太陽が空高く昇るお昼時、二人の男女が誰もいない屋上で昼食をとる。灼熱地獄を思わせるような猛暑の夏が過ぎ、秋らしい快適な気候の訪れ。しかし、だからと言って態々屋上に訪れるような人はそういない。現に、屋上で食事をしているのはこの二人だけである。
では何故、この二人はそんな場所で腹ごしらえをしているのか。その理由は二人の関係性にある。
「
「駄目。ここ会社よ? 万が一にも
「う……、それはそうですけど……。だったらどうして屋上に誘ったんですか?」
「…………。ごちそうさま」
両手を合わせてそう言いながら、“身律さん”と呼ばれた女性は弁当箱を片付ける。そんな彼女に不服そうな表情で男は暫く見つめていたが、「はぁ」と溜め息を吐くと豆を摘まんで口に運ぶ。そして咀嚼した後に両手を合わせると、隣の女性と同じ様に弁当箱を片付け始める。その時——、
「んっ……」
唐突に唇が塞がれた。同じ弁当を食したとは思えないような甘い香りが彼の
思考が追い付くよりも先に彼女は唇を離し、照れながらも怪しげな笑みを浮かべて言う。
「屋上に誘った理由はね、私だけのデザートをいただくためよ。
「…み、のりさん…………」
“壱さん”と呼ばれた男性は呆然としながら眼前の女性から目が離せなくなる。そんな彼を女性も見つめる。
見つめ合う時間が暫し続き、今度はどちらからともなく顔を寄せ合い、しっとりとキスを交わす。蕩けそうな甘いひと時は、休憩時間いっぱいまで続いた。
◆◆◆
ここは都心から二駅ほど離れた市街のオフィス。そこでは百を超える人数がそれぞれに作業をこなしている。
“
“
この二人は同僚であり、数年の付き合いを経て恋人関係となった。そして、この会社では社内恋愛自体は認められているものの、社内での不純な行為は当然に禁じられている。だからこそ、壱と身律は密やかに人目を盗んでスキンシップを行う必要があるのだ。
「それじゃあまた今夜、寝室でね」
「っ、はい」
休憩時間の終了間際まで甘いキスをしていた二人は約束を交わして屋上を後にする。
気持ちを切り替えて仕事場に戻る最中、二人をとある男が呼び止める。
「よお身律ちゃん、それと壱くん。今日も二人で熱いねぇ」
その男性の名前は“
「止めて下さいよ、狭間さん」
「へへ、まあ仲良くやれてるなら良かったぜ」
愛想の良い笑顔で二人を冷やかすと、狭間はトイレへと入って行った。
「まったく、狭間さんは……」
そう言いながらも谷条は満更でもなさそうに笑みを浮かべていた。
と言うのも、谷条と歴島がくっつく大きな要因の一つとして彼の開いた社内合コンがあるからだ。その合コンで谷条は歴島の悩みを聞き、彼女を慰めたことからお互いがお互いを意識するようになったのだ。
つまり、現在の恋愛関係があるのは大なり小なり狭間という男のおかげでもあるのだ。そしてそれは二人の共通認識である。なのだが——、
「……私、やっぱり彼は得意じゃないわ」
ぽつりと歴島が呟いた。
「私を見る彼の目線、……どう見ても私の胸ばかり注視しているみたいでいやらしい。彼の事はどうしても人として好きになれないわ」
「…身律さん。それは、仕方のないことだと思いますよ。貴女の胸はとても魅力的ですし気になるのはある種、男として当然だと思います。ですが、それを受け入れ
谷条はそう言うと彼女の両肩に手を置いて口を耳元まで近づけると、優しく囁く。
「なので今夜は、自信がつけられるように僕も頑張りますね」
「っ、もう…………壱くんったら」
完全に谷条の虜となっている歴島は、そんな愛の表現でも嬉しそうに照れてしまう。彼女の耳元から顔を離すと谷条はポンポンと頭を優しく撫で、一緒にデスクワークへと歩いて行く。
「……本当に熱々だな」
そんな後ろ姿を、狭間は半ば呆れた様子で見ていた。すると、彼に声をかける中年の男性が近づいてきた。
「狭間君、ちょっと今夜の飲み会の店について相談なんだが……」
「はいっ、喜んでお受けしますよ」
元気よく返事した狭間はそのまま中年男性について行き、飲み会の予約を入れた店や参加人数の確認をする。彼の心中では唯一、歴島と谷条の二人が飲み会に参加しないことが残念で仕方ないことだった。
◆◆◆
