「未確認生命体……ですか?」
「そうです、種類を『ライダー型』『モンスター型』の二種に分けて、区分する……確認されている『ライダー型』は『シザース』と『ベルデ』の二種。『モンスター型』は『ボルキャンサー』『バイオグリーザ』『灰色の怪物』の三種ですね。『変身』に何かしらのアイテムを利用するのが『ライダー型』、何も使わず変身したり、元々そうなのが『モンスター型』です」
「今のところ合計五種類、か……」
今で五種類ってことは、まだ増えるってことだな……何種類くらいいるんだろう? どこぞのポケットに入るモンスターじゃないんだから……これ以上は増えないで欲しいが、そうもいかないのだろう。奴らからすれば、意味のわからない能力を持った化け物や、強化スーツを作れるのは実に都合がいい……厄介だな、本当に。
「我々は全力で財団Xの尻尾を掴もうとしています。ですが、奴らの技術は我々の想像を遥かに超えている……これまでの常識に従っていては、永遠に見つけられないでしょう」
「常識ねぇ……常識にとらわれない人といえば……」
「……やっぱり、僕ですか」
期待の目が、痛い。常識にとらわれない俺なら、何かしてくれる……そう思われているんだ。俺だってできるなら、何かしたい。でも……本当に何一つ掴めないんだ。何も無いんじゃ、幾ら俺でもどうにもしようが……待った。気になることがある。
「すみません、一破さん。質問があるんですが」
「何でしょうか?」
「前、警察の人から『逆探知で行った場所はもぬけの殻だった』と聞きました。本当に何も無かったんですか?」
なにか一つでも残っていれば、俺だって考えることができる。考えるのは大得意だからな。
「……あったのは、もう使われていない電話ひとつのみ。だだっ広い部屋に、それ一つだけの不気味な部屋でした」
「それのかけていた電話から、何かできませんかね? 通話履歴とか、残ってませんでしたか?」
「いえ、シザースのもの以外は全て削除されていたらしく……通話内容も見ることができず……すみません」
やっぱり、ダメだったか……だけど、わかったことがある。これなら可能性があるぞ……!!
「くそ……それじゃあやっぱり……」
「まだですよ……だからこそ、希望が見えてきた」
「え……!? 何がわかったんだい!?」
『通話内容が見れない』『手がかりになる物がない』それで諦めてしまっていた……物なら、身近にあるかもしれないぞ。俺も頭が硬かったな、反省反省。
「手がかりになる『物』が……あるかもしれない!!」
「そ、それは一体どこに……?」
「シザースに『変身』したあの男の……体の中ですよ!」
司法解剖は、死因が明らかな場合は行われない。奴の死体がまだ残っていることに賭けるしか……!!
「体の中だって……!? 何故そう言えるんですか!?」
「考えてもみてください、用心深いという言葉を体現したような組織が……『仮面ライダー』と『ミラーモンスター』なんてとんでもない力を授けた相手に、何もしないと思いますか? 裏切らないように……体の中に、何か埋め込んでいたかもしれない。例えば……録音機とかね」
「そうか……司法解剖を行う事例に当てはまらないから、する必要はなかったから……考えてもいなかった! だが、その可能性があるなら話は別だ……!! 今すぐに、解剖を行うよう指示します! 葬儀の資金を集めるために時間はかかる……多分、まだ残ってるはずだ! 少しの間失礼します!!」
希望が見えてきたぞ……ナイス想像力、今の俺!!
