「ここが、シュテン党のアジトのひとつだ」
「ここが……」
キジョウに案内されてヒナタがやってきたのは、歓楽街の中の一角であった。
ピンク色の看板が悩ましく光る店舗。
キジョウのあとを歩き、ヒナタは風俗店の一つに入っていく。
「実はな、ひとつ手違いがあってな」
「なんでしょう?」
無人の店内を歩きながら、キジョウが口を開く。
何か異常があった場合、ヒナタはすぐに木の葉の里に帰還することになっている。
何があっても対応できるように、ヒナタは警戒を最大にした。
「ほう……こいつが新人か……」
ヒナタがキジョウに案内された先に、白髪の若い男が立っていた。
シュテン党の秘密裏に経営している娼館の支配人。
蛇眼一族の催眠眼使い。
狂言のクゲツ。
クゲツの黒い瞳に見つめられると、ヒナタの意識が濁った。
白眼を使う間もなく、ヒナタはクゲツの瞳術の影響下に入る。
「木の葉の里よりこいつらに多く金を積まれてな。裏切ることになった」
悪びれることもなく、キジョウがヒナタにそう告げる。
しかし、すでにヒナタの意識はない。
うつろな瞳で目の前を見つめ続けて、ヒナタはその場に立っているだけ。
「日向一族のヒナタか。上玉だな……」
瞳術により動けなくなったヒナタを、品定めするようにクゲツが観察している。
クゲツが経営するのは、シュテン党のコマとして各里の要人に送り込むための高級娼婦を育成する機関。
その高級娼婦の一人にするべく、白眼という稀な能力を持ち、さらには絶世の美貌を持つヒナタが選ばれた。
とある大名からの依頼である。
強大な権力を持つ大名とコネクションを作るべく、シュテン党は日向ヒナタを娼婦へと改造する計画を開始する。
ヒナタに依頼された今回の潜入任務そのものが罠であった。
ヒナタに依頼をした木の葉の里の幹部も、実はシュテン党の影響下にある。
すでに、シュテン党は木の葉の里の中枢にまで勢力を伸ばしていた。
日向ヒナタをシュテン党の高級娼婦として洗脳することが、偽物の依頼の真の目的。
「さて、よろしく頼む」
クゲツの合図を聞いて、科学者たちが意識の濁ったヒナタを運んでいく。
これから、ヒナタは高級娼婦としてふさわしいように、肉体に改造されることになる。
肉体の感度をあげられ、セックスが好きになり、自ら喜んで誰とでも腰を振る淑女へと生まれ変わるように。
しかし、安物の娼婦のように、心は改造しない。
改造するのは肉体だけ。
心に関しては、ヒナタ自身が望んで服従するように、これから娼館の支配人であるクゲツがゆっくりと調教していくことになる。
強い心と絶世の美貌を持ちつつも、シュテン党に服従し、自ら喜んで股を開く。
それが、シュテン党における高級娼婦の条件であった。
「さて、日向ヒナタを高級娼婦に変貌させる計画を開始するか……」
無事に日向ヒナタを捕えたクゲツは、葉巻を吸い一息つく。
こうして、ヒナタはシュテン党に捕えられた。
日向ヒナタを娼婦へと変える調教が始まる。