第1章 第一特異点 A.D.1431 邪竜百年戦争 オルレアン 副題「竜の魔女」
第2節 ジャンヌ・ダルク
【推奨BGM:Beat Valkyrie】超昂神騎エクシールより
美しい穢れのない純白の翼を広げ、少女は、神騎アニムエルはワイバーンと対峙する。
「天使、さま……?」
その光景はまさに神話の再現だった。
聖なる御使いたる天使が、悪魔の化身たる空を飛ぶ竜に立ち向かう。
咆哮と共に、悪魔は目の前の天使に狙いを定める。
「雷よ!」
古くから天に轟く雷光や雷鳴は神の怒りと考えられてきた。
ローマ神話のユピテル、インド神話のインドラ、またヨーロッパ圏で信仰されている聖書の伝承にも、雷を司る天使『ラミエル』の存在が記されている。
アニムエルの指先に集められた神の雷霆は、人々に仇をなす飛竜の一頭に突き刺さる。
焼け焦げ、地に堕ちる仲間を後目に、飛竜の群れは本能のままに目の前の獲物に襲いかかる。
「『蒼天の星よ、来りて貫け』!」
「嵐の如き剣戟を! 『エッジ・テンペスト』!」
流星の如く、天に駆け上がる一筋の青い光がワイバーンの胸部を刺し貫く。花開くように桜色の翼を広げた天使の剣閃が悪意の翼を斬り落とす。完全に生命活動を停止した三頭の死体が、大地に赤色の染みを作り上げた。
「真珠星のスピカ、参りました」
「神騎フローレル、いざ出陣ですわ!」
二柱の天使、槍使いの神騎スピカと剣士の神騎フローレルが最も新しい神騎の左右に並び立つ。
右には、自身と名を同じくする神槍スピカを振るう神騎スピカが翼を羽ばたかせ、左には、各部にハートの意匠が施された聖鎧を纏う神騎フローレルが対空する。
眩いばかりの二つの武器が、彼女たちの手の中で、主の威光を示すように強く輝いた。
「あなたたちは……!」
「魔王の指示です。天の槍たる私が来たからには、悪は決して許しません!」
「後進を導くのは先達の義務、ノブレス・オブリージュですわ!」
地上の方にちらりと視線を向けると、二人の少女がマシュと共に骸骨の群れを蹂躙していた。
蹴撃一閃。青い装備を身に纏う妹のメイが骸骨兵を廻し蹴りで薙ぎ払い、赤い装備を身に纏う姉のアイが必殺の拳撃を叩き込む。双子故に発動する共感覚は英霊と化した今も健在であり、互いの状況を常に把握しつつ、抜群のコンビネーションを発揮する。
二人で一騎のサーヴァント。ビートブレイカー姉妹はスケルトンたちを次々と打ち倒していく。
(三人二組……それも、あの姉妹を入れることで編成制限に余裕を持たせてるわね)
レフ・ライノールの実行したカルデアの爆破工作は今も後を引いている。カルデアの炉、プロメテウスの火が止まることは防いだものの、本来、この地下工房を運営するのに必要な電力及び魔力リソースを確保するには、それだけではまるで足りない。
現在、技術部トップのレオナルドがこの問題の対処に努めているが、特異点に同時に召喚できるサーヴァントの編成制限という形で影響が出ている。
「――行きなさい!」
魔力集束。アニムエルは右手の先に高速回転するリング状のエネルギー体を作り出す。そのエネルギー体は次第に大きくなり、遂には最初に現れたものより二回りは大きいサイズに変化した。その光輪を頭の後ろまで振り被ると、空を飛翔するワイバーンに向けて投げつける。
本能的に危険を察知したワイバーンは光輪から逃れようとするが、アニムエルの意のままに超高速で動き回る光輪から逃れられるはずがない。
スパッ!
丸鋸のように回転する光輪が、堅牢な甲殻に身を包むワイバーンを真っ二つに斬り裂いた。
両隣、各々の武器を構えていた二柱の神騎は、光輪の左右を抜けてきた残り二頭のワイバーンの目の前に飛び込むと、対峙するワイバーンの首を一刀のもとに斬り伏せる。
二頭ずつ、合計六頭のワイバーンを始末した三柱の神騎が地上に視線を向けた頃には、大地を侵攻する死霊の群れも残り僅かとなっていた。
「これが! アタシの! 全力! 『雷!神!