「奴の死体……考えもしなかった。正に灯台もと暗し……こんなところに可能性があるとはね」
「僕も今の今まで考えませんでしたよ。死体漁るなんて簡単に考えつく方がおかしいです……」
「やはり、君に頼って正解だったね……仮面ライダーを倒す実力は伊達じゃない」
お褒めの言葉をいただいた。嬉しいな……
「お褒めに預かり光栄です!」
「頭が柔らかいって良いわね~……私も子供に戻りたいわ」
「アキロゼは子供の頃から筋肉バカだったから、無理かな~……」
それから何時間かして……一破さんが、何かを持って帰ってきた。
「お待たせしました。雪村さん……当たりでしたよ」
「本当ですか!? いよっしゃあぁぁぁー!!」
「すっごい喜びようだね……」
そりゃあ嬉しいに決まってるさ。奴らの尻尾を掴めるかもしれない、俄然やる気が出てきたぞ。
「うんうん、元気でよろしい!」
「男の子はこうでなくっちゃね!」
「私も嬉しいよ、君に頼って正解だった……」
先生方は肯定的だ、普通に嬉しい。
「ありがとうございます! それで一破さん、結果の方は?」
「はい……これです」
「機械……か?」
小さな機械だが、血が付着している。内臓から取り出されたのだろう。
「脳に埋め込まれていました……どうやら、声や思考に至るまで、全てを監視していたようですね」
「用心深いってレベルじゃねぇな……データは?」
「重要そうな音声や思考データのみを抜き取ってくれているそうです……ただし、プロテクトが厳重で見られていない情報がいくつかあるようです……ですが、重要なデータはありました。スマホでお見せしますね」
こちらにスマホが差し出された。それを五人で覗き込む……これは思考データのようだ。文章が表示されている。
『財団Xと暁裕二様のために、危険因子を排除せねば』
『計画については知らされていないが……憎きライダーを殺すために必要なことらしい。死した神とは何なのか……』
『やった!! 私がライダーになれる!! 危険因子を殺すことができるんだ!! 楽しみだな……活躍すれば幹部への昇進も有りうるらしい、この姿なら負けは無い……!! 私でもやれる!!』
暁 裕二……それがボスの名前らしいな。
「ここからは音声データです。再生しますね」
「始まるようだね……」
『……暁様ですか? 佐上です』
佐上っていうのか、あいつ……
『調査結果はどうだった?』
『計39人。全員、忌々しいライダーの力を所持してはいません……危険因子の覚醒も見られませんでした』
『そうか……明日、実行に移せ。一人も残すんじゃないぞ』
これは……入学式の時だな。内容でわかった。
『はい、全ては財団Xのために……!』
『それと、ライダーであるお前を是非見たいとのお達しが、我々に出資してくださっているガルーダコーポレーションからあった。ついでだから、本部に戻って大事な書類を取ってから行け。誰にも見られるなよ……』
『はっ!』
通話記録が終了した……ガルーダコーポレーション、機械や魔法器具の製造で有名な会社だ。聞いたところによると、重要な書類があるらしいが……
「……というわけです。すぐにでも強制捜査を……!」
「待ってください。奴らは用心深い……罠か何か張ってそうな気がします」
「だけど、ここで手をこまねいているわけには……」
わかってるさ。だから……俺が行くんだ。
「その強制捜査……私も着いて行きます。鬼が出るか、蛇が出るか……どっちが出ても、私が倒してやりますよ」
「それなら私も……!」
「皆さんはどうしても種族の特徴が隠せない。奴らは、多分知っているでしょう……だから、人間で顔を隠せる私が適任です」
まだギリギリ、変装すればバレない……と思う。俺は人間だからな。種族的な特徴はない。
「じゃあ、明日にも捜査に乗り出しますので……あなたには、顔を隠してもらいます。バレては元も子もないのでね」
「わかりました!」
「気をつけてね? あんまり無茶はダメよ?」
皆さんの心配の声に、元気な声色で答える。
「俺は怪我したって平気です! 大丈夫、大丈夫!!」
「全く……恐れというものを知らないらしいね」
「最も、我々はその恐れ知らずに救われてきたのだけど……ともかく、明日は忙しくなるだろうから、ゆっくり休んでくれ。警備の方は休みにしておくよ」
そう言われて、部屋に帰る。ご飯を食べて一通りこなした後、ベッドに入った。
「明日は大変なことになるだろうな……全力を発揮できるようにしておかないと」
眠りにくいが……頑張って眠らないと。そう思って、目を閉じ続けてしばらくすると……ようやく、意識が眠りに沈んだ。そして、次の朝。
「……時間はOKだな。ご飯食べて待ってれば来るかな?」
そう呟いて、一通りこなした後飯を食って、学校へと向かうと……
「雪村さん、おはようございます」
「一破さん! 準備の方は……」
「できていますよ。こちらにどうぞ」
言われた通り、一破さんについて行く……しばらく歩くと、メイク道具が大量に置かれている場所に着いた。
「これは……」
「メイクで顔を完全に変えます。バレる可能性をゼロにするためにね」
「成程……」
人が来た、この人がメイクをしてくれるらしい。若い男性だ。
「目を閉じていてくださいね」
「私は準備をしておきますので、終わったら来てください」
「わかりました! お願いしますっ!!」
顔に何か塗られたり、貼られたり……しばらくすると声をかけられた。
「大丈夫ですよ」
「ん……? これが俺?」
「はい」
完全に人相変わってる……メイクの ちからって すげー!
