序章 特異点F A.D.2004 炎上汚染都市 冬木 副題「人理の防人」
第8節 戦部トキサダ
【推奨BGM:Usual】超昂大戦より
「おはよう、マシュ」
「はい、おはようございます。ドクターも招集ですか?」
「うん、所長に呼ばれて……マシュの方は?」
「わたしは先輩に。大事な話があるとのことで……具体的な内容は聞いていないのですが」
一人、管制室に続く通路を歩いていたマシュは、別の通路から姿を見せたドクター・ロマンと朝の挨拶を交わした。この二人は、共に中央管制室に集まるように声を掛けられていた。
「立香君が?」
「はい」
「そうか。彼は一体何を話すつもりなんだろう?」
「それは分かりませんが、先輩はとても真剣な表情をしていました」
「それほど大事な話ってことなのかな」
等と会話をしている間に二人は管制室前に辿り着く。自動ドアが左右に開き、部屋の中に足を踏み入れると既に何人ものスタッフが集まっていた。その内の一人、ここ数日の間に召喚されたサーヴァントの一騎がマシュに話しかける。
「おはようございます、マシュ」
「ランサー……ではなくライダーさん! サーヴァントの皆さんも招集されたんですか?」
「ええ。マスターにどうしてもと言われまして」
黒を基調としたボディコン服を身に纏う彼女の真名はメドゥーサ。ギリシャ神話に登場するゴルゴン三姉妹の末妹。伝説では、見たものを石にする蛇の怪物として語られている。
ライダークラスのサーヴァント……なのだが、特異点Fで対峙した彼女がランサークラスだったこともあり、今のようにクラスを言い間違えることがある。初々しい女の子の反応にフフ……と笑みを零したメドゥーサは、マシュに一つの提案をする。
「私のことはメドゥーサで構いませんよ、マシュ」
「え? サーヴァントの真名は秘匿するもののはずでは……?」
真名は英霊の真の名前、謂わば『正体』だ。敵に正体が知られるということは、英霊の残した伝説・伝承が知られるということであり、その弱点に繋がる情報を晒すことになってしまう。故に真名とは、基本的には秘匿するもの、とされている。
「通常の聖杯戦争であれば、確かに貴方の言う通りです。ですがマシュ、周りを見てください」
言われるがままにマシュは管制室の中を見渡した。特異点F、冬木の縁を頼りに召喚されたサーヴァントの姿が其処には在る。冬木のキャスター『クー・フーリン』を筆頭に、錬鉄の英雄『エミヤ』、漆黒の騎士王『アルトリア・オルタ』……そして、騎士王本来の姿、青いドレスに白銀の甲冑を身に纏う、見目麗しい金髪翠眼の少女剣士『アルトリア・ペンドラゴン』など。
古今東西、人類史に名を残す英霊たち。その影法師たるサーヴァントたちが勢揃いしていた。
(それに……)
次に、マシュが視線を向けた先には覚えのない真名を名乗るサーヴァントたちの姿がある。
彼女たちの共通点は、全員が女性であることと、召喚されたばかりなのにマスターである藤丸立香と知古の関係にあったこと、この二点だ。
通常の場合、召喚されるサーヴァントが記憶するのは生前の記憶と、世界が付与する現代に必要な事柄、それ以外は幾分の調整事項のみである。彼女たちと面識があるということは、立香は、生前の彼女たちと交友関係にあったということになるのだが……。
「貴方たちの戦いは人類史を遡る長い旅路です。その道中で多くのサーヴァントと面識を持つことになるでしょう。その時、クラス名では互いを呼び合うのに不備が生じてしまいます」
「なるほど……確かにそれは困りますね」
「ええ。ですから、私のことはメドゥーサで構いません」
「分かりました、メドゥーサさん」
シュンッ……
「おや……どうやらマスターが来たようですね」
自動ドアの開閉音。振り向けば、今回の招集を掛けた二人が管制室の出入口に立っていた。
「全員揃っているようですね」
「さて……みんな。急な招集にも関わらず、よく集まってくれた。
今日は、皆に知っておいて欲しいことがあって、こうして集まってもらった」
「……ほう。随分と勿体振るじゃないか、マスター」
赤い外套のアーチャー、エミヤが皮肉な表情で口を開く。
「一体、何を話すつもりだ?」
「俺の事情についてだ」
「君の事情……?」
「そうですか……話すのですね」
黄の忍装束に身を包む、後ろを一纏めにした長めの茶髪の女性が声を漏らす。
