※この作品はR-18です。

仮面を被った、人間達の英雄譚   作:とも667

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 仮面ライダーフォーゼのテーマは、『友情』ですから。

 最後に勝つのは、友情であるべきでしょう。


最・終・決・着

ついに仮面ライダーネクロムへの変身を果たした、潤羽るしあ。サジタリウスも神宮寺も、焦りを隠せていない。

 

「へ、変身しただと……!? 馬鹿な、さっきまで変身できる気配など、微塵もなかったのに……!!」

 

「なんだ、この圧倒的な気配は……!? 中身はちっぽけな女一人だぞ!?」

 

「もうるしあはちっぽけじゃない!! 今のるしあには、お前を絶対に倒すだけの力があるっ!!」

 

 潤羽るしあはそう言って、メガウルオウダーから手の形をした武器を取りだした。

 

「あれは……無から有を生成したのか!?」

 

「多分、あの『眼魂』から生成したんだと思います!! 原理はわからないけど……」

 

「なんの、百鬼あやめも赤子同然なんだ!! ガワが良くても、中身が弱いなら意味は無い!! 捻り潰してくれるわ!!」

 

 そう言って、サジタリウスはネクロムに光の矢を連射した。それに対して、ネクロムはメガウルオウダーから取り出した、長い棒の先端に手のような形の物がついた武器……ガンガンキャッチャーを振るって、全て弾き落とした。

 

「はぁぁぁっ!!」

 

「社長の矢が全て弾かれた!?」

 

「くっ、くそっ……!! 図に乗るなよ、小娘!!」

 

 サジタリウスは懲りずに、矢を放ちながらネクロムに接近していく。当然、その矢もネクロムには意味を成さない。

 

「死ね!!」

 

「……」

 

「なにっ!? 胸部が液状に……!?」

 

 ネクロムの能力、身体の一部の液状化。これにより、衝撃をゼロにすることが可能だ。しかし、ネクロムの活動に支障は一切ない。

 

「でぇいっ!!」

 

「ぐふっ……馬鹿な、この私が一方的にやられて……!?」

 

「すごい力だ……これがネクロムの力なのか!!」

 

 さっきまでとは真逆、こちら側が一気に優勢になってきている。ガンガンキャッチャーを振るうネクロムが、眼魂を取り外して……ガンガンキャッチャーに差し込む。すると、また音声が鳴り響いた。

 

『ダイカイガン!!』

 

『オメガクラッシュ!!』

 

「でぇやぁぁぁっ!!」

 

 緑色に輝くガンガンキャッチャーの先端が、サジタリウスに叩きつけられて……サジタリウスの装甲を大きく削って、ぶっ飛ばした。

 

「ぐぁぁぁぁぁ!! くそぉっ、このような屈辱を……!! 認めてたまるかぁぁ!!」

 

「なに!? 変形しただと!?」

 

「あれは銃口……? 槍や棒のような武器かと思ったら、銃にもなるのか!!」

 

 手の部分を引っ込めて、銃に変形したガンガンキャッチャーに、ネクロムが眼魂を差し込み直す。

 

「こいつも……喰らえ!!」

 

『ダイカイガン!!』

 

『オメガフィニッシュ!!』

 

 ガンガンキャッチャーの銃口から、緑色の光線が放たれ……サジタリウスに直撃した。サジタリウスは為す術なく吹っ飛ばされて……柵に激突し、地面に落ちる。

 

「ぐごぉ、っが……」

 

「社長ォォォ!! おのれ、くそっ……!! こうなったら、貴様らだけでも、この私が!!」

 

「レオ!? しまった……!!」

 

 社長への狂信から立ち上がった神宮寺が、レオゾディアーツに変身して、百鬼あやめを仕留めようと雄叫びの波動を放った。

 

「なっ……くぅっ……!!」

 

「ふぁんでっどさん、百鬼さんを守って!!」

 

「アンデッド!? さっきより数が増えて……!!」

 

 アンデッドが地面から湧いて、波動から百鬼あやめを守るように立ちはだかる。波動は百鬼あやめに届くことなく、アンデッドに止められた。その上……

 