アイは右腕に装着した籠手に紅蓮の炎を宿す。放たれた弾丸のように迷いのない一直線の突撃が、スケルトンを数体、纏めて吹き飛ばす。籠手から溢れ出る炎が、骨の髄まで灼き尽くす。
攻撃直後、足を止めたアイにスケルトンが砂糖の山にたかるアリのように群がるが、それを許すまいと風を纏うメイが間に割り込む。
「鎮圧を開始します! 『風神拳』!!」
左右反転、姉とは逆に左腕に身に着けた籠手を中心に青い風が渦巻く。姉に群がる不埒者を一箇所に蹴り集めたメイは、拳の一撃とともに放たれる竜巻で空高くに打ち上げた。数秒後、落下してきたスケルトンは、最強の武器、地面に打ち付けた衝撃で全身を粉砕される。
背中合わせに立つ姉妹は、互いが互いの隙を埋めるように絶え間なく攻撃を繰り出していく。
「……すごい。この調子なら……」
「Gi――GAAAAAAAAAAAA!」
「ヒッ……!」
ワイバーンとスケルトンの大半を倒したところで森の方から魔性の咆哮が聞こえてきた。
木々の合間を縫うように、戦場に姿を見せた新たなワイバーンは、あと少しでこの戦いが終わると油断していたフランス兵の頭上から煌々と燃え上がる火炎の吐息を解き放つ。
間に合わない……! これから起こる惨劇を予見した立香は、思わずその表情を強張らせる。
「――主よ、今こそ裁定を!」
しかし、その未来が現実となることはなかった。光の束を集めたような金糸の三つ編みを風に靡かせる金髪の少女が、上空に飛び上がり、ワイバーン一頭を旗で叩き伏せると同時に、森の中から溢れ出るスケルトンを地上に衝突する衝撃で吹き飛ばす。
目の前に着地する少女の姿を見て、兵士たちの一人が信じられないとばかりに目を見開いた。
「え……!?」
「兵たちよ、水を被りなさい! 一瞬ですが、彼らの炎を防げます!
そこの御方! どうか、一緒に戦ってください! 私と共に! 続いてください――!!」
そう告げる、金髪の少女に付いていく者は一人もなく――
彼女を見る兵士たちの眼差しは、恐怖と困惑の入り交じる負の感情に満ちたものだった。
「そんな、貴女は――いや、お前は! 逃げろ! 魔女が出たぞ!」
「え、魔女……?」
誰かが張り上げた声に反応するように、兵士たちは一斉に砦の中へと駆け込んでいく。
彼らの反応に、陰りのある表情を見せる金髪の少女だったが、それが戦いをやめる理由にはならないと、勇猛果敢に
「あの人は……」
『おおう、サーヴァントだ! しかし反応が弱いな。彼女は一体……』
「何にせよ、このまま一気に残りの
最後の一枠。この戦闘を終了するために、必要となる第四の英霊をカルデアから召喚する。
「奔り、降し、裁きたまえ! 天秤の守り手よ―――!!」
「胸の鼓動はエンジン全開! ビートバイカー・マッハ、悪の現場に只今参上!」
車輪の付いた脚甲がトレードマーク。ライダースーツを身に纏う少女が召喚される。見た目に違わずライダークラスのマッハは、ブゥンブゥンと車輪の唸りを上げて駆け出す時を待っている。
「来たぜ、アニキ! あたいに何か用か? パシリか?」
「あそこで
「OK! じゃあ、すぐに連れてくるぜ!」
一目散に駆け出したマッハはスケルトンの合間を縫うようにして金髪の少女の下に向かう。
「よっ、と!」
「いきなり何を……!?」
突然、横抱きに抱え上げられた少女が抗議の声を上げるのを無視したマッハが
「
――神騎アニムエル。
その欲望、力の根源は承認欲求。自分以外の誰かに認めてほしいという人間らしい願望。
故に、彼女は自らの力を最大限に発揮するための場を作り出す能力を得た。
「『
彼女の知らない時間と世界では、
星空を創り出す、という
星光の魔弾は、飛竜死霊の区別なく周囲の草木ごと
「こ、これは――」
目の前に降り注ぐ光の雨、そのあまりにも絶大な威力に金髪の少女は絶句する。
「キミ、大丈夫かい?」
「あ、はい。……その、ありがとうございます」
「気にするな。それより、キミの名前は?」
「
「ジャンヌ……ダルク!?」
彼女の口にした真名にマシュが驚愕の声を上げる。何故なら、その名前は――
「魔女になったと聞いていたが……」
「その話は後で。……彼らの前で、話すことでもありませんから」
