト!!」
「今のうちに倒してしまいましょう!!」
その言葉に頷いて返し、スライガーに乗り込む。メモリをデルタムーバーに差し込んで、必殺技の準備だ。
『Ready』
「ジェットスライガー……行くぞ!!」
「ギ、ガァ……!!」
よし、当たる。これでおしまいだ……!! スライガーが発進しようとしていた、その時。
「そうはいくかァ!!!」
「なにっ!? タイヤが……!!」
「貴様は……雪村さんの言っていた、スコーピオンか!?」
一破さんの声を聞いて、急いで振り向く。そこには、一破さんの言った通り……サソリ野郎がいた。
「貴様のせいで……私の立場はァ!! 絶対に許さんぞ、貴様だけはぶち殺す!! 最大の苦しみを味あわせてな!!!」
「……その様子だと、俺にボロ負けして上の人にクビにされたか? ざまぁみやがれ」
「その口を閉じろ、クソッタレがぁぁぁ!!!」
図星らしいな。狙いすらつけず、浅い踏み込みの後に放たれた、乱雑な膝……体を捻って難なく躱し、地面を蹴りつける。奴の腰を見据えて、横から膝を突き刺した。
「ごぁッ!!」
「チェック!!」
『Exceed Charge』
こいつで終わりだ。そう思って、サソリ野郎へとデルタムーバーを向けた。白い光が銃に集中して、必殺技の準備が成される。そのまま、ポインターをサソリ野郎に撃ち込む。
「ガッ……し、しまった……!!」
「お前からくたばれ!!!」
「……!! させるか!!」
飛び上がろうとしていたところで、声を聞いて振り向くと……もう一方の奴が向かってきて、俺に爪を振り下ろしていた。咄嗟に防御したが……足の肉が思い切り抉られる。どうやら、サイガフォンは避けられたらしい。
「グゥッ……!!」
「油断大敵だぜ、デルタ!! おい、サソリ!! 俺に協力しな、さもないとぶち殺すぞ?」
「グァァァ……!! くっ、そぉぉ……リンクスゥ……!!」
俺を後目に、奴はサソリ野郎の首を絞めている。顔面には爪が突きつけられており、とてもじゃないけど抜け出せないだろう。
「さっさと返事しな。さーん、にー、いーち……」
「わ、わかった……協力してやる!!」
「させてください、だろォ? オラ!!」
爪の一撃を喰らって、サソリ野郎が地面を転がる……
「リンクス……山猫座か!!」
「山猫!! 仲間を大切にしない群れは破滅するぜ!!」
「仲間ァ? 違うね、俺が最強なんだ!! 俺が王なんだよ!! お前を殺せばそうなれる!! サソリも他の奴らもそのための駒なのさ!!!」
傲慢な奴だな……だからクビになったんじゃないのか?
「俺より強い人なんかごまんといる!! デルタを倒したら最強だなんて、安易に考えてると痛い目見るぜ!!」
「謙虚ぶってんじゃねぇぞ、クソライダーが!! ほら、行けサソリ!! あいつをぶち殺せ!!」
「くっ……うぉぉぉぉーっ!!」
サソリ野郎がこちらへとビームを撃ちつつ、向かってくる……躱すのは簡単だが、決定打を与えられない。二対一で、しかも相手が強いとあってはな……一方は倒すと、周囲に被害が及ぶし。
「さてと、どうするか……!!」
「今のうちに……!!」
「行かせるかよ!! ファイア!!」
メモリを取り外して、銃を構える。一破さんも撃って止めてくれているな。
『Burst Mode』
「ぐぁぁぁぁっ!! くそぉっ、邪魔なんだよ!! おい、サソリ!! ちゃんと仕事しろ!! 警察もどうにかしろよ!!」
「うるさい、な……!! おのれぇ!!」
さっきまでは手の針で刺そうとしてきていたが、頭の後ろの針が伸びてきた。さらに踏み込んで、腹を狙った足先が飛んでくる……俺は足先を横に移動して躱し、伸びてきた針を掴んだ。そして、奴が足を元の位置に戻す前に持ち上げて、転ばせる。
「うぉりゃあぁぁっ!!」
「な、なにィ!?」
「もらった!!」
サソリ野郎を引き摺り回す。向かうのは、リンクスのところだ。
「おい!! こっち来んじゃねぇ!!」
「お前が……喰らえ!!」
「グギャァァァァーッ!!!」
こいつの毒がなんなのかは知らないが、これでリンクスは動けないはずだ。
「ッ、神経系の毒が……!!」
「アガ、ガ……」
「これで実質、お前だけってわけだ!! 覚悟しろ!!」
こいつさえ倒せば、あとはどうとでもなる。奴は明らかに焦っている……一回負けてるもんな。
「く……来るな!!」
「断る!!」
「うぐぁぁっ!!」
銃弾が炸裂した。これで終わりだ……!!