「くそっ、離せ腐肉共!! 社長の野望の邪魔をするな!!」

 

「今のうちに逃げて、百鬼さん!!」

 

「あ、ありがとう……!!」

 

 百鬼あやめはアンデッドに守られながら、危険地帯から離れてゆく。それを確認した後、ネクロムはまた戦闘態勢をとった……同時にレオも、纏わりついていたアンデッドを振り払って、走ってくる。

 

「おのれ、潤羽るしあ!! どこまでも愚かな女め!!」

 

「二人まとめてかかってこい!!」

 

「舐めるなよぉ!!」

 

 サジタリウスとレオが、ネクロムに同時攻撃を繰り出す。だが、ネクロムはサジタリウスの拳を容易く受け止めて……レオの爪は避けることもせず、そのまま受けた。

 

「なっ……なんだと!?」

 

「この、離せ!! クソッタレ!!」

 

「喋ってる暇があるのか!?」

 

 そう言って、ネクロムがガンガンキャッチャーを手に変形させる。また眼魂を差し込んで、技の準備をした。

 

『ダイカイガン!!』

 

『オメガクラッシュ!!』

 

「ぐぁぁぁぁぁっ!!」

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」

 

 緑色の光を纏った一撃で、レオとサジタリウスがなぎ払われる。

 

「くそっ……かくなる上は!!」

 

「逃がさない!! 喰らえっ!!」

 

「ぐわぁぁぁっ!!」

 

 どこかに走っていこうとしていたレオが撃たれて、地面に伏せた。サジタリウスも、一方的に叩きのめされている……

 

「くそっ、私は超新星を使っているんだぞ……それなのに、それなのに!!」

 

「ぶっ飛べ!!」

 

「ぐふぅ!! がっ、は……ふふふ……」

 

 まだ叩きのめされている最中なのに、突然笑い出したサジタリウスに、ネクロムは困惑を隠せない。

 

「何がおかしいの!?」

 

「何がおかしいかって? 私の後ろを見てみろ!!」

 

「えっ……!? みんな後ろ!!」

 

 安全な場所で隠れていた人達に、レオがこっそりと近づいて……拘束し、脅迫した。

 

「動くなよ……おい、ネクロム!! こいつらの頭と体が泣き別れになるのが嫌なら、武器を捨ててじっとしていろ!!」

 

「し、しまった……迂闊だった!!」

 

「その姿はリブラ……姿を消してたの!?」

 

 人質はYagoo、博衣こより、百鬼あやめの三人だ。それを見ながら、サジタリウスは笑っている。

 

「さぁ、どうする? また人を見捨てて、正義のために我々を殺すかね? 雪村はそうしたようだがな……」

 

「なっ……卑怯だぞ!! サジタリウス!!」

 

「卑怯だと? これも戦略のうちさ、雪村だって卑劣な策を弄するだろう?」

 

 レオは心底見下したような口調で、雪村のことを侮辱する。それに対して、捕まったまま百鬼あやめが怒りを露わにした。

 

「ふざけないで!! 康太様は自分と仲間にできることの範疇で物事を考えてる……何もできない人を人質にしたりすることはなかった!! 康太様はお前らみたいに卑劣じゃない!! ぐっ……!!」

 

「うるさいな。黙っていろ……!!」

 

「百鬼さん!! この……!!」

 

 しかし、ネクロムは身動きが取れない。この状況で、雪村ならどうするか……それを模索し続けるネクロム。

 

「やはり何も出来ないようだな……喰らえ!!」

 

「ぐぅっ……!!」

 

「それでいい、女は戦いの場に出てきてはならない……こうなるからなぁ!! ハッハッハッハ!!!」

 

 一方的に痛めつけられるネクロム。そんな時……レオに捕まっている、Yagooの電話が鳴った。

 

「おっと、電話のようだ。出てもいいかい?」

 

「許すわけがないだろう!? 死にたくないなら、じっとしていろ!!」

 

「……そうか。残念だ……」

 

