・凌辱 ・乳首責め ・排尿
「え? ……出張、ですか…………」
季節は移ろいで寒気が日本を包み始める頃、
「これが上手くいけば、君の昇格も間違いないだろうね」
そう言ってもらえるのは彼としても嬉しく、断るつもりなど微塵も無い。だが、あまりに急な話に少し面食らっていた。
「是非、よろしくお願いいたします」と上司に頭を下げた後、その足で愛しの女性に報告をしに向かう。
「出張するの? いつから?」
案の定というか、その話を聞いた彼女も面食らった表情をして問い返した。
「準備もあるらしくて、来週の頭からになるそうです。そこから一週間、少し長引くと更にもう一週間くらいは帰って来られないそうです」
「そう…………、寂しいわね」
「はい……」
二人とも、考えていることは同じだった。
——恋人と離れるのは寂しくて嫌。とは言え、仕事を任された以上は断るわけにもいかない。——
だからこそ谷条は努めて明るく
「でも、言っても一週間くらいすぐですよ。それに、僕が頑張って一週間とかからず三日くらいでしっかりと成功させて帰ってきてみせます」
「ふふっ、頼もしいわね」
励ますだけの口約束と受け取った歴島だが、当の谷条にとっては本気も本気だった。必ずや宣言通りに三日で仕事をしっかり済ませて、予定よりも早く帰る気でいた。
「帰って来たら、ご褒美を頂けますか?」
「ん~、そうね。……それじゃあ、宣言通りに三日で帰って来てくれたら大サービスしてあげるわ」
「それは楽しみですね」
そんな約束を交わしている二人は完全に気が浮かれていた。目の前の不安を掻き消すように、その更に先の幸福を夢見て楽し気に談笑している。
だからこそ気が付かなかったのだろう。その光景を悔しそうに嘲笑っている、一つの視線に——。
◆◆◆
それから数日が経過し、谷条が上司や同僚数人と出張に行ってから三日目になっていた。彼から「無事に終わりました」という連絡を少しばかりの期待で胸を膨らませながら待ちわびていたのだが、歴島の携帯電話にそういった連絡は未だ入っていない。
(それもそう、かな…………)
冗談半分に聞き流していた彼の口約束に、淡い期待を抱いていた彼女は少しばかり落胆していた。まだ当初の予定であった一週間にはまだまだ遠いが、既に彼女は彼の事で頭がいっぱいになっている。
日に日に高まっていく彼への気持ちが落ち着かず、中々仕事に集中出来なかった彼女は少し早めの昼休憩に入った。
「はぁ……」
「随分と元気が無いね。やっぱり壱くんが気になるかい?」
「っ!」
ぼんやりしながら歩いていた彼女は突然に後ろから声をかけられて驚き振り返る。そこにはいつもの陽気でヘラヘラとした笑みを浮かべる狭間が立っていた。
妙な不安感を抱いた彼女は、咄嗟にそれとなく男から距離を取る。
「まあ、恋人と離れるってのは寂しいもんだよな。俺も高校で付き合ってた彼女が留学に行くって言った時は不安にもなったし、そりゃあ寂しかったもんだ」
「そう…………ですよね……」
なんてことは無い普通の会話。そのはずなのに、相手がこの男というだけで彼女の表情は無意識的に曇り出す。
「今は難しいだろうけどさ、慣れるしか無いよな。なるべく早めに元気出しなよ」
「はい…………、ありがとう…ございます」
こうして話している間も、彼女は自身の胸に視線を感じていた。いやらしく舐め回すような、不快感を与える視線だ。
手早く会話を打ち切ろうと振り返って歩き出そうとした瞬間、呼び止められる。
「ああ、ちょっと待ってくれ」
「……? 何でしょうか」
訊ねながら狭間の方へ向き直るとほぼ同時、何かが放物線を描いて彼女に向かって飛んできていた。
「きゃっ」
反射的にそれを両手で受け取ると、掴んだものは缶コーヒーだった。すぐそこの自動販売機で買った物なのだろうか、まだ暖かい熱を放っている。
「俺、落ち込んだ時はそのコーヒーをよく飲むんだ。それ飲んで元気出しな」
それだけ言うと、手を振りながら狭間は歩いて遠ざかって行く。
視線は不快そのものだったが、彼も彼なりに自分のことを気遣ってくれているのだろうかと考えると、歴島は少しだけ罪悪感を覚えずにはいられなかった。
「…………いただきます」
感謝の念も籠めつつ遠ざかる背中に言葉を投げかけ、彼女は貰った缶コーヒーを手に屋上へ向かって行く。「もう少しくらい、苦手意識は治さなきゃ」と自分を改め、谷条以外にも交友関係を広げようと反省した。
「…………はぁ……」
今日だけで何度目になるかわからない溜め息を溢しながら、歴島は屋上に設置してあるベンチに腰かけてコーヒーを一口だけ飲む。
仕事に集中出来ないなんて自分らしくない、と心の中で 責するもやはり気分は上の空。今までにも彼と数日会えない機会は何度もあったが、恋人という関係になってから一週間単位で会えなくなるのは今回が初めてだった。
たった数日、されど数日。会えない寂しさは日に日に倍増していってしまう。
「……んっ、…ふぅ……」
どうしようもない不安に駆られたためか、彼女は気が付くと下着の上から秘部を自らの手で弄っていた。缶コーヒーをベンチの上に置いて、自分の手を止めようと言い聞かせる。
(駄目よ……こんな事、会社で……なんて…。こんな所を、見られたら……彼に幻滅されてしまう…………)
頭の中では「イケない事」「止めるべき」とわかっているのに、割れ目からは次から次へといやらしい粘液が溢れて止まず、そこを擦る右手の指はビショビショに濡れながら止まる事を知らない。
いつからこんな風になってしまったのだろう。
