前話、一部消滅しました! はは! やっちまったぜ!
気に入らなかったので路線変更!
書き直したので、ちょっと早めにど~ぞ
あ、ていうか前話見直した方がいいかもしれない。途中まで変わってなくて、後半の過去話を抹消しただけのでどこで分岐してるのかだけ。
お手数おかけしましてほんと申し訳ねぇです [´・ω・`]ゴメン
「どうして、どうしてどうしてどうして……ッ」
豪華なベッドの上、シーツでその身を包んだテンガは体育座りで自問を繰り返していた。
その様子は引き籠りか、あるいはホラー映画に怯える子供か。
テンガは呆然と手で自分の顔を覆い、思考の海に沈んでいた。
勃たなくなった。
どうして?
なんで勃たない。なんで。なんでだ。原因は? どうすれば治る。
本当に勃たないのか?
そんなはずない。何かの間違いだ。
そう思い込んで、息子に触れてみる。
しかし、返ってきたのはふにゃふにゃとした元気のない息子の……否、ふにゃちんの感触だった。
「なんで急にこんな……っ! 頑張れよ! やる気を出せ! お前はやればできる子のはずだろ!?」
そう意気込んでシゴいても反応は変わらない。
金玉を揉もうと、エロい妄想をしようと、レイプの妄想をしようと、これまでのセックスを思い出そうと、何一つ功を成さず。
──うぷっ
盛り上がってきたのは息子ではなく、居ても立っても居られぬ【吐き気】だった。
「おぶぇぇぇぇえ゛っ!!」
急いで洗面所へと移動して、胃の内容物を吐き出した。
ツンと鼻を刺す酸性臭が漂う。それを蛇口を最大まで捻って流した。
「はぁ…………はぁ…………」
気持ち悪い。
感じるのはただただ、胸焼けしそうな焦燥感だった。
……どうすれば治るんだ。一生治らない? 原因は……っなんで。何が起こってるんだ。まさか、一生治らないなんてことは…………っ。
恐ろしい想像が脳裏をよぎった。
俺はそんな現実、到底受け入れられない。
──死ねば、治るだろうか。
そんな愚鈍な安直な答えを出してしまうほどに。
「い、いや! 死にすぎたことが原因かもしれないだろ……!」
咄嗟に気づいて否定する最終手段。
そう、それは最終手段だ。
まだ他に方法があるはずだ。なんでもいい、何かないのか。……何も、思いつかない。きっと動揺してるんだ。疲れてるんだよきっと。知らない世界で命張って頑張ったんだ。……少しくらい、休んでも罰は当たらないはずだ。そうだろう?
「──。」
とにかく今は安静に、休んでいればきっと……!
そうに違いない──そう思い込むしかない。
苦しい。
「……一人は、もう嫌だよ」
気づけば、俺は眠りに落ちていた。
◆◇◆
ザァザァと、ノイズのような乱雑な雨音が脳を反響した。耳障りで、不快で、耳を掻き毟りたくなるような音。
だが、俺は耳を塞ぐことも屋内へ入ることもなかった。
「…………おかあさん……?」
背の縮んだ俺は一つの墓の前にいた。
そこには母親だったものが入っている。
死んだ。
ありふれた事故だった。
飲酒運転による交通事故。
あまりにありふれていて……あまりに唐突な別れだった。
俺は変わった。
それまでスケベなわんぱく小僧だった俺は見る影もなく。友達とも、女の子たちとも話さなくなり、唯一の肉親となった父親とも疎遠になった。
場面が変わった。
「……」
「お前ェ! オレの彼女に手ェ出したのか!? あぁ!?」
「や、やめてよ“りゅうくん”!」
俺は小学校の校舎裏で小学生にしては体格のいい子供に
小学校で悠々自適に暮らしていた俺は、一転して“いじめられっ子”となった。
原因はなんだったか……確か入学した直後に手を出した高学年の女の子との関係が、彼女の彼氏にバレたのだ。彼女にもう一度“行為”を求められていたが、“勃たない”俺は相手ができず適当に流していたら、バレてしまった。
俺はたくさん殴られた。でも、どうでもよかった。
痛みは感じなかった。
心がどこまでも乾ききっていたから。
また場面が変わった。
「……」
「……ご、ごめんね。私、上手くできなかったみたい……」
私が治してみせるからと言って、女の子に無理やり物陰に押し倒されてシても、勃たなかった。
場面が……
「こいつ“いーでぃー”なんだぜ! 男じゃねーの! ウケルよな!」
「ぷっ、そんなこと言ったら可哀そうだって~。まだ低学年のコなんでしょ?」
「はん、クソ女ったらし野郎が。学年中の女に唾つけてたんだぜ、自業自得だろ?」
「えー、さいてー!」
「……」
大人げないな。当たり前か、みんなまだ子供だ。……だからこそ残酷なんだろう。
俺はみんなの前でパンツを脱がされ、晒されていた。