 そう言って、残念がるふりをしながら……Yagooは、百鬼あやめにジェスチャーを送った。

 

「……よし!!」

 

『Standing by』

 

「この期に及んで、何をやっている? 変身はできんぞ、妨害電波は完璧なんだ!! きっと今頃、雪村も一破もヴァルゴの奴に……」

 

 レオが高説を垂れている間に、百鬼あやめはもう変身準備を終えている。

 

「変身!!」

 

『Complete』

 

「なんだと!?」

 

 百鬼あやめの体に、金色の光が走り……姿が変わる。仮面ライダーオーガだ。

 

「そこを……どけっ!!」

 

「ぐはぁぁぁっ!! 何故、何故だ……!? どうして変身ができる!?」

 

「レオ!? 何故変身されている……いや、それよりも!! 妨害電波はどうなっているんだ!? 稼働は正常だったはずだぞ!!」

 

 想定していなかった状況に、二人は困惑の声を上げ続けている……そんな中でYagooが、微笑を浮かべながら言った。右手にはスマホを持っており、まだどこかへ電話をしようとしている。

 

「簡単な話さ。あなた達の『人質』……さくらみこさんを回収した場所に、衛星の操作装置があったんだよ……来ることがわかって、急ピッチで移動を進めたのは正しいが、人質と同じ場所に置くべきではなかったね。連絡しておいたのさ、妨害電波を消すようにね」

 

「くそっ……!! こんな馬鹿な……!!」

 

「まだだっ!! 百鬼あやめ、貴様は社長との戦いで満身創痍……今の私でも勝機はある!!」

 

 レオはそう言って、オーガへ爪を向けたが……オーガは左右に刀を浮き上がらせて、レオへと切りかかった。その動きに、衰えは一切見えない。

 

「ハァッ!!」

 

「ぐぉあぁぁっ!! うぐっ……どうして、動きに衰えがない!? 体中を骨折しているはずだろ!? 内蔵にも傷があるのに……!!」

 

「康太様は、これくらいで倒れない!! 余だけが倒れていられるか!!」

 

 そう言って、蒼く燃え盛る刀と共に、オーガストランザーでレオを切り裂くオーガ。そんな相手を前にして、ボロボロのレオに対抗手段があるわけもない。

 

「く……来るな!! 来るなぁぁ!!」

 

「せいっ!! はっ!!」

 

「死ねぇぇぇ!!」

 

 苦し紛れの雄叫びの波動も、一刀のもとに斬り伏せられ……窮鼠猫を噛むと言わんばかりに、レオはオーガに特攻して、爪を振るった。それに対して、オーガは……レオの乾坤一擲の一撃を、容易くへし折った。

 

「でぇやぁぁぁ!!」

 

「そ、そんな……私の爪が……ぐはぁぁっ!?」

 

「これで……今度こそ、終わりだ!!」

 

 燃える刀と剣による、三連の一撃でレオを弾き飛ばしたオーガ。トドメを刺すため、オーガフォンのエンターキーを押し込んで、刀に宿っていた鬼火を全て剣に集中させる……金色に燃え盛る、必殺の一刀。

 

『Exceed Charge』

 

「こ、こんな馬鹿な……有り得ない……!! 社長と私は、世界を……!!」

 

「百鬼流、奥義!!!」

 

 鬼 神 焦 熱 斬 ッ!!!

 

 それでも野望を諦めないレオに、金色の鉄槌が下された。爆炎が広がり、その野望ごとレオを焼き尽くす。

 

「ぐぅあぁぁぁぁッ!!!」

 

「はぁ、はぁ……やった……」

 

「神宮寺……!? おのれ、最後の最後で使えないヤツめ!! ぐぅっ……!!」

 

 自分のことを棚に上げて、神宮寺を罵るサジタリウス。ダメージが限界に近づいてきたのを感じて、アクエリアスに変身しようとしたが……ネクロムは、アクエリアスのスイッチを弾き飛ばしてしまった。

 

「うらぁっ!!」

 

「なっ!? 何をする!! 私の持ち物を……!!」

 