彼女の真名は『閃忍ハルカ』、アサシンクラスのサーヴァントだ。
「失礼、マスター。それは……マスターからその話を聞く、という形なのですか?」
「……いや。今回の話は、それを証明できる物的証拠もなしには鵜呑みにできない荒唐無稽な内容になる。そこで、別の方法で証明することにした」
「別の方法?」
「今回見てもらうのは俺の過去の記憶を映像化したもの……の、編集版だ」
青い騎士王、アルトリアの疑問に立香は真摯な態度で答える。
「過去の記憶……ですか。それを……誰でも見れるように……?」
「イエス! これがあれば、誰の記憶でもいけるよ。どうだい、アルトリア君?」
件の映像化装置を開発したレオナルドが自慢気に語る。装置の使用をオススメする彼女に、アルトリアは苦笑気味に告げた。
「興味はありますが、それはまたの機会に。……まあ、アーチャーの過去は気になりますが……」
「……勘弁してくれ」
と、アルトリアに視線と矛先を向けられたエミヤが口元を盛大に引き攣らせる。
「この雰囲気も懐かしいですね」
「はい。生前を思い出します」
桃色と白色を基調としたレオナードのような衣装に身を包む剣士の英霊『エスカレイヤー』の言葉に、その妹でアーチャークラスのサーヴァント『マドカ・アサルト』が同意を示す。
「は~い、というわけで上映会の開始といこう! 水飴はひとつ100QPだよ」
レオナルドは一枚のメディアを機器に差し込み、自室で映画でも見るかのように再生させた。
「因みに、今回は立香君に解説をお願いしているよ」
「映像の補足程度だけどな」
「では、始まり始まり~」
プロジェクターから映像が投影され、それが徐々に動き出す。
【推奨BGM:Unrest】超昂大戦より
「2020年11月25日、宇宙の彼方から謎の武装勢力が現れ、侵略を宣言した。
その名はアルダーク。地球は見たこともない者達に襲われ、混乱に陥った」
「2020年!? その日付は……!?」
ロマンが驚愕の声を上げる。彼以外の者達も大なり小なり顔に驚愕の色が見えた。
当然だろう。現在の日付は2015年8月、2020年11月は五年以上未来の日付となる。
人理焼却、2016年以降の人類史が消滅している点を差し引いても、2020年の未来が語られるというのは驚嘆に値する内容だった。
未来の詳細観測は、カルデアスを有するカルデアですら不可能な大偉業であるというのに。
「反撃の狼煙を上げたのは、唯一、襲撃を予期していた科学者、高円寺滝太郎博士……彼は適性のある者に強化を施し、超昂戦士とした」
「超……戦士?」
「『超昂戦士』だ。変身方法や力の名称、種類は所属勢力によって異なるが、変身し、前線で敵と戦う、戦士の総称が超昂戦士だ」
正確には、「性行為をすることで力を得て、変身して戦う戦士の総称」が超昂戦士である。
変身前と変身後の姿が同一視されにくくなる認識阻害の機能を持っており、目の前で変身或いは変身解除をしなければ、変身前と変身後を同一人物と認識することはまず不可能。
まさに、女児アニメの変身ヒロインのような存在なのだ。……力の供給源を除けば、の話だが。
「超昂戦士は、勝ち続けた。数ヶ月の間、戦闘員や怪人を、超昂戦士が撃退する日々が続いた」
「ほぉ……その戦士は随分と強かったようだな。それとも、侵略者の側が弱かったのか?」
「……それだ。そう思うようになってしまったんだ。世界中の、ほとんどの人たちが」
「何?」
オルタの指摘に、立香は険しい表情のままその後の歴史の流れを語り出す。
「小規模犯罪を繰り返し、超昂戦士に倒される。数ヶ月以上、その繰り返し。世間の関心は徐々に薄れていき、初めは全力でのバックアップを約束していた国防軍でも、その必要性が疑問視され始めた。一年経ち、二年経つ頃には……超昂戦士を助ける者は、ほとんどいなくなった」
「……恐ろしいほどに効果的な策だな。そのアルダークとやらは人間の悪性をよく理解している」
生前、人間の醜さに辟易するほど触れてきたエミヤには、その光景がありありと想像できた。
「暴力的な解決の必要は無いのでは? 対話する精神が大事なのでは……そんな言説も飛び交うようになった。だがアルダークは決して壊滅せず……徐々に、強力になり始めていた。そして、ある時ついに致命的な事が起こった。戦士の敗北……そして、高円寺博士の死亡」
「えっ…………」