恐らくは谷条と付き合い始めて何ヶ月が過ぎ、初夜を迎えた後くらいからか。その頃から自身の性欲が目を覚まし、彼と一緒にいる間もいない間も愛しい肉の棒が頭から離れたことがない。今まではいやらしい女だと嫌われることを恐れて自身を律してきたが、寂しさの募った自戒の鎖はいつ引き千切られてもおかしくないほどに脆くなっていた。
(…………少しだけ。……休憩時間の、五分くらいだけ……)
もう止められないことを悟った彼女は、せめてもの抵抗にタイマーをセットして自慰に没頭する。
これ以上汚さないようにとストッキングや下着を脱いでベンチの傍に置き、なるべく入口から見えづらい場所へ移動すると、いやらしい水音を鳴らす性感帯を責め上げる。
「はぁ、……壱さん、……壱さ…ぁんっ……」
遠く離れた恋人を想うと右手の動きは激しさを増し、彼の責めをトレースするように複雑な動きを織り交ぜる。クリトリスやGスポット等、敏感に感じる箇所を中心的に触りながらも深く指を入れては出口まで引き抜いた。
「んぁっ……、はぁ、あっ…んぅぅ、ふぅ、ふぅ……っう…」
快感の波が押し寄せては引いていき、段々と彼女は冷静さや思考力を失っていく。
そして興味本位から、ブラウスのボタンを上から順番に外して豊満な乳房を曝け出した。お気に入りのブラジャーを片乳だけ下げると、肌寒い空気が先端の突起を撫でる。
「んんっっ……、んぁ……っ、はぁ」
その刺激だけで身震いし、軽い絶頂を覚えたがそれで満足できたりはしない。既に硬く充血した彼女の乳首はピクピクと震え、ガチガチに膨らんでいる。
豆粒のようなその膨らみを指で優しく押し込んだ瞬間、彼女の身体に電流が走る。
「んひぃぃっっ!」
コンプレックスに感じていた自分の胸が、実はとんでもない弱点だったことを彼女はここで初めて思い知った。
ちょっとした刺激でも背筋を貫かれるかのような衝撃が走り、秘部からダラダラと連続的に粘液が分泌される。想像以上の快感に襲われながらも乳首を弄る手は止まらず、ガチガチに勃起した性感帯とその周辺を
「おっぱいぃ……、こん…なに気持ちっ、いいぃ……なんて、しらなかっ……た」
元からこうだったのか、それとも谷条に触って貰ったからこうなったのか、とにかく彼女の乳房は女性器と同等かそれを超える程の急所であった。その感覚を味わった彼女はただ貪欲に、性の悦びを探求していた。
「はひっ、ひぁ……ぁふっ……ふぁ…。こりぇぇ、ひゅごっ…いぃ……。きもひ……よひゅぎて……、手ぇ…とまらない……いぃっ!」
止まらないどころか、段々と彼女の手は加速していく。蜜壺から出し入れしている指は愛液を掻き出しているようで、彼女の股下には雨も降っていないのに水溜まりが広がっており、大きなシミとなっていた。
「あぁっ、あっ……ふぁ……、んぅ……ぁっ、いっ。イっくぅ……、イっ……ひゃう、のぉ……ぁ。壱…………さぁ、ん」
恋人を想うとより一層、身体の内側が熱を帯び、溢れ出る液体も量を増した。
——壱さんに触って貰っている。——
そんな妄想をすると得られる快感も爆増し、今にも遥かなる高みで果てそうになる。
「いくっ、いくっ、いくぅっ……。は、じめ…ひゃん……んっ! わらひ……もぅ……、いっひゃう…からぁ……ぁぁっ」
ジュプジュプと音を立てて擦れる指が、自身の肉襞を抉るように刺激する。
グニグニと形を変える乳房の先端がピンと勃ち、冷たい空気の流れだけで断続的に快感を得てしまう。
自分がどこにいるのかもすっかり忘れ、淫らな欲に支配された歴島は過呼吸めいた喘ぎ声を上げながら、アラームの音と共に盛大な絶頂を迎えた。
「イッ、クゥゥゥゥゥゥッッッ!!!」
ガニ股でだらしなく露出されている彼女の膣口から勢いよく透明な粘液が放出され、思わず腰が浮いた。ガクガクと痙攣する彼女の全身の筋肉は弛緩し、脱力状態にあった。
そのため、意図しない失態を彼女は犯してしまう。
「っ! やっ、らめっ…でひゃうぅっ!」
絶頂した影響からか斜め上を向いていた彼女の股間から、黄色い液体が湯気を出しながら放物線を描いて飛び出した。
その角度と発射速度から彼女の尿は敷地を越えて、屋上の外まで飛んでしまった。
「あっ…………、ああぁぁ…………」
脱力しきっていた彼女にはどうすることも叶わず、虚ろな視界で放尿の勢いが収まっていくのを見守る事しか出来なかった。
暫くして膀胱が空になった後、歴島はペタンと座り込んだ。
(やって…………しまった……)
興奮が覚めて冷静さを取り戻し、彼女は自分の過ちを悔やんだ。後悔したが、過ぎてしまったことに取り返しはつかない。
息を整えながら、彼女は後始末の手順を考える。謝罪してどうこうなる事ではないが、それでも後片付けをして、しっかりと謝罪しなくてはならない。
(わたしの…………ばか…………)
途方も無い自己嫌悪に陥りながらも、全身に力が戻った彼女はフラフラと立ち上がってハンカチを取り出すと、自身の股間を拭いて下着類を着替える。
——その一部始終を、無機質なレンズは覗いていた。
◆◆◆
オフィスの雑巾や水道,消臭剤等を使って屋上の掃除を終わらせた歴島は、足早にその場から立ち去って近隣住民への謝罪に向かっていた。どう謝ろうとも許される事では無いと理解しているが故に、彼女の気分はより深く沈んでいた。
「おっと」
「きゃっ」
俯きながら早歩きをしていたためか、彼女は誰かとぶつかってしまう。前に進もうとしていた分だけ勢いよく後ろへ突き飛ばされ、尻餅をついてしまった。
「ごめん、大丈夫? 怪我は無い?」
「っ、…………えぇ。ありがとう、大丈夫よ」
床に腰を打ち付けた彼女へ手を差し出したのは“
「いやいや感謝されるようなことじゃないよ、ぶつかったのは俺なんだし」
「いえ…………でも、——」
