・凌辱 ・羞恥プレイ ・道具責め ・貞操帯 ・快楽堕ち
「んっ……ふぅ…………。……っ、はぁ……」
会社の屋上で失禁オナニーを盗撮されて、その弱みを
その後、どうにか外そうと試みたが鍵が必要そうであり、それらしき物は部屋のどこにも置かれていなかった。その代わりに手書きのメモ用紙が一枚だけ机の上で見つけた。
『先程、出張中の係長から帰りがちょうど一週間後になると連絡が入った。
それまでに耐えられればお前の勝ちを認め、今後一切干渉しないと約束しよう。
ただし、どうしても辛くなった時は降参する旨の連絡を入れること。
そうすればすぐにお前を解放してやろう。』
メモ用紙にはそう書かれてあり、裏返して見ると降参時にメールを入れる連絡先が記してあった。彼女はメモの一行目を読んだ後すぐに携帯電話で確認してみると、恋人からの不在着信が一件と『一週間後に帰れます』という件名のメールが一通あった事を知った。
つまり、一行目で嘘を吐いていないことがわかり、それを態々伝えるということは現状の段階で二行目にも嘘を吐いているつもりは無いと考えて良いだろう。あくまでも、弱みを握る段階以外では正当な取引をするつもりなのだろう。
彼女はメモ用紙を全て読んだ後にそう思案した。
——もしくは、確実に歴島が降参するという自信があるのだろうか。——
兎にも角にも、彼女はこれから一週間だけ何をされようとも耐えれば良い。それだけの話であった。——だったのだが。
「くっ…………んっ、んふぅ……はぁ、…………んぁ……」
その日から既に三日が経過していた。
狭間が装着した貞操帯は、昼間の会社にいる時だけ内部のディルドが起動して膣内を擦って回り、絶頂間際で停止しては暫くした後に再び起動するという動作を繰り返した。休みの日や出勤前,退勤後の時間は微動だにすること無く、彼女がオナニー出来ないよう鉄壁の障害として機能していた。また、排泄用の穴以外にも通気口らしき穴は幾つかあるが、基本的に身体と密着しているためかなり蒸れるのだ。秘部を洗おうにも外せないから、洗いようが無い。
それを着けられた彼女の感想としては、最悪という一言に尽きた。
「…………さん。…………、歴島さん?」
「っ! …………は、…はい。何でしょうか?」
「いえ…………その、…大丈夫でしょうか。顔も赤いようですし、
「そ…れは、…………はい。そうです。帰って来られるという連絡を貰っても、まだ少し心配で……」
その言葉に嘘偽りは無い。確かに遠く離れた恋人の安否はいつまでも気になる事だ。しかし、彼女を現在悩ませているのは貞操帯の不快感。そして、日に日に増していく欲求不満だった。
「まぁ、こればかりは谷条さんが帰って来られるまでは解決出来そうにないですよね。休みは昨日取ったばかりですし……」
「そう……ですね。毎晩、声は聞いているんですけど」
そう、これが良くなかったのだ。
彼と自分を安心させる為に彼女は犯された日から毎晩電話をかけているのだが、愛しい人の声を聞いている内に身体の内側から熱が広がって、貞操帯に護られている女性器が疼いてくる。あの晩に身体へ刻み込まれた快楽の波はそうそう消えてはくれず、寧ろ興奮を伴って高まっている。
最初の頃は胸への自慰行為だけで絶頂することが出来ていたのだが、その刺激に慣れが生じた彼女の身体はそれだけでは物足りなくなり、女性器への欲望は
「私は恋人とかいないから何もアドバイスなんて出来ないんだけど、元気出してね。それとも今晩、どこか食事にでも行く?」
「…………ありがとう、ございます。……お気持ちだけ……、ありがたく……受け取らせて…いただきます」
「そう? それじゃあ、頑張ってね…………」
「はい…………、ご心配……ありがとう…………ございます……」
そう言って頭を下げる彼女の頬が段々と紅潮していく。暫く止まっていたディルドが再び動き出したのだ。
「んっ……ふぅ、…………はぁ……ん…………。……ふっ…………、んぁ…」
キーボードをタイピングしながら必死に声を抑えて俯く彼女の口からは艶めかしい吐息が断続的に漏れている。かなり声を殺しているからか誰の耳にも、彼女のSOSじみた喘ぎは届いていない。——否、男の劣情を煽る彼女の色香溢れるその声は、ただ一人の男にだけしっかりと聞こえていた。
「んっ、ぁっ……はっ、はぁっ…………、ふっ……ふぅっ、ふっ……くっ…………ぁぁ」
キーを叩く手がピタっと止まり、彼女は押し寄せる快感に負けないよう拳を握って堪え続ける。この姿を誰か他の社員にでも見られ、挙句の果てに疑念を抱かれようものなら彼女——もとい谷条の社会的地位が危ぶまれる。
彼女はすぐにでも誰にも見つからない場所へ移動したかったが、椅子から立ち上がった瞬間や歩いている最中に膝から崩れ落ちかねない。そんなリスクを考えると、誰にも見つからないことを祈りながら、このままシリコン製の棒が再び停止するのを待ち焦がれるしかなかった。
「~~~っ、~~~っ、~~~っ」
一定の周期で
そうして耐え続けるにも限界があり、意識が遠のきそうな絶頂の感覚を意識した。その瞬間——、
「っ、っ、っ、っ、っ、っ——」
独りでに動いていた膣内の玩具が急停止した。肩で小さく連続的に息をしながら、激しい快楽が身を引いていくのを彼女は感じる。貞操帯には脈拍や発汗等を計測するセンサー類でも搭載されているのか、いつも彼女が達する直前にピタリと止まって当分の間は一切動かなくなる。
会社で勤務している間は常にこれなので、絶頂できなかった分の快感が積み重なり欲求不満という形で彼女の精神を
(こんな……地獄が、…あと……四日も…………続くの…………)
歴島は荒くなった呼吸を整えながら、上目遣いで狭間の方を睨んだ。
こんな事を強要しておきながら、その男は反応を楽しむどころか一瞥もせず黙々とデスクワークに取り掛かっていた。そんな態度が彼女をより一層腹立たせるのだ。
あれ以来、狭間は貞操帯による間接的な干渉以外は彼女に何もしてこない。それだけで十分だとでも言うかのように、話しかける