「ありがとうございます、凄いですね……メイクの力」
「私もプロなのでね。これくらい朝飯前です」
「おぉ、カッコいい……じゃあ、行ってきます!」
メイクをしてもらったので、一破さんのところへ向かう。
「……雪村さんですよね?」
「おぉ、見抜いた……! そうですよ!」
「私も警察なのでね。この辺は経験がモノを言いますよ……警察に変装してもらいますので、車内で着替えてください」
流石だなぁ……そう思いながら、ガルーダコーポレーションに向かう。
「中に突入する時は、どうしますか?」
「私が警察として突入します。あなたは付き添いとして私の後ろにいてくださいね。有事の際は……」
「私に任せる……成程! 雪村くんにお任せあれ!!」
そう言って、笑いかける。
「元気な人ですね……」
「嫌ですか?」
「いえ、そういうのはあまり仲間にいないので……珍しくてね」
それならいいんだ、俺のノリが嫌いな人もいるかもしれないからな。そうこうしている間に、ガルーダコーポレーションに着いた。
「よし……着いたな」
「仲間もいるな……突入します。準備を」
「はい!」
警戒しながら、中に入る。
「警察の一破です。強制捜査の命令が出ていますので、捜査を行わせていただきます」
「わかりました」
「やけに素直だな……やはり罠があるのか?」
誰も死なせるわけにはいかない。握り拳を強く握っておく。
「……資料室、ここが怪しいな。入りましょう」
「はい!」
「鍵がかかっている、か……鍵を押収してきてくれ」
皆さんが鍵を取りに行った……しばらくして、戻ってくると。
「ダメです、社長が持ち出して行ったらしく……」
「……仕方がない、強行突破しよう。雪村さん、お願いします」
「実力担当はやっぱり俺か! お任せを!!」
皆さんの前で、拳を構える。
「スマッシュ……ビート!!」
1、2、3……4発目で壊れた。ここで力が足りなかったらおしまいだったな……やっぱり、強くないと何も守れないな。強くなれて本当によかった……
「流石ですね」
「ありがとうございます!」
「調査を始めてくれ」
一破さんが命令を出しながら、内部が探られていく。俺も中に入って、警戒しておいた。今のところ、危険は感じないが……
「どうです? 何かありそうですか?」
「今のところ何も……回収されているのか?」
「ここまでやって水の泡なんて、冗談じゃない……」
結果が出ることを願って、警戒を続けていた時……強い殺意を感じた。部屋から出て、叫ぶ。
「誰かいるのかっ!?」
「え!?」
「……気づいたか。流石だな……雪村康太か?」
背の高い男が立っていた。バレちまったな……なら、仕方がない。
「最初から気づいてたのか?」
「いや、怪しんではいたが確信ではなかった。さっきのスマッシュビート。あれで確信に変わったのだ」
「まぁ、どちらにせよ……俺達を襲うつもりだったのは変わらねぇんだろ?」
構える。やってやるさ、そのためにここにいるんだから。
「書類の内容を見て、対処するか決めるつもりだったが……その様子だと確定だな。例の資料が欲しいんだろ? 暁様の命により、アレを持って行かせるわけにはいかん。ここで死んでもらうぞ」
「お前はなんだ? ライダーか、それとも灰色の怪人か?」
「私はオルフェノクになる予定だったが、残念ながらなれなかったのでな。因子だけがあるという状態なのだ……だが、ライダーになることはできる」
オルフェノク、それが怪人の名前か……! 新情報ゲットだ! こいつはライダーらしい!