「新設立された法律を知らないのかい? この国では、許可なく『未確認生命体』の力を行使した者には、最低でも実刑……力を使ってやったことによっては、終身刑や死刑も課せられる!!」

 

 Yagooはそう言って、アクエリアスのスイッチを回収した。同時に、レオが落とした無数のスイッチ達も回収された……が、レオのスイッチは壊れてしまった。

 

「ダメージに耐えられなかったようだね……残っている物は研究に回してくれ、博衣さん」

 

「はい、お任せ下さい!!」

 

「潤羽さん!! あとはお願い!!」

 

 それを聞いて、ネクロムが頷く。最早何をしようと、サジタリウスに勝機はないだろう……

 

「くそっ、くそぉぉぉ!! 貴様ら、身の程を弁えろ!! 私は財団Xを乗っ取って、世界を支配するんだ!! 奴ら如きに世界は渡さん!! 世界は私のものだぁぁぁ!!!」

 

「違う!! 世界はみんなのものだ!! お前にも、財団Xにも、絶対に渡すもんか!!」

 

「ぐはぁぁぁっ!!」

 

 サジタリウス・ノヴァの装飾は全てへし折れており、鎧にもヒビが入っている。最早、勝敗は見えている状況だが……サジタリウスは、それでも諦めようとしない。

 

「今だ、決めろ!! ネクロム!!」

 

「勝って、潤羽さん!!」

 

「おのれぇぇ!! 殺す、殺してやるっ!! お前だけは、絶対に!!」

 

 最後の足掻きで、サジタリウスが力を溜め始めた……あの蹴りを放つつもりなのだ。それを見て、ネクロムも眼魂をメガウルオウダーに戻して、スイッチを押した。

 

『デストロイ!!』

 

「はぁぁぁぁぁ……!! はっ!!」

 

「ぬぁぁぁぁぁ!! かぁぁっ!!」

 

 お互いに地面を蹴って、飛び上がる。そこから右足を突き出して……必殺技の構えだ。

 

『ネクロム!!』

 

『オメガウルオウド!!』

 

「死ね、仮面ライダァァァ!!!」

 

「う゛おらあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!」

 

 仮面ライダーへの恨みを込めて、サジタリウスが必殺技を放つ。それと同時に、とても女性が出す声とは思えない程の叫びを上げながら、ネクロムも必殺技を放つ。

 

「緑色の、光……」

 

「なっ……お、押される……!? こんな、こんなことが、あるはずが……!!」

 

「……貫いた!!」

 

 緑色の閃光が、サジタリウスを貫く。サジタリウスは自分のエネルギーを抑えきれず、爆発していく……

 

「こん、な……嘘、だ……あり、えな……」

 

「まずい!! 爆発するぞ!!」

 

「……私に任せて!!」

 

 立ち上がった鷹嶺ルイが、サジタリウスを掴んで上空へと飛び……放り投げて、帰ってきた。

 

「ごめんね、今まで立てなくて……やっと、毒の効力が切れたんだ」

 

「いいよ、鷹嶺先生……結果オーライ!!」

 

「……落ちてきたね。後は警察に任せよう」

 

 その場にいる全員が頷く。二人も変身を解除して、戦闘態勢を解いた。

 

「康太様達、無事かな……?」

 

「心配だし、見に行こうか!! 学園長、後はお願いします」

 

「わかった。任せたよ」

 

 Yagooが警察を呼んでいる中、三人は雪村達が行った方向へと走り出す。

 

「そういえば……さっきの叫び、すごいね」

 

「えっ!? そんなにすごい叫び方してたの……!?」

 

「うん。私も聞いてたけど、あのシャウトは聞いたことないね」

 

 潤羽るしあはそれを聞いて、顔を真っ赤にしている。

 

「どうしよう……恥ずかしい……!!」

 

「気にしなくていいよ、かっこよかったし!!」

 

「そういう問題じゃないっ!! これからは叫び声の練習しないとなぁ……」

 

 勝利の余韻と、雪村達への心配を胸に、三人は走ってゆく……さて、ここから時間は少し遡り……

 