(絶っ対……に…、降参…………なんて……、しな…い……からぁ…………)
何を企んでいるのかを彼女が知ることは出来ないが、視界の先にいる男が何をしようとも彼女は必ず耐えてみせると意思を魂に刻み込んだ。
決意を新たに、歴島は再度ディルドが動き出す前に業務を終わらせようと奮迅する。
◆◆◆
ラブホテルで歴島が狭間に取引を持ち掛けられて五日が経過した。二日目にあった彼女の休日や四日目にあった狭間の休日以外は常に、社内でディルドによる凌辱を強いられてきて、遂に彼女の精神も限界が近づいていた。この日を除けばあと二日の辛抱であるが、その時間が彼女にとって
自身の汗や愛液で蒸れ蒸れになった彼女の秘部は痒みを帯び、その刺激すら快感に変換される。
「はっ……はっ……はっ…………」
常時発情状態にある彼女の身体は、頭の頂点から指先まで異常なほど敏感になっていた。通りすがりに誰かと軽くぶつかるだけで絶頂しそうになって痙攣し、その場にへたり込んでしまう事が何度もあった。
流石にそこまでいくと社員全員が彼女の異変に気付き始め、明らかな変化に戸惑いを見せる者や心配する者、また扇情的な彼女の息遣いに興奮する者までいた。
狭間との取引によって明らかな実害を負い、日常生活で日に日に大きな支障が生じ始め、心身共に限界間近だった。
(負け、…ない…………。負……けな、い…………)
——しかし、彼女は谷条への想いだけを心の拠り所にして意地で耐えてきた。日に日にどころか一時間毎に高まる性欲で睡眠を妨害されても、社内でディルドに膣内を掻き回されるのに絶頂だけはさせて貰えなくても、気合と愛だけで五日間を乗り越えてきた。
「おは…よう、ござい……ます……」
フラフラとした覚束ない足で、今日も歴島はしっかりと出社した。律儀な彼女は会社を休むという選択肢を頭に浮かべることが無かった。明らかな体調不良なのだから、休みを申請しても問題無く受理されるであろうし、狭間との取引に『会社を休んだら動画をばら撒く』という条件は無い。つまり、貞操帯の性質を考えれば会社に行かなければディルドが起動することも無く、女性器を刺激されることが無いまま一週間を迎えることも充分に可能だろう。
しかし、彼女はそういった手に出ることは無く、あくまでも真っ向から取引を成立させて勝つつもりでいるのだ。そうすることで、狭間との関係を確実に断ち切って今後一切の干渉をする気が起きないようにし、また自分への戒めにしようとしていた。
「……あの、歴島さん? 本当に大丈夫ですか? どんどん体調が悪くなってる気がするので、流石に休んだ方が良いと思うんですけど……」
それでも、彼女を取り巻く環境は心配で仕方無い様子だった。それもそのはずで、まるで人が変わってしまったように顔色も歩き方も変わってしまった彼女を見て、特に何も思わないような冷徹人間ばかりであるはずがない。
自身を心配してくれている言葉に嬉しく思った歴島は、同僚の女性社員に優しい笑みを向けると答えた。
「大丈夫……です。今日は、会議もありますし……外すことは、出来ませんから……」
「それはそうですけど、……でも——」
「ご心配を……おかけして、申し訳……ありません。……ですが、壱さんが……帰って来る……まで…………の、辛抱…ですので」
見るからに苦しそうな彼女の息遣いだが、そう言い張られてしまうと周囲の人間は何も言えなくなる。彼女を無理矢理にでも医務室へ行かせる権限を持った人間は、そういない。
説得を諦めた女性社員は「そう……」と呟いて、気まずそうに微笑むと彼女から離れて行ってしまう。
(……ごめんなさい)
去って行く女性社員の背中へ申し訳なさそうに頭を下げると、歴島はデスクワークに取り掛かる。会議で使用するスライドショーの確認や、説明用の原稿作り等々を急ピッチで仕上げる必要があるのだ。
(私が…堪えれば、……全て…丸く…………終わるんだから……)
どれだけ周囲に訝し気な視線を送られようと、どれだけ苛烈な責めを受けようと、彼女は全て耐えきるつもりだ。そうして、この一週間の事は無かったかのように愛しい人とこれからを歩んで行くんだと、そう心に決めていた。
「…………」
明らかな変化を受けても折れる様子を見せない彼女の姿を見て、段々と焦燥感を募らせ始めている社員が一人。——狭間だ。
想定よりもかなり粘っている彼女に、狭間は不安感を抱いていた。
折角ここまで緻密に計画を練って実行したというのにも拘らず、ずっとずっと想い焦がれていた女性を手に入れられないなど、考えたくも無い。何の為に上司と密接な関係を築いてきたと言うのか。何の為に値段の張る道具を数種類買い揃えたと言うのか。何の為に、軽くない
狭間はポケットの中に入れ続けているリモコンを手に取る。それは彼女に装着させた貞操帯の付属品であり、動作を制御するものだ。このリモコンが一定の範囲内にある間は着用者の生体情報から快感係数を計測し、絶頂させないように調整しながらディルドを動かせるという超ハイテク商品なのだ。また、このリモコンには幾つかのダイヤルやボタンがあって出力の調整は勿論のこと、様々な機能を実行させることも可能である。
(あまり、こういう機能は使いたくなかったんだが……)
手中の機械を見つめながら男が内心独り
本来の予定であれば、貞操帯を装着して三日もすれば自分の与えた快楽が忘れられなくなり、我慢できなくなった彼女が外すように懇願して来て、無事交際スタートという流れになるつもりだったのだ。しかし、休日中ずっと連絡を待っていたというのに指定した連絡用のアドレスにはメールは一件すら受け取っておらず、今日に至っている。
まだまだ二日あるものの、このまま何もしなければ約束の一週間が経過して彼女とは関係が完全に断たれてしまいかねない。彼女の我慢も限界だろうが、今の様子を見るに残り二日くらいであれば耐えられそうだった。