「あぁ、そういえば身律ちゃん。休憩に入る前にパソコンの電源ついたままだったよ」
「えっ!? …………あ」
そこで彼女はふと思い出した。この会社では休憩前にはパソコンの電源を落とす、もしくはスリープ状態にさせておくという規則があるのだ。しかし彼女はそれを完全に忘れ、そのまま休憩してしまっていた。
「ごめんなさい、……今日は色々と変で…………」
「まあ様子はおかしかったしね。……それで、別に見るつもりは無かったんだけど何かメールが届いてたよ。それも、重要そうなタイトルで」
「? そう……ですか…」
それを伝えられて彼女は少し不思議に思う。谷条からの連絡であれば携帯電話の方に送られるであろうし、仕事関連であっても現在進行中の業務にトラブルは無かったはずで、他に『重要そう』と言われるような連絡事は思いつかないのだ。
「わかりました。……後で確認してみます」
「おう、それじゃあ」
そう言うと狭間は歩いて行った。
立ち止まっていた歴島は少し悩み、先にそのメールとやらを確認することにした。業務をこなすデスクは玄関から出る前に通って行く所にある上、出来る限り先程の痴態から気を紛らわせたかったのだ。
足早に自身のデスクへと急いだ彼女は、早急にメールの内容をチェックする。狭間の言っていた通り、新着のメールを一件だけ受信していた。
「…………何、これ?」
その件名には『至急、断罪求ム』と書かれてあり、送信者のアドレスには覚えが無い。そして、本文にはこのように書かれてあった。
『歴島 身律 殿
貴女の犯した罪は許されざるもの也。
以下の場所にて今宵、貴女を裁く。』
そして、添付ファイルには『証拠.mp4』と『注意事項.txt』という二つがあった。警戒しながら彼女はスピーカーをミュートにして動画のファイルを再生してみる。
「っ——!?」
そこに映し出されていたのは先刻まで屋上で自慰行為に耽っていた自分自身の姿だった。それを認めた彼女は即座に再生を中断し、ファイルを削除した。
身の毛のよだつような恐怖を覚えた彼女は顔面蒼白になりながらも、今度はテキストのファイルも確認した。そのファイルには、今夜来るように指示されている場所の住所と謎の数字三桁、そしてこの件は他言無用であること,破った場合には恐ろしい事になるという脅し文句が記載されている。更に追伸として、『直接的な被害者はいないから安心しろ』という旨の文章まで記されていた。
「…………」
全て確認し終えた彼女は全身から鳥肌が立っており、青白い顔で震えていた。
——無視をするべきか。いや、この場所に行くべきだろうか。——
頭を抱えたくなるような選択を迫られ、パソコンをシャットダウンさせた歴島は一度部屋から出た。今すぐ謝罪しに出るべきなのだが、恋人への迷惑を考えた彼女には隠しておきたいという邪な考えが支配していた。
誰もいないことを確認し、廊下の隅で指定された住所について調べてみる。すると——、
「…………ここ、って……」
検索結果に表示された場所はこの街でも有名なラブホテルだった。住所の次に記されていた三桁の数字は、恐らく指定している部屋の番号だろう。
そこで何を言われるか、ある程度の予想がついた彼女はすぐにでも断ろうと考えた。否、断るべきだと——自ら告白して謝罪するべきだと、頭では理解していた。
「…………」
それでも悩んでいるのは何故なのか、彼女自身にもわからなかった。もしかすると、恋人が不在という状況が彼女の想像以上に心や思考を乱していたのかもしれない。
◆◆◆
日が沈み切った午後七時、残業を終えた彼女は大きな建物の前に立っていた。そこは、例のメールで指定されたラブホテルである。
「…………っ、——」
覚悟を決めた彼女は建物に入って行く。
相手の要求に応じるかはその場次第だが、とにかく話してみなければと考えた彼女は取り敢えず今だけ指示に従うことにしたのだ。
受け付けに部屋番号を伝えると、『先に待っている人がいると』言われ、その連れだと言うと部屋に通された。エレベーターで四階に到着すると、早歩きで部屋の前に向かう。
「……すぅーー…………、はぁーー…………」
気持ちを落ち着かせようと深呼吸し、意を決した歴島は扉を三回ノックする。すると、野太い声で『入りたまえ』と返事が聞こえた。恐怖で
「よお、待ってたぜ」
その部屋にいたのは彼女のよく知る人物——狭間だった。いつもと変わらない陽気な表情が、この時だけはいつにも増して下品で卑しいもののように彼女の眼には映った。
「単刀直入に訊くわ。……あの映像はどうしたの、どうして撮ってたの」
「おうおう、あんな真似しておいて随分と強気だなぁ」
「っ、黙りなさい! あの時は変だったの、身体が……いう事を聞かないみたいで——」
半ば八つ当たり気味に叫び、言い訳を口にしようとした。しかし、そこから先は言葉に出来ずにくぐもった声が漏れ出ていた。
「んんっ!? んぶっ、ううっ、んぅ……ぷぁっ! はぁ、はぁ…」
「ヘヘヘ、やっぱ柔らけぇな。滅茶苦茶に気持ち良いキスだぜ」
「な、何するの!? 突然、こんな……」
有無を言わせない強引な接吻に驚きつつも、歴島は声を荒らげて糾弾した。それに対し、狭間は特に気にした様子も無く言い放った。
「俺もまどろっこしい事は嫌いだから簡潔に言うけどよ、俺はお前と取引がしたいだけなんだよ」
「取引……?」
「ああそうさ、単純な話さ。これから谷条の奴が出張から帰って来るまでの間、俺の恋人になれ。期日までに俺のことが好きになれなけりゃあお前にとっては何事も無く終わらせられる。動画も消すし、あの事は無かったことにしておいてやる」
「っ、ふ…ふざけないで。そんな、壱さんを裏切るような事——」