『Ready』
「今度こそ顔を見せてもらうぞ!!」
「……なんてなァ?」
奴はそう言って、地面を蹴りつけて大きく跳び、俺の後ろに回った。針を突き刺す気だと思って、拳を構えて振り向いたが……奴の針は、そこにはなかった。それが向けられているのは……さっき俺が動けなくした、リンクスだった。
「ッ、しまった……これでは……!!」
「ククク、最後の最後で墓穴を掘ったな……お前が私の毒針を使ったせいで、こいつは身動きが取れん。もしも私がこいつの心臓を一突きにすれば、この家の者達にも被害が及ぶなぁ……どうする!?」
「畜生……!! 考えたな!!!」
まさか、あの行動が墓穴を掘っていたとは……本当にどうする? 奴に攻撃させたら、一巻の終わりだ。
「お褒めの言葉、どうもありがとう……さて。動くなよ、雪村康太? 動いたら、こいつにトドメを刺すぞ」
「ッ、卑劣なことを……!!」
「すぐに二人とも黙らせてやる……死ね!!!」
こちらに走ってくる。どうする、考えろ。そう思っていた時……奴は、衝撃の行動に出た。一破さんを狙ったのだ。
「なっ!?」
「一破さん、危ないッ!!!」
「そうすると思っていたぞォ!!!」
奴の手の針が、俺の胸に突き刺さりそうになって……間一髪、腕を受け止める。しかしその後、地面を蹴りつける音が聞こえて……左足に、激痛が走った。その場に崩れ落ちる……足が言うことを利かない。
「がぁ……!!!」
「阿呆は行動が読みやすくて助かるな……その毒は筋肉麻痺の毒だ。激痛を伴いながら体が動かなくなり、最後には心臓麻痺で死亡する……コズミックエナジーを使用した特別製だ、解毒は不可能!!! 悶え苦しんで死ぬがいいッ!!!」
「雪村さん!! スコーピオン、貴様ァァ!!!」
怒りながら、一破さんがサイガフォンを撃ってくれたが……難なく避けられた。
「おっと。さて……雪村、お前は今動いたな? そういうわけで、こいつにはトドメを刺すぞ……悪く思うな!!」
「や、めろ…….!!」
「卑怯者めぇぇぇっ!!!」
どうする? どうする!? 考えろ、そうしないとまた被害が出る。罪のない人が死ぬ、一破さんが殺される!!
「爆裂しろォ、リンクスゥゥ!!」
「やめろぉぉぉーっ!!!」
「うぉぉぉぉぉッ!!!」
毒が回るまでには、少し時間があると奴は言っていた。なら……毒が回らないようにしてしまえばいい!!! そう思って、俺は……仮面ライダーの力を使って、切れ込みの入った自分の足を……無理矢理、引き千切った。ブチブチと音がして、凄まじい痛みが走ったが……気にしてなどいられない。
「なんだ? 無駄な足掻きは……なにィィッ!?」
「グガッ、ギ……オラァァァァ!!!」
「ごぶぅっ!?」
奴が驚いたところに、乱雑に千切った足を投げつける。硬い装甲を纏っていたおかげで、それにぶつかって奴は倒れ込んだ。驚いていたからか、避けることもできなかったらしいな。
「な、なんてことを……!!! それは自分の足ですよ!?」
「ははは、わかって、ますよ……あやめに、大目玉喰らいそうだな……一破さんこそ、怪我は……?」
「私は無傷ですが……こんな時まで!!」
なら、よかった。これで毒は帳消しだな……!!
「こ、こいつ……狂ってる……!!」
「狂っているだと……? お前の方が狂人だろうが、クソサソリ……!!」
「ッ、だが……これでは、必殺技は撃てないだろう!! 私の優勢に何ら変わりは無いッ!!!」
そこが問題だよな……さて、どうするか。立つこともままならないし……
「チャージ……!!」
『Charge』
「おっと、撃ってみろ!! こいつは爆発するぞ!?」
奴はリンクスを盾にしている……本当にどうしようもないのか? いや……!!
「うぉぉぉぉっ!!」
「無謀にも這ってくるか!! 雪村康太、愚かなり!! その愚かさ……死をもって償え!!!」
「雪村さん、何を!?」
それはどうかな? 仮面の下で笑って……足を持って、血を吹き出させた。狙いは奴の顔面……銃を構えてないからって、油断したな!!