(悪く思うなよ。俺は悪くないんだからな。悪いのは全部、俺の計画通りに折れてくれなかったお前と、お前を俺から奪った谷条の奴なんだからなあ)
決心した狭間は心の中で自己弁護しながら、リモコンを握り締める。
幸運にも、男は彼女と同じ会議に参加する予定だ。そこで仕掛ければ十中八九彼女の心を折ることが出来て、そこから彼女を自分の予定通りに堕とせる。そういうビジョンが狭間には明確に見えていた。
「えぇ~、今日は定期会議を行います。プレゼン担当の人達は午前中までに準備をして、昼休憩後に会議室へ集まってください」
係長の甲高い声が部屋に響き、計画を再確認して強く決意した狭間はポケットから手を出して資料作りを再開した。
それから数時間が経過し、休憩を
決して折れない決意を胸にする歴島。必ず心を折らせる決意を胸にする狭間。
相反する決心をした二人が奇遇にも隣の席に腰かけた。「こんにちは」のような挨拶程度の言葉すら交わすこと無く、静かに対抗心が燃え上がる。
(まずは出力を一段階上げてやる)
狭間はポケットに入れているリモコンのダイヤルを少しだけ回して、隣に座っている彼女の膣内にあるディルドの動作を速めさせた。男にとっては小手調べのつもりだったのだが、既にギリギリの状態で抗っていた彼女にとってそれはあまりにも辛かった。
「どうっ…いう、つ…もりっ…………」
突然に敏感な粘膜を擦る動作が激しさを増し、太腿をビクビクさせながら彼女は出来る限り小声で男に抗議した。その様子を見て彼女の状態を分析しながら、狭間が極めて冷静な口調で囁くように答える。
「どうもこうも無ぇよ。谷条と別れたくなけりゃあ、精々耐えるんだな」
「こ、のぉ…………」
怒りで震えているように見える彼女には、もう余裕と呼べるものが無いことを狭間は覚った。つまり、いつ彼女の精神が挫けてもおかしくないということだ。
思いの外、自身の勝利が近いことを知った男は安堵するものの、決して彼女への凌辱を緩めるつもりは無かった。何故ならば男は既に彼女から想定外の精神力を見せつけられており、充分な警戒をするに足る存在であることを理解しているからだ。
「えぇ~。それでは定期会議を始めさせていただきます。……ではまず、本日の議題ですが——」
周囲に聞こえないような小声のやり取りから程無くして、係長が会議の始まりを告げられた。そしてこれが、歴島と狭間の二人にとっては正念場となる戦いを合図する狼煙となった。
狭間は手始めにディルドの出力を一段階下げた。一度上げたものを下げることによって責め方を不規則にし、相手を快感に備えづらくする目的だった。
「…………?」
案の定、歴島は急に動きが緩くなったディルドとそういう調整をした狭間に対して不信感を覚え怪訝な表情を見せる。しかし今は会議中であり、隣の人間がする事ばかりに意識を向け続けてはいられない。
「——では、歴島くん。最初に君のプレゼンを聞かせてくれるかな」
「っ、はい!」
男から視線を外して歴島はスクリーンの前まで歩いて行く。そして机の上にあるパソコンへUSBメモリを差し込み、準備した資料のファイルを読み込ませるとプロジェクターを通して大きなスクリーン上に映し出した。
「まず、この表をご覧ください。この表は——」
映し出されたスライドショーにレーザープリンターで指し示しながら、彼女は用意してきた原稿を読む。貞操帯によって妨害を受けながらも分かりやすさに長けている資料を準備してきているあたり、流石と言ったところだろう。だが、そんな彼女の発表を妨げる魔の手が忍び寄った。
狭間はポケットに手を入れてリモコンを握り、とあるボタンを押す。すると、彼女の膣内で緩やかに肉襞を擦りながら回転していたディルドが突如として激しく振動し始めた。男が押したのは『バイブレーション機能』を実行するボタンだった。
「——んっ!? ふっ、ぅぅ……」
予想外の刺激を受けた彼女は内股になってどうにか耐える。少なくない人の目がある場所で容赦の無い
これまでの快感が蓄積されているとは言え、五日目まで耐えてきた歴島だ。彼女を屈服させるのは並大抵のことではない。
それを再確認した狭間はリモコンから手を離さず、ダイヤルを回す。今度は一段階と言わず、一気に二段階上昇させた。
「そっ……し、……て……ぇっ、……こ…………れぇっは……」
ストッキング越しでも機械音が聞こえてきそうな程に激しく回転しているディルドの感触に、膝がガクガクと震えだす。咄嗟に机の上へ手を置いて倒れることだけは回避した彼女は息を荒くしながらも、生まれたての小鹿のような脚を庇いつつプレゼンを続行させる。ただ、明らかな様子の変化を見せる彼女を怪訝な目線で見つめる人が増え始めていた。中には隣の社員とひそひそ話を始める人もチラホラ出てきた。
「~~~っ」
ブルブルと振動しながら柔肉を激しく抉って回るシリコンの棒によって、彼女は絶頂しそうな感覚を味わい悶絶する。周囲から彼女へ向けられる疑惑の心を孕んだ視線を浴びて、プレゼンの途中で果ててしまう自身の姿を想像してしまうと、彼女の快感は
「っ、っ、っ、っ——」
貞操帯の機能として彼女は絶対に快楽へ解放される事が無い。解放されないまま、ここ数日間で何十回と溜まり続ける快感に彼女の欲求不満が増幅していく。もう既に彼女の精神は限界以上に擦り減ってきていた。
「失礼……しました…………。プレゼンを、…………続けさせ…て……いただきます…………」
「大丈夫なのかい? 医務室で休んだ方が——」
「やら…せて…………下さい、……お願いしま……す」
しかし、それでも屈する事が無かった彼女は荒げた呼吸を戻しながら係長に懇願した。どう見ても大丈夫そうな様子ではないのだが、誠実に頭を下げる彼女を見て係長は暫く悩んで
「……わかりました。では、続きをどうぞ」
「ありがとう…………ございます」
頭を下げたまま感謝の言葉を述べつつ、疼いて疼いて仕方無い女性器のことは意識しないように歴島は発表を続ける。
