※この作品はR-18です。

ガールズバンドを愛でる   作:柳芽帆奈

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チェンソーマンコラボと聞いて急いで書きました。


番外編①『公安所属のハルキくん』

「んん……」

 

 ある時、俺は奇妙な夢を見た。夢とわかってはいるものの、頬をつねったらちゃんと痛さを感じるなど、感覚がやけに現実に近い、奇妙な夢である。そんな世界で、俺は布団から抜け出し、朝の用意を始める。まさに『いつも通り』の日常である。

 

「……ん?」

 

 しかし、そんな朝にどこか違和感を感じていた。赤い月と青い月が昇ってるわけでもないし、人はいつも通り街をせわしなく行きかっている。突然ご飯の味がまずくなったとかそういう事もなかった。ただなんとなく、しかし重大な問題が潜んでいる気がしたのだ。

 

 ……まあ思いつめとってもしゃあない。テレビでも見ますか。

 

『……続いてのニュースです。また『悪魔』が現れました』

 

 ……?いま、なんと?俺の耳が腐ってなければ『悪魔』とかいう、真面目なニュースでは絶対に聞かなさそうな単語を拾った気がするんですが。

 

『昨日午後10時ごろ、愛知県名古屋市東区、JR大曽根駅近くで『悪魔』が出現しました。『悪魔』は駆け付けた警察に駆除されましたが、到着までの間に周辺の建物を次々に破壊し、死者・負傷者が多数報告されています……』

 

 うわ、マジか……しかも死人まで出てるなんてタダもんちゃうで……ちょっと調べてみるか。

 

 懐からスマホを取り出し、悪魔について調べてみる。サジェストには悪魔の文字とともに『なぜ出現』とか『損害補償』とかいう文字が出ていて、今いる世界での悪魔が現実的な存在であることが身にしみてわかる。

 

 そして、ここで分かったのが悪魔の出現条件。どうやらメロディに反応して出現するらしい。そのため、街からは音楽が消え、音楽系産業は軒並み壊滅状態に追い込まれているとか。緊急地震速報とかどないすんの?ただでさえ大地震起きてんのに全国規模で悪魔が出現したら日本は文字通り終わるで?と思ったが、そこら辺考えると後でめんどくさくなりそうなので止めておこう。

 

「はぁ、そろそろ学校行こう……」

 

 ハンガーにかかった制服に身を包み、学校に向かうべく街に繰り出す。音楽を失った街は見た目はいつも通りとは言えども、どこか人々の双眸は光を失っているように見える。

 

(はぁ、重いなぁ)

 

「きゃあああああっ!?」

 

 な、なんや!?

 

「あ、悪魔だ!みんな逃げろ!」

 

 突然聞こえた叫び声の方を振り向くと、そこにいたのはまさに異形。およそ人間とは思えない黒い体躯、飛び出した眼球、そして身体の至る所になにやら十字架のような……違う、ヘリコプターのローターやこれ。

 

 ていうか、こういう系の悪魔見たことがあるような……

 

「!?」

 

 ここで一つの仮説が浮かび上がった。この世界……『チェンソーマン』とよく似てないか?だとすればこの世界での悪魔の存在もうなづけるし、目の前にいる悪魔も『ヘリコプターの悪魔』と定義すれば合点が行く……音楽をきっかけとする出現条件や時間軸とかに細かな違いがあるものの、おおむねこの仮説で合ってるやろう。

 

 ……あれ、とすれば相当やばくないっすか?デビルハンターならまだしも俺はただの一般人。俺個人でどうにかできるもんやない……

 

「……?」

 

 逃げようとしたその時、なにかが脳内に流れ込んできた。それは情報だった。それもこの状況を打破できる『力』についての情報、そして『この世界』での俺の記憶の一部だった。

 

「ホンマかこれ……」

 

 あまりにも突飛な情報に、一瞬真偽を疑ったが、カバンに入った『公安手帳』を見てその情報に賭けてみることにした。

 

 ザッ……

 

「ぐあぁあ……」

 

 目の前にはヘリコプターの悪魔。普通なら「もう助からないゾ」判定されるこの場面だが、俺は……

 

 スッ……

 

 耳にヘッドホンをつけた。そして、スマホを操作して曲を再生する。

 

「頼むで、俺(イメージの悪魔)」

 

『~♪』

 

 流れてきたのは『英雄故事』。かの有名な香港映画「ポリス・ストー〇ー」の主題歌である。それを聞きながら悪魔と対峙する。

 

『憑自我 硬漢子 拼出一身癡』

 

「ホイァァァァァアアッ!」

 

 歌詞を口ずさみながら足を踏み出した瞬間、体に力がみなぎってきた。形容するならば体中に血がたぎるあの感覚……いかんせんいきなりすぎるけど、今はそんなこと言ってられへん。やるしかないのだ。「公安デビルハンター」の名に懸けて。

 

 ダッ!