「だったら別に良いぜ、あの動画をばら撒いても。それでどうなるか分からないような馬鹿なら、な」
「ええ、元からそのつもりだったわ。私のした事なんだから、私がケジメを付けるわよ」
もう話し合いは充分だと、切り上げるようにして言い捨てると歴島は部屋を出て行こうとした。だが、背中から投げかけられた言葉に彼女の身体は凍りついた。
「ああそうかい、だったらばら撒いてやるぜ。『谷条が真面目で凛々しい彼女をこんな風に仕立て上げたんだ』ってな」
「なっ——!」
それは彼女にとって予想外のことだった。すぐさまドアから手を離して振り向くと、狭間のもとへ歩み寄り抗議する。
「どうしてそこで壱さんの名前が出るの。彼は関係無いでしょ!」
「いやいや、関係あるだろう。アイツと交際する前にあんな事をするはずが無かっただろう? アイツと付き合い始めて、お前は変わっちまったんだよ」
「違うっ。違うわ! この事と彼は何も関係無いわ。全て私の責任よ」
「どれだけ言い張ってもそれを判断するのは他の人間だ、お前じゃないんだ」
「くっ……」
狭間の言う事に反論できなくなった歴島は悔しそうに押し黙り、男の顔を睨みつけた。その様子を見て男は嘲笑うと言葉を続けた。
「現在、
「っ!?」
それは彼女にとって最悪の未来だった。
自分の痴態が公に晒されることで、無関係なはずの恋人を巻き込むことになってしまう。
それだけは、何としても彼女が避けねばならない未来だ。それを理解しているからこそ、狭間という男は再度彼女に取引を持ち掛ける。
「それで、どうするんだ? アイツが帰って来るまでに俺の言う事を聞き続ければ何事も無く済ませられる。お互いにウィンウィンって奴だろう?」
「…………やっぱり、私の身体が目的だったのね……」
嫌悪感を剝き出しにして彼女は男を睨みつけた。彼女がこれまでの人生で何度も目にした、最低な雄を前にして吐き気のするような不快感に襲われる。
だが、彼女のそんな物言いに狭間は吐き捨てるように言った。
「ああ、身体目的だと思われようがお前を手に入れられるのなら構わねえ。アイツに横取りされた恨みを晴らせるなら、俺は何だってするさ」
「横取り? いつ私はあなたの物になったって言うの」
「……俺が、アイツよりも先に、お前のことが好きだったんだ。それを——」
「何それ、ただの逆恨みじゃない。彼を恨むのはお門違いでしょう」
「お前にはわからんだろうな……。俺のこの悔しさが…………」
「理解できないし、したくもないわ」
ひとしきり口論して、互いにヒートアップした頭を冷ますように呼吸を整える。
思考を落ち着かせた狭間が念を押して問いかける。
「はぁ…、とにかく取引は受けるのか? どうなんだ?」
「…………受けてやるわ。私が好きになるのは壱さん、ただ一人だけよ」
「ハンッ、面白ぇ。絶対に俺のモノにしてやる」
二人の取引が成立し、早速と言わんばかりに狭間は彼女の唇を強引に塞いだ。力強く潰すように唇を押し付けて、男は彼女との乱暴な口付けを味わう。
「んじゅるっ、べろぉっ、じゅむじゅる…じゅずっ、れろれろ、れるぅ…」
肉厚な舌を無理矢理に彼女の口内へ捩じ込んだ狭間は、彼女の涎や舌をまとめて吸い出しながらキスを堪能した。嫌がる彼女の反応も興奮のスパイスにして、一方的な行為を楽しむ狭間に、歴島は明らかな嫌悪感を露わにする。
「んっ、んぐぅぅっ」
それに気付いているのであろう狭間は一層強く彼女を抱きしめて、更に互いの身体を密着させる。
離れたくとも屈強な男に抱き締められて逃げ場の無い彼女には拒絶する事など叶わず、ただただ彼の思い通りになるしか無いのだ。力任せに抵抗することも不可能ではないだろうが、恐らく目の前の男を引き離すことは容易ではないだろうし、下手を打てば谷条に迷惑をかけてしまう事を考えれば、嫌がる表情を見せることしか抵抗のしようが無い。
「んむぅっ、んっ…んふぅ……、んんっ、んっ……んはぁっ……はぁっ、はぁっ」
男の言いなりになって口付けを強要されること二分弱、
「本当に…最低……」
溢すように吐く悪態が、彼女にとって精一杯の抵抗だった。冷ややかに睨み付けながら罵るも、目の前の男には気にした様子も無く淡々とした動作で服を脱ぎ捨てていく。
だが、そんな彼女の表情も視界の下側に異様な膨らみが映ると困惑の色を見せる。
「ひっ——」
男がパンツを下ろした瞬間、ボロンという音が聞こえそうな勢いで太く長いイチモツがその姿を現した。そのサイズは明らかに谷条の一回り以上は大きく見え、そんな衝撃的な竿を目の当たりにした歴島の口から、本能的な恐怖による小さな悲鳴が思わず漏れ出た。
「何を驚いてんだよ、このくらい見慣れてんだろ。……おっと、それともアイツの竿はそんなに小さいのか?」
「っ、大きいだけが何よ。彼を馬鹿にしないでっ」
「ハハハ。俺の方が大きいことは認めるんだな」
恋人を侮辱された怒りを露わにした彼女の素直な反応が面白かったのか、気分良さそうに狭間は笑った。そのままベッドに腰かけた男は離れた場所で怯えながらも反抗的な視線を送る彼女に手招きをする。そして一言だけ、「しゃぶれ」と命令する。
「しゃぶる……? ソレ、を……?」
言葉の意味が理解出来ない彼女は訝し気に首を傾げた。その反応を見て軽く驚いた狭間は彼女に訊ねる。
「フェラチオだよ、ちんこ咥えんの。……まさか、やったことが無いのか」
「す、するわけ無いでしょ! そんな不潔な事……」
「おいおいマジかよ。どんだけ温いセックスしてんだよ」
彼女の性事情の実態を知った男は唖然としていたが、暫くして「まあいいや」と諦観混じりに割り切った。