全く意識しない、ということは不可能であろうともある程度逸らせること自体は不可能ではない。幸いにも、ディルドは一時的に動作を止めている。彼女にとって刺激を与えられていない、今が最大のチャンスだった。
「…………その説明、もう少し詳しくお願いしても良いかな」
「…。はい、ここは——」
真面目に発表を聞いていた男性社員からの要求にも、彼女は落ち着いて応える。機械的なスピーチをするだけでも苦しいような極限状態にあろうと、突発的な受け答えをもして見せた。
そんな彼女の姿を見て、狭間は『彼女を自分のモノにしよう』という願望がより一層強まった。普通であれば恋人の為とは言えここまで耐えられる精神性や一途さを持っていられないであろうに、それをやってのける彼女に狭間の心は強く惹かれる。そしてそれと同時に、同僚である谷条に先を越されたという事実が非常に悔しく感じたのだ。
だからこそ、何としてでも彼女を堕とすんだと
(そろそろクールタイムが明ける。ここで確実に仕留める)
会議でのプレゼン時間には限りがあり、歴島のプレゼンは狭間の妨害を受けて省いた部分もあったが終わりに近づいていた。そして、もう数秒経てば貞操帯のディルドがリモコンからの操作を再度受け付けるようになる。つまり人前で羞恥を与えられるという大チャンスは、残り僅かとなっているのだ。
ここで狭間は、彼女の心を確実に折る為の秘策を切る決断をする。
(……3,……2,……1,——)
「これで私のプレゼンを終わらせていただきます」
ディルドが操作を受け付けたのと、歴島がプレゼンを終了させたのは全くの同時だった。狭間が切り札とも言えるボタンに指を乗せた瞬間に彼女は口を閉じる。
「~~~~~~~っ!!??」
そして、その指へ力が入れられた途端に彼女は理解出来ない衝撃に見舞われ、膝から崩れ落ちた。目を見開いて口をパクパクさせながら、自身の状態を理解しようとする。
「だっ、大丈夫かい!?」
「どうしたのっ、歴島さんっ!」
突然に座り込んだ彼女を心配して、殆どの社員が彼女に駆け寄った。しかし、その人波をかき分けて大柄な男が彼女に寄り添う。
「大丈夫か、身律ちゃん? 最近、無茶し過ぎだろ。すぐに医務室へ行こう」
そう言って強引に彼女の腕を掴みむと、難無く背負い上げる。
「え……、大丈夫なのかい? 君はまだこれからプレゼンが——」
「大丈夫ですよ、長谷部係長。身律ちゃ……、歴島さんを医務室へ送り届けるだけなので長い時間はかかりません。それに、この部屋の中で僕が一番力持ちで体力に自信がありますから」
「そ……そうかい。……………そうだな。では、宜しく頼むよ」
「はい、お任せ下さい」
その場に頭を下げ、狭間は急ぎ足で会議室から出て医務室を目指す。とんでもないマッチポンプだが、その事を知る人間はこの世界に二人しかいない。
その内の一人である歴島は、自分を背負っている男からどうにか逃れたかったのだが身体に力が全く入らない。全身が痺れて引き攣ったまま、まるで人形か何かに変えられてしまったかのようで、指の一本すら満足に動かせない。
(なに…………を、したの…………)
そう問いかけようとしたが、口も動かなければ声の一つすら出せない。彼女に出来ることと言えば、このまま憎き男に背負われて医務室まで連れていかれる事と、秘部から全身に伝わる妙な感覚で息を荒げる事だけだった。
狭間は駆け足で医務室に向かいながら、計画通りにいくことを願っていた。
彼が最後に押したボタンは『特殊放電機能』を実行させるものだった。この電流は生体反応の研究によって生み出された技術で、秘部へ直撃させることにより多少の時間をかけて神経系に影響を及ぼすことで性的欲求を倍増させる、というものだ。放電の衝撃で一時的に腕や脚等といった大半の筋力を弛緩させる副作用付きだが、これはすぐに効果が無くなり後遺症も出ない。極秘のルートでのみ出回っているその代物は、あまりに強力すぎる効力を有することから同じ人間に二度以上使用してはならないという注意書きが必須となるくらいに危険極まりない。
そんな物を使用する決断に走ったのは、歴島という女性に対する彼の異常な欲望と、彼女が想定外の耐久力から生じた焦燥感によるものだった。
「失礼します」
「ああ、どうぞ…………ってどうしたの!? 何があったの!?」
医務室に到着した狭間は扉を開けて中に入る。部屋の中では平和な日々を謳歌していた保健師が、彼の背負っている人間に気づいて慌てた。手にしていたコーヒーカップを放り投げそうな驚き方をした保健師に、狭間は内容を掻い摘んで簡潔に話した。
「数日前からストレスによる体調不良を起こしていて、今日の会議中に突然座り込んでしまったようで……。何度もここへ来るように言っていたのですが、本人が頑なに拒んでいて……」
「様子がおかしかったらすぐに連れてきなさいよ、まったく…………」
事情を聞いた保健師は呆れて溜め息を吐き、二人をベッドに案内した。
「本当は着替えた方が良いんだけど、ちょうど病衣を切らしててね。だから寝づらいだろうけど、我慢してね」
「…………」
口周りの筋力が戻った歴島はパクパクと口を動かしてみたが、肝心の声が出せなかった。その様子を見て不審には思いながらも「取り敢えず意識はありそうね」と呟いて、容態を用紙に記入し始めた。
それから簡単な質問をして熱を測り、少し悩んだ結果に寝不足という判断を下す。会議室での出来事を見た人間であれば寝不足という風な判断になることは無いだろうが、保健師はずっと医務室にいたのだ。
「ちゃんと寝ておきなさいね。…………お大事に」
そう言ってカーテンを閉めた保健師は最後まで怪訝な表情を浮かべていたが、特に何かしら言うことは無かった。怪しまれている様子はあったものの、特に勘づいている気配が無かった事に安心した狭間は会議に戻るため医務室を後にしようとする。
だが、その背中に歴島の声が投げかけられた。
「…………待っ、て……」
今にも消え入りそうな小さい声を、狭間は聞き逃さなかった。ゆっくりと彼女の方へ向き直り「何だ」と問いかける。そんな彼に、待ち望んでいた言葉が返ってきた。