日はすっかり落ちて暗くなりはじめ、街のあちこちを人工的な明るさが照らしている。
普段よりも早めに夕食とシャワーを済ませた谷条と歴島はお互いに寝間着姿でベッドに腰掛け、微妙な距離感でそっぽを向いていた。
別にこれが初夜というわけではないのだが、それでも未だに慣れない緊張感を二人ともが纏わせている。
「…………」
「…………」
一言も発する事無く、二人は互いにチラチラと相手を見ているが身体へ触れる事すら無く何十分と時間が経過していく。だが、意を決した谷条は歴島の両肩を掴んで強引に口付けを交わす。
「んんっ、んふ……ちゅ、ちゅぷ、れろれろ、ちゅぱ、じゅるる。身律さん……」
申し訳なさそうに相手を見やった谷条は、そこで蕩けた表情のまま自分を見つめる恋人の顔が目に映った。交際を始めて一年経っても舌を絡めたキスだけで表情を蕩けさせてしまう彼女の初心さに、谷条は胸が高鳴る。
「……胸、触っても良いですか?」
彼女のコンプレックスである大きな胸を触ろうと訊ねる谷条。そんな彼に、歴島は答えあぐねている。
——恋人には触って貰いたい、けどあまり触られたくはない——。
そんな葛藤に悩まされているような様子を見て、谷条は彼女に言った。
「……今夜で、自信がつくようにしてみせます」
そう宣言して彼は彼女を抱きしめる。
これまでも同様の質問をしたことはあるが同意も拒絶も得られず、最終的に胸を触る事は未だに無かった。
彼女がその胸でどんな風に嫌な思いをしてきたかを彼は知っている。交際する前、彼女に話して貰ったから。しかし、それでも彼女がこれまでに負った心の傷の深さを彼には知ることが出来ない。
今までは彼女を失うことが怖くて彼女のコンプレックスに触れることを避けていたが、谷条は遂に決心した。
「ひっ——」
割れ物に触れるかのようにおずおずとしながらも、出来る限り優しく彼女の両胸に掌を当てた。瞬間、彼女は驚いて谷条の身体を押し
「……逃げないで…………、ください」
だが、彼は動かず彼女の肩を抱きしめる。そして彼女の心を落ち着かせるようにゆっくりと言い聞かせる。
「身律さんのおっぱいは確かに興奮しますし、触りたくもなります。いやらしい下心が無いなんて口が裂けても言えません。……ですが、それだけで貴女を好きになった事は一切ないと誓えます。僕は、身律さんの真面目で優しい性格も、多少ドジなところも、可愛くて美しい顔も、真摯に働く格好いい姿も、全てが好きになったんです」
「壱…………さん」
「身律さんの胸は数多くある魅力の内の一つです。そんな魅力的な所を、僕に愛させてくれませんか」
歴島の心の内側を解すように谷条は説得を試みる。女性慣れしていない彼には、誠実に自身の想いを伝えることだけで精一杯だった。ただ、その態度が彼女に届いたのか拒絶する腕の力を緩めていた。
「…………触らせて、貰いますね」
再度訊ねるが、今度は彼女の返答を待つ気は無かった。これ以上逃げてはいられないと、心に決めた谷条は堂々としながらも最大限優しさを考慮しつつ歴島の左胸に右手を近づける。
「っ、んぅ……」
大きな膨らみに彼の右手がそっと触れて、彼女の口からくぐもった声が漏れる。
「こ、れは——」
一方で、谷条は右手から伝わる大きさと柔らかさ、そして心地良い温もりに深く感激していた。初めて触る恋人の乳房は服の上からでも充分に感じることのできる弾力と温度で、確かな幸せを実感できるものだった。
「とても気持ちいいです、身律さん。柔らかくて、ふかふかで、……何よりとても温かくって。触っているだけでとても幸せになれます。……身律さんは、どうですか?」
癒される感触に満足していた谷条だったが、それだけでは意味が無い。歴島が嫌がっているならば、彼は手を離すつもりでいた。
「わから…ない」
頬を紅潮させ、彼女は答えた。初めて自身の胸から伝わる感覚に戸惑っているようにも、感じているようにも見える。どう思っているのか伝わりづらい反応でも、彼にただ一つわかることは——、
「…………でも、嫌じゃない」
拒絶や嫌悪の感情が一切無い。それだけで、谷条には充分だった。
彼女の左胸から手を離さず、ふんわりと撫でるように揉み始める。服の上からでも感じられるのか不安だった彼だが、彼女の反応を見ているとすぐに安心した。