「それなら俺が教えてやるよ。……ほら、早くこっち来い」
再度手招きする男の言いなりになることは生理的に受け入れ難かったが、拒否していても終わりが来ないことを勘づいていた彼女は渋々ながら男の傍へと歩み寄った。
充分に近づいた彼女の手を取って無理矢理にしゃがませると、狭間は指示を出す。
「まずはちんこを両手で優しく撫でろ。……そうだ、それで良い」
不服ながらも指示通りに動くしかない歴島。
そんな彼女へ次々に命令を出していく。
「しっかりと勃起している事を確認したら亀頭を舐めろ。
「…………んぅ、れろっ。れる…れろれろ、れろ——」
「丁寧にしろ、って言ってんだろうが。あの動画をばら撒いても良いのか?」
「んぐぅっ、……初めてだからわからないのっ。嫌なら止めさせてよ」
乱暴に頭を掴まれて、歴島は怒りの滲んだ視線で男を射抜いた。その様子を見た狭間は苛立ったように溜め息を吐くと、「仕方無ぇなあ」と呟いて自身のイチモツから彼女の口を離させた。
「チッ……、フェラはまた今度にするか。取り敢えず今は、その身体を存分に楽しませて貰おうか」
そう言うと狭間は彼女の手を引いて立ち上がらせると、彼女の背後に回り込んでブラウスのボタンを外していく。
「ちょっ……自分で出来るから…………」
強引に服を脱がせる男を制止しようとしたが、男は聞く耳を持たず慣れた手つきであっという間にボタンを全て外してしまった。そうして服をはだけさせると大きく飛び出た膨らみを無遠慮に撫で回す。その瞬間に彼女の表情から嫌悪の感情が滲み出た。
「本当にデッケえな、これ。なあ、何カップあんの?」
「そんなこと…、聞い…て……どうするの……」
「いいから答えなよ。あの動画をばら撒かれたくないんだろ」
「…………、H…カップよ」
例の動画を持ち出されると彼女の抵抗は途端に弱くなる。男の質問に答えると、驚いたようで嬉しそうな表情で笑みを浮かべた。
「Hかよ、マジでデカいな。ハハハ、弾力もあって気持ちいいなあ」
「うっ、んっ……くぅっ、ふっ…んあっ、あぁ……。私…は、こんな……の…気持ち悪いだけ……よ…………」
「へえ、そうかい。その割には随分と気持ち良さそうな可愛らしい声が出ちゃってるぜ」
「気の、せい…………よ…。っ、んぁっ…………あふっ……」
男の指摘通り、彼女は胸を乱雑に撫で回されているだけでも喘ぐほどに感じていた。いやらしい手の動きで否応なしに快感を与えられ、彼女の興奮は高まって行く。それに、どうしたことか背後からやんわりと漂ってくる男の体臭が鼻孔をくすぐると、本能的に身体の奥から疼きを覚える。
「それにしても、胸が大きいと可愛い下着が無いってよく聞くが……これは随分と可愛らしいブラジャーじゃねぇか。勝負下着って奴か?」
「っ、関係無い……でしょ……」
あくまでも反抗的な態度を見せる彼女だったが、唐突に下着を褒められて背中がむず痒くなるのを感じた。この言葉を谷条に言って貰えれば、どれ程嬉しい事だっただろう。
「折角気合の入った下着で勿体無いが、少し邪魔だからな。悪いが脱いで貰うぜ」
「んあっ、この…………」
男はそう言って彼女の胸を撫で回していた両手をブラのホックへ移動させ、素早く外して脱がせてしまった。歴島は落ちないようにブラを両腕で支えていたが、男が強引に剥ぎ取ったため豊満なバストが零れる。
「いやあ、下着の上からでも充分な迫力だったが生で見るのは訳が違うわ。こんなに立派なもん、アイツには勿体無ぇって」
「くっ、勝手な事ばっかり言って……。身体にしか目がいかない猿なんかよりも、壱さんの方が何億倍と素敵よ」
「おいおい、言うじゃねぇかよ。…それでも、そんな風に言いながらも馬鹿みてえに感じているお前も、俺と変わらねぇ猿だろ」
「そんっ……な、こと……、な…い……から…ぁぁっ」
男の言葉を必死に否定するが、彼女の身体は浅ましくも快感を受け入れていた。谷条とは全く違う、愛情の欠片も感じられない粗暴な手つき。だが、それでも敏感な部分が責められていることに変わりは無く、嫌いな男の手によって歴島は艶めかしい声を漏らしながら感じていた。
「へへ、これがいいのかよ。だったら、こんなのでも気持ちいいだろう」
「んひぃっ、そっ…ぁっ……、それぇ……だめっ……、んんっ」
彼女の素直な感じっぷりに気を良くした狭間は責め方を変えてみた。
乱雑な手の動作を、乳搾りの要領で規則的なものにする。両胸を圧し潰すように左右から圧迫しつつ、先端の方へとスライドさせていく動きに、歴島はだらしない嬌声をあげる。
「んぉっ、つぶ……つぶされるぅぅっ。わらっ…ひのぉ……おっぱ…いぃ、両手でぇっ、つぶされ……ちゃうぅ……んぁぁっ」
「ハハハ。面白い声出してんなぁ、おい。……そうだ、折角乳搾りしてやってんだから、牛みたいに鳴いてみろよ」
「そ……んなぁ、……そんな事ぉ……できな……いっ、いぃぃ……」
「誰に向かって反抗してるんだ、コラ。いいから鳴けよ、ホラホラホラ」
この状況を完全に楽しんでいる狭間が笑いながら彼女の乳房を平手で何度も叩く。パシンパシンと乾いた音が鳴り響くと同時に、痛気持ち良い刺激が彼女の全身を走り抜けた。
「ひあぁっ、いたっ……いやっ……あはぁっ……らめぇっ、ぶたっ…ない……でぇぇっ」
「いつまで人の言葉で喋ってるんだ? ホラ、一々動画の事を口にしないと言う事が聞けないってのかあ?」
「んんっ、……んもぉっ、もおぉぉっ!」
動画の事を出されては素直に従うしかない彼女は目尻に涙を溜めながら、必死になって牛の鳴き真似をしてみせた。
それが面白かったのか、狭間は調子に乗って更なる要求を彼女に投げかける。