「こう…………さん……する…………」
それを聞いた瞬間、狭間の心が喜びで震え上がった。聞き間違いでないことを確認する為に、「何だって?」と聞き返した。すると、今度は小声ながらもはっきりと彼女の言葉が聞こえる。
「まけを…………みとめ……るから…………、これを……とって…」
一度ならず二度までも、待望していた返答を聞いた彼は口角が吊り上がるのを堪えた。狂喜乱舞する心を落ち着かせながら「それじゃあ今夜、俺の家に
「はぁ……、はぁ……、はぁ……」
独り残された歴島は思ってもいなかった言葉が口から出たことに驚いていた。
彼女に降参する意思は微塵も無かったが、身体の方が先に折れてしまったのだ。それは
「はぁ……、はぁ……、…んっ、…………はぁ……、——」
性に対する欲望が高まり続けている自分の異変に、困惑したような表情を浮かべながら彼女は荒々しい呼吸を繰り返す。
(なんで…………、私……)
悔いても嘆いても口にしてしまった事は取り戻せるはずも無く、恋人への想いを護れなかった事実に打ちひしがれたまま、彼女は夜が来るのを待つことしか出来なかった。
◆◆◆
狭間の終業時刻を迎える頃には歴島の身体は筋力を取り戻し、疼く身体を気にしなければ一人で歩けるくらいには回復していた。だが、その分だけ性的欲求は激しく彼女の中で荒れ狂っている。
狭間の肩で身体を支えながらヨロヨロと歩き、彼の家の前に着いた時には周囲が既に暗くなってしまっていた。
「さあ、入りな」
狭間は鞄から家の鍵を取り出すと解錠し、彼女を家に招き入れた。あくまでも家に入るか否かは彼女の意思次第というつもりなのだろう。
男は自分だけさっさと家へ上がり廊下を歩いて行った。そんな男の背中を見つめていた彼女は深く息を吐き出す。
家の外で取り残されている歴島は僅かに
「ほら、こっちだ。こっちに来な」
彼の家は一人で暮らすには無駄に広く、それでいて綺麗に片付けられていた。彼について行くと部屋が幾つかあり、そのうちの一部屋に彼女は通された。
その部屋にはシングルサイズのベッドが一つにクローゼット、そして低い丸机があるだけという簡素な光景が広がっていた。殺風景と言っても良いの部屋で、彼は鞄を置いてベッドに腰かける。
「……この家は友達と折半で家賃を支払ってんだ。まあ、ルームシェアってやつだな。それで、一昨日から用事で家を空けてて明後日くらいまでは俺一人だ。だから、思う存分によがりまくって良いぜ。あんまりデカい声出されると近所迷惑になるけどな」
そう言うと、彼は歴島に不敵な笑みを向けた。全身を舐め回すようないやらしい視線を浴びて、彼女の背中に不快感と寒気が走る——はずだった。
(なん…で…………)
だが実際には何とも言えない興奮を覚え、彼女の体温が僅かに上昇した。彼女の身体は異性への渇望で満たされており、そんな視線を向けられるだけで勝手に卑猥な妄想を膨らませてしまうように変わってしまっていた。
それでも、彼女は恋人への想いだけは忘れまいと心を強く持った。
どこまでも一途な恋心を胸に口を真一文字に結んだ彼女に、狭間は言い放つ。
「まずは服を脱ぎな。俺に脱がされたくないなら、だがな」
下劣極まりない命令を下す彼を本能的に睨み付けようとした彼女は咄嗟に拳を握って感情を抑え、ただ黙って従った。スカートのチャックを下ろし、その場に脱ぎ捨てるとブラウスのボタンを一つずつ外して少しずつ綺麗な素肌を男の目の前で晒していく。顔を背けていても肌を突き刺すような男の視線を感じ、嫌悪感の代わりに羞恥心と快感が身体の内から広がっていく。
男はだらだらと服を脱いでいる歴島を急かしたりはせず、彼女の脱衣が終わるまでじっと黙って見守っていた。
「…………終わったわ」
会社の制服も下着もストッキングも脱ぎ終えた彼女は、目の前の男に装着された貞操帯だけを身に纏った姿で立っている。しきりに膝をもじもじさせながら、局部を手や腕で隠している彼女は男が何か言うのを待っていた。
しかし、狭間は何も言わなければ、手を出そうともしない。ベッドに腰かけたままの姿で微動だにしない彼に、段々と苛立ちが募り始めた彼女は声を震わせながら要求する。
「何してるのよ、服は全部脱ぎ終わったわ。……だから、早くこれを取ってよ……」
「…………だったら相応の態度ってもんがあるだろ、社会人として」
「っ、…………? 何を言って——」
「分かるだろ。社会人だったら、謝る時もお願いする時も頭を下げてするのが当然のマナーだ。違うか?」
「くっ…………」
どこまでも高圧的な態度を取る狭間に怒りを露わにしながらも、彼女は深呼吸をして気持ちを落ち着かせると、深く頭を下げて再度要求する。
「お願い……します。…………これを、取って下さ……い…………」
屈辱で唇を震わせながらそう言った彼女に、心底がっかりしたような溜め息と狭間の冷ややかな声が響いた。
「はぁ……、それが頭を下げた内に入るかってんだ。誠意を見せる時は膝を曲げて、床に両手とデコをくっつけろよ」
「な——!?」
狭間が彼女に要求していたのは、土下座だった。普段の陽気で人当たりの良い彼とは思えないような命令に、流石の彼女も抗議の声を上げる。
「ふざけないでっ。こんな格好でそんなっ……恥ずかしい事っ…………っ、出来るはず無いでしょ! 人を馬鹿にするのも、いい加減にしなさいよっ!」
「ふざけてなんていねぇよ」
堪忍袋の緒が切れた歴島は憤慨して怒鳴った。しかし、それでも狭間は冷ややかに彼女を見つめて言い捨てる。
「お前の心は未だに谷条の奴に向いている。そんな状態で貞操帯を取ってやったって、俺のモノにはならんだろう? だから、今日でアイツのことを忘れさせてやるんだよ」
「…………最低」
「何とでも言えよ。ただ、自分でも分かってんだろ? ここに来た時点でお前はもう、快楽から逃れられなくなってるってな」