「んふ、はっ、…あ、あぁ……はぁ、はぁ、んっ…ふあ」
夏終わりで衣替え前の薄い寝間着姿だとは言え、服の上からでも彼女は乳房への愛撫にしっかりと快楽を得ている様子だった。
ただ、彼は彼女にもっと気持ちよくなってもらいたいという願望がある。しかし、初めて胸への快感を覚えた彼女にこれ以上強く胸を揉んでも効果は薄く、寧ろ逆効果にさえなる危険があった。
そこで、谷条は彼女に要求した。
「身律さん。脚を開いてください」
「んっ、はぁっ……。う、うん」
興奮からか、思考がぼうっとしていた歴島は特に疑問を持たず彼の要望に応えて脚を開いて見せた。すると谷条は彼女の背後に回り込み、左手と右手をそれぞれ彼女の左胸と股間部へと移動させる。そして、右手は下着の内へと滑り込ませると中指の腹で割れ目を静かに撫で上げる。
「んんっ! 壱さん、ちょ……と待っ…てぇ……」
「待てませんよ」
谷条は彼女の左胸を一定周期で上から下へと撫でつつ、右手で多少強引に秘部を刺激していく。彼は、胸と性器を同時に責めることで得られる快楽を増幅させようと考えたのだ。
「んあぁ、そこ……だめぇ…………」
その作戦が功を奏したのか、歴島の秘部からはどんどんと愛液が溢れ始めている。今日は胸への刺激もあるためか、割れ目から零れ出る粘液の量が普段の倍増しで、暫くすると彼女の下着も寝間着もグッショリと濡らしてシミが広がっていた。
「んっ、もぅ……この寝間着、洗わないと…………」
「そんなのは寝る前でも良いじゃないですか。今は、こっちに集中してください」
「あっ、だめっ、そこは…ぁっ、……クリ、トリス…だっ、からぁ……」
「わかってます」
中指と人差し指を女性器の内部に侵入させつつ、掌で彼女の敏感な肉芽を撫でる。経験回数は数える程しか無いが、それでもそれら全てを彼女一人としてきたのだから、谷条には彼女を絶頂させるコツはある程度掴んでいる。
二本の指を曲げて鉤爪状にしたままお腹側の一部分——Gスポットを擦ると快感から彼女は腰をカクカクと振り始める。そこで、その動きを抑えるように力加減をしつつ掌でクリトリスを圧迫する。そうすると膝が少し
「ひあっ、あぁっ、ら…らめぇ、も……んふぅ」
唐突に谷条は歴島の唇を塞ぐ。お昼の仕返しと言わんばかりに強引な、それでいて優しい口付け。舌を絡めるまでもなく、既に彼女の表情は快楽で蕩けきっていた。
「まだです。もう少しだけ、我慢してください」
「そ、んなぁ…………」
「我慢すれば我慢した分だけ、気持ちよくなれますから」
「ん、んぅぅ……、はっ、ぁぁ……」
口を真一文字に結んで堪えている彼女を見ていると嗜虐心に駆られる谷条だったが、その気持ちを抑えて責める手つきが強くなり過ぎないように気を付ける。あんまり激しく責め過ぎると行為そのものを嫌う可能性が高く、最悪の場合だと破局して関係が終わってしまいかねないのだ。相手を気持ちよくさせる、という一点のみに気持ちを集中させる。
しかしそれでも、彼女はもう限界と言わんばかりに顔を横に振る。
「も……だめぇ…。がま…ん、で…きな……い…ぃぃ」
前戯を始めて数分と経過していないのにも拘らず、歴島は自身の限界を訴えかける。普段の凛々しい姿からは予想できない程の弱々しい声色や口調が、彼の興奮を否が応でも高めていく。
そんな様子からもう少しだけ意地悪をしたくなる谷条だが、引き際だけは見誤ってはならない。そうした意地悪はまたの機会に回すことにし、彼女を快感の最高潮へと誘う。
「わかりました。それじゃあ、存分に気持ちよくなってください」
左胸を撫でている手にも僅かに力を加え、彼女への責めにラストスパートをかける。ある程度激しくはしつつも痛みは感じないように、出来る限りの力加減に注意する。
「んっ、んふっ、ふあぁっ、イっ…ちゃぅ……。手だけで……イッ…、ひゃぅっ」
彼女の小刻みな震えは膝から腰へ、腰から背中へ、背中から全身へと伝わっていく。こうなると、彼女が絶頂するまでもう数秒と無い。
その事を理解している谷条は、服の上からでも僅かに見える先端の膨らみへ指を移動させて、少し強めに押し込んだ。
