第四次忍界大戦終了後。
ナルトとヒナタが結ばれてから、少しあと。
二人が結婚する前のこと。
ヒナタに忍者としての任務が依頼される。
ヒナタが受けたのは潜入任務。
潜入先はとある闇組織。
今、シュテン党と名乗る闇組織が各地にて勢力を伸ばし、世界中から問題視されていた。
シュテン党が使うのはアメとムチ。
シュテン党によるムチは暴力。
そして、アメとなるのは女人による性接待である。
娼婦として自らの手がかかった女性たちを各地に派遣することで、シュテン党は権力の中枢や裏社会に根を張り続け、現在もその勢力を伸ばしている。
さらにシュテン党の娼婦たちはスパイとして世界中の機密情報に触れ、シュテン党が使用できる脅しの材料を次々に調達していた。
恐るべき速度でその毒牙を研いでいったシュテン党は、各里が対策に乗り出す前に、致命的にまで勢力を伸ばしてしまっている。
(こんなこと……絶対に許せない……)
シュテン党が娼婦を調達する方法を聞いて、怒るヒナタ。
シュテン党が問題視されているのは機密情報の入手に加えて、娼婦の調達方法にもあった。
シュテン党は各地にて評判の美女を誘拐すると、瞳術を使い洗脳をおこない、さらには娼婦として都合のいいように肉体改造をおこなっている。
そうして、美女たちを己にとって都合のいいコマとして利用することで、シュテン党は勢力を伸ばした。
「ヒナタ、任務を受けてくれるか?」
「はい……」
危険が伴う潜入任務であった。
並大抵の忍者ではシュテン党によって逆に洗脳され、その後には二重スパイとして利用されてしまう。
そこで、白羽の矢が立ったのが日向一族のヒナタだ。
白眼を持ち、さらに人間観察力に優れるヒナタなら、謎に包まれているシュテン党の本拠地の情報を持ち帰ってくれる。
むしろ、現段階で潜入任務を達成可能なのは、ヒナタしかいないという結論だった。
「無理するなってばよ……」
「うん……ありがとう!」
任務に赴く当日、ヒナタは最愛の人と言葉を交わす。
過去に片思いをしていた男の子、そして今は両思いになり、すぐ先の未来で夫になる予定のナルトに見送られながら、ヒナタは任務につく。
危険を伴う任務のため、少しでも違和感を感じたら潜入先を離脱し、ヒナタはすぐさま木の葉の里に帰還していいと言われている。
貴重な白眼という能力の持ち主であるヒナタをシュテン党に洗脳される訳にはいかない。
それに、ヒナタはナルトとの結婚を控えている。
ヒナタの身を案じての、任務の決まり事であった。
「あんたが日向ヒナタか?」
「はい……」
そして、里を出た森の中で、ヒナタは木の葉の里が任務のために用意した黒髪の男と合流する。
彼は、ヒナタとシュテン党を仲介する人物。
キジョウと名乗る男は、人を人と思わぬ冷えきった赤い目つきでヒナタを見つめていた。
金を受け取れば何でもする。
それが無音のキジョウという男。
彼の無音という異名の由来は、キジョウが敵の組織に潜入するのに便利な音を消す忍術の使い手であるから。
そして、キジョウは敵対したものを皆殺しにし、いつもキジョウの周りが無音に包み込まれるため。
「よろしくお願いします……」
「こっちだ」
ヒナタの挨拶を無視すると、キジョウはシュテン党が根を張る街の一つに案内を始める。
無言でキジョウの後を追い、森を駆けるヒナタ。
すでに、ヒナタは警戒を最大限にまで高めている。
単独任務。
目の前を走るキジョウという男も、ヒナタは信用することはできない。
(ナルト君……私……絶対に……無事に帰るからね……)
ナルトへの愛を胸の中で確かめながら、ヒナタは任務の達成を誓う。
こうして、ナルトとの結婚を控えたヒナタの単独潜入任務が始まった。