「ぎぃぃ!? くそっ、自分の足だというのに……!!」
「自分の足、だからだよ……!!」
「……なに!?」
奴が顔を擦って、血を払っている時を狙い……落ちている足を拾い上げ、その足先をリンクスと奴の体の隙間に引っ掛けて……てこの原理で、無理矢理引き抜いた。これで盾はないな!!
「い、いかん……!! 私の盾が……」
「喰らえ!!!」
「グワァァァァァッ!!!」
銃弾が12発、全弾炸裂する。奴に追い討ちをかけるために、また這っていこうとしたが……
「せ、せめて……リンクスだけでもッ!!」
「ッ……しまった!!」
「死ねぇぇぇ!!」
頭の後ろの針が、伸びてきた。ダメだ、戻るには間に合わない……!! 銃弾を装填し直そうとした、その時……青い光が、夜空を駆け抜けた。
「ぐはぁぁっ!?」
「青い星が……降ってきた!?」
「貴様……何者だ!?」
青い光が、地面に降りてきて……そこから現れたのは。
「ベルトがある……仮面ライダーか……?」
「……仮面ライダーメテオ。アンタの運命は……私が決める」
「メテオ……!? なんだそれは、私は知らんぞ!? まさか、例のライダーシステム……完成したのか!?」
声にエフェクトがかかっていて、性別が判別できない。メテオはこちらを見た後に、サソリ野郎に向かってゆく……
「うぉらぁぁぁっ!!」
「グフッ!? このパワー……デルタに匹敵する……!!」
「こいつを喰らえっ!!」
腕に装備されている装置を、メテオが操作すると……音声が鳴った。
『サターン、Leady?』
『OK! サターン!!』
「そりゃあぁぁっ!!」
3つの輪をメテオが投げると、それは勝手にサソリ野郎に飛んでいき、サソリ野郎を切り裂いていく。
「ぐはぁぁぁっ!? な、なんだこの力は……!? どこから現れた!?」
『ジュピター、Leady?』
「土星の次は木星か……!?」
一破さんがそう言っている……メテオって名乗るだけあって、攻撃も星の名前なんだな。
『OK! ジュピター!!』
「オラァァァァ!!」
「ごぶっ!!!」
メテオが手に木星の形をした大きな球を出して、サソリ野郎を殴りつける。奴は思いっきり地面に叩きつけられた……そうだ、加勢しないと……
「メテオ、手を貸すぜ……チャージ!!」
『Charge』
「おのれ……図に乗るな!!」
頭の後ろの針が、メテオに向かって突き出された……だがメテオは、それを難なく躱した……その後にサソリ野郎が放った光線も、全て当たっていない。
「なんて戦闘センス……踊るように攻撃を躱している……」
「踊ってる……確かに言われてみれば……」
「くぅ、当たれっ……!!」
ひらひらと、恰も風に吹かれて舞う木の葉のように、攻撃を全て避けながら、サソリ野郎に接近していく……
『マーズ、Leady?』
『OK! マーズ!!』
「喰らえぇぇっ!!」
周りが歪んで見える程の熱を纏った、赤い球がサソリ野郎に炸裂して……サソリ野郎を大きく吹っ飛ばした。こちらにサソリ野郎が飛んでくる……迷わず、銃を構えた。
「そこだ、喰らいやがれ!!」
「こいつも持っていけ!!」
「ギャアァァァーッ!!! い、いかん……このままでは、やられる!! 一旦撤退だ……覚えておけッ!!!」
奴は忍者を出して、どこかに行ってしまった。こいつらは弱いが……くそ。
「ッ、待て!!」
「ダメだ、今から追いかけても間に合わない!!」
「メテオさん、こっちは任せてください!!」
台詞取られちゃったな。そう思いつつ、銃を忍者達に構えた。
「邪魔はさせんぞ!!」
「消えろ、消えろぉ!!」
「……アンタの運命が決まる時だ、リンクス」
メテオがそう言って、リンクスを上空に放り投げた。それから青い何かを、腕の装備に差し込む。すると……また音が鳴り始めた。
『LIMIT BREAK!!』
「ダメだ、メテオ!! そいつはラストワンになってる、大爆発するぞ!!」
『LIMIT BREAK!!』
俺達の言葉に耳を貸すことはなく、メテオは攻撃する気満々だ。
『OK!』
「はぁぁぁぁ……でぇやぁぁぁぁっ!!!」
「手から青い光線が出た!?」
メテオが腕を突き出す度に、光線がリンクスを上へと押し上げてゆく。奴が上空に上がっていって、見えなくなったところで……爆発した。
「外れか……まぁ、仕方ない」
「ま、待ってください! あなたは……?」
「……」
一破さんの質問に答えることはなく、メテオはどこかへと走り去ってしまった。
「行ってしまった……」