「ようやく危機感が戻って来たのは、戦士の死体が晒された時だった」
十字架に磔にされた戦士の死体が投影される。誰かの息を呑む音がした。どこかエスカレイヤーを彷彿とさせる格好をした彼女の身体には、凄惨な凌辱の痕跡が幾つも残されていた。
「それを契機に、アルダークは大攻勢を開始。人は石にされ、建物は破壊され……人間社会は、粉砕された」
映像は、一人の少年を映していた。灰色の怪人から逃げ惑い、追い詰められ……
『…………ごめんなさい。君には……重すぎる使命を負わせてしまう。謝りきれる事では無いけれど……でも。これが…………最後の、希望』
「先輩、この方は……?」
「天使長、一の神鍵アズエル。天界の神騎を束ねる、最強の神騎だ。消滅の間際に少年時代の俺と出会い、後の副官……ユーノに俺を託す形で消滅してしまった」
画面が黒くなる。そして、中央に白い文字で2020年11月25日と表示される。
「俺とユーノは地下に潜り、残った人々と研究開発、訓練を始めた。技術と知識を結集し、過去へ飛ぶ。そして……破滅の未来を変える。時空を越えた大反抗作戦。作戦名、ダイビート」
「ダイビート……時空を越えた戦い。それではまるで……」
「……今の状況みたい、か?」
「っ、はい」
「同感だ。だから、俺がここにいるのかもしれないな」
「え?」
困惑するマシュの視線の先では記憶映像は新たな局面に突入していた。高校生らしき三人の女の子が、トンガリ頭の灰色の怪人に囲まれている。その怪人の名称はフーマン。アルダークの人造生体戦闘員だ。
黄色い踏切遮断器と列車と線路を足したような見た目の怪人に追い詰められた女の子が、消え入りそうな声で「……だれか……助けて……」と呟いた次の瞬間だった。
『待ちなさい!』
『えっ?』
『むっ……今の声! 何者だ!?』
異なる色のコスチュームに身を包んだ三人の少女が、
【推奨BGM:Brave your heart (Inst) 】超昂大戦より
『青い地球を守るため、胸の鼓動が天を衝く! エスカレイヤー、悪の現場に只今参上!』
『悪鬼彷徨う現の闇を、払うは月影、我、上弦なり! 想破上弦衆、閃忍。ハルカ、見参!』
『人々の希望を奪い、絶望を撒く魔の尖兵。もはや贖罪の刻は尽きました。
われ神騎エクシール! 罪に汚れし、その魂! 神に代わって誅滅します!』
「彼女たちは……!?」
「ええ、生前の私たちです。私たちは超昂戦士としてアルダークの怪人たちと戦いました」
セイバークラスのサーヴァントとして現界した『神騎エクシール』が、映像に映る三人が生前の自分たちであると告げる。天界の神騎である彼女には寿命が存在しないので生前という表現は当て嵌まらないのだが、説明を分かりやすくするために生前という言葉を使っている。
「俺たちは侵略開始のタイミングを調べ、この時代の資金面、戦闘面での協力者を探した。彼らの協力によって設立されたのが、『ダイビート』だ」
映像に『Defence imperative to earth beat forces』と正式名称が表示される。
「元の歴史では各々の組織がアルダークに対して独立して動いていたことで、各組織ごとの弱点を突かれて各個撃破された問題を、開戦初期に組織同士の協力体制を構築することで防ぎ、そのまま人類の勝利という未来を目指すことになった」
「私たちの所属していた国防軍も最初期に協力体制を構築した組織の一つですね」
「ADDD適性のあるアタシ達が、国防軍の代表として出向したんだ」
二人で一騎、一つの霊基を姉妹で共有するアサシンの『ビートブレイカー・メイ』と『ビートブレイカー・アイ』が、当時を懐かしむような表情で解説を補足する。
生前の彼女たちは戦力増強の為に国防陸軍特能戦技部隊からダイビートに出向していた。
姉妹以外には、ライダー『ビートバイカー・マッハ』、キャスター『ビートアミュレット・ノノノ』、ランサー『ビートネイチャー・アケビ』がダイビート所属の超昂戦士だ。
「ADDD?」
「ダイビートに所属する戦士が変身に使用するシステムだ。
画像が右にズレ、次に表示されたのは東洋の龍を背負う『上弦衆』の文字。その隣には、ハルカとよく似た外見をした大人の女性と、彼女を守るように並び立つ二人の忍びの姿がある。
「次に『想破上弦衆』。『閃忍』と呼ばれる、超昂戦士を擁する忍者組織の一つ。『龍の者』と呼ばれる異能者が頭領を務め、数百年の長きに亘って日本の平和を影から支えていた」