「雪村さん、こいつは……」
「皆さんは調査を続けてください。こいつに資料室ごと焼き払われたら元も子もない!」
「こちらの思惑を読む、情報の通りだな……だが。私を他の奴らと同じだと思うなよ?」
そう言って、取り出されたのは……ベルトとガラケーだった。
「ガラケー……? 今時古いぞ!! スマホにしとけ!!」
「おっと、変身中に邪魔するのはナシだ!」
「そのガラケーでか!?」
新しいタイプ、怪人だけじゃなくてライダーのタイプまで増えるのかよ。
『Standing by』
「……変身!!」
『Complete』
黄色の光が奴を包み込むと……紫色の眼をした、顔に黄色の線でXが描かれた、ライダーになった。
「やはり、中々いい着心地だ……動きやすい」
「その姿の名前は……?」
「お前が知る必要はない。この場で消えてもらおう」
そう言って、奴はベルトに付属していた黄色の何かに手をかけた。
「させるかよ!!」
「邪魔をするなと言っているだろう」
『Leady』
奴がガラケーからチップのような物を取って、それに挿し込むと、電子音が鳴って……何も無いところから、黄色い剣が生えてきた。
「剣が生えた!?」
「『カイザブレイガン』……やはり便利な武器だ」
「カイザ……それがお前の名前か」
俺がそう言っている間に、奴はこちらに向かってきた。あっという間に接近され、Xがモチーフであろう黄色い剣が、踏み込みの音と共に斜めに振り下ろされた。
「だぁぁっ!」
「おっと……!!」
「ちょこまかと……!!」
こいつの目的は資料を持ち帰らせないことだ。なら、俺がここを動くわけにはいかないよな!!
「黄ばんだ帝王さんよ、ここを通りたいなら俺を殺すんだな!!」
「上等だ!!」
「よし……」
奴の意識はこっちに向いた。一破さん達の邪魔はさせない……!!
「喰らえ!」
「銃剣かよ……!」
「遠距離、近距離共に隙はない! 倒せると思うか!?」
できるか、できないかじゃない。倒さなくちゃならないんだ。
「できるに決まってんだろ!? シザースもベルデもベトベトオルフェノクも俺に負けたんだ!! お前にも絶対に勝てる!!」
「馬鹿なことを……!!」
「よっ、ほっ、ほっ……!」
どうにか躱しつつ、奴に近づく。奴の体も多分硬い、正攻法じゃ無理だ……! 弱点を探れ!!
「おのれ!!」
「横一文字……隙ありっ!!」
「なっ……やめろ、離せ!!」
あの武器を奪って、叩き斬る。それしかない……俺はカイザブレイガンをしっかり握りしめている。こいつの黄色の線の中、何かが流動しているように見えるが……今はそれよりも!!
「誰が離すかよ……!!」
「離せと言っているのがわからんか!?」
「ぐふっ……わからんなぁ……!!」
殴られるのにはもう慣れた。内蔵が傷ついたが、寧ろこれはチャンス。吹っ飛ぶ勢いで、カイザブレイガンを抜き取った。
「……へへっ!!」
「ぬぐぁ!? 何をする……っ、カイザブレイガンが!!」
「もーら、いっと……!」
さっきのでわかったが、こいつシザースよりパンチの力が弱いな。多分、ライダー自体のスペックがそこまでじゃないんだ……
「……なんてな?」
「は……?」
『Burst Mode』
奴が携帯番号を撃ち込むと、電子音が鳴って……俺が崩れた体制を立て直すより前に、三回撃ち抜かれた。
「ぐはぁっ!?」
「銃がそれだけなんて、いつ言った……? この携帯電話……カイザフォンは、銃にもなるのだよ」
「そう、だったのか……」
これを盗られたらおしまいだ、渡すわけにはいかない。
「返してもらおうか……!」
「断る……!!」
「そうか。では……」
いけない、奴は一破さん達を狙っている。やらせるか。
「やめろぉっ!!」
「フッ……読んでいたぞ!!」
「ぐぁっ……は、離せっ……」
ダメだ、離れない。力比べじゃやっぱり敵わないか……!
「隙あり……!」
「これはっ……くそ!!」
「賢い判断だな」
仕方なく、カイザブレイガンを手放して避ける。その後すぐに何回もトリガーが引かれて、俺の後ろの壁が吹き飛んだ。喰らっていたら木っ端微塵だったな……!!
『Charge』
「くそっ、元に戻っちまった……!」
「言っただろう、馬鹿なことだと。私は他とは違うのだよ」
奴がカイザフォンをベルトに戻して、準備をしている。なにかする気だ。
「何をする気だ……!?」
「放っておけば、またお前は何かを考えつく……それの一番の解決策は……!!」
『Exceed Charge』
何かされる。嫌な予感がした俺は……警察の服に付属していた銃を手に取り、撃った。
「どこを狙っている!!」
「ぐっ……!?」
「死ね、危険因子!! これで終わりだァ!!」
奴が黄色の光と共に突っ込んでくる。そして俺は動けない……勝ち誇った奴の顔が、目に浮かぶ。だからこそ……
「……なんちゃって!」
「なに!?」
「ぐはっ……!!」
俺の体に、銃弾が突き刺さった。さっき撃ったものは奴を狙ったんじゃない。跳弾して、俺に突き刺すために撃ったんだ。俺は銃弾の勢いに押されて、右に移動して間一髪躱した。
「なっ……貴様、これも計算ずくだったのか!?」
「賭けだったけどな……仮面ライダー関係の化け物は、大体走るのが異常に速い。だから……銃弾が俺に突き刺さるのが先か、お前が斬りかかってくるのが先か……お前の速さが仇になったな、黄ばみの帝王さんよ!!」
「お、おのれぇ……小癪な真似をぉ!!」
よし……とりあえず避けられた。拘束は外れている、移動したから外れたようだな……そして、奴の弱点がわかったかもしれない。銃を構える……奴は銃弾を避けるくらい余裕なはずだ、もし当たったって平気だろう。でも……!!