少女が視線を向けた先には、様子を伺うように物陰から顔を覗かせる兵士たちの姿があった。
「こちらに来てください。お願いします」
「……誘われてしまいました。どうされますか、所長?」
ばさり、と三人の直ぐ側に舞い降りたオルガマリーが神騎形態への変身を解除する。普段の服装に戻った彼女は、さして逡巡することもなく、部下の質問に結論を出す。
「考えるまでもないわ。彼女はこの特異点に召喚されたサーヴァント……この世界の事情に精通しているはずよ。詳しい情報を得るためにも、ここは彼女に同行するのが最善です」
所長の判断。異を唱える理由もなく、一行は
☆
【推奨BGM:Strain】超昂大戦より
ジャンヌの導きに従い、一行は人目に付きにくい森の中に足を踏み入れた。道中、
「どうぞ座ってください。……お互い、長い話になりそうですから」
その言葉に頷き、三人は切株の上に腰を下ろす。
「まず、貴方たちのお名前をお聞かせください」
「分かりました。特務機関カルデアの所長、オルガマリー・アニムスフィアです。こちらの彼は藤丸立香。そちらの彼女、マシュ・キリエライトのマスターに当たります」
「マスター……? この聖杯戦争にもマスターはいるのですね」
「いえ、聖杯戦争とは無関係なのです。わたしはデミ・サーヴァントに過ぎません」
「デミ・サーヴァント……?」
「正規の英霊ではないのです。ご存知ありませんか?」
「……そうですね。まずはそこからハッキリさせておくべきでしょう」
情報交換を始める前に、ジャンヌは前提条件となる自らの状態と状況を語ることにした。
「私は確かにサーヴァントです。クラスもルーラー。そのことは理解できています」
「ルーラー……? 聞いたことのないサーヴァントクラスだが……」
「所謂、エクストラクラスの一つです。聖杯戦争の裁定を行う『中立の審判』と聞いています」
秩序を担う裁定者。『聖杯戦争』という概念そのものを守るために行動する絶対的な管理者。
部外者を巻き込むなど規約に反する者に注意を促し、場合によってはペナルティを与え、聖杯戦争そのものが成立しなくなる事態を防ぐためのサーヴァント。
本来なら召喚されるはずのないエクストラクラス、それがルーラークラスのサーヴァント。
「ええ、その通りです。ですが……私には、本来与えられるべき聖杯戦争に関する知識が、大部分存在していません。いえ、知識だけではない。ステータスの面でもランクダウンしています。幸いなことに、ここは私の生まれ育った故郷。唯一、言語だけは通じるようですが……」
「竜の魔女、か」
「……はい。私も数時間前に現界したばかりで、詳細は定かではないのですが。どうやら、こちらの世界にはもう一人、ジャンヌ・ダルクがいるようです。あのフランス王シャルル7世を殺し、オルレアンにて大虐殺を行ったというジャンヌが……」
「同時代に同じサーヴァントが二体召喚された、ということかしら……?」
『うーん……聖杯戦争の記録を紐解けば、その手の同時召喚の例はあるとは思うけど。実際、カルデアにも二つの側面のアーサー王が同時に召喚されているワケだし』
青と黒、二側面の
『ともかく、これで確定した。フランス王の死とオルレアンの占領、この二つが意味するのはフランスという国家の崩壊だ。歴史上、フランスは人間の自由と平等などを謳った最初の国であり、多くの国を先導した。人権の成立が百年遅れれば、それだけ文明は停滞する』
「人権が認められなければ、人類は未だに中世と同じ生活を繰り返していたかもしれない……特異点が成立するのには十分すぎる理由ね」
西暦1431年。ジャンヌ・ダルクの処刑、及びヘンリー6世の戴冠式が行われた。
百年戦争に勝利したフランスは、大陸からイングランド勢力を駆逐することで王権を強化する。
後の時代、1494年のイタリア戦争からイタリア統一運動、オーストリア=ハンガリー帝国の成立、果ては第一次世界大戦の火種へと繋がっていく、ヨーロッパ世界史のキーポイントだ。
フランスが勝利する、という人理定礎の崩壊こそが特異点発生の原因であると全員が理解する。
「声だけが聞こえる……今のは魔術ですか? 貴方たちは一体――」
『おっと、そう言えば紹介がまだだった。はじめまして、聖女ジャンヌ・ダルク。