 

 

 一破さんの腕が飛んでいく。飛んでいって、地面に落ちる。飛んできた血が目に入って、片目を閉じた。一破さんの絶叫が聞こえる……

 

「ぐぅぅ、あぁぁぁぁぁ……がぁぁぁぁぁ!!!」

 

「……どうしてそいつを庇った? 昔のお前なら不意打ちしてたろ?」

 

「一破さん……どうして……!!」

 

 ダメだ、血が止まらない。早く止血しないと、大変なことになる。でも……そんな暇をヴァルゴは与えてくれない。

 

「いいよ。どうせ、二人とも殺すんだし……仲良くあの世に行くんだな」

 

「ぐぅ、うぐ……やめ、ろ……!!」

 

「死にな!!」

 

 斧が黒い力を纏った。俺達をペシャンコに潰すつもりだろう……だが、その瞬間は俺への重力が消えた。全部あの斧に集めているんだろう……それが命取り。

 

「……この距離なら、重力かけても意味ねぇだろ!!」

 

「は?」

 

『Burst Mode』

 

 手に持っていたサイガフォンをゼロ距離で押し当てて、発砲する。それから、一破さんが握りしめていた鉈も拾い上げて……

 

「グゥゥッ……この野郎!!」

 

「こいつも喰らえぇ!!」

 

「なっ……がぁっ!?」

 

 鉈を奴の傷口に打ち込んだ。奴に刺さったのを確認したら……殴って、無理やり押し込む!!

 

「だぁぁぁぁっ!!」

 

「グガッ……ガッ……!!」

 

「はぁ、はぁ……一破さん!! じっとしてて!!」

 

 俺の服を破いて、傷口に巻き付ける。強く圧迫して、血を無理やり止めた。今できるのはこれくらいだ……

 

「ぐぅっ、うぅ……まだだ、俺は……戦える……」

 

「無茶しないで!! 傷が開きますよ!!」

 

「お前にだけは、言われたくないな……!! 奴だけは、奴だけは殺さないと……あいつに殺された人達は……!!」

 

 それでも一破さんは立とうとしている。俺と同じだ、俺がその行為を咎める資格は無い。だけど、彼一人じゃアイツには勝てない……

 

「だったら、俺を頼ってくださいよ!! 一人じゃあいつには勝てない!! 誰にも無理だ、あいつは強すぎる!! だから協力したいんだよ!!」

 

「断る……!! あいつを殺すのは、俺のやるべきこと……俺が絶対に、奴を殺して……!!」

 

「いい加減にしろ!!」

 

 それでも協力を拒む一破を、平手でひっぱたく。彼が俺にやってくれたように……今度は俺がやる番だ。

 

「何しやがる……俺は、愛華や子供の仇を……」

 

「そんなことはどうだっていい!! 今のアンタには……奴どころか、俺を殺すことだってできない!! 当たり前だ、誰も信じてないんだから!!」

 

「……俺が、誰も信じていないだと? 何を言う?」

 

 あの時の言葉は、一語一句覚えている。だから、今こそアンタに返す。

 

「だったらなんで、全部一人で抱え込む!?」

 

「それは……これは俺のやるべきことだろう。そのためなら、いくらでも怪我をしたっていい……お前達を巻き込んでも、誰のためにもならん」

 

「それを信じてないって言うんだよ!! 俺に怪我をする覚悟がないとでも!? ふざけるな、人を舐めるのも大概にしろよ!? 俺だって、アンタだって、殺された警察の皆さんだって!! どんな大怪我をしても構わない、その覚悟があって、ここにいるんだ!!! その決意がアンタだけのものだと思うなよ!?」

 

 あなたは俺に……教えてくれた。色んなことを……俺の世界が狭かったことを知れて、感謝してる。そんなあなたに、間違ったことを言って欲しくない。

 

「それは……なら、それで何とかなる保証はあるのか!? 二人で奴と戦えば、絶対にどうにかなるのか!?  あの怪物が!!!」

 

「なるさ!! 最初からできないと思ってする奴はいないからな!! 俺は、アンタの精神を今でも信頼してる!! アンタだって……俺の頭を信頼してくれてるんだろ!?」

 

「雪村、お前は……」

 

 ここからは二人で戦おう。大丈夫さ、きっと勝てる。俺達、二人でなら!!

