前編
多分次で終わりたい
──────アブシンス、という酒がある。アブサン、と言った方が通りが良いだろうか。ニガヨモギなどのハーブをベースに作られた薬草系のリキュールだ。
ゴッホ・・・・・・・わたしの記憶でも、愛飲していた覚えのある好みのお酒だ。しかし、
アブサンは、ゴッホにとって破滅の酒であることを──────
某日夜、カルデアにて────
わたしは、カルデアで仲良くなったサーヴァントの方々・・・・・・・ホクサイや楊貴妃様、XX様達と饗宴に興じていた。饗宴だけに。・・・・・・・ゴッホジョーク。まあそれは置いといて。わたしは見た目こそ少女だけど、アビーちゃんと違ってアダルティなゴッホなので、当然お酒が飲める。今宵は、各々で好きなお酒を持ち合おうという催しだったのでどうせならと、
のだが。
「いや〜こりゃきっつい。おれぁどうにも苦手だナァ・・・・・・・いや、案外クセになるかァ・・・・・・・?」
とはホクサイの談。
「あたしも、ちょっと苦手かなー・・・・・・・匂いが・・・・・・・」
とは楊貴妃様の談。
「私は結構好きですよ?エナドリみたいで。・・・・・・・あ、でもエナドリって考えるとちょっと気分が・・・・・・・」
とはXX様の談。
・・・・・・・ここからわかる通り、どうにもアブサンは微妙な評価で、自分でほとんど飲んだのだった。・・・・・・・良いお酒なのに。・・・・・・・まあ、ホクサイの持ってきたニホンのお酒や楊貴妃様の持ってきた唐?のお酒はアブサンとは違った味わいだった。これを飲む文化圏ならアブサンが口に合わないのも道理だろう。・・・・・・・XX様の持ってきたお酒に関しては、考えないことにする。・・・・・・・よく考えるとXX様に関しては味よりも別のとこが引っかかったのかもしれない。
閑話休題。折角用意したアブサンは結局全部わたしが飲んでしまった。───一───これが、わたしの失敗だった。
数時間後。饗宴もそろそろ終わるか、という頃になりそれぞれの部屋に戻ることになった。
「おいおいごっほサン、大丈夫かい?随分とふらついてるじゃねぇか」
「あの、ゴッホちゃん・・・・・・・良ければ、送りましょうか・・・・・・・?」
「エヘヘ、大丈夫れすよぉ・・・・・・・それより、XXしゃまの方が・・・・・・・」
わたしは完全に酔っ払っていて、呂律が回らない状態だった。上手く思考が纏まらない。飲み過ぎたのだろうか。生前なら、このくらいなんともなかったのに。熱に浮かされたような頭で考える。
「・・・・・・・・・・・・・・」
XX様は完全に酔い潰れていて、完全に寝入っている状態だ。わたしより、彼女の方が問題だろう。
「うわ、酒くっせ・・・・・・・まぁ確かに、XXサンの方が重症だわナァ。楊貴妃サン、手伝ってくれるかい?」
「・・・・・・・しょうがないですねぇ。・・・・・・・ゴッホちゃん、気をつけてねー!」
「ひゃーい・・・・・・・」
彼女達に手を振りながらわたしはその場を離れて行った。
「うう、頭がクラクラしますぅ・・・・・・・」
フラフラ、フラフラと筆を杖代わりに自室までの道を戻る。正直言ってもう立ってられないくらい朦朧としてるけど、二人に言った手前帰らないと。
「あ、着きましたぁ〜」
しばらく歩いてると、見覚えのある扉に着く。そのまま部屋に入り、ベッドに倒れ込む。
「あれ、なんかあったかい・・・・・・・立香しゃまみたい・・・・・・・エヘヘ、まあいっかぁ・・・・・・・」
腕に暖かいものを感じながら、わたしの意識は沈んでいった。
「・・・・・・・・・・・・・・頭が痛いです・・・・・・・」
ガンガンと鳴り響く頭痛に意識を叩き起こされる。痛む頭を抑えながら目を開くと、そこはわたしの部屋ではなかった。
「・・・・・・・あれ、ここ立香様の部屋・・・・・・・」
そこは、立香様の部屋だった。どうやら酔っ払って彼女の部屋に間違って入ったらしい。
まあいつも立香様の部屋で寝ているしきっと立香様も許してくれるだろうと思ってると、ふと下腹部、いや下半身に違和感。
「・・・・・・・・・・・・・・?」
嫌な予感がして、布団をめくってみる。
「───────」
ベッドには、大きなシミが広がっていた。
アブサンは、
「・・・・・・・・・・・・・・ん」
今日もいつも通りに目が覚める。身体を起こして、ベッドから降りようとすると、視界に妙なものが写る。