俺の股間にぶらさがる、やる気のないぷらぷらを、クラスのみんなが見ていた。
見ている。見られている。感じる有象無象の視線。
彼らは笑っていただろうか、哀れんでいただろうか。わからない。だって俺は彼らの方を見ることが出来なかったから。
俺は、ただ俯いていた。顔を上げることなんて、できはしなかった。
そんな状況に俺が感じていたのは怒りか、羞恥か。いいや違う。
俺は……僕はただ…………。
──しにたい。
自分に絶望していた。
◆◇◆
目が覚めた。
「……ああ、そうだ。あの時も、勃たなくなったんだっけな……」
──思い出した。
夢の中ではもしかしたら、なんてことはなく。
……苦しい。
チンコの勃たない俺に、価値なんてない。
女の子を気持ちよくしてあげられない俺には、生きる価値がない。
今の俺は……誰にも必要とされない。
……苦しい。苦しい……。
苦しみが俺から生気を奪っていく。
胸に重しでも乗っかったように身体が重い。
起き上がる気力が湧かない。
「…………」
ベッドに寝っ転がったまま、寝返りを打ちシーツを引っ張る。
顔の辺りをシーツで覆い隠す。何も見えないように。
今は窓から差す光さえも鬱陶しかった。
鬱々とした気持ちが頭の中を占める。
「……違うだろ、違うって……そんなことない。エミリアは俺が勃つとか勃たないとか関係なく、愛して……」
──くれるだろうか? 本当に?
「……違う」
その声には力がなく。
「ああ、クソ……情けない」
それを聞く勇気もなく、ただ問題を先延ばしにするようにふて寝した。
時間が解決してくれることを祈って……。
「……誰か……俺を愛してくれよ……」
誰に向けて言ってるのかもわからない戯言を吐いて眠りに就いた。
◆◇◆
「体調を崩したって聞いたんだけど……大丈夫?」
エミリアが来てくれた。
嬉しい。嬉しくない。
ああ、嫌だ。
「どうしたの? 何か嫌なことあった? どうして急に具合悪くなっちゃったの?」
急に。そうだよね。急だ。急だよ。君からすれば、いいや、誰からしても急だ。
突然、ベッドから起き上がれなくなるなんて。普通ただのサボりだと思うだろう。でも、彼女はそうじゃない。
何か理由があるのだろう、原因があるのだろうと考えてくれる。寄り添ってくれる。優しくしてくれる。
彼女の優しい声を、俺はベッドとシーツに蹲りながら聞いていた。
「……な、なんでも。ないから。大丈夫だから、いやぁぁ……ちょっとだけ、なんか……うん……」
ああ、声が震える。何怖がってんだ。ハキハキ喋れよ。おい。
お前元気だろうが。
病気でも何でもないだろ? 喋れって、ほら……頼むから。
「……そう」
彼女は俺の返答に何か察したように一言返した。
「……ハーフエルフの私といるの、嫌になっちゃった?」
彼女は言った。
そんな有り得ない答えを。
──違うッ!!
そう、言えたらよかった。
「……ううん、ごめんなさい。変なこと言っちゃって」
俺が返答に躊躇っている間に彼女は言葉を撤回した。弱弱しい声音で。
否定しろって。ちゃんと、好きだって。ちゃんと、ちゃんと……。
「ご飯、ここに置いておくね。お腹がすいたら食べて。……それじゃ」
エミリアがそう言い残して部屋を去った。
「………………あ」
俺がそう声を発したのは、彼女が扉を出てからかなり経ってからだった。
何やってんだ、俺は。
本格的に、胸が苦しくなってきた。
◆◇◆
ガチャ
誰かが入ってきた。
誰だろう。誰でもいい……誰にも会いたくない。
怠惰な心根が、人を拒絶する。
被るシーツに現実逃避。
「……お食事、食べてないんですね」
横になるテンガの背後、ベッドの脇から声がかかる。
──レムだった。
「レムが作った食事は食べられませんか」
続けてレムは問う。その声は抑揚がなく、冷たくも温かくもなかった。事務的、あるいは無関心だろうか。
そうだろうな。レムは俺を嫌ってる。それは初めて会った時からわかってた。
彼女は俺を嫌ってる。俺は嫌われている。
今回の俺と彼女には同僚という関係値すらなく、ただの他人だ。
彼女と話すことは、何もない。
……このまま寝たふりをして……
「質問にも答えられないんですか。起きていますよね」
「──っ」
重ねて問われる。寝たふりもどうやら通じていないようだ。
「い、いや…………」
咄嗟に声が出てしまう。
「やっぱり起きていましたね。どういうつもりですか」
あ、これ、カマかけられた奴だ。
なんでそんなことを……、黙って寝かせてくれればよかったのにっ。
「もう一度聞きます。レムが作った食事は食べられませんか?」
同じ問いがかけられる。それ、そんなに大事なのこと?
