◆◇◆
「う……? あっ♡ なにが……お腹、くるし……うぐっ」
違和感に力めば、ぶびゅぶびゅと汚らしい音を立てて腹に収まっていたザーメンが放出される。
「うぅ……なんて量なんだ……」
それでも逆流には逆らえず、そのまま吐き出した。
どれくらい意識を失っていたのか。
気づけば男はおらず、ベッドの上には自分しかいなかった。
「彼は、どこに」
「ん、起きたか?」
「っ」
その声に意識は覚醒し、その声の方へとばっと振り向いた。
「んじゃ、本番するか」
「ほ、本番って……まさか」
「まさかじゃねぇだろ、お前の処女を貰う」
「ッ…………そうだね。私も、君のモノが欲しい……だから、これを外してはくれないか?」
そう言って両手を縛る鎖を翳した。
「……理由は?」
「こんなんじゃ、私は君にまったく奉仕できないじゃないか。それに、初めてが縛られた状態で無理やりなんて、そんなの寂しいじゃないか」
「……。いいぞ、外してやる」
「っ、そうかい? ありがとう!」
パチン、クピドが軽く指を鳴らせば瞬く間に跡形もなく鎖は砕け散った。
次の瞬間、正面に火球が迫った。
「……そんなこったろうと思ったよッ」
「『オミノス・ヒューマ』ッ!」
「効かねぇよ、権能のかかってないただの魔法なんざ、痛くも痒くも──」
「──『シトラス・ミーニャ』」
業火球も氷壁も容易く打ち砕いたクピドに陰魔法による紫杭が突き刺さる。
途端にクピドの身体は紫の結晶と化して砕け散──らない。
バリン、という音と共に結晶の中から無傷のクピドが出てくる。
「だから無駄だっての」
「ッなら、これでどうだ! ──『コスモス・ジワルド』!」
「『陽剣』擬きか? ──うん、ま、乳が揺れて眼福ではあるな。悪くない」
「っ、『サタナス・フー──ぐッ」
「無駄な抵抗できて満足か?」
目にも止まらぬ素早い動きでクピドの手がエキドナの首にかかった。
そのまま持ち上げられ、苦し気に呻くエキドナ。
──その状態で、彼女はクピドを蹴った。
意味はない。無駄な抵抗。クピドはその程度の蹴りを意に介さない。
しかし、クピドの手は止まった。
「…………」
「……っ……っ」
エキドナが、泣いていたから。
「……まるで呪いだな」
ぼそって呟いた言葉はエキドナには届かない。
エキドナは少し緩められた手に、言葉を発した。
「私はっ、私の初めてはっ──彼のモノだッ!」
「………」
「君なんかにあげるものじゃないッ! そんなことになるくらいならっ、それならっ、ボクは──っ」
「───そうか」
エキドナのオドが集約するのを確認して、クピドはその手を離した。
「………そんなに嫌なら、いい」
「…………っ?」
「悪かった」
「え、あ」
バサっと毛布がかけられ、エキドナはその場に解放された。
そのまま放置され、クピドは背を向ける。
それ以上、クピドは何も手を出すことなく、部屋を去った。
残されたエキドナは理解できない行動に呆然として…………最後に見た顔が、頭から離れなかった。
まるで、捨てられた犬みたいな悲し気な顔をしたクピドの顔が──。
◆◇◆
「なんだい、デリカシーのないケダモノのあんたが珍しく傷ついてるのかい」
「……そんなんじゃねぇ。初恋ってのは難儀だなって思っただけだ」
「……はぁ、それはお互い様さね。性欲でしか自分を表現できず、満たせない性獣。それがどうだい、今は一丁前に頭を使って考えてるじゃないか」
「……お前は本当にイイ女だな。日を経るごとにそう思う」
「あんたは日を経るごとに性欲が増してってるようだけどね、ふぅ……あの子の愛し方がわからないかい?」
「……わからない。わからない。全然、まったくわからねぇ……」
「あんたらしくもない。あたしも、ダフネも、カーミラだって堕としたあんたが今更何を怖気づいてるんだい」
「わからないんだ。あいつが泣いてるのを見ると、頭が働かなくなって、どうしようもなく喉元を掻き毟りたくなる。むかむかする。胸がざわつく。泣かせたくねぇ、って、そう思っちまう。まったく、俺らしくもねぇよな」
「はん、あんたはただ怖がってるだけさ。弱虫だね」
「……あ?」
「はぁ……拒絶されるのを怖がってる。嫌われたくないって思ってる。傷つけたくないって思ってる。あんたは今初めて、自分の欲だけじゃなく他人の想いにも気を遣おうとしてるのさ」
「……この俺が、強欲のクピドが。てめぇの欲を疑ってるってか?」
「あんたのソレが何か、だいたい想像はつくさね。大方『女を幸せにする』とかそんなとこだろう?」
「……ああ、そうさ。俺は女を幸せにするためにここにいる。生きている。まだ、死なないでいる」