 

「一破……俺に、使える部分は本当にないのか? 俺も考える……だからアンタも考えろ!! 絶対に諦めるな!! アンタは一人で戦っているんじゃないんだ!!!」

 

「俺は……俺は!!」

 

「うるせぇよ。死ね」

 

 しまった。後ろを取られた……!! 今喰らえば、確実に命はない。どうすればいい、考えろ!! 言ったそばから死ぬわけには……

 

「死ぬのは……貴様の方だろう!!」

 

「ガァッ!? 一破、お前……!!」

 

「やれ、雪村!!」

 

 一破さんが、奴の腹に刺さりっぱなしだった鉈を引き抜いて切りつけた。その一瞬で、番号を入力する。

 

『Charge』

 

「喰らえ!!」

 

「グォッ、ガッ……グハァッ!?」

 

 俺が弾を撃ち尽くしたところで、一破さんの鉈が振るわれた。奴の傷口が広がったところに、一破さんが膝を叩き込んだ。

 

「死ね!!」

 

「グギィッ……!!」

 

「一破……!!」

 

 頼ってくれた。その事実が何より嬉しい……そうか、あやめ。こういう気持ちだったんだな。

 

「早く立て。奴と戦うんだろう? 気を抜くなよ、まだ死んではいない!!」

 

「あぁ、さっさと片付けようぜ!! ……ん、こんな時に電話!? 学園からか……」

 

「出ろ。重要な伝達かもしれん」

 

 頷いて電話に出ると、学園長の声が聞こえる。

 

『雪村くんかい? 事情はあとだ、変身は可能になっている!! 変身して戦え!!』

 

「わかりました、ありがとうございます!! 一破ッ!! こいつを使え!!」

 

「これは……メテオドライバー? この金色の物は……? まぁいい、使えるものは使わせてもらおう!!」

 

 一破さんが、金色のスイッチをベルトに差し込んだ。それと同時に、俺もデルタフォンを構える。

 

『Meteor Storm!!』

 

「この期に及んでまだ立つか……!? 二人揃って死にたいらしいなぁ……!! 面白くなってきたぜぇ……!!」

 

「殺せるもんなら殺してみろ!! 行くぞ!!」

 

 変 身 !!!!

 

 一破さんが青と金色に包まれて、姿が変わっていく。俺もデルタフォンを差し込んで、目の前が光に包まれる。

 

『Standing by』

 

『Complete』

 

「メテオストーム……なるほど、そういや強化がどうとか言ってたな。お前に渡るとは面白い……精々楽しませてくれよぉ!!」

 

 ヴァルゴが向かってくる……俺達も奴に向かっていく。俺は義手の方が取れてしまい、一破さんも腕がないが……二人なら負けない!!

 

「ファイア!!」

 

『Burst Mode』

 

「豆鉄砲は俺には効かねぇぞ!!」

 

 知っている。だからこそ……!!

 

「死ね!!」

 

「なっ……ぐはっ!?」

 

「なるほど。棒術で戦うんだな……心配いらん、心得はある!!」

 

 一破は変身と同時に出現した棒で、ヴァルゴの胴体に攻撃を加えていく。棒の先端での刺突から、薙ぎ払いに繋げて……そこから踏み込んで、胴の一撃。その全てが蒼と金色の光を纏っている……

 

「ぐっ、ぐふっ、がっ……図に乗るな!!」

 

「後ろの後ろだぜ、ヴァルゴ!!」

 

「ッ!? ぐぉぉぉぉっ!?」

 

 重力が間に合わなかったのか、ヴァルゴは銃弾をまともに受けた。撃ちながら接近して……顔面に、拳をぶち込む。

 

「スマッシュビートォォ!!」

 

「がっ、ごっ……ぐぎっ!!」

 