「やれば出来るじゃねぇか。いいぞ、そのまま
「んもぉぉっ、もおぉぉっ、もぉぉっっ」
「それと、牛なら二本脚で立ってるのはおかしいよなあ。牛は牛らしく、四つん這いになるのが道理ってもんだよなあ」
そう言って男は彼女の両膝を曲げさせて、強制的に彼女を四つん這いの状態にさせる。そんな彼女の背中に男が
「んもぉっっ!?」
彼女の胸に対する凌辱は苛烈さを増していき、段々と力強さも動く速さも上がる。狭間は学生時代にラグビー部に所属していたというだけあって、
「もおぉぉぁぁっ、んもぉっ、んもおぉぉっ!」
まだ出るはずのない母乳を搾り出そうとする男の手は、次第に可動域を広げていく。そして遂に、根本から乳輪に届くまで長いストロークになる。ぷっくりと膨らんだ桜色の円に男の手が触れると、より鋭い電流のような刺激が彼女の脳天に直撃する。
「んもぉっ、んもぉぉぉっ!」
髪を振り乱して暴れる彼女を両腕でがっしりと抑え込み、乳房を挟み込む両手は更に力強くなり、本当に潰れてしまいそうなほど彼女の胸は大きく変形していた。
一切の容赦が無い責めに、彼女の意識は飛びかけている。まともな思考は働いておらず、男の命令通りに牛の鳴き真似を続け、快楽の波は決壊寸前まで高まっていた。何か、一つでもその
そして、その時は突然訪れた——。
「んぉっ、も゛お゛お゛ぉ゛ぉぉぉぉぉぉっっっ!!」
両胸を潰さんとする力で圧迫していた男の両手が彼女の両乳首を挟み込んだ瞬間、歴島は狭間の命令通りに喉が枯れそうな大声で鳴き叫んだ。注文通りにその声は野太く響き、第三者が聞けば誰しもが女性の声とは思えないだろう。
膝をガクガクと震えさせて絶頂している彼女を、男は漸く解放してやった。身体に力が入りきらない彼女はそのまま、床へうつ伏せに倒れた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ」
過呼吸めいた頻度で酸素を取り込む彼女は、尊厳を破壊されるような屈辱的な行為を強要されて精神的にも疲労していた。こんな事がこれから一週間近くも続くのかと考えると、彼女は気が遠くなるのを感じた。
そんな彼女をベッドの上へ寝転がすと、男は休む暇も与えず覆い被さった。
「へぁっ!? ま……待ってぇ……、まだ…イッた…ばかり、……で…………」
「そんな事は知らないな。俺はまだ一度も射精してないんだぜ」
そう言って狭間は自身の肉棒を彼女の臀部に擦りつける。生温かい熱を放ちながらビクビクと震えている物体の感触に歴島は顔を
「本当に……気持ち、悪い…………」
「何と言われようが構わねぇよ、このままぶち込むだけだからなあ。…………まあその前に、ちゃんと濡らしておかねぇとな」
「ひぃっ!?」
不快な肉の塊が離れたかと思った次の瞬間、彼女の割れ目にゴツい指が二本も侵入してきた。胸への苛烈な責めによって感じまくっていた彼女の膣内は既に愛液が溢れる程に湿り気を帯びており、男の指が穏やかに出入りするだけでジュプジュプといやらしい音を立てて粘液を垂れ流す。
「んあっ、ま…………待っ…、て……。かんじ……ちゃうぅ……、も……う…おかひくなるぅっ……」
絶頂による激しい快楽の波が引く間も無く、更に与えられる女性器への刺激。これで感じないはずが無かった。
歴島は枕に顔を
「ふーん、フェラも知らねぇからここもお子ちゃまなのかと思っていたが…。これくらいで音を上げる程ではねぇと」
「っ~、……っっ~、……っ~」
冷静に分析しながら狭間は指を動かす。その動きは非常にねちっこく、先程までの乱暴で暴力的な責めとは正反対の快感に彼女は悶絶している。声を出さないように枕へ強く顔を押し付け、膣内を縦横無尽に撫でまわしている指から送られ続ける刺激に流されまいと拳を握り締める。
「へへ、そんな悶える程に気持ち良いのか。身体はやけに素直なんだよなあ」
「っ、っ、っ、~~っ……」
最早、男に反論する余裕も無い歴島。ただただ身体の内側から流れてくる快楽の濁流に呑み込まれてしまわないよう、声を殺して地獄が終わるのを待ち望んだ。
抜き差しを繰り返す指はその都度に擦る場所を変え、彼女の肉襞を隈なく責め立てる。その動きはまるで、彼女の内側にある
「~っ、~っ、~っ」
敏感な秘部への執拗な指責めが三分近くまで続き、彼女の脳内には快楽物質が蓄積し続けていく。いつ弾けてもおかしくない状態にあるそれは、懸命に堪えようとしている彼女の心を
彼女の身体と精神が限界に近づき悲鳴を上げていた時——、
「っ!? ん゛ん゛っっ~~~~~~!!!」
男の指が彼女の弱点を擦り上げ、溜まりに溜まった彼女の快楽物質が一斉に暴れ出した。責められ続けていた股間が激しく痙攣し始め、その震えは地震の如く一瞬にして全身まで伝わった。そしてそれと同時に、噴水と変わらない勢いで彼女の割れ目からは大量の愛液が噴き出した。
陸に上げられた魚のようにビチビチと跳ね回る彼女の四肢を見て、狭間は吹き出して笑いながら彼女の秘部から指を引き抜き言った。
「ブッ、ハハハハハ。凄ぇ
みっともなく絶頂して悶え暴れる彼女を前に大笑いしながら、男は彼女を攻略する糸口を確実に掴み取った。狭間は遂に、自身の栄光を勝ち取るビジョンを捉えたのだ。
「ヒュー、ヒュー、ヒュー、ヒュー」
男が勝ち誇ったように笑顔を浮かべる下で、枕を涎や汗や涙などでびしょ濡れにさせながら歴島がビクビクのたうつ身体を落ち着かせる。
頭が真っ白になるような激しい絶頂を二度も連続で迎えさせられ、息も絶え絶えになりつつあった彼女は自分が自分でなくなるような恐怖を覚えていた。
(こ……んな、…………セックスって、こんなに……激しい…の…………?)