「……」
「今まで何度も、何人も、何回も、女を犯してきた。犯罪者だろうと、大罪人だろうと、女なら俺が幸せにする。不幸な女も、ぼっちの女も、不細工だろうと、病んでいようが子供を産めなかろうが、犯して幸福にしてやる。それが、俺にできる『贖罪』だ」
「……それで?」
「犯せば、幸せにしてやれるって思ってた。いいや、今でも思ってる。俺が唯一の男として全員まとめて幸せにしてやることが最良だと思ってる。……思ってるはずなんだ」
「はぁ、わからなくなったのかい」
「違う。違う……違う……。俺は、女を幸せにするクピド。不幸な女なんて許さない、泣いてる女なんて許さない、全員幸せにしてやらなきゃ気が済まない。俺が全員幸せにする。誰だろうと魔女だろうと……俺が……」
背中から、ぎゅっと抱きしめて、セクメトは言う。
「──あんたの思う通りにすればいいさ」
「……セクメト?」
「迷ってるなんてあんたらしくない、そうだろう?」
「……だが」
「はぁ、──いいから!!」
「──ッ」
それこそ、セクメトらしくもない、大声だった。
「……ふぅ、あの子のとこに行ってやりな……あの子はまだ戸惑ってるだけなんだ。変わることを恐れてるだけなんだよ。理想が崩れるのを恐れてるんだ。変わってしまったあんたを受け入れられない。それはあの子の弱ささね。でも、あんたならそれも含めて受け入れてあげられる。あたしはそう信じてる」
「セクメト……お前、ほんと、びっくりするぐらいいい女……いや、最高の女だ。──ありがとう」
「ほら、無駄口叩いてないで行ってきな」
「──任せろ、俺は俺のやりたいようにやる。過去も未来も俺の知ったことじゃない。今、あいつの傍にいてやりたい。あいつが欲しい。……あいつが笑ってるところが見たい」
「それでいいさね。──いってらっしゃい」
「はっ、行ってくる。明日はとことん犯してやる」
「ふぅ……余計なお世話さね」
「言ってろ。じゃ、またあとでな」
「……」
◆◇◆
「エキドナ!」
「……やはりねっ来ると思ったよ。私を油断させようとしたんだろうが、そうはいかな──」
「悪いがそういうのはもういい」
「はっ?」
「お前が誰を想ってるとか、約束とか、お前の気持ちとか、ぜんぶどうでもいい。俺はお前が好きだ。だからお前を犯したい」
「ケダモノめっ、君とするくらいなら、私は死を選ぶッ」
「死ぬな。俺にお前を犯させろ」
「ッ、とうとう会話もできなくなったのかい? 私が君に身体を許すことはない」
「じゃあ、なんで後ろではさせてくれたんだ?」
「っ、それは、魔法が封じられていたから仕方なくに決まってるだろっ。君を油断させるための演技だ」
「演技で後ろのヴァージン捧げるほどお前は軽い女じゃない。それはお前の執着からもわかる。それでもお前は後ろを差し出した、それは」
「何度も後ろだのなんだの言うなっ! 忘れろ!」
「いいや忘れない。絶対に忘れない。もう何も忘れない。お前をずっと覚えている」
「っ、だからっ、そういう言葉を──でたらめな嘘を吐くな!」
「嘘じゃない。お前が好きだ。お前を犯したい。お前に俺の子供を産んで欲しい」
「君はッ、彼の生まれ変わりなんかじゃない! 私が愛しているのは、君じゃない!」
「ッ、じゃあッ! お前の想い人はいったいどこにいるってんだよ! どこにもいねぇだろうが!」
「っ、まだ、そのときじゃないだけだッ」
「それはいつだ!? どんだけ先だ! いつまで待ってるつもりだ!」
「ずっとさ! この世界が消えてなくなるまで! 私の想いは消えてなんてなくならない! いつまでも彼を待ってる!」
「いつまで待ってるだけのつもりだ! 欲しいなら自分で探しに行けよ! 強欲の魔女!」
「探しに行ってる! 私は万全を尽くしてる!」
「それで見つからないんだったら、そんな奴いやしねぇんだ──」
「──うるさいッ! 彼は、ぜったい、来てくれるっ、私を迎えに来てくれるっ」
「……そうやって自分に言い聞かせてるだけだろ。──四百年、待ったんだろ? ずっと、一人で、あの場所で、死んでも待ってたんだろ? もう、いいじゃねぇか。──もう、お前は幸せになってもいいはずだ!」
「──っ、なにを、そんなのっ……そんなの私は求めていないっ! 私が求めてるのは彼との、再会でっ」
「強欲の魔女が聞いてあきれる。自分の欲も見えなくなってやがる」
「知ったような口を利くなッ!」
怒りに呼応して不可視の魔法が飛び交う。
「図星突かれて怒ってんのか?」
「うるさい、うるさい、うるさいッ! 私の心に踏み入るなッ!」
