※この作品はR-18です。

Re:ゼロから始める異世界性活(仮)   作:萎える伸える

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 ※旧題『ラム×オリ主√b』
 タイトル変えました〜。中々洒落てるのではと、一人得心している作者です。

 お~~~~久しぶりですこんばんはァああああ!!
 萎える伸えるでーす!!

 いやはや今日はいい日だ!
 久しぶりの投稿‼ リゼロなろうの八章完結!! 新PVでシリウスの口上を聞けた!!
 すんばらしい日だ! すんばらしき今日だ!
 てなわけでハイテンションとは裏腹に暗めでお送りしていきますリクエストでぇす!
 
 恒例の如く望まれているものとは、今回はかなりヤバいくらいに違います、が、それでもよければお楽しみどうぞー! よろしくー!


『孤独な狼は仔羊の夢を見るか√b』☆

 

 

 

 人生とはかくも平凡なものである。

 

 

 

 人生最大の苦難に見舞われたとしてヒーローが助けてくれることはないし、別に助けられずともどうせなんとかなるものだ。

 例えば一生を誓った恋人などいないし、気の置けない仲間なんていない。故郷で親を失った不幸が特別不幸なことかと言えばそういうわけでもない。親なし子なんてこの世界ではありふれたものだ。

 故に少年と少年の人生は平凡で、なんの取柄も続柄もない流されるままの流れ者である。

 

 

 

 それが今日まで生きてきた、なんら特別でない俺の命に対する結論──その、はずだった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 鳥の鳴く早朝のロズワール邸。

 未だ昇りきらぬ朝日の静けさが心地よいその時間に、それらの趣きを台無しにする少年の轟きがあった。

 

 

「ここで!! 働かせてください!!」

 

 

 千と千尋風、全力の土下座スタイルでの雇用懇願だった。

 なお、本人は生まれも育ちも異世界育ちのため、そんな事実は知る由もない。

 さて、さきほどのモノローグで語られた通りの件の少年こそが、今土下座で就職祈願している彼なのだが、こうなった流れにはそれはもう大きな訳があった。

 

 

 それは先日の早朝のことであった。

 

 

 その日は今日の如く蝶と鳥が詠う森の中で、一人の少年がなんとなしに行き倒れていた。

 

「腹が減ったよぉ~、ひもじいよぉ~」

 

 口に出したところで腹が膨れることはない。

 しかし、口に出さずとも腹が満たされることはない。

 なら言うだけ不満の解消にも良いのではないか。そう考えてのものだったが、残念かな。空腹と飢餓の事実を己の中で明確にしただけだった。むべなるかな。

 

 はぁ、そんな風に諦めと諦念を胸に溜息をつけば、己の性を改めて実感する。

 己の身がなんら特別ではない事実と、それに伴って存在しない己の特別な人生。

 己の平凡さと凡庸さに失望と絶望を禁じ得ない。

 

「あーもう!! 誰か俺を見つけてくれー!!」

 

 それはもう、見るも恥ずかしい男の癇癪であった。

 自ら何かをするのではなく、流されるままに受け入れるままに生きる怠惰な男の我儘の発露であった。我慢の限界だった。

 

 いくら頑張っても認められない世の中、どれだけ人に優しくしても避けられる世の中、いっそ野垂れ死のうとも強すぎる己が肉体。

 すべてが噛み合わなかった。己の認識と世界の差異。そして妙に聡い己の頭が正しいのは世界だと訴えかけていた。

 そう、どれだけ己を平凡だと偽ろうと、騙ろうと、男の出自が変わることはない。

 

「…………」

 

 森に倒れ込む少年の頭と尻には、特徴的な黒の耳と尻尾が生えている。それはどうしようもなく狼人族の特徴で、およそ獣人の中で最も戦闘狂で強くすばしっこく、強力な種族の特徴であった。それは同時にこの世界において、特に南の帝国において酷く憎まれ差別される種族の特徴でもあった。

 

