~sideこころ~
ふんふ~ん、今日はバンドの練習がないから暇ね!それでも足は自然にCiRCLEに向かっていくわ。当然じゃない!何か笑顔になれることはないかしら……あっ!
「あっ、春希じゃない!何してるのかしら?」
「ん、こころか。今機材の調整をしてんねん」
春希の手元には何か横長で、円盤が二つくっついてる機械があったわ。これ知ってるわ、ミッシェルが使ってるDJコントローラーっていう機械ね!
「そ。俺の私物で、今度久しぶりに使うからさ。どっか壊れてたら大変やから点検しとんねん」
久しぶり?
「もしかして、春希もバンドをするの!?」
「あっ、そうかまだ言うてへんかったな……そう。俺と仲間でバンドを組んでて、ここでライブをすんねん。よかったらこころも見に行くか?」
「面白そうじゃない!行きたいわ!」
「おっけー、ほな日付教えとくわ」
日付を教えてもらってあたしはCiRCLEを後にしたわ!楽しみね!
「あら?弦巻さんですか。今日は一人なんですね」
「紗夜!聞いてちょうだい!とっても笑顔になれる知らせよ!」
「え、笑顔に……?」
~side紗夜~
5月のある日、私の姿はCiRCLEにあった。いつもならRoseliaの練習か、自主練に明け暮れているが、今日に限っては違う。今日は観客としてCiRCLEにやってきた。私だけではない。湊さん、戸山さん……35人が勢ぞろいしてこのCiRCLEにやってきた。
「はい!みんな!ドリンクお待ちどうさま!」
「ありがとうございます、まりなさん」
「すごいね~もしかして、みんなUnlimited!のライブ見に来たの?」
「Unlimited!……それが春希さんの所属するバンドの名前なんですか?」
「そうそう!最近結成したらしくてね、今日が初ライブなんだって」
春希さん、いつの間にバンドなんて組んでたのね……まりなさんにもらったフライヤーにはバンドメンバーのシルエットが描かれて……ちょっと待って、シルエット多すぎない?
「これ、9人ぐらいいるよね?」
「なんかねー、『常識を超える』バンドを作りたいから人数増やしまくったんだって。目標はバンド版超〇塾だって」
なんでしょう、もうこの時点でカオスになる予感しかしないのですが……
「さっ、もうライブ始まるからいってらっしゃい!」
「まりなさんもこう言ってることだし、イキましょう、紗夜」
「湊さん、そのイキはまずいです」
「皆さん初めましてぇ!俺達……」
「「「「「「「「「Unlimitedでございまぁす!」」」」」」」」」
『ワ~!』
ギターを持った男性の一声で始まった春希さんが所属するUnlimitedの初ライブ。ひぃ、ふぅ、みぃ……あれ、8人だけ?フライヤーには9人いるはず。しかも、外国人っぽい人や私の学校で見覚えのある人も……
「まずはメンバー紹介から!」
「第一ギター!今橋敬之だ!よろしくぅ!」
「押忍!第二ギター!玉造さらさです!」
「ベース!伏見晃!お米最高!」
やっぱり!この三人花咲川の生徒じゃない!しかも今橋さんはうちのクラスよ!確かに春希さんとは仲が良さそうだったけど……
「ど、ドラム……徳井ソラ……」
「キーボード!谷町要っす!」
「谷町……?」
あら、弦巻さんが何か顎に手を当ててるわね。何か心当たりがあるのかしら。
「DJやってます城見春希でさぁ!名前ぐらいは覚えてってな!」
春希さんが出てきたわね。DJ機材を持っているところを見ると、彼がMC担当なのかしら。
「はぁいエブリワン!ムキムキオネェ担当、DJの法円坂ケイよぉ!」
なんですかあの人は!?見た目完全にシャルモンのおっさんじゃない!