「だぁりゃっ!!」

 

 最後の一発は躱されて、上に回られた。まずい、あの場所は攻撃のしようがない……俺だけならな。

 

「甘いぞ!!」

 

「私のことを忘れるな!!」

 

「ぐぅっ!? こいつは……メテオの!?」

 

 そうか、メテオならもちろんあれも使えるよな。土星の輪を模したカッターが、奴の体を切り裂いた。無論、そのまま切り裂かれていてくれるはずもなく、奴は一破さんの後ろに出現した。

 

「今度こそ……!!」

 

「二度も同じ手は喰わん!!」

 

「ぐっ……ごっ、がぁっ!!」

 

 一破は棒で後ろを突いて、ヴァルゴの腹を突き刺した。そこから面を二発打ち込んで……その場で右足軸で回転し、左足での回し蹴りを奴に叩き込んだ。吹っ飛んできたヴァルゴに、俺も一撃……!!

 

「チャージ!!」

 

『Charge』

 

「全弾持っていけ!!」

 

 しかし、奴が当たってくれるわけもない。それを躱して俺の横に出現、斧を横に持っている……

 

「死ね!!」

 

「よっと!!」

 

「なんだと……!?」

 

 奴の肩を掴んで、跳び箱の容量で飛び越える。そして後ろから、銃弾を浴びせる!!

 

「今度こそ!!」

 

「がぁぁぁぁっ……やる、なぁ!!」

 

「そこだ!!」

 

 今度は木星を模した拳で、奴に一破さんが追撃を加えた。奴の顔面がひしゃげて……大きく吹っ飛ぶ。

 

「ごぶっ……!!」

 

「さっきのが蒼太さんの分なら、これは愛華さんの分だな」

 

「いや。まだ蒼太の分だ……このクソ野郎は、何度も何度も蒼太を切った。この程度で足りるものか!!」

 

 そうだよな……これは、殺人鬼を止めるための戦いであり、一破さんの報復でもある。だから……俺もその手伝いをさせてもらう!!

 

「ヘッ……まだまだ、ここからが楽しいんだ……!!」

 

「黙れ!! 二度と人様の命を嗤えないように……貴様の顔を歪めてやる!!」

 

「俺と一破相手に、いつまで笑っていられるかな!?」

 

 奴から凄まじい重力が放出される……しかし、今の俺達にはこの程度、気にすることじゃない。奴が重力弾を撃ってくるが……

 

「そんなもんに……当たるかっ!!」

 

「馬鹿め。バカ正直にこっちに突っ込んでくるとは……落ちろ!!」

 

「地獄に落ちるのはお前だ!!」

 

 そう言って、一破さんも飛び上がり……棒でヴァルゴを叩き落とした。足裏を突き出し、そのまま二人で落下して……奴の背中に蹴りをぶち込んだ。

 

「グハッ……ゴガァッ!?」

 

「ここからは愛華の分だッ!!!」

 

「立て!! スマッシュ……ビートォ!!!」

 

 無理矢理立たせて、二人で拳と棒を叩き込む。蒼と金、それに加えて白い光が飛び散る……最後は二人で、同時に踏み込んで……拳を握りしめた。

 

「ぐふっ、ごっ……がごぁっ!!」

 

「オラァァァァッ!!!」

 

「だぁりゃあぁっ!!!」

 

 奴の顔面に、強烈な一撃を見舞う。奴が吹っ飛んで、地面を転がっていった……しかし。

 

「ガハッ……ごふっ、ごふ……そうだよ、それでいい……!! これが、俺の求めてた物だ!! ギ、ヒヒ、ギヒヒヒヒヒ……!!!」

 

「これで終わりだ!!」

 

「覚悟を決めろ、クソ野郎!!」

 

 奴はふらつきながらも立ち上がり、こちらを向いた。まだやる気のようだ……斧に重力が集まっていく。奴も全力で来る……!!