「んっ、ひぅぅぅっ!!」
それを合図に歴島の身体は大きく跳ねて、秘部からプシャっと粘液が放たれる。弓なりに仰け反った彼女の身体を支えるように谷条が左腕で抱きしめた。
「あっ、あっ、…んあっ……はぁ、はぁ、はぁ……」
両肩で息をしながら絶頂の余韻に浸る歴島。口の端から唾液が垂れているが、そんな事を気にしていられる余裕など無く、開いた口は酸素を取り込むことで夢中だった。
彼女が息を整えていると、次第に身体の痙攣が収まっていく。
「…最後、乳首で
「はぁ、はぁ、…そんなこと、ない…から……」
歴島は冷静を装いながら答えるが、自分でもそんな気がしていたことを自覚する。しているからこそ、何となくその事が無性に腹が立つのだった。
ある程度落ち着いた彼女は振り返って谷条の方へ身体を向けると彼を押し倒した。
——今度は私のターンだから——。
そう言っているかのような雰囲気で谷条が逃げられないように両腕を抑えつける。
「私が…こんなに敏感になったのは……君の所為…だから。ちゃんと……責任、取ってよね……」
そう言うや否や、彼女は彼の下腹部へ跨った。
「……その前に、身律さん。服を脱ぎませんか? 下着はともかく、ズボンは履いたままだと出来ないと思います」
「…………あ、あぁ。そうね」
自身が服を着ていたことを忘れていたのか、谷条に言われてその事に気が付いた彼女はいそいそと寝間着を脱ぎ始めた。そういう天然なところも、彼には可愛くて仕方が無かったのだ。可愛らしい自分の恋人に見惚れつつも、彼は自分の寝間着と下着を脱ぎ捨てる。
寝間着を脱いで下着姿になった彼女は、今度こそと言わんばかりに谷条の上へと跨り直した。彼女の下着姿はこの一年間で毎日のように見ていたが、どれだけ見ても扇情的で艶めかしいその容姿に、谷条は飽きる事無く興奮してしまう。
「それじゃあ、始めるわね」
そう言って自身の下着をずらした歴島は、硬く屹立した肉棒を秘部へと当てがった。だがそこで、またしても谷条が彼女を制止しようとする。
「あ、待ってください。ゴムは——」
「……壱さんは私との赤ちゃん、欲しくないの?」
「赤ちゃん欲しいですっ、ゴムは要りません!」
言い終える前に歴島が甘えるように問いかけて、あまりの可愛らしさに即落ちした谷条は意見を直角に曲げた。相手を慮る気持ちはあるが、愛する恋人にそう訊ねられた後でも避妊意識を保てるような理性はとっくに崩壊している。心配はするが、パートナーとの子ども欲しさとそれは話が別なのだ。
「それに、今日は別に危険日ってわけでもないから大丈夫よ。…多分ね」
安心できそうで出来ないようなフォローを入れつつ、歴島はゆっくりと腰を落として肉棒を自身の膣内で咥え込む。
「っ、ふぅ……うぅぅぅ」
「んっ、ああぁぁ……」
敏感な部位が擦られる快感に、二人は揃って声を漏らす。互いの性器から熱いくらいの温もりが伝わり、満足感や多幸感と同時に言いようのない気持ち良さが全身を駆け巡った。
「……愛しています、身律さん」
溢れて止まらない想いが自然と口から零れた谷条。それを聞いて嬉しそうに微笑むと、歴島もそれに応える。
「私もよ。愛しているわ、壱さん。……ふ、あぁぁ…………」
自分のペースで深くまで陰茎を飲み込んでいく彼女の膣は、漸く根本まですっぽりと収めてしまう。サイズとしてはあまり大きくない谷条のイチモツだが、だからこそ経験の浅い彼女の膣にはちょうど良かった。
最後まで体内に侵入した温もりを感じながら一息吐いた後、歴島はゆっくりと腰を上げて女性器から抜いていく。
「っ、あぁ、はぁぁ……」
彼女にとって充分に大きく逞しい肉の棒が膣内を擦り、堪らず色っぽい声が吐息のように口から漏れ出す。否、実際に吐息なのだが、谷条にはどんなセクシー女優の誘い文句よりも色香を放つ呪文のように感じられた。
「もう少し……速く動いた方が、気持ちいい……?」
「いえ、貴女のペースが良いです。僕も……激し過ぎると、すぐに射精してしまいそうなので」
「そう…なの? ……なら、自由に動かせて……もらうわね」
「はい。お願い……します」
前戯の段階でも痛いくらいにそそり勃っていた彼のイチモツは、ドロドロで柔らかな