ボクはロマニ・アーキマン。知り合いからはロマンと呼ばれています。彼らのサポートを行っている者です。宜しくお願いしますね』
「なるほど、ロマン。夢見がちな人なんですね!」
『……なんだろう、この敗北感。褒められたのに全然嬉しくないような……』
はぁ、と溜息を一つ。
「本当に、ロマニがいると空気が緩むわね」
「全く以て困りものです。ゆったりお茶をするレベルです。ほぼイヌと同義です」
「フォーウ……」
一気に緊張感が欠けたことにオルガマリーはジトっとした表情をしてしまう。
「……まぁ、いいわ。今度はこちらが事情を説明しないといけないわね」
気を取り直して、ジャンヌと向き合ったオルガマリーはカルデア側の事情説明を開始した。
ふむふむ、と興味深そうにオルガマリーの話を聞いていたジャンヌだったが、人理、人類の未来が焼却されたという事実にはその表情を険しくする。
「まさか、世界そのものが焼却されているとは……私の悩みなど小さなことでした。ですが今の私は――」
「フォウ?」
「サーヴァントとして万全ではなく、自分でさえ『私』を信用出来ずにいる」
ジャンヌは、何も握らない自らの掌中をジッと見つめる。
「……オルレアンを占拠したジャンヌ・ダルク。それだけではなく、人々を襲うあの飛竜……」
「ワイバーンですね。……十五世紀のフランスに飛竜がいるはずがない」
「幻魔の可能性もあるが……あれだけの数を維持するのは流石に難しいだろうな」
「それに何より、兵士たちは貴方を『竜の魔女』と呼んでいたわ」
「ええ。認めたくありませんが、あの竜たちを操っているのは『
「ですが、ジャンヌ・ダルクに『竜を従えた』などという伝承はありません」
「はい。生前の私は、そんなこと思いつきもしませんでした」
サーヴァントは一つの英雄の一つの側面を抽出して召喚するものであり、後の口伝・伝承や形作られたイメージの結果、生前、実際の情報とは異なる形で召喚されるケースもあるのだが、聖女と名高いジャンヌ・ダルクが『竜の魔女』として召喚されるのは明らかにおかしい。
何か裏がある、高い分析力を持つオルガマリーがその結論に至るには一秒と必要はなかった。
「竜の召喚は最上級魔術。まして、これだけの数ともなれば現代の魔術師には不可能……この時代の魔術レベルでも困難なはず。となると、残る可能性は――」
「……聖杯、か」
「ええ。まだ憶測の域だけど……そんな反則ができるとすれば、聖杯くらいしか思い付かないわ」
「……なるほど。状況に不明な点が多々ありますが、ある程度の把握はできました」
一通りの話を聞き、頭の中で情報を整理したマシュは改めてジャンヌの方に向き直る。
「マドモアゼル・ジャンヌ。貴方はこれからどうするのですか?」
「……目的は決まっています」
そう告げた彼女に全員の視線が集中する。
「オルレアンに向かい、都市を奪還する。そのための障害であるジャンヌ・ダルクを排除する。主からの啓示はなく、その手段は見えませんが、ここで目を背けることはできませんから」
「……一人でも戦う。なんというか、歴史書通りの方ですね、先輩」
「ああ、素直に尊敬できる人だ」
「先輩。それに所長。わたしたちとジャンヌさんの目的は一致しています。今後の方針ですが、彼女に協力する、というのはどうでしょうか?」
「当然、俺はそのつもりだ」
「そうね。ここは彼女と協力するのが最善でしょうね。戦力は一騎でも多い方がいいわ」
「……良かった」
全会一致。反対意見が無いことにマシュは安堵の声を漏らす。
「では改めて、マドモアゼル・ジャンヌ。わたしたちはわたしたちの目的がありますが、それと並行して貴方の助けになりたい。これから貴方の協力者として、その旗の下で戦うことを許してくれますか?」
「そんな……こちらこそお願いします。どれほど感謝しても足りないほどです」
切株から立ち上がると、ジャンヌはその場で深々と頭を下げた。
「……ありがとう、皆さん。私は一人で戦うものだとばかり思っていました。たとえ相手が魔女と呼ばれる私であろうと、皆さんのような頼もしい方たちがいるのなら恐るるに足りません」
「どういたしまして」
ふふっ、と全員の顔に自然と笑みが溢れる。