 

「いいぜ、コイツでおしまいだ……!! ギッ、ギヒヒッ、ギヒヒヒヒヒ!!」

 

「チェック!!」

 

『Exceed Charge』

 

 一破さんはメテオのスイッチを入れ替えて、スイッチを押している。リブラを殺した時のキック技だ……!! 奴にポインターを撃ち込んだが、奴はビクともしない……あれに全てを込めているんだ。

 

『メテオオン、Leady?』

 

『メテオ!! LIMIT BREAK!!』

 

「はぁぁぁぁぁ……はっ!!」

 

 二人で飛び上がって、右足を突き出す。これで絶対に決める!!

 

「だぁぁりゃあぁぁぁッ!!!」

 

「オラァァァァァッ!!!」

 

「ギィッヒヒヒヒヒヒッ!!!」

 

 奴の斧と、俺達の必殺技がぶつかり合う。とんでもない衝撃だ……今にも吹っ飛ばされそうな程。だけど、俺達なら!!

 

「ぬぅぅあぁぁぁぁっ!!!」

 

「っ、押されて……!?」

 

「今だぁぁぁぁっ!!!」

 

 二人で同時に、全ての力を込める……!! すると、奴の斧にヒビが入り始めた。

 

「まさか……この俺が?」

 

「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 奴の斧が砕け散り、奴の体に俺達の必殺技が深く食い込む。奴の体を貫いた俺は、一破さんのところまで飛び退いて……奴に背を向けた。そして……俺は拳を頭の横に出しておく。

 

「……」

 

「……」

 

「がっ、は……ギヒ、ヒ……」

 

 奴の爆発の直前に、グータッチ。奴が大爆発を起こして……俺達は、ヴァルゴに勝利した。変身を解除した、その時……

 

「ッ!? 一破さん、避けて!!」

 

「ギィーヒヒヒヒッ!!!」

 

「……死ね!!!!」

 

 狂気の笑みを浮かべて、八神は最後の力で一破にナイフを突き立てた。しかし……最後の一撃が当たることはなく、一破の鉈が……八神の胸を深々と貫いた。それが引き抜かれて、八神が大量の血を吐き出す……胸からも凄まじい出血だ。これで、本当に終わった……

 

「ごっ、がげぇ……」

 

「……最後の一撃は、生まれてこれなかった俺の子供の分だ」

 

「……ギヒッ、ギヒヒヒ……俺が、負けたのか……負けて、死ぬんだ……ギヒヒ、ヒヒ……!!!」

 

 これから死ぬというのに、八神は笑い続けている。

 

「何がおかしい!?」

 

「だって、笑えるだろ……俺が、一度たりとも負けたことのない俺が、これから負けて死ぬ……!! 初体験だよ、こんな面白いことはない……!!! がふっ、がふ……」

 

「……地獄に落ちて、永遠に懺悔しろ。俺の家族のことも、殺した人達のこともな」

 

 八神はそれでも、笑い続けている。

 

「地獄行きか……地獄って、どんなところだろうなぁ……楽しみだ……!! じゃ……来世で、また戦おうな? 一破に雪村……」

 

「死んでもお断りだ」

 

「二度と地獄から出てくるな!!」

 

 俺達がそう言うと、奴は笑いながら血と内蔵の一部を吐き出し……血の海の中に沈んだ。

 

「終わったな、一破」

 

「あぁ。これで終わりだ……愛華、蒼太……仇は、討ったよ」

 

「康太様!! 人間様、大丈夫……じゃない!!」

 

 鷹嶺先生とあやめと、潤羽さん……あれ?

 

「髪の色が……まさか、ジェミニ!?」

 

「いや、違う違うっ!! 説明するから、待って!!」

 

「あれは八神か……勝ったんだね。流石は私の生徒だ」

 

 俺はニッコリ笑って、サムズアップで返した。すると一破さんが……

 

「……まさかお前に、大事なことを教えられるとはな」

 

「先に言ったのはアンタだろ? 一破」

 

「フッ、そうだったな……ありがとう」

 

 一破から、清々しい笑顔でお礼を言われた。それのおかげで……俺も清々しい笑顔になりながら、言った。

 

「どういたしまして!!!」




 フォーゼ編、完。
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