 それは今少年がいるルグニカ王国領土内でも変わりはない。

 ルグニカ王国の中にも亜人はいる。そして王国では他よりも亜人そのものが差別されている。

 そうして亜人の中でも差別はある。帝国を出ようとも帝国という世界で四つしかない大国の一つで大々的に差別されている狼人族は、王国であろうと影響されて差別する奴はいる。

 

 差別されている理由も知らず、周りの人に合わせるままに振るわれる差別的な言葉と行動を、されど少年が責めることはない。

 そうやって周りに合わせて流されるままに生きていくことは彼が羨む平凡な人生そのもので、それが世界で生きる人々にとって〝普通〟のことなのだから。

 

「……ひもじい、ひもじいなぁ…………」

 

 むべなるかな。

 この自由とは程遠い世界で、狼人族は苦境を強いられている。 

 ならば獣の如く、人里離れて野生に帰るかと聞かれれば否やと答える。

 人は人と離れて生きて行けはしないのだから。

 

 ひもじい。かくもひもじい命である。

 その人の温もりに飢えた餓狼は、得てして〝運命〟に出会った。

 

 

「──こんなところで何をしているの」

 

 

「────!」

 

 

 

 その赤は、鮮烈で、毒舌で、いたく刺激的な運命だった。

 

 

 

◆◇◆

 

 

「それで今の俺があるわけです。働かせてください!!」

 

 

「ん~、なるほどねーぇ。君の経緯(いきさつ)はよーくわかったよ。──それで? 何が目的かな?」

 

「ラムと結婚させてもらいたいです!! できれば俺を好きになってもらった状態で!」

 

「あはーぁ、ずーいぶんとはっちゃけてくれるじゃない。何か心境の変化でもあったのかな? ──先日勧誘した時は一向に頷く様子がなかったのに、こーれはまた随分な手のひら返しじゃないか」

 

 そう、男がメイザース領にて行き倒れていた理由、それは対面にいるロズワール辺境伯に呼ばれたためだ。亜人趣味とも称される彼に呼ばれて、使用人として雇われないかと言われて素直に頷く人間はいない。さては、ソッチもいけるクチなのかと戦々恐々としたのが本音だ。なんなら今でも少し怖い。──だがしかし、今の俺にとってはそんな些細な理由などどうでもいいほどに世界が輝いて見えていた。

 ただ一人の女性の周囲だけが、彼女のいる世界が、途轍もなく輝いて見えたのだ。

 

 くっ、ロズワールの後ろに控えている彼女の周囲だけが鮮烈に輝いている!!

 

「恥知らずは百も承知! だけどもう、俺は己の心を偽らない! 運命を見つけたんです! いえ! 運命に見つけてもらったんです! ならばこの人生、この命、一生を彼女に捧ぐことになんの躊躇いもありはしません! ということでここで働かせてつかぁさい! 頼んます!!」

 

「ふ~む、そうは言ってもねぇ。君の願いは私の一存で決められることではない。──ラム、君はどう思う? 彼を雇うべきかな?」

 

「……ロズワール様の」

 

「あぁラム、私に選択を委ねるのはなしだ。ここで彼の処遇を決めるのは君だと、そう〝ここ〟には記されているから、ね」

 

「…………わかりました。──では」

 

 心底嫌そうに息を呑み込んだ彼女は、多少息を整えた後に俺の運命を告げた。

 

 

 

 嫌そうな顔も綺麗だな、と俺はそう思った。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「ほっ、はっ、そりゃっ!」

 

「…………」

 

 翌日、清々しい朝を迎えた俺は、屋敷の清掃を行っていた。

 到底一人ではやりきれない屋敷中の窓掃除に始まり、床を箒で掃き、花瓶の水を入れ替える。

 それら尋常ではない量の仕事を、なんと男は一人で、迅速に行っていた。

 

 狼人の俊敏性を最大限活かして清掃をしていた。

 彼がそこまで頑張る理由は、先輩メイドとして彼を監督する女性の存在があった。

 