彼の言う通り、彼女の精神はどうにか耐えている状態であるが、身体の方が既に屈しつつある。だが、彼女がそれで諦めてしまえるような性格であればここまで耐えては来られなかった。彼女の想いは、今でもたった一人にだけ向けられている。
「そんな事、あるはずないでしょう。私は生涯、
「おいおい、俺を神父様に見立てて結婚式の練習か? アイツに対するお熱い気持ちはもう充分なんだよな。……、それじゃあ、その誓いが本物かどうか俺が見極めてやるぜ」
「望むところよ」
舌なめずりをしながら歩み寄る狭間から一歩だけ後退りながら、彼女は両拳を握り締めながら仁王立ちで構える。臨戦態勢に入った彼女を見て狭間は数度頷いた後、彼女の背後に回り込んで言った。
「ようし、それならルールは単純だ。……あの時計を見な」
そして壁に掛けてある時計を指さして説明する。
「あの時計が12時を指すまで、……つまり日付が変わるまでに貞操帯を外すように懇願しなかったらお前の勝ちだ。約束通りに俺は手を引くし、動画の事も全て消してやるさ。……ちなみに、あの時計は何の変哲もないし時刻のズレも無ぇ。ほら、確認しな」
そう言って狭間は自分の携帯電話の電源をつける。そうして画面に表示された時刻は、壁に掛けてある時計とぴったり同じ時間だった。秒針が異常に速いということも見受けられない、彼の宣言通り普通の時計だ。
それをしっかり確認した歴島は頷いて見せると、狭間が「なら、スタートだ」と合図をした。
「んんっ……んふぅぅ…………」
彼は早速、彼女の豊満な膨らみに手を伸ばして力強く揉みしだく。かつては嫌悪の対象でしかなかった自分の胸が形を変える度に、彼女は強い快感を覚えていた。
好きでも無い男からの乳責めに色っぽい吐息を漏らす歴島だが、このくらいはまだまだ余裕がある。なにしろ、自身の休暇中は大半の時間を乳房に刺激を与える自慰ばかりしていたのだから、ある程度の責めには耐性が出来ている。
ただ、この時彼女は侮っていた。狭間がこれまでに経験してきた、女性を堕とす為のテクニックを——。
「んひぃっ!? んぁっ……、待っ……」
粗暴としか形容のしようがない彼の手つきが一変し、彼女の横乳を指圧し始めた。敏感な部分を抉るかのような指の動きは、彼女にとって未知のものであり想定以上の快感を脳まで直接送り付ける。
思いも寄らない刺激の強さに理解が及ばないまま彼女の呼吸が乱れ始め、忽ち腰が震えだした。
「ぃやっ、あっ、んぁっ、まっ、待ぁっ、ぁっ——」
何日にも及ぶ寸止めを受けた彼女の身体は、彼女が自覚していた以上に感じやすくなっていたようで、開始数秒足らずで早くも絶頂の兆しが見えてきた。自分で弄るのとは訳が違う彼の手捌きで、前後に振っている腰の速度が上がっていく。
「っ、ぁ……………………」
何日振りとなる、視界が真っ白になって意識が飛んでいく感覚。
それを味わうことが出来なかった彼女は息を荒げたまま、浅ましく腰を振りながら混乱する。何がどうなったのか、すぐには一つも理解出来ないでいたが、暫くして思考がはっきりすると彼が手を止めたことを知った。
「……ぇ、…………なんでぇ……………………。へぁっ!?」
狭間の真意が分からないまま口を開けっ放しにして空気を取り込む彼女。だが、またすぐに性感帯への指圧が再開された。
乳房の一部に彼の逞しい指が深々とめり込んでいく瞬間、ビリビリと鋭い電流のような気持ち良さが身体の奥底まで貫く。
自分という存在がどこかへ飛んでいきそうな程に気持ちが良く、頬が緩んで下半身を中心に震えが止まらなくなる。ガニ股に開いた股間から貞操帯の穴を通じて透明な粘液が
「んひっ、はぁっ、はぁっ、んはっ、あぁっ、ふぁっ——」
今、自分がどんな姿でどんな状態になっているかを考えていられる余裕も無く、下品な腰振りダンスを披露している歴島は先程よりも早く絶頂しかける。——が。
「んはぁっ……はぁっ…………、なっ……んでぇ…………」
それを狭間が許さない。
視界が白に染まる手前で必ず手を止められて、天にも昇るような心地から一気に突き落とされる。身体は気持ち良いのに、心がその果てまで到達することは無い。
「ひぃぃんっ!!」
焦点の合わない視界が急にはっきりした。歴島は咄嗟に顔を横に向けると、そこでは狭間が彼女の右腋を舌で舐め上げていた。
「れろぉぉっ。ハハ、しょっぱくて上手いな。それに雌の濃い
「にゃっ、…………にゃにして……」
「何ってお前、こんなエロい腋を目の前にして舐めねぇ方がおかしいだろ。それにしても…………れろぉっ。凄い汗だな、人前で
「そ…………んにゃ、わけ…………ひぃっ!」
呂律の回らない口で反論しようとするも、狭間に遮られて悲鳴を上げる。
汗だくの腋を舐められるという変態的な行為でも、彼女はゾワゾワする快感で全身が震え上がる。その間も彼の指圧は動きを止めず、三度視界が白み始めた。
「ぃっ、ひっ、いぁっ、あっ、はっ、ぁぁっ——」
ヘコヘコと腰を振りながら絶頂を迎えようと構える彼女の両胸から、またしても彼の指が離れていってしまう。もう何度も味わってきた寸止め地獄で、精神的にも辛くなってきた歴島は涙目になって訴える
「ぃか…………せてぇ……。もぅ…………イか、せて…………よぉ……」
「もうギブアップか? 谷条の奴は、もうどうでも良いのか?」
「っ。そ…………れ、はぁ…………」
彼女は即答出来なかった。
恋人への想いだけは裏切ってはいけない、と最後の理性が彼女の言葉を寸でのところで飲み込ませたのだ。彼女の中の天秤は、未だ谷条への愛で僅かに傾いている。
「そう答えを焦るなよ。まだまだゲームを始めたばかりなんだ、もう少し楽しもうぜ。……まあ、何があっても
「そ…ん…………にゃあぁ……。っ、やぁぁあっ!?」
指圧を再開した狭間に、今度は反対側の腋を舐められて歴島は悶える。決して解放されないまま、快感だけが身体の内に留まり続けていく。
◆◆◆
歴島が一度も絶頂させて貰えないまま、ゲームの開始から一時間が経った。
その間ずっと乳房への指圧や腋舐めを続けられ、それだけでなく膝裏や