何回聞くんだよ。どうでもいいだろ、そんなこと。
……無言の圧がかかる。
居心地が悪い。気まずくて振り返れないし、目も合わせられない。それがどんどんと気まずさを増させている。
……答えれば、帰ってくれるだろうか。
「え……と…………」
ああ、やっぱりだめだ。声が張れない。ああ、嫌だっ。苦しい。一人にしてくれればいいのに……っ。
「……」
「……」
俺が黙っても、彼女は何も言いださなかった。
いなくなったわけではない。その存在感は確かにまだベッド横にある。
──待ってくれている。
俺が答えを返すのを待ってくれているのだ。
ああ…………なさけ、ない。
「………………そんなこと、ない……です……」
それから俺が返答したのは暫く後の事だった。
時間がかかりすぎて本当にいるのかちょっと疑わしかったが、
「そうですか」
返答は簡潔に、素早く帰ってきた。
そして、
「では──失礼します」
「え、えぇっ?」
突然。
俺の身を包んでいたシーツが払われる。
「横になったまま食べると体に悪いですから。それでは、どうぞ」
そう言って平然とスプーンを差し出してくる。
な、なな、何考えてるんですかねぇ、この美少女メイドさんは???
俺の理解を越えた行動をするレム。
こんなこと俺の知るレムはしない。
なんだ、なんでこんなことをする。
「え……? な、なんで……」
困惑と尽きない疑問に、俺は仏頂面の彼女に拙く理由を聞いた。
「食べられるのでしょう? なら、食べてください。ほら」
何を言っているのだろうこの子は。
え? 俺がおかしいのか?
これが異世界流、病人の対処法?
どゆこと?
「……」
差し出されるスプーンからはとても美味しそうな匂いがする。
当然だ。俺は今日何も食べてないのだから。
……なんだよ……
前回は殺そうとしてきたくせに、何故、今彼女は俺にこんなに優しくしてくれるのだろう。
何か、裏があるのか?
……ああ、嫌だ。こんなことを考えたいわけじゃないのに。
人の優しさを素直に受け取ることが出来ないほどに、俺は今心が擦れている。
「………………あーん」
とても、とても遠慮がちな“あーん”だった。
ぐぎゅるるるるる………………
「はむ…………」
空腹には勝てなかったよ。どうして腹は減るのだろう。何も食べずにいられたなら死ねただろうに。
舌の上に乗る木製のスプーンの感触。口内に滴る温かいスープ。それが喉を通って、空っぽだった胃を満たしていく。
「……おいしい」
普通に美味しかった。舌がピリっとすることもない、って、何疑ってんだ。毒なんてあるわけないだろ。ない、よな? いやでも…………こんなに優しいのはやっぱりおかしい、よな。
お伺い立てるように、黙々とスープを口へ運んでくれる彼女の顔を見るも、やはり変化はない。いや、ほんの少し頬が赤いか?
……あーんが恥ずかしかったのかな。
……そういえば、俺も最初の食事会でエミリアとベアトリスにしたな。もしかしてそれを真似してくれたのか……?
でも、なんでそこまでしてくれるのだろう。
わからない。
やっぱり毒なのか?
食べるほどに蓄積するタイプの毒か? そうなのか?
「はむ……」
「…………」
「はむ……」
「…………」
「…………ごちそうさまでした」
何もなかった。
「お粗末様でした」
レムは食べ終わった食器を片付けながら言った。
美味しかったな。温かい食事だった。つまり、朝にエミリアたんがもってきてくれたものとは違う、新しく作った料理だ。レムが作ってくれたのだろう。
……朝食はやっぱりダメになってしまったのだろうか。
それは、申し訳ないことをしてしまった。
本当に、ただの優しさで優しくしてくれたのだろうか?