 

「細かいところまで清掃が行き届いてないわ。やり直しね」

 

 

 そんな姑のようなことを言う彼女に、

 

 

「ははぁ!! 喜んで!!」

 

 

 少年はいたく幸せそうに従った。

 

 

「……なぜ喜ぶの。理解に苦しむわ。率直に言って気持ち悪い」

 

「ははっ」

 

「もしかして罵倒されて喜ぶ変態なの? だとしたら昨日した私の選択は間違っていたということ…………いえ、ラムが間違えるわけないもの、間違ってるのは貴方だわ、〝セイリオス〟」

 

「そうだね! ラムは間違ってない! 俺が変態なのも間違ってるのも間違いないよ! そいやっ!」

 

 神速で清掃を行いながら笑って答えるセイリオスという名の少年。

 屋敷の清掃なんて未経験だろうに、どういうわけかその身だしなみと清掃スキルは様になっている。

 彼が天才なのか、種族柄なのか、あるいは…………。

 

「────」

 

 ラムは疑っていた。

 可能性が万に一つもなくとも、彼がロズワール様を、この場所を危険に晒す存在ではないかと。

 なぜなら彼は、凶暴と名高い〝狼人族……

 

「しないよ。ラムと、ラムの大切なものを害することなんて、俺はしない」

 

「──っ、突然、何を言い出すの。とうとう頭がおかしくなってしまったの? 変態新人」

 

「……そうだ。おかしくなってるんだ、今が楽しくて仕方がない。こうして罵倒されることも、疑われていることでさえ嬉しいんだ。そんなの、今まで嬉しくもなんともなかったのにね」

 

 狼人として生きてきた彼は続ける。

 

「それが今はこんなにも喜ばしい。ラムに見てもらえることが嬉しい。ラムが監視役としてでも一緒にいてくれることが嬉しい。ラムと話せて楽しい。ラムを見られて嬉しい。………嬉しいんだ」

 

「っ」

 

 疑っている存在の、ただの少年の純粋な笑みに。

 聡明な彼女が珍しく罪悪感を覚える。

 

「………そう。ここはもういいわ、もうすぐお昼だしそれまで休憩してなさい」

 

「えー! 俺もお昼ご飯作るの手伝うよ! 斬るのは得意!」

 

「…………料理を作るのはラムじゃなくてほとんどレムよ?」

 

「なら、なおさら手伝わなきゃじゃん! それに自分の飯くらい自分で作らなきゃだからね。ね、俺もラムと一緒に料理作っちゃダメかな、お願い!」

 

「…………勝手にしなさい」

 

 それっきり会話を打ち切ったラムはUターンして食堂に向かった。

 それに俺も後ろからついていった。──なんだか、顔を合わせてくれないラムを窺うようにしながら。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「…………セイリオス、くんは……姉様のことが、その……」

 

「好きだよ? 大好きだ。俺の運命、俺の初恋。この想いも、この熱も、手放したくない。抱えて、育んで、ラムにぶつけたい。そうしていつか受け取ってもらえたなら──俺はそれが一番嬉しい」

 

「そう、ですか…………姉様を、お願いしますね、セイリオス君。──姉様を、見ていてくださいね」

 

「──もっちろん! 絶対、ラムを悲しませたりしないよ。ラムの笑顔が、俺の至上命題だ」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 例え叶わぬ夢と知っても。

 

 束の間の奇跡と知っていたとしても。

 

 彼女に笑っていて欲しいとそう望むのは、傲慢だろうか。

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……あ゛ぁッ…………!!」

 

 

 

 息を切らし、息を荒げる少年。

 その手には地に塗れた特別製の鉤爪(かぎづめ)が装着されていた。

 彼が殺したニンゲンは数知れず。屋敷の周囲には至る所に死体の山が積まれ、辺りは死の匂いが充満していた。

 

 そんな彼の後ろには、たった一人の初恋がいた。

 