「・・・・・・・なにしてんの、ゴッホちゃん」
そこには、土下座しているゴッホちゃんがいた。起き抜けに叩き込まれるよくわからない光景に、頭が真っ白になる。
「・・・・・・・・・・・・・・すみませんでした・・・・・・・・・・・・・・」
しばらくフリーズしていると、いきなり謝られる。
謝る前にそもそも昨日いなかったはずのゴッホちゃんがなんでいるのか、一体何を謝っているのか、色んな意味で余計に困惑する。とりあえず話を聞こうと身体を動かすと、シーツに違和感。
「・・・・・・・ん?」
布団めくってみると、そこには
「・・・・・・・うわ」
立派な日本地図が出来ていた。
数分後。
「・・・・・・・つまり、酔っ払って私の部屋に間違って入った挙句、寝てる間に漏らしちゃったと」
「・・・・・・・はい・・・・・・・酔っ払って就寝中の立香様の部屋に押し入り、おまけに漏らすなんてなんたる不敬・・・・・・・ウフフ、不敬罪で死刑・・・・・・・」
とりあえず服を着替え、椅子に座って彼女の話を聞く。纏めると、昨日お栄さん達と宴会をして飲み過ぎた、ということらしい。
「仮にもサーヴァントが、飲み過ぎたくらいで、そのお漏しするなんてないと思うんだけど・・・・・・・」
素朴な疑問が口から溢れる。
「ハウッ・・・・・・・その、ゴッホが飲んでいたのはアブシンスでして・・・・・・・」
「アブシンスっていうと・・・・・・・」
確か、ゴッホちゃんが好きなお酒。
薬草系のリキュール?だっけ。ええっと、アブサンとも言うんだったかな?・・・・・・・ヴィンセント・ヴァン・ゴッホが、狂ったとも言われている理由の一つ。
「はい、そのアブシンスです・・・・・・・」
「それが、どうして漏らすことに・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・アブシンスは、ゴッホの破滅した原因と伝えられるモノ。そのため、記憶と画才のみを引き継ぐわたしにも、逸話により多少なりとも効果を発揮するようなのです・・・・・・・
メイヴちゃんにとってのチーズ、みたいな感じかな。
「・・・・・・・その、立香様。今回の件は、どうお詫びすれば良いでしょうか・・・・・・・」
「・・・・・・・う〜ん・・・・・・・」
どうしようかな。正直ゴッホちゃんも反省しているだろうし、あまり厳しくしすぎるのもなぁ・・・・・・・
しばらく考えて、今回は初犯ということを考えてお咎め無しにすることにした。
「今回は許してあげる」
「・・・・・・・ほ、本当ですか⁉︎」
「ただし!アブサンは飲まないこと!飲むなら、私のいるとこで!次やったら許さないからね!」
「・・・・・・・はい・・・・・・・」
よし。釘も刺したし、これで大丈夫だろう。
その後、後始末をして食堂に向かう。
とりあえず、この場はこれで解決した。・・・・・・・はずだった。
立香様の部屋で、その・・・・・・・漏らしてしまうとは。恥ずかしい限りだ。はるか年下の彼女に後始末まで世話されてしまうとは。37年の記憶が、容赦なく羞恥の炎で顔を焼く。・・・・・・・・・・・・・・でも、羞恥の中に少し、蕩けるような妖しい感情があることに、わたしは気づかなかった。
数日後。
「・・・・・・・またか」
目覚めると、生温かい感触。
布団を捲ると、ゴッホちゃんがまた・・・・・・・おねしょをしていた。
ここ数日間、ずっとこんな調子だ。
「ゴッホちゃん、またなの・・・・・・・?」
とりあえず、ゴッホちゃんを起こして濡れた下着を取り替えたり、局部を拭いたりと後始末を行う。
「エヘヘ、すみません・・・・・・・つい、我慢出来なくて・・・・・・・」
言葉では反省しているようだが、彼女の顔は緩んでいる。
「もう、しょうがないなぁ・・・・・・・」
何度もおねしょをしているのに、私が特に咎めないのは理由がある。─────アブサンのせいだ。どうも、この前飲んだアブサンの影響がまだ抜けないらしい。それで、おねしょし続けているとか。そういう理由だと私も責めることが出来ない。
しかし、こうまで続くとさすがにちょっと疲れてくる。洗濯も大変だし。
うーん、どうしようか・・・・・・・・・・・・・・
次で終わらせたい
続きを書くなら
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カジノ敗北所有物(Wコヤンスカヤ)