「ここからは俺の番だ……!! 俺の思いつき、お前に見せてやるよ!!」
「なら……もう一発当ててやるだけだ!!」
「……うおぉぉっ!!」
奴の懐に潜り込んだ。奴がさっきの攻撃を放つ時、黄色の光が体の線を伝って、剣に向かって走っていくのが見えた……あれをもう一遍やるなら、これで!!
「なにっ!?」
『Exceed Charge』
「そこだぁぁぁっ!!」
拳銃の乾いた音が五回分鳴り響く。それは黄色の線に撃ち込まれて……通り道を塞いだ。
「ぐはぁぁッ!? し、しまっ……」
「やっぱりまずいようだな……!! 何かが流動してるように見えたから、もしかしたらと思ったけど……ビンゴ、大当たり!!」
「フォ、フォトンブラッドが……!? グァァァァッ!!!」
ズドォォォン!!
カイザの黄色の線を伝っていく光は案の定、俺が撃ち込んだ場所で止まった。その場で停滞した光はどんどん強くなって……ついに暴発し、仮面ライダーの硬い鎧を吹き飛ばした。カイザブレイガンも奴の手から離れる。隙あり、回収しておこう。
「回収、っと……! さて、どうだ……? ダメージがゼロってことは、流石にないだろうけど……」
「ぐぅ、おぉぉぉぉ……よ、くも……!!」
「自分の強さが尽く仇になったな、カイザ……!! 一気に勝たせてもらうぞ!!」
明らかに効いている……奴は爆発した場所を手で押さえているが、手の間から服が見える。装甲に穴が空いたようだ……
「おのれぇぇぇぇ……いつもいつも、私達の邪魔ばかりしやがって……!!」
「邪魔をしないと、被害が大きくなる一方なんでね!! 悪いけど、ここで死んでもらうぜ!!」
「かくなる上は……!! この会社ごと、木っ端微塵にしてやる!!!」
奴は激昂した様子でそう叫び、カイザフォンを押した。
『SIDE BASSHAR Come Closer』
「サイド……バッシャー? なんだそれ……」
「お前も、この会社も終わりだ……!! 消し飛ばしてやるよ!!」
奴がそう言った瞬間、サイドカー付きのバイクが飛び込んできた。
「なに……!?」
「サイドバッシャー……行くぞ!!」
『SIDE BASSHAR Battle Mode』
姿が変わり、ロボットものに出てきそうなデカいメカになった。それがこちらを見据えて……腕を振り下ろしてきた!!
「あっぶねぇ……!!」
「馬鹿め、私の目的は資料室!! そこから退けばお前を狙う必要は……」
「見つかった! これで全部だ!!」
よし……これでいい!!
「生きて返すわけにはいかな……ぐぅぅぅ!?」
「忘れたのか、お前のカイザブレイガンは俺が持ってんだぜ!! 一破さん、皆さん! 早く!! 従業員の皆さんも逃げて!! 死にますよ!!」
「ありがとうございます!!」
皆さんが俺の指示通り逃げていく……奴は案の定、皆さんを狙おうとしている。
「行かせるものか!! 喰らえ!!」
「撃たせねぇよ!!」
「邪魔をするなァ!!」
バルカンを撃つ前にサイドバッシャーの脚部を足場にして、ジャンプ……それから、下を向いた砲門へと剣を突き立てて、暴発させた。サイドバッシャーは攻撃してきた俺を狙おうとしている、その一瞬が命取りだ!!