どうして?
食事中ずっと思っていた累積した疑問がついに口を突いて出た。
「どうして、優しくしてくれたの?」
「……苦しんでいる人に厳しくするほど、レムは人でなしではありません」
彼女はそう端的に応えた。
……ああ。
その時、心に沸いた感情をなんと呼べばいいのだろう。
「そっか……」
──ありがとう、レム。
ただ想いの丈が溢れ出した。
「……。」
彼女はそれに、何とも言えない表情をした。
今は彼女の顔が見れる。目を合わせられる。……不思議だ。
「すごく元気もらった。…………あと、ごめんね」
その謝罪は、何に対してのものだったか。自分でもよく分からなかった。疑ったことか、迷惑を掛けたことか、それとも……。
なんでもいい。ただ、謝りたかったのだ。許して欲しかった。
自己満足の謝罪だ。
「仕事時間を削って相手をしたのですから、元気になってもらわなければ困ります。……明日はお仕事できそうですか?」
可愛い女の子にそんなこと言われたら、頑張らないわけにはいかないじゃないか。
「──はい、頑張ります」
その声は、今日一ハキハキしていたと思う。我ながら現金というか。違うな。チョロいんだ。ちょろインならぬちょローってか。わけわかんねぇな。
「無理しないでくださいね。失礼します」
「……」
最後にそう言い残して、レムは部屋を去った。
残された俺は、再び布団にもぐることはなく。
ただ、布団のないベッドにあぐらをかいて独り言を呟いた。
「ははっ……ツンデレっていうか……もう、なんか……ふふっ……かわいいっ」
自然にこぼれた笑みとともに。
◆◇◆
コンコン
文字を書く練習をしていたら戸を叩く音がした。
すぐ返事をしようとしたのだが、その前に扉が開いた。
そして現れた桃色のメイドが一言言った。
「初日から仮病とは肝が据わってるわね、新人」
初っ端から厳しい一言である。
取り合えず誤解を解いておく。
「いや、仮病ではないです」
「言い訳は聞かないわ。目の前の光景が真実でしょ?」
俺の弁解をラムはばっさりと切り落とした。
弁解の余地なしってか! 姉様ほんと姉様!
「お仕事サボって文字の勉強は流石に勤勉が過ぎるって。具合が悪かったんです、いやほんとに」
「半日で良くなる体調不良ね。どんなものか聞いてみたいわね」
さもありなん。
“勃起不全”という名の男の子病です。
いやそれについては未だに治ってないんだけど。
……心の方はちょっとだけ楽になった。
疲れた心を癒すのは女の子の献身だね。うん。
「むしろ肝が据わってないから休んだまである」
「はっ、どちらにせよ、根性のないことだわ。女々しい」
ぐっ、心の刺さる毒舌だ。
ラムは話しながら流れるようにベッドの端に紅茶を片手に座った。何しに来たんだアンタ。サボりに来たんかワレ。
サクサク進んでいた勉強を邪魔された俺が冗談めかしておのれぇ~、と念を送っていると、彼女はそれに気にした様子もなく言った。
「何が原因かは知らないけど、はやく復帰してちょうだい。じゃないとラムの仕事が減らないわ」
図々しいというか、ふてぶてしいというか。何とも言いかねる言い草だった。
まぁ、それがラムらしいとも言えるだろう。
「はは……仰せのままに……」
割と色々疲れていた俺は適当に返事を返した。
「本当に元気がないのね」
すると、返ってきたのは驚いたような、心配するような言葉だった。
あーたのせいで疲れてるんですけどねぇ?