いくら自分の射精コントロールが不十分で早漏気味であったとしても、流石に挿入から二擦り程度で暴発というのはあまりにも不甲斐なく、情けない。
「ふぅ、うっ……はぁ…………」
まだかまだかと射撃準備を整え切った愛棒がカリ首を長くして解放される瞬間を待っていることを認識し、まだ早いと言い聞かせる。
しかし、眼前で艶めかしく腰を上下に振っている想い人の姿を見ていると谷条には堪らなくなってくるのだ。
(まだだ。落ち着くんだ…。今日こそはいつもより長く堪えるんだ……)
自分の中から暴れ出そうな奔流を必死に抑え込む。
歯を食いしばり、息が荒くなり、白濁のマグマが詰まっている彼のイチモツはパンパンに膨らんでいる。既に限界が近いことは明らかだった。——が、それでもほんの僅かなプライドを守るべく、彼は
「っ、んはぁっ」
そこで谷条は視界の中心でゆさゆさと揺れている彼女の乳房に手を伸ばして触れた。そして愛を籠めるように撫でていく。
——その胸は決して性欲の対象ではなく、愛情の対象なのだ——、と。
そう伝えるかのように、掌全体で愛撫する。
「んぅ……、くすぐったい……ぃぃ」
可愛らしいブラジャーに包まれた豊かな膨らみに大いなる愛を送っていると、彼女の顔が綻んだ。今までコンプレックスの塊でしかなかった彼女の胸は、確かに恋人からの愛を受け取る部位に変わっていた。これは、二人にとって大きな前進であった。
その事実が嬉しく、ならばと谷条はしっかりと揉み込むように両手へ力を加える。片手では収まりきらない彼女の乳房を、それでも出来る限り全体的に刺激しようと工夫しながら優しく愛でる。
「んん、ふぁ……っ、あぁん……だめ……。セックスだけでも、気持ちいぃ…のにぃ。おっぱい触られ…たらぁ、気持ちよすぎて……変になる…ぅぅ……」
「大丈夫…ですよ。僕はとっくに……変に、なってます…から」
「だめ、だってぇ……。何も…考えられなく……んあっ、なっちゃうか……らぁ…」
いやいやと抵抗するように首を横に振る彼女だが、強い拒絶は示していない。恐らくは、これまで嫌っていた器官から送られる快感に脳の処理が追い付いていないのだろう。
そう判断した彼は、彼女の胸を覆う布をずり下げて桜色の先端を露わにさせる。そんな彼の行動に驚く間も無く、その先端突起を指で挟みつつ擦り上げる。
「んっ!? ふあぁっ、それっ…らめっ……、おかひくなるぅぅっ」
初めて襲われる乳首からの強烈な刺激に、歴島は呂律が回らなくなる程に感じてしまう。すると、それに伴って谷条のイチモツを咥えている膣壁がギュウっと強く締め付ける。先程まででも充分に締め付けていた肉襞が、敏感な器官へより一層密着してきた。
「くぅぅぅっ!!」
気を紛らせようと彼女の乳房へ愛撫した結果、彼は自らの首を絞めることになった。そして、これが切っ掛けとなって彼の欲望が堰を切る。
「んっ、ふあぁぁぁっ! いっ……、いぃぃ……」
乳首を責められて軽く絶頂した彼女は脚に上手く力を入れられなくなり、彼のイチモツを強く締め付けたままストンと落としてしまう。
これまでゆっくりだった彼女の腰の動きが瞬間的に激しくなり、谷条の肉棒から許容量を軽く凌駕した快感が走り抜けた。放電したかのような刺激が一瞬にして彼の脳に到達し、堪えようと考える暇も無く陰茎から力が抜ける。そして——、
「うっ、ぅああぁぁぁっ」
我慢していた分だけ激しい勢いで、濃厚な精液が歴島の膣内へと解き放たれた。熱々の濁流はドクドクと流れ出し、すぐに狭い蜜壺を満たしてしまう。
「んいっ!
数瞬遅れて、彼女も大きく喘いで頂へと昇り果てる。弾けるような快楽に身を任せ痙攣した後、ぐったりと脱力した彼女の身体は谷条の上へ倒れ込む。
「気持ち……よすぎて…、もぅ……動けない……」
「僕もです、身律さん…………。最高に気持ち良かった、です…」
「ふふっ、……お揃い、だね……」
愛らしい笑みを浮かべ、恋人の上で心地よい余韻に浸る。
穏やかな笑みを浮かべ、恋人の下で染み渡る体温を感じる。
これ以上に至福のひと時を二人は知らない。互いの愛情を確認し、谷条と歴島は抱き合ったまま安らかな寝息を立て始めた。
次回から本格的にNTR展開が始まります。