「龍の者の力は、代々、想破上弦衆の頭領に引き継がれます。頭領さん……立香さんは現代の龍の者でした」
「……あれ? 君は未来から来たはずだろう? 現代の龍の者はどうしたんだい?」
「そこに気付くとは流石だな」
想破上弦衆の閃忍が一人、蟲使いの『閃忍サナギ』の補足説明にロマンが疑問の声を上げる。その疑問にサナギと、同じく想破上弦衆を出自とする『閃忍ツルコ』が暗い顔をする。
「先代頭領……タカムネ頭領は裏切り者により俺の目の前で暗殺された」
「暗殺!? そんなことが……」
「まあ、そういう経緯で、当時の俺は、想破上弦衆頭領も兼任することになったわけだ」
第三の組織、般若の面に『久世』の文字。腕を組む、紫色の髪の女性が二人の部下を従える。
「想破から分かれたもう一つの上弦衆が『久世上弦衆』。想破との違いは、能力さえあれば、戦士としての採用に、出自、経歴を問わないこと。任務実行に一切の
「
アルトリアの声のボリュームが小さく、そして低くなる。
「ほぼ全員、なにがしかの問題児。中には犯罪歴のある者も在籍していた。だがこの方針が、本来なら爪弾き者となるはずの人物でも正義の組織の一員として活動するための受け皿になっていた」
「想破上弦衆が『闇を払い、平和を守る正義の刃』なら、久世上弦衆は『闇に蠢き、悪を咬み切る獣の牙』……だっけ? 偉い人はそんな風に言っていたよ」
想破と久世、両方の上弦衆に所属していた経歴を持つ『閃忍ツカサ』が、この二つの上弦衆を端的に表現した文言を口にする。
想破上弦衆が公の正義に滅私を尽くす理想主義の正義の組織とすれば、久世上弦衆は理想との折り合いを付けた現実主義の正義の組織と言える。組織としては久世より想破の方が異常、という指摘がある程度には、想破上弦衆の掲げる理想は高潔すぎるものだ。
Order of Valkyrie
上記の文字と共に天使長アズエルの姿が映し出される。後光を背負うアズエルには、先程のような弱々しい雰囲気は欠片も感じ取れない。天使長、その座に相応しい威厳と威光に満ちていた。
アズエル直属の神騎である『神騎カペラ』は、「やっぱり、アズエル様はこうでないと!」と崇高なる天使長アズエルの威容に満足気な表情をしている。
「創造神アマツに仕える存在を天の使い……天使と言う。その中の、戦う力をアマツ神に与えられた一握りの天使が『神騎』だ」
「『九大神騎』とその補佐二名ずつ、神騎は合計27名で構成されています。私とアルデバランは『二の聖剣』たる『ミカフィール』様の補佐をしている神騎です」
ランサークラスの『神騎スピカ』が天界神騎に関する説明を行う。それに頷いたマシュは、近くにいた『神騎フローレル』に声を掛ける。
「……なるほど。では、フローレルさんもその27人の神騎の一人なのですね」
「いえ、それは違いますわ。わたくしは地上神騎ですから」
「神騎には『天界神騎』と『地上神騎』の二つが存在している。地上神騎とは、魔王の魔力の残滓を宿した人間が、神騎の能力に覚醒した存在のこと。その身に秘めた欲望によって姿、能力が異なるという性質を持っている」
「ねえ藤丸、わたしも地上神騎に分類されるのよね?」
「そうなるな」
オルガマリーはDチャージの際に接限力と共に魔王の魔力を注がれた。生物分類としては、幻魔と神騎……正確には、地上神騎の間の子ということになる。そのもう片方の構成因子、幻魔と因縁深い勢力こそが次に紹介される第五の勢力だった。
「そして『箱舟』……」
「幻魔と人間が交わった子孫の中で幻魔の力が発現した者を『魔女』という。箱舟はこの魔女により構成された組織であり、歴史の裏で人類を襲う幻魔と長年に亘って戦ってきた。……尤も、カルデアには、まだ彼女たちは召喚されていないが……」
今、紹介された五つの組織を象徴する
「これらの組織同士の協力体制を構築、そのほか偶発的に邂逅した異世界人等も組み込む一大勢力となったダイビートは、死闘の末にアルダークを壊滅させた」
『動きが、止まった……ッ、今!』
『ええっ……残る、エナジーを……全て! 神撃しますっ……!』
『天雷よ……我が敵を討てっ!』
『――――――――『
『穿! 四門、五月雨っっ!』
『ちょう、こう、戦士、どもッ……! エスカ、レイヤアアアアアアア!!』