「せいり、おす…………」

 

「レムは…………ロズワールは?」

 

「…………」

 

 満身創痍の彼女に他の安否を問うも、帰ってくるのは無言だった。

 その事実にズキリと胸が痛む。焦燥と憤怒、後悔と慚愧の念が脳内を占める。

 されどそれを噛み締め、噛み砕く。

 

「そっか。…………そっかぁ」

 

 育んだ日常とは程遠い、荒廃した屋敷で。

 不気味な全身黒服と、特徴的なナイフが散乱している。

 切り裂かれた死体に叩き潰された死体、焼き焦げた死体もあれば…………惨殺された村人の死体もある。

 

 ──間に合わなかった。

 

 セイリオスが王都にあるメイザース家の分家に修行に出ていた時にそれは起こった。

 彼が修行に出てかれこれ一年になる。

 丁度入れ違いとなったため出会えなかった王選候補者たるエミリア様。

 そして、彼女の王選進出に行動を起こした魔女教。

 

 その結果が今だった。

 

 

 間に合わなかった。レムも、ロズワールも、おそらくエミリア様も、もういない。

 でも、ラムは生きている。

 何も守れなかった俺だけど、ラムだけは……………………いや、

 

「ラム、動ける? …………ラム?」

 

 

「…………れむ」

 

 

 ──彼女の心さえも、守れなかった。

 

 

 時間は巻き戻らない。

 失敗は消えない。

 失われた命は、戻らない。

 

 

 

 ──おや? おやおやおや? まだ生き残りがいるではないデス、か! 嗚呼、何たる不手際! 何たる怠慢! 我が勤勉なる使徒を打ち滅ぼした勤勉にして勇栄なる亜人よ! ワタシは魔女教大罪司教、『怠惰』担当、ペテルギウス・ロマネコンティ、デス!! 

 

 ──我が寵愛の道しるべに従い、そこの死にぞこないと共に怠惰な終焉を迎えるが良いのデス!!

 

 

 

 怒りと、憎悪で、頭がどうにかなりそうだった。

 沸騰する思考と沸々と湧き上がる殺意が視界を黒く赤く塗り固める。

 狼人としての本能が沸き、全身に渾身の力が入る。

 一撃必殺、相手が何かする前に殺す。

 相手の予備動作なんて見逃さない。奴が動いた瞬間に殺す。

 

 そう意識を固めた俺に…………奴の口角が歪んだ。

 

 

 ──貴方、怠惰デス──「セイリオス……」

 

 

「───」

 

 

 気がつけば、俺は何も考えずに逃げ出していた──ラムを連れて。

 

 遠く、遠く、すべてを忘れるように遠く。西の国境まで。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 カララギに着いた。

 メイザース領を出て三日目のことだった。

 

「ラム、着いたよ」

 

「………」

 

 この三日間、彼女が言葉を発したことはない。

 完全に意志を喪失させてしまっている。

 

 この道中で幾千回考えた。

 今後のこと。ラムのこと。

 今の意気消沈したラムの為に、未来で笑うラムの為に俺ができること、すべきこと。

 

 

「ラム、結婚しよう」

 

 

「………セイリオス。私は、もう………」

 

 背中から伝わる心音は、声音は弱くなるばかりで。

 でも、首に回された手に一瞬の力が籠る。

 まだ終わってない。まだ、諦める時じゃない。

 

「生きる理由がなくなったなら、俺がラムの生きる理由になる」

 

「…………無理よ。ラムは、私は………貴方を愛していない。私の愛する方は、愛する子は、もうこの世界のどこにもいない。復讐の対象からも逃げて、報復も仇討ちも、すべて投げ出してこんなところまで来てしまった」

 

「逃げたのは俺の判断だ。ラムのせいじゃない」

 

「……いいえ、貴方に連れていかれたのは私の意志。…………一瞬、ほんの一瞬だけ……──貴方と、すべて忘れて過ごすのも悪くないと思ってしまった。………気の迷いよ」

 