「何があったの。聞かせてみなさい」
え。
「いや、でも」
「いいから」
「いや」
「話しなさい」
有無を言わさぬ圧だった。
仕方なしに、俺は言葉を変えながら話すことにした。
姉様には逆らえない。
……いや、その実、俺は聞いて欲しかったのかもしれない。
もしかしたら彼女ならなんとかできるかもしれない、そんな期待があったから。
「……実は、俺の生きがい?だった大切なものを突然失って……何というか、自信を失ったというか……」
※彼はチンコの話をしています。
ちょっと抽象的すぎるか……。
でも本当の事そのまま話すわけにもいかないしなぁ。
「そう、大事なものを失ってどうしていいかわからなくなったってこと。ふん、それで選ぶのが部屋に引き籠ることだなんて発想が貧困ね。子供だわ」
そんな抽象的な言葉を彼女は汲み取って返してくれた。
子供、か。言い得て妙。というかその通りかもしれない。
今の俺は子供同然、いっそ子供以下だ。
※彼はチンチンの話をしています。
「親を見失った迷子の子供みたい」
「───」
しかし、そんなふざけた思考は、続く言葉で真っ白に吹き飛んだ。
「……どうしたの?」
いきなり呆然自失した俺を心配するようにラムが聞いてくる。
どうしよう。言うべきだろうか。いやでも、不幸話なんて聞かせるものじゃ……。
「テンガ」
こちらを見る彼女の目は、真剣そのものだった。
「……俺、母親を亡くしてるんです。俺がまだ小さいころに」
「……」
彼女になら、言ってもいいと思えた。
……聞いて欲しかった。
「迷子の子供って聞いて、その通りだと思った。俺、今まで母さんの言う通り生きてきたんです。『いい子でいなさい』『女の子には優しくしてあげなさい』『男なんだから泣かないの』って、そうしたら母さんが笑ってくれたから」
「……」
それが正しいことだと思った。だって女の子にモテるし、お母さんは笑ってくれるし、いい子でいれば幼稚園の先生も褒めてくれるし。いい事尽くめだった
だから喧嘩なんかしなかった。喧嘩するぐらいなら俺は身を引いた。
困っている人がいれば助けるし、男同士の喧嘩も仲裁した。そのとき殴られても、髪を引っ張られても、俺は暴力を振るわなかったし、抵抗しなかった。
それが“優しい人間”であると思っていた。
実際、クラスの女の子にはよく優しいって言われていた。
でも、
「でも、母さんがいなくなってから、俺はそれがホントに正しいことなのかわからなくなった。だって、俺はいい子でいたのに……母さんは死んだ」
「……」
頑張っても、報われないことを知った。
当たり前の事だ。当たり前の事。
こんなこと言われてもやっぱり困るよな。
「……私も、小さい時に両親を失ったわ」
しかし、返ってきたのは意外な言葉だった。
姉様の、両親が……?
「え……?」
「でも、ラムは今生きてるわ。不幸でも苦でもない。そのことに罪悪感を抱くこともない」
罪悪感。彼女はそう言った。
それは、俺が罪悪感を抱いてると言いたいのだろうか。
誰に?
「私はラムとレムを産んでくれた両親と鬼族としての生き方を犠牲にして今生きられてるわ。そのことに感謝はしても後悔なんてしない」
鬼族としての、生き方。
「生き方なんて無数にあるものよ。……でも、私はただ一つの道を選んだ。ラムはレムの姉様でいることを選んだ。だから後悔はない。だって、私にはレムがいるもの」
そう言って微笑むラム。
そこには過去の境遇による影は一切なくて、とても立派な姿だった。
かっこいい……。
男の俺より男らしいと思った。
どうしたら姉様みたいになれるだろうと思った。
「あなたにはいないの?」
そう問われて、すぐに頭の中に浮かんだのは純真無垢な一人の少女の顔だった。
「……いる。もっと一緒にいて、たくさん色んなことをしてあげたい子が、いる」
彼女の為にできること。してあげたいこと。一緒にシたいこと。挙げればキリがないほどある。
それは、男の威厳が一個失われたくらいで、なくなるものじゃない。
「そう、なら頑張りなさい。男の子でしょ」
それは安堵と激励を孕んだ微笑みだった。
「うん……ありがとう、ラム」
「何のことかしら、私はただ話を聞いただけよ。それじゃ、紅茶もなくなったことだしラムはいくわね」
彼女はベッドから立ち上がり、食器を片付けてドアへと向かった。
その彼女の背中に俺は感謝と敬愛を込めて伝えた。
「ラム、おやすみ」
「ええ」
彼女は簡素に、目元だけを緩ませて答えた。
それを最後に、扉は閉じた。
女の子と書いて、ヒロインと読む。
ちなみにさいてー!とか言ってた高学年貧乳黒髪ツーサイドアップのメスガキは、無事二年生テンガのメス奴隷になりました。やるね!
ちょっと勘が戻ってきたぞぉ!
執筆低迷期脱却だァ!
その時その時に、一番いいと思ったもの書き上げて投稿してるので、よっぽどダメな日の投稿は今回みたいに修正することがあります。
ちなみに、この修正で一万字くらい無駄になりました。まる。
ま、消えたところの話は他でいい感じに使おうと思うので、見れた方は隠れミッキーでも見つけたと思ってよろしくお願いしやす。