谷条との行為は、心が満たされるような多幸感に満ちたもの。愛されているという実感が幸せに変わり、世界が明るくなる感覚を得られるものだった。
でも、ここまでの気持ち良さを感じた事は一度も無い。初めて胸を触って貰った時や、自分の初めてを捧げた時は未経験の快楽に脳が打ち震えたものだが、狭間との行為とは比べるまでもない。レベルがまるで違った。
——だが、彼女は一つ勘違いをしている。彼女が経験した二度の絶頂は、狭間にとっての前戯でしかないのだ。
「ようし、下
「…………?? にゃに……言って…………」
男の言っている言葉の意味を理解出来ないまま、彼女は秘部に滾る熱を感じた。そして尻肉を鷲掴みにされた次の瞬間、太い杭のような物に貫かれる衝撃が脳天まで響く。
「ん゛お゛おぉぉぉぉっっ!?」
その衝撃は凄まじく、彼女の粘液を潤滑油にして膣奥まで一思いに滑り込んだ狭間の肉棒が彼女の子宮口に強烈な一撃を叩きつけた。
肉襞の擦れる快感すら置き去りにしたそれは、瞬く間に彼女の知性と理性を瓦解させた。品の無い嬌声を聞き、男が気分良さそうに頷く。
「ああ~、やっぱ寝バックは良いなあ。動きづらいのが難点だが、ちょうど気持ち良いところが擦れてたまんねぇよ」
「お゛ぉ…………お゛お゛ぉぉぉ!!??」
心地良さそうな表情で感想を述べる狭間と対照的に、何が起きたか理解できていない歴島は言葉を話す余裕すらない。
太さも長さも硬さも、何から何まで恋人のソレを遥かに凌駕した男の肉棒は、まさに暴力的な快楽そのものだった。白く明滅する世界に慣れかけた時、自身の膣内に収まっている棒状の熱がゆっくりと引き抜かれる。
「な゛…………に、…ご…………れぇ゛ぇ゛……」
ゾリゾリと敏感な襞を擦りながら体内から出て行くイチモツに、彼女は混乱しながらも人の言葉で感想を口にした。それに対し、狭間は「はぁ、はぁ」と快感に
「ひぎゅぅっ!!」
再び襲い来る強烈な一撃に、歴島の口から潰れた呻き声が漏れ出た。内臓全てを押し上げんとする突き上げを受け、彼女は胃の中身が逆流しそうな感覚がする。この部屋に来る前に何かを食していれば、恐らく顔を埋めている枕に嘔吐していたであろう。
「んああっ…………はぁ…………」
女性器を捲り上げるような力強さで肉棒が引き抜かれ、彼女は吐息めいた声をあげる。たった数回擦られただけで彼女の膣は凶暴な陰茎に慣れつつあり、しっかりと感じる快楽に声が蕩け始める。それは彼女の天性によるものか、それとも男の前戯によるものか。
「おおっ、気持ち良い……。やべぇわ、これ……。今までで一番かもしれねえ」
「んあっ……はっ……ぁぁ。……おか…………ひぃ……」
——
本来であれば比べること自体が間違っているのだが、強烈な快楽に染められる彼女は恋人から教えて貰った快感を既に忘れつつあった。
ゆっくりと肉棒を引き抜かれた後に、凄まじい勢いで子宮口を叩かれる。
密着している肉襞が擦り上げられた後に、一直線の衝撃で身体の奥を貫かれる。
それら全てが彼女にとって破格の刺激であり、脳が溶けそうになる程気持ち良いのだ。
「はぁぁーー。もう、
「ひゃぐぅっ、んあっ、あっ、らめぇっ! こわっ、れりゅうっ!」
狭間がそう宣言すると、唯一ゆっくりとした引き抜く動きも激しさを増して肉襞を掻き回す。太いカリ首が何度も素早く敏感な部分を引っ掻きながら抜き出ていき、力強く突き入れられる。
「やらぁっ……やらあぁっ!」
両脚をバタつかせながら首を横に振って抵抗する歴島だが、無情にも男のピストン運動はスピードもパワーもギアを上げていく。
「はぁっ、はぁっ、
「んあぁっ、らめぇっ……ひぅっ!? んはぁっ、にゅいひぇっ…………にゅいっ、ひぇぇっ」
歴島は必死に懇願するが、狭間が聞くことは勿論無い。
パンパンパンと彼女の柔らかい尻と男の逞しい腰がぶつかる音に併せて、グチュグチュという水音は湿度を高める。秘部から掻き出される愛液でベッドの一部分が変色し、汗を撒き散らす男が咆哮じみた声をあげ、今までで最も力強く腰を叩きつける。
「うおぉぉぉぉっっっ!!」
「んひゅぅぅぅっ、はああぁぁぁぁっっ!!」
そしてそれと同時に肉棒の先端から灼熱の白濁が噴火し、女性の身体が弓なりに反りあがる。今日で三度目となるガチアクメを経験した彼女は、結合部から潮と同時に聖水を噴射した。
彼女の全身がビクビクと打ち震え、男の腰も痙攣している。ドピュドピュと注がれる濃厚精液は彼女の生殖器を焦がしながら、割れ目から零れ出す。
「んはぁっ! はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」
「ふぅ、…ふぅ、……ふぅぅ。……気持ち良かったあ……」