「ぁぁ…………」
そういったプレイ中も、当然のことながら絶頂する直前で止められて一度も溜まりに溜まった快感が解放されないままだった。思考もまとまらなくなり、彼女は頭がどうにかなってしまいそうで、もう発狂寸前の極限状態にまで追い詰められている。
二十分前後が経ったくらいには全身から力が抜けきり、床の上で大の字に寝転がされていた彼女は、その状態で彼にされるがままとなっていた。呼吸すら
「案外耐えるなあ、本当に。……だが、もうそろそろ限界だろう? 頭の中はマンコをチンコで犯される事ばっかで、他には何も考えられねぇ。…違うか?」
「……………………」
否定も肯定も無く、彼女は天を仰ぎ見ていた。休ませて貰える時間は殆ど無く、ほぼほぼ常に喘ぎ声を出し続けて声は枯れかけ、何度も感じさせられて疲労し切った身体は体力が底をついて小さな呼吸を絶えずに繰り返す。
身体に続いて精神の方も擦り切れ過ぎて千切れかけの状態。このままでは、自分という存在が消えてしまいそうな感覚に陥る。
「も……………………もぅ…………」
どうにか声を絞り出し、彼女は音を上げようとした。
貞操帯の装着に伴う蒸れや痒み等の不快感とストレス、何百にも及ぶ絶頂寸止め、電流による性欲の増幅、精神的に追い込まれるようなプレイの数々。それらの一つ一つが心を折るのに十分過ぎる効力を有しており、寧ろここまで耐えてきたこと自体が奇跡に近い。
目尻いっぱいに涙を浮かべ、谷条に対する
「……………………?」
霞みがかった思考でも彼の行動の真意を理解しようとした彼女だが、それに辿り着くよりも先に狭間が動いた。彼女の下腹部に両手を乗せて、まるで人命救助の一つである胸骨圧迫をするような姿勢を取る。そして、無邪気そうでどこか狂気じみた笑みを顔面に張り付けた表情でこう言った。
「そう言えば、こういうプレイはしたこと無かったよなあ。前々から興味はあったんだが中々機会が無くて、……なっ!」
「ん゛ぐぅっっ!!??」
彼が言葉を言い終えるのと同時に彼女の苦しそうな嗚咽が部屋に響く。何をとち狂ったのか、彼は彼女の下腹部に置いた手と腕に力を加えて思い切り圧し潰した。位置としては膀胱より少し頭側の部分にあたる。
これまでとは全く毛色の異なる責め方に変えてきた狭間に、彼女は理解が追い付かなかった。彼は彼女の心を折るような凌辱を重ね、その殆どは純粋に快楽へ直結する内容ばかりであった。少なくとも、彼女の身体へ直接的な苦痛を与える手段を選ぶことは無かった。
「な…………に、を……………………」
枯れた喉から声を絞り出す歴島。圧迫による衝撃の所為か、彼女の意識が少しだけ戻っていた。
困惑の色が隠せない彼女に、表情一つ変えずに彼は言ってのける。
「何って、新しいプレイだよ。降参しないくせに反応がマグロ気味で
「う゛ぁ゛ぁっっ!!??」
言い終えるなり、再度彼女の下腹部を力一杯圧し潰す狭間。快感とは縁遠い苦しみを覚えた彼女は、強制的に意識が覚醒される。靄がかかっていた思考がクリアになり、一発目よりもはっきりとした苦痛が全身に響き渡った。
「う゛がっっ! あ゛ぐぅっ! え゛あ゛ぁっ! え゛ほぉっ!!」
下腹部を圧迫する度に身体が大きくビクンッと跳ね、苦悶の表情を浮かべながら肺の空気を吐き出す彼女の反応に気を良くしたのか、狭間は続けざまに両腕を垂直に押し込んだ。
彼の大きくてゴツゴツとした両手が力強く圧し込まれる度に子宮や膀胱が刺激され、激しく疼き出す。それが連続して繰り返されて、段々と彼女の内側から妙な感覚が湧き上がってきた。
「——あ゛がぁっっっっ!!」
すると、身体が脱力しきっていたこともあり数度目の圧迫と同時にジョボボボという音が二人の耳に届いた。音がしたのは彼女の股間であり、その方向に目を向けた彼は黄色い水溜まりが広がっていく光景を目にした。
「おいおいマジかよっ。また洩らしてんのかよ、お前。どんだけ膀胱が緩くなっちまってんだ、ハハハハハ」
部屋中に漂うアンモニア臭。下劣に
「…………もう、……………………無理です。…………降参……します」
歴島の嗚咽と掠れた声が、狭間の笑い声を止ませた。徐に目線を彼女の顔に向けた彼が確認するように問いかける。
「降参するのか? ちゃんと俺に土下座をして懇願するのか?」
「はい…………、土下座……して…………お願い……します…………」
「谷条の奴はどうでも良いのか? 俺と正式に交際するんだな?」
「…………はい、……壱さんとは…………別れます。…………それで、……狭間さんと…………お付き合い…………させて、いただきます……」
消え入りそうな声で、しかしはっきりと彼女は口にした。
自身の敗けを認める言葉を。最愛の恋人を裏切る宣言を——。
それが狭間には嬉しくて嬉しくて、今にも飛び跳ねて喜びたい衝動に駆られる。が、あくまでも冷静に振る舞い「そうか……」と呟いてクローゼットから雑巾を数枚手に取った。
「それじゃあ、俺はお前のションベンを片付けておくから終わったら俺に土下座しろよ。『貞操帯を外して下さい』、って真心
「……………………はい……」
彼女から言質を取った狭間は、大急ぎで彼女の洩らした尿を拭き取っていく。その表情は明らかに嬉しそうで、子供がはしゃいでいるようにも見えた。
床にシミが出来る前に尿を拭き、消臭剤を振り撒いた後に雑巾を全て浴場で洗い終えた彼が部屋に戻って来ると、彼女は既に土下座の態勢に入っていた。そして、彼が正面に立つと床に額をくっつけて
「私は……狭間さんとの取引で……負けを認めます…………。ですから、……どうか……貞操帯を、……取ってはいただけ…ないでしょうか……。……よろしく……お願い、いたします…………」
彼女の声が止んで暫くの間、部屋に静寂が訪れる。しかし、それはすぐに狭間の静かな声で打ち破られた。
「本当に……俺と恋人になるんだな? 嘘は吐いていないな?」
「はい…………、勿論です……。私は……壱さんと——いえ、谷条さんと正式に……お別れ…いたします……」