「外れって、何のことだ……? 覚醒のことか? 倒す気満々に見えたけどな……」
「ッ、今はそれよりも……なんて量の出血だ、早く処置しないと……!! 今救急車を呼びますからね!!」
そう言われて、しばらくすると……救急隊員さん達が来て、病院に運ばれた。足がない理由を説明したら……みんな呆れていた。ちなみに、治療費は学園側が持ってくれるようだ。ありがとうございます。
「毒を打ち込まれたからって、自分の足を引き千切るなんて……おかしいですよ」
「いや、心臓麻痺するって言われたんで……仕方なく」
「それに、どうして足を武器にしようという考えに至るんですか? 意味がわかりませんよ」
本気で困惑すると同時に、ドン引きしているようだ。まぁ、こんなことするのは俺くらいのもんだよな。
「その場にあった武器だったのでね。多分あれ、使えないですよね?」
「まぁ、仮面ライダーの力で血管を押し潰しちゃってるし、穴も空いてるし……義足にするしかないでしょうね」
「これで腕一本と足一本、か……俺もサイボーグ化が進んできたなぁ」
呑気にそう言っていると、お医者さんに溜息をつかれた。
「はぁぁ……腕に続いて足すらも無くなっているのに、その明るさはどこから来るのやら……」
「はい! 頭から来てます!!」
「……とりあえず、義足が出来たら連絡します。それまでは戦えないので、絶ッッ対に動かないでください」
強調して言われた。まぁ、立てなきゃ流石に戦えない。大人しくしていよう……
「わかりました、大人しくしてます」
「言っといてなんだけど、信用できないな……拘束具でもつけるか?」
「普通に苦しそうなんでやめてください」
戦いで苦しむのは当然だし、全然構わないが……拘束具は窮屈そうだから嫌だ。テレビが見れないし、果物も食べられないし……
「じゃあ、安静にしていてくださいね。くれぐれも」
「はい!!」
「では、失礼します」
お医者さんが次の人のところに行った……動けないので、メテオについて考える。
「そもそも、なんで助けてくれたんだ……?」
多分、財団X製じゃないよな。危険因子を助ける理由なんてゼロだもん……
「ホロスコープスのサソリ野郎が知らなかったってことは、クビになった後に作られたのか。変身者は誰だ?」
声に強いエフェクトがかかっていて、男女どちらかが判別できなかったけど……
「助けてくれたし、味方だよな……今度会えたら、まずお礼言わないと」
そう呟きながら、俺は空を見つめていた……のだが。扉が開かれる音が聞こえて、そちらを振り向くと……
「……康太様~?」
「あっ……あやめ……怒ってる?」
「怒ってない余? でも……針千本、持ってきた余!!」
超怒ってるじゃんっ!!!
「おい、八神。どうしてデルタを助けた?」
佐々木が八神に、怒りの籠った声で言う。八神は相も変わらず、気だるそうに欠伸をしながら答えた。
「ふぁ~あ……なんだよ天秤野郎。文句あんのか?」
「リブラと呼べと言っているだろうが!!」
「へいへい、クソリブラ……昼寝してんだよ、俺。見てわかんない? しっしっ」
仲間同士とは思えない、憤怒と嫌悪の漂う空間。
「質問に答えろ。どうして社長の邪魔者を助けた!?」
「性能テスト。あと、あいつがムカついたからだよ……調子乗ったこと言ってやがったからな、俺直々に行こうかと思ったが……せっかくだから、あいつを使った。これで満足だろ? 出ていけ。それとも殺されたいか?」
「チッ……死ぬのは貴様だ。いつか殺してやる」
そう言って、佐々木が姿を消した。八神はそんな佐々木を嘲笑っている……
「負け犬もここまで極まると、哀れだねェ……さてと、こちらヴァルゴ。聞こえてるかぁ?」
『……こちら、メテオ。ヴァルゴ、何の用?』
「いや、着心地はどうだったかを確認したくてな。最高だったろ?」
メテオはヴァルゴに対して、不快感を露わにしている。
『そんなことより……私が使命を果たせば、本当にあの子は開放されるんだね?』
「お前もしつこいなぁ……前からそうだって言ってるだろうが」
『もしも嘘だったら、何がなんでも貴様らを殺すよ……私の手でね』
明確な殺意の籠った、脅迫。それをヴァルゴは、鼻で笑った。
「あーはいはい。頑張ってみろよ、機会があればなァ」
『……切るよ』
「ったく、佐々木といい神宮寺といい、短気は損気ってわからねぇのかね……バカだからか!! ヘヘヘッ……さてと、もう一眠りするかな……」
そう言ってヴァルゴは、今一度惰眠に身を任せた。
仮面ライダーメテオの登場です。