絶頂の余韻に浸りつつ、狭間はニヤついた笑みを浮かべて彼女に問いかける。
「ハハハ、同時に絶頂ったな。俺達、身体の相性が抜群だろう?」
「はぁ……はぁ…、んっ……はぁ……。そ…んにゃこと、…にゃ……いぃ……」
「おいおい、呂律が回らなくなるほどガチイキしてる癖によく言うぜ。それに、ションベンまで洩らすなんて、随分と淫乱な雌じゃねぇか」
「っ、そ……そりぇ…………は……」
「ああ、わかってるぜ。谷条の奴に開発されたんだろ? 大人しそうな顔して、中々にえげつないことやってやがる」
「ひ……がぅ……。かりぇ、は……かんけぇ…………にゃい……」
「へえ。そうなのか、そりゃあ意外だな。……ってことはアレか? 本当のお前が
「そりぇ……もぉ、ひがうぅ…………」
「じゃあ何だって言うんだよ。まさか、こんな変態的なことしておいて『自分は淫乱じゃありません』なんて言うつもりか?」
「わらひが……こぅ、にゃったの…………はぁ……。んっ、……あなた…の……せい…………よぉ……」
歴島はそう言い放って男を睨む。否、睨んだつもりだったが快楽で蕩けた彼女の表情は、どこか恍惚としており威圧感は欠片も無かった。
それでも断固とした意思を見せる彼女に狭間は呆れながら反論する。
「俺の所為って……おいおい。屋上でオナニーしてた時も思いっきりションベン撒き散らしてただろうが。その時から俺に何か出来てたって言いてぇのか?」
「っ、……そ、れはぁ…………」
言い返せない事実を突き付けられ、彼女は口を
確かに男の言う通り、その時に狭間が彼女に干渉することは出来ないはずだ。少なくとも彼女に何かされたという認識は無い。
認めたくない現実を前に、歴島は顔を伏せる。現状、この男に口論で勝てる要素は何一つとして彼女の手元には存在していなかった。
「……まあ、そんな事はどうでも良いんだ。それよりもさっさと第二回戦を始めるぞ」
悔しくて顔を背けた彼女の身体を掴みながら狭間がそう言うと、彼女は仰向けに寝転がされた。「きゃぁっ」という悲鳴を上げた彼女の脚が持ち上げられて天井を向いた秘部に、再び男のイチモツが触れる。
「えっ!? 何で? もう、終わったはずじゃあ——」
「馬鹿かよお前、どこの世界にセックスを一回で終わらせる阿呆がいるんだよ。一晩に二、三回するのは常識だろうが。……まあ俺はそんなもんじゃ済ませねぇけどな」
「そ……んな…………」
男の放った言葉に彼女は絶句した。
谷条との行為は常に、一度射精したら終わりなのが普通だった。想定外の事態に、彼女は涙を溢しながら首を振った。
「お願い…………、今日はもう終わりにして……。身体が…限界なの……」
連続して経験外の絶頂を味わわされた彼女の身体は既に悲鳴を上げていた。これ以上の快感を与えられれば、自分が自分でなくなってしまいそうだった。泣きながら許しを請う彼女に、狭間は残酷な答えを突き付けた。
「別に良いぜ、谷条の奴がどうなっても良いって言うんならな」
その言葉を聞いた瞬間、彼女は自分に拒否権が無い事を改めて思い知らされた。この男の前では、彼女は意思を持たない人形となることしか許されていないのだ。
「こっからは俺も本気でいくからな、覚悟しろよ」
「…………、いや……。いやぁ…………」
「へへっ。壊れたくなかったら心を強く持っておけよっ、と——」
絶望しきった表情で顔を横に振り続ける歴島の生殖器へ、狭間は容赦なく自身の性器を挿入した。何度も何度も絶頂させられた彼女の膣内に、無慈悲な男根が子宮を潰しそうな力で捩じ込まれ、悲痛な叫び声が部屋中に響く。
◆◆◆
雄と雌の濃い匂いが充満する部屋の中、カーテン越しの窓から朝日が差し込む。
「ぁぁ…………、ぁぁ…………」
あれから歴島は休憩する間も無く連続で犯され続け、膣内への射精回数は十を軽く超えていた。手淫で見つけた彼女の膣内にある弱点を、それらの行為全てで狭間は何度も執拗に責め上げた。
そんな過酷な性行為を続けられて身体に限界が来た彼女は何時間も前に意識を手放しており、虚ろな双眸を天井に向けたまま言葉にならない呻き声を上げている。思考が麻痺するような快感を何時間にも渡って送り続けられ、彼女の女陰は大きく開ききって白濁を逆流させながら、物欲しそうにヒクヒクと震えている。
一方で、彼女の反応が著しく大人しくなって僅かばかりの飽きがきた男は暫く一眠りしていた。そして目覚めた後に鞄からとある物を取り出す。
「…………これで、良し」
それは、所謂『貞操帯』という道具であり、それを彼女に装着させた。ただし、それは単なる貞操帯ではなく、この時の為に特注で取り寄せた代物だった。
不敵な笑みを浮かべた男は置手紙を残すとシャワーを済ませて、むさ苦しい部屋を後にした。