「気の迷いなんかじゃない! ラムが、ほんの一瞬でもそう思ってくれたなら! 俺の想いを受け取ってくれようとしてくれたなら! 俺の全部をラムに捧げる! ラムがしたいこと、して欲しいこと。全部、全部、俺が叶えてみせるから! だから──!」

 

 

「…………なら」

 

 

 その時、続いた言葉を、続いた言葉が、俺の獣人の本能とガッチリハマった気がした。

 

 

 

 ──忘れさせて。なにもかも──

 

 

 

◆◇◆

 

 

 わずかな路銀がなくなることも気にせず、俺はこの街で最も高級な宿を取った。

 どれだけ切羽詰まろうと、彼女との〝初めて〟が拙い安宿など許されない。

 高級宿なら十分なのかと問われれば満足に頷けはしないが、今は場所は最低限。

 大切なのは今、今日という日のこの瞬間に彼女と在れること。だから──

 

「ラム、疲れてる?」

 

「少しだけね」

 

「……なら、少しだけ休憩してから、っと…………ラム?」

 

 おぶっていた彼女を柔らかいベッドに寝かせ、自分は地べたにでも座ろって休もうと考えた時だった。

 ラムの手が、俺の手を掴んでいた。──いいや、彼女が力強く俺をベッドへと引っ張った。

 

「………」

 

「………ら、む」

 

 二人でベッドに寝転がり、背中で感じていたモノとは違う、熱っぽい体温を感じる。

 手から伝わってくる熱が、震えが、力強く握られる痛みが、いつもとは違うことをこれでもかと教えてくれる。

 

 ──何をビビってんだ、俺は。

 

 臆病風に吹かれていた。

 ここまで来て、休むだなんて先送りにしようとして。

 あげくの果てに、彼女から言わせてはならないことを言わせようとしている。

 

 覚悟を。身命を。想いを賭して。

 

 彼女の上に覆いかぶさり、告げた。

 

 

「──お前が好きだ」

 

「…………」

 

「全部、すべて………お前の、ラムの、大切なもの、大切な記憶、ぜんぶ忘れて──俺のものになって欲しい。いいや、俺のものになれラム」

 

 言った。言ってしまった。

 愚かしいまでに自分勝手で強欲で傲慢な望みを。

 

「…………わたしは」

 

「忘れられないなら、忘れさせてやる。お前の初めて全部奪って、お前を俺に染めてやる。だから──避けるなよ」

 

「…………──ん」

 

 

 生まれて十数年、彼女に出会って数年。

 

 初めての味は、仄暗い熱と甘美な愉悦に彩られていた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 ──はぁっ、ぁっ……

 

 

 感じる柔らかさと、手に馴染む乳房(ちぶさ)に、脳が蕩けそうなほど悦に沈んだ。

 飼い主に体を擦り付ける犬のように彼女の体に己の体を擦り付ける。

 彼女が艶めかしく逃げるように体をくねらせると、俺は逃がさないよう筋肉張った手足で押さえつける。

 

 その首筋を嗅ぐ。

 その脇下を嗅ぐ。

 その桃色の頭髪を嗅ぐ。

 胸を、腕を、腹を、(もも)を、男児禁制の〝秘所〟を。

 

「ぁっ、もう、やめなさい………っ」

 

「嫌だ。ぜんぶ嗅ぐ。忘れたくない。ラムの匂いも伝わってくる心音も、声の震えも、嬌声も、何一つ逃したくない」

 

「………ほんとに、ダメな犬ね」

 

「俺は狼だよ。ラムを食らう狼だ」

 

「んぁ、………っ」

 

 嗅いだ秘所の着物を脱がし、開け放った生肌に息を呑む。

 触れてはならない神聖さと犯したくなる獣欲が一瞬の合間せめぎ合い、瞬きの間に後者に傾いた。

 

「れろ、ん………じゅっ、ちゅりゅっ、ちゅぱっ」

 