「サイドバッシャー、狙うのはあっちだ!!」
「させねぇよ!!」
「ッ、もう片方まで……!!」
今度は近くで銃弾を撃ち込む……素人でも、近ければ当てられる。これでバルカンは使えない、一破さん達は無事に逃げたようだ……! ここから先を通すわけにはいかなくなったな!!
「待てっ!!」
「行かせねぇよ、デカブツ!!」
「邪魔するなというのが分からんのか!?」
また殴ってきた、それを避けながら射撃する。下手な鉄砲数打ちゃ当たるだ……銃の扱いが下手くそな以上、それしかない。
「ぬぅぅぅ……!!」
「ほら、こっちだぞ!!」
「死ね!!」
左腕から、ミサイルを撃ってきた。大きなミサイルが割れて、24発のミサイルが正確に俺に襲いかかる。
「うぉっ、追尾付きかよ……!!」
「諦めろ、絶対に逃げ切れんぞ!!」
「それは……どうかな!?」
ミサイルに弾を撃ち込み、連鎖爆発させる。低い姿勢を取り、爆発のダメージを和らげた……吹っ飛んだ体勢から立ち上がり、奴に向かって疾走する。
「バカめ! こいつは熱に反応するんだ……!! 煙幕のつもりだろうが……無駄だぞ!!」
「……へぇ。それはいい事を聞いたなぁ……!!」
「もう一回喰らえ!! こいつで本当に……終わりだ!!」
撃ってくる前に、近づいておいた。奴の目の前に現れてやる……
「なっ……この!!」
「足場をくれて……サンキュー!!」
「何ィ!?」
殴ってきた腕を利用して、飛び上がる。空中にいる間弾を撃ち込み……サイドバッシャーを足場にして、飛び退く!!
「うぐぅ……がぁぁっ!?」
「来たな!? ミサイルはいらないから……お前に返すぜ!!」
「しまっ……!!」
ズガッシャアァァン!!!
ミサイルを引きつけて、一気に飛ぶ。次の瞬間、轟音と共に、ミサイルがカイザとサイドバッシャーに殺到した。サイドバッシャーは熱と爆発の衝撃に耐えきれず、木っ端微塵になった……奴も、恐らくは……そう思っていると、装甲が焦げたカイザが爆風の中から飛び出してきた。大分怪我しているが、まだ動けるのか……忠誠心か、それとも怒りか?
「がぁぁぁぁっ!!」
「これでも死んでないのかよ……!!」
「絶対に、絶対に許さんッ!! お前だけはぶち殺してやる!!!」
奴は飛び蹴りの体勢をとった……どうやら、あの体勢から俺を蹴るつもりらしいな。
「喰らえぇぇぇッ!!!」
「……俺の勝ちだな、カイザ!!」
「なんだとォ!?」
銃を構える。そして……引き金を連続で引いた。
「ぐぁぁぁぁぁっ!?!?」
「跳んでる時は無防備だもんな……!!」
「や、やめっ……」
剣を振りかざす。落ちてきたカイザの装甲のない部分を狙って、斜めに斬る。
「だぁらぁぁ!!!」
「ギャァァァァァーッ!!!」
「だぁぁりゃあぁぁーっ!!!!」
肩から胸にかけて斬り裂き……奴を真っ二つにした。奴の血が俺にもかかる。
「が、はぁ……」
「お前の負けだぜ、帝王さんよ。とんでもない独裁者も、一人の民の謀反で死ぬことがあるのさ……覚えときな」
「暁、様……申し訳、ありま、せん……財団、Xに……栄光あれぇぇぇぇぇッ!!!」
血を流しながら、奴はそう叫び……オルフェノクと同様に、灰になった。ベルトとカイザフォンだけがその場に残されている……あと、俺の持っているカイザブレイガンも。結構怪我したけど、収穫はあったな。
「とりあえず……結果、オーライかな……大勝利……ぐっ、ごはぁっ……」
血反吐をぶちまけて、その場に倒れ込む。何か恒例になってきてる気がするな。
「雪村さん! 大丈夫ですか!?」
「これ、大丈夫に見えます……?」
「見えませんね……救急車は呼んであります、安心してください!」
ありがたい……呼べそうになかったからな。一破さん様々だ、いつかお礼しよう。
「あと、あれを回収しといてくださいね……カイザの、ベルトを……」
「カイザ? それが今回の奴の……雪村さん!?」
「……」
意識を保てない。ダメだな、まだまだ修行が足りない。そう思いながら、今日も俺は意識を飛ばした。
カイザフォンGETです。書類、何が書いてあるのでしょうか?