「──踏み入るよ。好きな女のことだ。デリカシーなんざクソくらえだ。お前のぜんぶ知って、受け止めて、その上でお前を俺のモノにする。それが俺の強欲だ」
「っ…………君は、どうして、君は、そうなんだ」
「あ?」
「君がっ、君が本当に彼の生まれ変わりだったのなら! どうしてそんな風になったって言うんだ!?」
「───。」
「何を間違えた!? どうしてそうなった! 私の何がいけなかった!? 私の魔法が失敗したからなのか!? 君の転生に失敗した? わかってた! わかってたさ! 生まれ変わったら! ──記憶も、想いも、何もない! ただの抜け殻! まったくの別人だ! 迎えに来てくれる彼が、約束なんて覚えていないことなんてわかってた! 彼とは見た目も性格も違うことだってわかってた!」
「ああ」
「それ、でもっ……私は認めない。君を認めないっ、だって……だって彼は……ボクを好きじゃなかった……彼が選んだのは、彼女だった……だから、だからっ……ボクを好きだと宣う君は、『彼』じゃない」
「……」
クピドがエキドナを好きだから。クピドは彼でありえない。そんな悲しい理由で彼女は彼を拒絶する。
「──だから、私は絶対に君をみとめなっ──!?」
「……そんな悲しいこと言うなよ」
エキドナの纏う膨大なマナが静まり返る。
一瞬のうちにクピドがエキドナを抱き留め、自身の身体を鎖として魔法を封じる。
「──っ放せ」
「好きだ。俺はお前が好きだよ」
「っ」
「彼女ってのが誰だか知らねぇが、お前を選ばないなんて見る目のない奴だよ」
「彼を悪く言うなっ、彼は……彼も彼女もひどくお人好しで……私みたいな魔女とも対等に接して、気にかけて、助けてくれたんだっ、彼女は私よりも遥かに綺麗で本当にお似合いでっ」
「助けてくれた、か。今のお前を見て、そいつがお前を助けてやれたとは思えねぇな。そいつは、お前を助けてそのまま放置したクソ野郎だ」
「後から現れただけの、何も知らない君にはわからはずもない! 分かって欲しいとも思わない!」
「何度でも言ってやる。そんな奴より俺を選べ、エキドナ」
「減らず口をっ、はなせ……っ」
「強情だな。だが、それでいい。お前がどんだけ否定しても、拒絶しても、俺はお前を諦めないし、必ずお前をものにする。必ずだ」
「……っどうして、どうしてそこまで……!」
「言っただろ。ああ、何度だって言ってやる! お前が好きだ! お前と一緒に居たい! どうしてかなんて聞かれたってそれ以上の理由なんてありはしねぇ! 一目惚れだ! 好きになった! だから犯したい! 孕ませたい! 至極単純だろうが!」
「そんな汚らわしい下衆な我欲を受け入れるはずがない! そんな強欲を私は認めない! 私は、私の強欲を断ち切って、約定を果たす! すべては彼に会う為に!」
「……本っ当に、強欲の魔女が聞いて呆れる。お前のどこが強欲だ。純情一途め」
「っ」
「じゃあ俺の強欲とお前の忍耐、どっちが強いか甲乙つけようじゃねぇか」
「勝手なことをっ」
「お前が勝ったらもう二度と迫らないって約束する。それでどうだ?」
「……条件は」
「今夜中にお前が『挿れてくれ』って頼んだら俺の勝ち、今夜中お前が耐えられたらお前の勝ちだ」
「……」
「今夜だけ。それもお前がいいって言うまで処女には手を出さない。それ以外でお前を攻める」
「……契約を結べ。そうしたら……今夜だけ君のものになってやる」
「──上等。俺はクピド、狙った獲物は絶対逃がさねぇ」
両者が睨み合い。
最後の舞台が幕を開けた。
◆◇◆
妄想力が足りてねぇね!
物足りないなァ、加筆して欲しいなァ、ってエロ回があったら教えておくんなまし! なお、加筆されるのはエロ部分だけです
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強姦魔転生
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異世界行ったら即リョナる
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かたわれ時の青
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はじめて
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即落ち2コマ!
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青空の下で