「く、っやめなさいっ、そんなところ………ぁ、っ」

 

「ちゅっ、ジュルルルッ、んむ………れろれろ」

 

 嬲る舌が止められない。

 いつまでも舐りたい欲に抗えない。

 

 彼女の聖域を舐め尽くすこと暫く。

 

 次第に彼女のソコから甘い液体が溢れてくるようになった。

 

 その甘美な至福は全能感と万能感を与えてくれた。

 直接、男の股間にクるような、獣族の本能を刺激する凄まじい甘露。

 それを契機として俺は今にも暴発しそうな逸物を取り出した。

 

「っ………」

 

 それを見たラムが一つ固唾を飲んだ。

 緊張か、驚愕か。しかしそこに拒絶はなかった。

 だから、

 

「ラム…………挿れるよ」

 

「……………………きて」

 

 

 許可は下りた。

 なら、後は犯すだけだ。

 徹底的に、凌辱的に、彼女の聖域を犯し、穢し、己の色で染め尽くす。

 

 始まりは紅かった。

 

 

「ぐ、ぁ……ぁあっ……♥」

 

「………ごめん」

 

 

 その謝罪は、止めれないことへの懺悔。

 挿入した瞬間、チンコに伝わる熱が、肉欲が、体液が、少年の理性(ブレーキ)を破壊した。

 

「ガァァああっ、ラムッ!!」

 

「ん………貴方の、好きに動きなさい」

 

「ッッッ!!!!!」

 

 

 止まらなかった。

 止まりたくなかった。

 パン!♥パン!♥パン!♥パン!♥

 

 弾ける音が、弾む肉が、心地よく麻薬のように頭の中を犯す。

 彼女に思う存分、チンコと腰を叩きつけながら、脳は更なる快楽を求めて暴走する。

 彼女の腰をガッツリ掴んでも乱暴な反復運動から、獣のセックスのように彼女に後ろから覆いかぶさって乳房を弄りながらのセックス。

 

 彼女の胸は突起は、死ぬまで夢中になるほどの魅力と色気を放っていた。

 さして豊満ではない彼女の胸だろうと、彼女のものであるが故に至高の胸と成り果てるのだ。

 突起を潰すごとの彼女の艶のある反応が、チンコにキて仕方がない。

 

「ぁっ♥ やっ、………せいり、おす……ッ♥」

 

「ラムッ! ラム……ッ! ………ん、む…………!」

 

「ん、んぁ………はぁ………あ、んむっ、んっ♥ んんっ………♥」

 

 舌を絡ませ、唾液を飲み干し、唇を貪る。

 柔らかな桜の唇を、細く淫靡なべろを、彼女のきめ細やかで柔軟な頬に触れながら。

 

「はっ、………っ、くっ、ぁ……!」

 

 徐に昇ってくるグツグツと煮え滾った白濁が、今にも噴火しようとする。

 だが、彼女がまだ〝達していない〟状態で暴発するわけには………

 

 

「……出しなさい」

 

「ラム……」

 

 耳元で、彼女が囁く。

 

 

「──私を、孕ませて」

 

「ラム…………ッ!!!」

 

「──忘れさせて、くれるんでしょう?」

 

「ッッッ、ナカに出すぞ!! 孕め! 俺の子を産んでくれ、ラ、ム……、ッッ!!!!!」

 

「ぁ……♥♥」

 

 

 発射された溶岩は彼女のナカをこれでもかと汚し、白く染め上げ、彼のもので埋め尽くした。

 キュンキュンと物欲しそうに締め付ける彼女のマンコと、優しく包み込むような彼女のハグが青年を心身両方で離さない。

 ぎゅっと、忘れがたい何かを想うような手の締め付けがやけに大きく感じる。

 

 でも、それでも次第に力がなくなり、ついには解放された。

 

 

「………私、姉失格ね」

 

「───。」

 

 