 

 一気に距離を詰める。悪魔の腕が伸びてくるが、それを軽くよけ、そのまま顔面をぶん殴る。

 

 ボゴォンッ!

 

 拳が当たった瞬間、まるで爆発したかのような音とともに悪魔が吹っ飛ぶ。これが俺……『イメージの悪魔』の能力。音楽を依り代にすることで、その音楽が持つイメージを具現化する。この曲だと『アクションスター』のイメージを引き出している。

 

『生命作賭注 留下了英雄故事』

 

「おおぉおっ!」

 

「がぁぁぁああああぁあ!?」

 

 さらに追撃をかける。悪魔が立ち上がる前に街灯の柱で遠心力を付けた飛び蹴りをかまし、倒れたところに馬乗りになってマウントパンチを叩き込む。

 

「ぐるぁぁぁあああああああ!」

 

 だが、悪魔だってやられっぱなしではいてくれない。俺がローター攻撃をよけた隙を突いて反撃を仕掛ける。

 

 ブゥウン……

 

 悪魔の腕についたプロペラが回転を始める。そして……

 

 ブンッ! バキィイッ!!

 

 俺の右腕を吹き飛ばした。

 

「ぐうぅううっ!!」

 

 吹き飛ばされた衝撃で体が地面に叩きつけられる。それでもなお立ち上がろうとするが、ダメージが大きく膝をつく。右腕の断面からの出血も激しく、貧血状態に陥ってしまう。すると、悪魔が近づいてきて再びプロペラを回転させる。万事休すかこれ……

 

『憂患見骨氣 昂歩顧盼似醒獅!』

 

 しかし、口ずさんだ歌詞は俺を勇気づける。切り落とされた腕も断面の筋繊維がうにょうにょ動いたと思えば、たちどころに再生してキズ一つない元通りの腕に戻った。

 

 まだ戦える、なら戦おう、俺の心はらいおんハートや!

 

『衝前去 全部得失只有寸心知』

 

「はあぁあっ!」

 

 俺はまた走り出す。そして今度は悪魔の懐に入り込み、胴体に正拳突きをお見舞いする。

 

 ドゴッ!

 

「がはぁぁあっ!?」

 

 確かな手ごたえ。効いたようだ。

 

「ぐぉぉああぁぁあああっ!!!」

 

 そんな悪魔が咆哮を上げて四つん這いになると、今度は背中のプロペラが回り、黒い巨体が地面から離れ始めた。なるほど、飛ぶつもりか……

 

「させるかい!」

 

『跨歩上 雲上我要去寫』

 

 一度後ろに下がって助走をつけ、一気に足を踏み出して跳躍する。そして……

 

「はあぁあっ!」

 

 空中で悪魔の頭に飛び乗った。人知を超えた悪魔の力を使えば、十数mも上に移動している物体に飛び乗ることなどお安い御用である。そして、悪魔は頭に急に重量がのっかったことによって体勢を崩し始めた。それを見た俺はそこから更にジャンプし、悪魔より高く飛んで、

 

『名字ィ!』

 

 渾身のかかと落としを脳天にくらわせた。これが決定打になって完全にコントロールを失ったヘリコプターの悪魔は猛スピードで地面に激突。黒い巨体は赤い血とグロい形をした無数の肉片になり果てた。よっしゃ、これでヘリコプターの悪魔、討伐かんry……あれ、待てよ。

 

「あ……ここ空中やったわ」

 

 俺の身体に翼などというものはない。作れんことはないが、今の自由落下のスピードでは間に合わん……!