「それでは藤丸さん。私と契約を交わしていただけますか?」
「ああ。勿論、構わないさ」
英霊契約の詠唱は覚えている。立ち上がり、ジャンヌと向かい合うと契約の呪文を口にした。
「告げる。汝の身は我の下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄る辺に従い、この意、この理に従うならば―――我に従え! ならばその命運、汝が旗に預けよう!!」
「ルーラーの名に懸け、誓いを受けます……貴方を我が主として認めましょう、
契約完了。二人は、互いの間に魔力を流し込むための
「では早速――と言いたいところですが、しばらくは斥候に徹するしかありませんね。魔女の討伐と目的はシンプルですが、その達成は非常に困難ですから」
『流石はジャンヌ・ダルク。彼女の言う通り、今直ぐにオルレアンに突撃するのは無謀だ。土地勘があるのは彼女一人、拠点となるベースキャンプもまだ設立していない。この状況で突撃するのはむざむざと死にに行くようなものだよ』
「ええ。まずはもう一人の私に関する情報を集めるべきです」
「あとは戦力だな。他に協力者、俺たちの味方をしてくれるサーヴァントがいると助かるが……」
軍備軍略に造詣が深い面々が現状の問題と今後の方針を次々と口にする。設備不足、情報不足、戦力不足と、今の彼らには何もかもが不足している。オルレアンに突撃する前に、一つずつ、不足を満たしていく必要があるだろう。
「ジャンヌさん。わたしたちの他に、サーヴァントの反応はありましたか?」
「申し訳ありません。ルーラーが持っているサーヴァントの探知機能も今の私には使用不可です。通常のサーヴァント同様、ある程度の距離にならなければ知覚することはできません」
ルーラークラスで召喚された者は与えられた役割を遂行するために、クラス特性としてサーヴァントの真名を知ることができる『真名看破』と、聖杯戦争に参加する全サーヴァントに使用可能な令呪を各サーヴァントごとに二画保有する『神明裁決』、10キロ四方に及ぶサーヴァントに対する知覚能力が与えられる。
これらの特権、聖杯戦争の管理者として必要となる能力の全てをジャンヌは喪失していた。
「……待った。その探知能力、もう一人のジャンヌ……識別名がないと不便だな。仮に『ジャンヌリバース』とするが……ジャンヌリバースも持っているのか?」
「……! 迂闊でした、その可能性はあります。もう一人の私……いえ、面倒です、私もジャンヌリバースで通しますが……そのジャンヌリバースが本当にサーヴァントになった私なら、クラスはルーラー。その場合、私達の居場所は即座に感付かれる。……何時でも戦う準備は必要です」
「常在戦場、常に戦場にいる心持ちでいる必要があるわけか」
「できれば街や村での情報収集も最低限にしておきたいですが――」
そう言いながら、ジャンヌは苦虫を何匹も纏めて噛み潰したような表情をした。
「なに一つ手掛かりのない今は、そういうわけにもいかなさそうですね」
ジャンヌリバース、その知覚能力がルーラークラスのそれである可能性が存在する以上、人里を戦場にしないために人里から離れて行動した方がいい。しかし、情報収集のためには人里に近寄る必要があるというジレンマに、祖国のために立ち上がった少女は苦しんでいた。
「明日の早朝に出発しましょう。マスターは人間ですし眠った方が……」
「そうするが……キミは大丈夫なのか?」
「ああ、私なら大丈夫です。能力はランクダウンしていますが、サーヴァントの基本的な能力は有していますから」
「……なるほど。それなら遠慮なく休ませてもらうよ」
「はい、おやすみなさい」
そうして眠りについた立香は――
真名 :神騎スピカ
クラス:ランサー
出典 :『超昂大戦』
属性 :秩序・善・天
真名 :神騎フローレル
クラス:セイバー
出典 :『超昂大戦』
属性 :中立・善・人
真名 :ビートブレイカー・アイ
クラス:アサシン
出典 :『超昂大戦』
属性 :秩序・善・人
真名 :ビートブレイカー・メイ
クラス:アサシン
出典 :『超昂大戦』
属性 :中立・善・人
真名 :ビートバイカー・マッハ
クラス:ライダー
出典 :『超昂大戦』
属性 :中立・善・人