『ハイ、パーーーー……ッ、ビートエンド・エスカレーション!!』
『おっ、が、ぐ、まさか、ッ…………! ぐお、ぐ、うぉああああぁぁぁッ……!!!』
アルダーク首領、ディストバーン。その異貌に、三人の超昂戦士の必殺技が直撃する。
特撮作品の怪人の如く、身体を爆散させる姿は勝利を確信するに十分なもの。ダイビートは、確かにアルダークに勝利したのだ。
「アルダーク撃破後にもその世界には新たな敵勢力が現れた。その全てから人類を守り抜き、人類の破滅の未来を防いだ俺は、沢山の家族に囲まれて一生を終えた……はずだった」
視点が変化する。白い部屋の中で、一人の女性が視点の主を抱え上げる。
『あなたの名前は……藤丸立香よ』
「……結論を言おう。同一存在、並行世界の自分の記憶を持つ転生者。それが藤丸立香だ」
「先輩が、前世の記憶を持つ転生者……?」
荒唐無稽。この上映会を始める前に、彼の口にした言葉の意味を全員が理解する。
確かに、これはそう簡単に信じられるような内容ではない。記憶を見せる、などという証明方法を選んだのにも納得が行く。
「転生の原因は分からない。魔王の魂は転生すると聞いたことがあるが、それでも前世の記憶を維持しているのは、明らかにおかしい。だが……今はこう考えている。未来消失、破滅の未来を覆すために、記憶を維持したまま転生したんじゃないか、と」
「……抑止力、か」
抑止力。集合無意識によって作られた世界の安全装置。人間にとって最大の味方であり、同時に最大の敵でもある方向の修復者。
この世界には、人類の持つ破滅回避の祈りである『アラヤ』と、星が思う生命延長の祈りである『ガイア』という、優先順位の異なる二種類の抑止力がある。どちらも現在の世界を延長させることが目的であり、世界を滅ぼす要因が発生すると同時にその要因を抹消する。
抑止力自体はカタチのない力の渦だが、具現化する際はカタチを伴う。無意識がカタチになったものであるため、発生しても誰の目にも止まらず、誰にも意識されることはない。
大抵は『一般人』を後押しするカタチで抑止力は発現する。対象である要因を消し去るだけの力を得るが、取って代わることのないように倒すため以外の力は持たされず、また当人には自分が抑止力によって後押しされているという自覚はない。
「抑止力?」
「カウンターガーディアン。この星を守る安全機構のことだ。……恐らく、転生の原因は抑止力だろう。人と星、その両方を守り抜いた最新の英雄を抑止力が見逃すとは思えんからな」
アラヤの抑止力。人類の「存続するべき」無意識が生み出した防衛装置。名も無い人々が生み出した、顔のない代行者。『抑止の守護者』に該当するエミヤは、転生の原因は、抑止力にあるのではないか、と彼なりの推測を述べる。
今現在、世界を救う、程度では世界に英雄と認定されることはないが、抑止力の範囲外にある異星生命体を討ち、惑星を救う、偉業を成し遂げた彼を英雄と認定する可能性は十分にある。
「……立香君。一つ、いいかい?」
「どうした?」
レフと対峙した時のように、努めて冷静を装っているロマンは一つの質問を投げかけた。
「君の、前世の名前は……なんて言うんだい?」
その問いに、彼は――
「戦部トキサダ、それが『俺』の名前だ」
Count the Servants!! 現在、カルデアに所属するサーヴァントは!
生者
・シールダー :マシュ・キリエライト
・アンノウン :オルガマリー・アニムスフィア
英霊
・キャスター :レオナルド・ダ・ヴィンチ
・セイバー :アルトリア・ペンドラゴン
・セイバー :アルトリア・ペンドラゴン[オルタ]
・アーチャー :エミヤ
・キャスター :クー・フーリン[キャスター]
・ライダー :メドゥーサ
戦士
・セイバー :エスカレイヤー
・アーチャー :マドカ・アサルト
・アサシン :ビートブレイカー・アイ & ビートブレイカー・メイ
・ライダー :ビートバイカー・マッハ
・キャスター :ビートアミュレット・ノノノ
・ランサー :ビートネイチャー・アケビ
閃忍
・アサシン :閃忍ハルカ
・アーチャー :閃忍サナギ
・バーサーカー:閃忍ツルコ
・アーチャー :閃忍ツカサ
神騎
・セイバー :神騎エクシール
・ライダー :神騎カペラ
・ランサー :神騎スピカ
・バーサーカー:神騎アルデバラン
・セイバー :神騎フローレル