「ええっ!?法円坂ケイ!?」
「今井さん、知っているのですか!?」
「うん。法円坂ケイ。本名は法円坂圭一。その屈強な見た目や力に反して女子力が半端じゃなく、特にスイーツに関しては右に出る者はいないともいわれる腕前。昔アタシと料理対決したことがあったんだけど、その時は完敗だった……あの時の悔しさは一生忘れられないよ」
い、今井さんを上回る料理力!?中身まで厳之介だなんて……
「羽丘では男子からも女子からも慕われていて、簡単に言えば薫の双璧的な存在だね」
た、確かに瀬田さんは男役っぽくてスレンダーな体形なのに対して、法円坂さんはマッチョ体形のオネエ……双璧と呼ばれるだけはあるわね。
「道修ラーヒズヤ、ボーカル兼シタールやってま~す」
「ラーヒズヤって長いやろ?俺達は『ラーヒ』って呼んでるからそう呼んだったげてや!」
今度は外国の人ですね、シタール……ということはインド系の方でしょうか?
「よし!それでは最後はボーカル……と行きたいところだけど、あいつ遅刻してるからな……ちょっとま」バァンっ!
!?な、何!?
「あっ、来た来た!」
「ふぃ〜ごめんごめん〜」
なんと後ろの扉が勢いよく開き、ママチャリを漕ぎながらライブ衣装を着た一人の女性が入って来ました。
大事な事なのでもう一度言います、ママチャリで入って来ました。
……CiRCLEのステージって地下よね?まりなさん、泡吹いて倒れてないかしら……
「そこのけそこのけ瑠理香が通る~♪」
そして、彼女は袖に自転車を止めて空いていたステージの中央に向かってきました。まさか、彼女がボーカル?
「どーもー、ボーカル担当の難波瑠理香でーす」
「んでしょう、このどこか掴みにくい雰囲気……どことなく青葉さんと似てるわね。
「じゃあ始めます?」
「それじゃあさっそく一曲目いきます!『誰だ!』」
今橋さんのギターソロから曲が始まります。結構激しい音色ね……しかも『誰だ!』って……
「湊さん……これ」
「ええ。電気〇ルーヴね」
よりにもよって初ライブの一曲目で電気グルー〇を出すとは……これには湊さんも冷や汗です。
瑠理香「日に思うすべてコレでイイじゃん
日々のたりのたりコレでイイじゃん
日々の生活はコレでイイじゃん
もう食べれん もう食べれん
もう食べれん もう食べれん
もう食べれん」
ええっ!?歌ってるの難波さんよね!?なのに聞こえてるのは完全に男性の声……一体彼女のどこからそんな声が!?そんなこんなで戸惑っていると、サビに入っていきます。
「誰だ! 悪さをしてるのは
誰だ!悪戯してるのは
誰だ!火遊びしてるのは
誰だ!誰だ! 誰だ!
誰だ!いかさましてるのは
誰だ!横取りしてるのは
誰だ!誰だ!誰だ!誰だ!
誰だ────────!」
あの人女性よね?実は男の娘でしたとかないわよね?(困惑)
晃「夜中にゴミを出してるのは誰だ!」
ラーヒ「賽銭泥棒をしてるヤツは誰だ!」
瑠理香「自転車のスポークにボールを挟んでいるヤツは誰だ!」
春希「大事な事を黙っているヤツは誰だ!」
ソラ「年齢を偽ってるヤツは誰だ!」
さらさ「エロ本を切り抜いているヤツは誰だ!」
敬之「ペアルックを着てるヤツは誰だ!」
ケイ「そのツラ構えで女を連れてるヤツはー……」
「「「「「「「「「誰だ!」」」」」」」」」
「楽しいわね!紗夜!」
「え、ええ。そうですね」
そろそろ大サビに入ってくる頃よね。とても嫌な予感がするわ……
「誰だ!呪いをかけるのは誰だ!俺を操るのは誰だ!誰だ!誰だ!誰だ!」
「いったい俺は、誰なんだぁぁぁぁぁぁ!」
チュドォォォォン……
やっぱり大爆発!まりなさんが死ぬわよ!?
「あーもう滅茶苦茶だよ」
「日菜も大概よ?」
お久しぶりの投稿でございます。
今回は春希くんをバンドに加入させるお話でした。最初は普通のバンドに入れる予定やったんですが、普通のバンドじゃ面白くないと思った結果、人数も属性もてんこ盛りなバンドに……