自分の額を再度、床に擦り付けて彼女は言い切った。それを聞いた狭間は長く息を吐き出しながら心の中で喜びを噛み締めると、貞操帯の鍵を取り出して彼女の背中側にある鍵穴へ挿し込んで軽く捻る。
「っ、んほぉぉ……」
するとカチャという音がして、彼女の腰を締め付けていた拘束が解かれ、それと同時に常時彼女の膣内へ挿入されていたシリコン製のディルドが滑り落ちた。たったそれだけの刺激でも、調教されきった彼女の肉襞は快感に震える。
久々の外気に触れた彼女の秘部は汗やら愛液やらで赤くかぶれており、見ているだけでヒリヒリしそうな痛ましい姿になっていた。だが、そのヒリヒリ感さえ今の彼女にとっては快楽の一部だった。
「それじゃあ早速だが——、」
数日振りに彼女の膣口とご対面した彼は、既にガチガチの勃起状態となっていたイチモツを取り出して彼女の背後に移動すると一切の迷いも無く捩じ込んだ。
「っ、ん゛お゛お゛ぉぉぉぉっっ!!」
温かみの無いディルドとはまるで違う、逞しい肉棒の感触を味わった瞬間に彼女は歓喜の声を上げた。ふやけた粘膜とかぶれた皮膚に硬い陰茎が擦れて、電流のような痒みや痛みが身体に響くが、膣内の疼きが収まっていく感覚に比べれば大した苦痛にすらならなかった。寧ろ、それが良いアクセントとなって痺れるくらいの快楽が彼女の脳天を貫く。
奥まで一気に挿入した狭間は、いきなりラストスパートをかけているような激しさで抽挿を繰り返す。
「んほっ、おっ、おぉっ、あぁっ、いぃっ…、それっ、いいぃっ…、んはぁっ」
腰が打ち付けられる度にパチュパチュと愛液が爆ぜて、彼女の柔らかい尻肉が波打つ。
もう何年もお預けを喰らっていたような感覚だった彼女にとって、彼とのとの行為が何よりも至福のひと時に感じられた。
一,二週間前まで見せていた彼女の凛々しく美しい表情の面影は無く、快楽を貪ってよがる淫らな雌の恍惚とした表情で歴島は気持ち良さそうな嬌声をあげている。
「きてぇっ、きひぇっ。わらひにっいっひゃいっ、しぇーしらひひぇぇっ」
口を大きく開けたまま涎を垂らしながら彼女は髪を振り乱して感じる。
解放されること無く蓄積され続けてきた快感の風船が、爆発寸前まで膨張していた。
「
「イきまひゅっ、イッひゃいまひゅぅっ。はやくっ、ナカにらひてぇぇっっ!!」
彼女の腰を両手で掴んだまま、彼女を貫く勢いで腰を打ち付け続ける狭間は近所迷惑の事もすっかり忘れて雄叫びをあげる。腰を打ち付けられる勢いで巨大な乳房を激しく揺らして、無意識のうちに彼の肉棒を膣壁で強く締め付ける歴島は柔肉をゴリゴリと擦られる快感に掠れた喉で絶叫する。
「
「イくイくイッ、くぅぅぅぅぅっっ!!」
行為開始から一分弱で、二人は同時に絶頂した。
特に歴島の方は、溜まり続けた性的欲求が爆発して脳みそが弾けるような錯覚を受けた。我慢に我慢を重ねた身体と精神に相性抜群の陰茎で解放される悦びは計り知れず、一発で気を失ってしまいそうな程に気持ち良いものだった。
「はぁ…、はぁ…、はぁ……。っ、あんっ」
肩で息をしながら余韻に浸る彼女の膣内に硬くそそり勃ったままの肉棒が侵入し、彼女は蕩けた嬌声を上げた。疲労困憊だったはずの身体に活力が湧いてきた彼女が、一回絶頂したくらいで満足できるはずもない。
「んはぁ……、もっと……、もっとぉ……」
雄を誘う妖艶な表情で狭間の方へ振り返り、彼を誘惑するようにムチっとした尻を左右に振ってみせる。真面目な性格であったはずの彼女は荒れ狂う快楽の奔流に吞み込まれて消え失せ、いやらしい雌としての彼女が姿を現した。
「んあぁっっ」
彼の肉棒が彼女の膣内を擦りながら引き抜かれていくと、ゾワゾワとした快感が背筋を通って彼女の脳を蕩けさせる。元々身体の相性が良かったためか、寸止め地獄を味わわされた後だからか、それともその両方か。狭間との性行為で得られる快楽に、彼女の全身はどっぷりと嵌っていた。
亀頭が半分近く膣口から出る程に引き抜かれた彼の陰茎が数瞬動きを止め、そして力強く最奥まで突き入れる。
「んっほおぉぉぉぉっっ!!」
その際、前回の行為で見つかった弱点が抉られて彼女は上体を反らせながら絶頂し、激しく潮を噴き出した。視界が白く明滅して、脳がショートしたかのような衝撃に襲われた彼女の表情は、強力な快楽に染められている。
「ひゅごいぃぃ……。このおちんぽ、ひゅごひゅぎるぅぅ……」
「そうか、そんなに気持ちが良いかっ。前の彼氏とどっちが凄いんだ?」
彼女の感想に気分が弾んだ狭間は彼女に問いかけた。
「しょんにゃにょぉ……くりゃべ、らりぇにゃいぃ……。らっ……てぇ……、おぼえてにゃいんらもぉん……。…んはあっっ」
「そうかそうか。それで、このチンポは好きかっ?」
「うん…、ひゅきぃっ……。こにょおちんぽぉ……、らいひゅきぃぃ……。こにょおちんぽ…もってるぅ……あにゃたがぁ、……らいひゅきぃぃ……」
念願が果たされた狭間の心境は、まさに最高潮の一言だった。
嬉しくて震える気持ちをバネに、彼は凄まじいピストン運動を開始した。
「あっあっあっあっあっ、らめっ、いっひゃうぅっ、っ、しゅぐにぃ、いっひゃうっ!」
「ああ
「いくっ、イくっ、イくぅっ、イッ…きゅうぅぅぅぅぅっっっ!!!」
両手をバタつかせながら暴れ回っていた彼女が、絶頂を迎えてビクビクと痙攣する。ちょろちょろと透明な液体を蜜壺から垂らしながら、彼女は肩を上下に動かして忙しなく息を吸っては吐いていた。
狭間から与えられる快楽の渦の心酔していた彼女の記憶から、谷条との思い出が完全に掻き消されて肉欲による悦びで上書きされていった。
「まだまだ
「んひゃあぁっ!!」
背後から彼女の乳房を鷲掴みにして、狭間は乱暴に揉みしだく。彼女の意識が飛びそうになったら尻肉を引っ叩いて強引に呼び覚ます。水分補給は互いの体液で済ませ、空腹も構わず連続で互いの肉体を貪り続ける。
知性の欠片も感じられない獣のようなセックスは、翌日の昼前まで続いた——。