 

「ノォォォォォォンッ!!」

 

 ヒュウゥゥ……

 

 俺は真っ逆さまに地上へと落ちていった。そのあとどうなったのかは覚えていない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きて……起きなさい……」

 

 な、なんか聞こえる……ものすごい聞き覚えのある声や。

 

「……んんっ」

 

「目が覚めましたか」

 

 俺の目の前にいたのは黒の上着とパンツスーツで身を固めた三つ編みの女性。一瞬誰だと考えたが、特徴的なアイスグリーンの髪色と凛とした声には覚えがあった。

 

「お前……紗夜か?」

 

「上司に向かってお前とは何ですか」パシッ

 

 いたッ……何で叩かれたんや。それに上司て……ん、そういやこの世界は『チェンソーマン』の世界と類似してる。そして俺は一応公安対魔特異7課……通称『G.D.S』所属。となると、この紗夜は……ま、ま、マキマポジ!?それやったらやばいやん!支配されてまう!支配されて一生犬扱いされるんや!?

 

「ハルキ、なぜそんなに顔をこわばらせてるの?」

 

「あなたが怖いからです」

 

 バキィッ!

 

「痛ァ!?」

 

「誰が怖くて、なんでしょうか?言ってみてください」

 

「す、すみません……でも今のはビンタじゃなくてグーパンチだったような気がするんすが」

 

「気のせいでしょう」

 

 いや絶対嘘やろ……だって目から光消えてるやん。

 

「まあいいわ……とにかく」

 

 そう言葉を濁すとマキm……やなかった、紗夜……う~ん、元の世界の紗夜と紛らわしいからサヨでええか。そのサヨが予想外の行動をとる。

 

 ギュッ……

 

「無事で帰ってきてくれてよかった……」

 

 なんと、俺のことを抱きしめてきたのだ。

 

「ちょっ、どないしたんやいきなり!?」

 

「心配だったのよ……あなたがどんなに強い力を持っていても、悪魔との戦闘は命の危険を伴うものだって……私と同じ悪魔のあなたなら痛いほどわかっているでしょう?」

 

 ちょ、ちょまま!この人マキマポジやんな!?マキマさんはなぁ、そんな恋する乙女みたいなゆるい表情なんて見せへんし、そんな本心から心配する台詞なんて言わないし、やることなすことがチェンソーマンへの拗らせクソデカ感情で動かないかんのや!

 

 ……あれ、しかも『私と同じ悪魔』って言ったやんな?ほな、サヨには支配の悪魔の力が……?

 

「本当はあなたに戦ってほしくないの……不死属性があるとはいえ、好きな人が傷ついて帰ってくるのは嫌なの……」

 

「は……はいぃ!?」

 

「だからハルキ、約束しなさい。これからも、私のそばでずっと生き続けると……これは命令よ」

 

 アカン……もう俺の脳内処理能力の限界を超えてもうた……!マキマポジのサヨが、元の世界同様にここまでデレているとは思わなかった。こんな展開は予想外すぎる。

 

「……なんか、すまんな」

 

「謝らないで……お願いだから」

 

「わかった。約束する」

 

 俺はサヨの頭を優しく撫でた。

 

「ふふ……ありがとう」

 

 そして、彼女は幸せそうな笑みを浮かべた。

 

「さて、そろそろ帰るわよ。傷も大丈夫そうね」

 

 見ると、体の至る所にあったはずの傷はすでに治っていた。流石悪魔の力、恐るべしやな。

 

「分かった……んしょっと」

 

 こうして俺は、サヨと一緒に職場に戻ることになった。




紗夜マキマ、かっこいいね。僕ァ、140連もひいちゃったよ……
というわけで、今回はチェンソーマンコラボの世界に春希くんを入れてみました。ちなみに、世界観はまあまあ原作に寄せてて、G.D.Sは公安扱いですし、それぞれキャラに対応する悪魔の力をつけてます。音楽で悪魔が出現するのはコラボオリジナルの設定から取ってきてます。
以下、春希の能力解説。
『イメージの悪魔』
能力使用者が持つイメージを具現化する能力。発動にはイメージを媒介する『依り代』が必要で、春希は音楽を依り代としている。これを使用することで、アクション映画の曲を聴けばアクションスターの身体能力を使えるし、仮面ライダーの曲を聴けば仮面ライダーにも変身できる。ただし、発動には確固としたイメージが必要なため、歌詞を完璧に覚えるか、演奏できる程度に曲を理解しなければならない。さらに、ヘッドホンを使う特性上、聴覚がほぼ遮断される。そして、発動後は発動した時間と同じ時間のクールタイムを必要とし、この間は能力が発動できない。
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