 寂しそうに告げる彼女に俺はまだ返せる言葉を持たなかった。

 ラムにとってレムの姉であることがどれだけ大きなことだったかは、きっと一生掛かっても俺には理解できない。

 ──だが、俺にだって理解できることはある。

 

「ラム」

 

「………なに?」

 

「俺は、ラムをもう一度レムの姉にしてやることは、できない」

 

「………」

 

 でも、俺にできることはあるから。だから、

 

「………俺と俺の子の〝お母さん〟になってくれないか」

 

「───。それは………」

 

 

 ──それは、きっと。

 

 

 胸が締め付けられるように痛くて、でも、熱を持った涙が止めどなくて。

 

 

「──私を、お母さんにして。──貴女と、ラムの子の」

 

 

 決別と決壊は同時だった。

 

 

◆◇◆

 

 

「あぁッ♥♥ んぁああああああッ♥♥」

 

「ラムッ、ラムッ!」

 

 獣のような端正な嬌声と、獣の如く交わる性器。

 

「ん゛ッ、あ゛ッ、あ゛ぁあああっ♥♥」

 

 弾ける汗と無我夢中で振るう腰。

 もはやそこに理性はなく、思考はなく、ただあるのは唯一無二のパートナーと契る快感だけだった。

 

「もっと………♥♥ 壊れるまで、抱いて………ッ♥♥ ぜんぶどうでもなるくらいッ、ラムを〝愛して〟っ♥♥」

 

「愛してるッ! ずっと、ずっと、これまでも、これからもッ! 壊したくなるぐらいラムを愛してるッ」

 

 語彙力なんて吹っ飛んで、建前も真実も路傍に捨てて、ただ本音と本気と本能だけを吐き捨てる。

 言葉も、射精も、肉欲も、ついででしかない。

 ついででしかないのだ。

 ただ必要だったのは、他者に己のすべてを委ねる、依存のようでそうじゃない愛だけ。

 

「壊したいッ! 犯したい! ラムのぜんぶが欲しい!」

 

「はっ♥ はっ♥ はぁっ……♥♥ ………ぜんぶ、見て。ラムのぜんぶを受け入れてっ♥♥ 私のぜんぶ、貴方にあげるから♥♥ だから、私のものになって♥♥ ラムのものになって………!!♥♥」

 

「なるよ! なるから………! だから………! ──俺の子を、孕め! ラム!」

 

「キて………、ぁぁぁぁああああああ~~~~~ッッ!!!♥♥」

 

 ぷちゅり、と。

 奥の奥、そのまた奥まで彼のソレを受け入れる。

 赤ちゃんだけのその場所を、愛するオスに捧げる。

 それは、全幅の信頼と、全霊の愛慕の証だった。

 

「出すッ!! ラムッ!!」

 

「く、ぁ………♥♥ ぁあ………感じる、貴方の子種、私のなかで………♥♥」

 

 互いにすべてを出し切り、汗だくのままにベッドに沈む。 

 

 耐え難い睡魔を振り切って、彼は彼女を両腕に抱きしめ、胸元に引き入れる。

 潰れる乳房の心地よさに夢うつつになりながら、俺は精一杯の愛を囁いた。

 

 

「ラムが好きだ」

 

 

「────貴方が好きよ、セイリオス」

 

 

 生まれて、初めて、他者に受け入れられた。

 その安心を、安堵を抱えて、青年は母の袂で眠りについた。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

 これは世界が巻き戻る前の──

          ──ほんと小さな時のお噺。

 

 

 

 

 






 忙しい課題を乗り越えたことで最近多少時間ができています。
 この間にリクエストを消化しつつ、本編?を進められたらなと思います。
 頑張って書いていくんでこれからも何卒よろしゅう頼んます!
 
 あと! 評価の文字制限も面倒くさくて外したので、お好きな人は評価どーぞ! 低評価だろうがなんだろうがどんとこい! もう結構な間、評価8で書けたしリゼロ好きな人はまぁだいたい読んでもらえたでしょう! てなわけでよろしくねー! ありがとー!
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