こちらの不手際で納品する事が出来なくなってしまったので供養として投稿します。
前提:fgo本編が完結してぐだ子が日常に帰った世界
─────それは、暑い、暑い夏の日のこと。
セミが煩い夏の昼、自室でごろごろとだらけていると、ぴんぽーん、と気の抜けたインターホンの音が鳴り響いた。
宅配便かな、と思って一階に降りてモニターを見ると、日傘を持った女の人が写っていた。
上着を脱いだパンツスーツを着ているが、何故だろう、どことなく高貴な雰囲気を醸し出している。
会社員というよりかは貴族みたいだ。
顔は隠れてよく見えないが、ちらりと覗く顎のラインは綺麗で、一目で美人だとわかる。
お母さんの知り合いだろうか。
でもこんな…………貴族みたいな知り合いいたっけ?
しかも日傘からはみ出てる髪の色的に外国の人っぽいし。
私の家には場違いな気がするけど。
「えっと、どうされました?」
見知らぬ人なのでちょっと怪しいが、この暑い中で放置するのも頂けない。
用件だけでも聞いておこうとモニターの通話を繋ぐ。
『失礼。こちらは我がつ…………藤丸立香の家で間違いないでしょうか』
応答した途端、澄んだ綺麗な声で私の名前を呼ばれる。
「立香は私ですけど…………」
予想外の状況に私は虚を突かれ、思わずはい、と頷いてしまった。
もしかして、私の知り合いなのだろうか。
『それは良かった。それでは不躾なお願いになりますが…………部屋に上がっても良いでしょうか』
すると、澄んだ綺麗の声の主がどこかホッとした様な気配を見せると共に、変な提案をしてきた。
いきなり顔も見せずに部屋に上げてくれ、なんて文言に、もしかしてそっち系の勧誘だったのだろうかという疑問が脳を過ぎる。
しかし。
次の瞬間、あり得ないと頭の何処かが即座に否定した。
まるで、彼女の事を知っているかの様に。
同時に、インターホン越しに聞こえる彼女の声が、何処か震えていた事に気づく。
…………それに気づいてしまうと、関わらないという選択肢が頭の中から消える。
「…………良いですけど、ちょっと待って貰っても良いですか?」
だからなのか、客観的に怪しいとわかっているにも関わらず、私は彼女の提案に頷いてしまっていた。
『…………ええ、大丈夫です。いくらでも、待ちますので』
頷くと直ぐに返答が返って来て、後戻り出来なくなる。
だけど、これで良いという爽快感が胸に広がる。
「…………っと、いけない」
暑い炎天下の中で人を待たせているのだ。
爽快感に浸っている場合じゃない。
私は慌てて自室に向かい、適当なパーカーとショートパンツを掴み取る。
今日はごろごろ過ごす予定だったから、寝間着のタンクトップに短パンという、人に見せるにはちょっとだらしない格好だったのだ。
急いでパーカーを羽織ってショートパンツに履き替え、玄関に向かう。
「すいません、お待たせしました!」
そして、玄関を開けると。
「…………いいえ。むしろ早いくらいです、我が妻」
むわっとした暑い空気と共に、ものすごい聞き覚えのある呼び方が私の脳を揺さぶった。
「…………へ?」
もう聞くことは無いと思ってたその呼び方に、間抜けな声が漏れる。
私をその呼び方で呼ぶ人は、もういない筈なのに。
予想外の衝撃に油の切れた機械の様に顔を上げると、そこには。
「───また会えましたね、我が妻よ」
「…………モル、ガン?」
二度と会えないと思っていた、私の大好きな人の、モルガンがいた。
「えっと、モルガン…………2階が私の部屋だから…………先に上がってて貰っても良い?」
「わかりました、我が妻よ」
階段を登るモルガンを見送りながら、台所を見繕ってモルガン用の飲み物を探す。
最もそれは建前みたいなもので、本当は私の前に現れた彼女に対して追いつかない頭を整理するためというのが大きいのだが。
さっきは咄嗟にかつてカルデアにいた時の様に出来たが、正直頭の中は疑問や困惑で溢れかえっている。
「なんで、モルガンが…………」
ここにいるのだろう、
カルデアで、別れた筈なのに。
会いたくなかったって、言えば嘘になるけどさ。
結局良さげな飲み物は見つからなかったので冷蔵庫で冷やしていた麦茶をコップに注ぎながら、上にいる彼女について考える。
だけど、マスターでもなくなった私にわかる事は殆ど無かった。
私がわかるのは、あのモルガンはかつてカルデアにいたモルガンと同じだって事くらいだ。
短い会話だったけど、そこそこに長い付き合いだ、それくらいはわかる。
そして、それが本来ならあり得ない異常事態であるという事も。
スマホを取り出して、番号を打ち込む。
それはカルデアへのホットラインで、何かあった時の緊急連絡先だ。
何かあった時…………つまり、今が使い所というわけだ。
だけど。
「…………」
私は、発信ボタンを押せなかった。
ため息を吐きながら番号を消して、スマホを仕舞う。
本当なら、カルデアに連絡をするべきなんだろうけど。
多分それは、再びの別れを意味している。
その未来を考えるだけで、心が軋む。
望外の再会に湧く心は脆くなっていて、二度目の別離に耐える事は、出来そうになかった。
お盆にコップを乗せて、二階の私の部屋に向かう。
「む。少し遅かったですね、我が妻よ」
「あはは…………その、ちょっと考え事しちゃってて…………ごめんね、モルガン」
ドアを開けると、パンツスーツのモルガンが私を出迎える。
シンプルな格好だけど、モルガンの中から溢れ出るオーラが平凡な私の部屋と見事な出会い事故を起こしてる。
「ふむ…………言われてみれば、確かに。では、まずは何故私がここにいるのかという事の説明から始めましょうか」
そう言うと、モルガンが隣をポンポンと叩く。
もしかして、横に座れということだろうか。
お盆をテーブルに置き、モルガンの横に恐る恐る座ると。
「っ⁉︎」
腰に手を回され、抱き寄せられる。
モルガンの身体と密着して、甘い匂いや体温、柔らかい身体の感触が伝わってくる。
それに興奮して心臓が跳ね、鼓動が早まる。
鼓動に合わせて顔が熱くなり、思考が一瞬ショートする。
「…………何を驚く事が? 立香は我が妻なのですから、これくらい当然でしょう。カルデアでもよくやっていたではないですか」
「それはっ、そうだけど…………モルガンに会うの久しぶり、だから…………っ」
モルガンの言う通り、かつてのカルデアではこれくらいの事なら結構やっていた。
だけど、モルガンと一度別れた今の私にとってはこれくらいの事でも、刺激が強すぎた。
バクバクと心臓が五月蝿く、顔の熱が収まらなくなる。
「…………そうですね。ではその分を取り戻すためにもしばらくこうしていましょうか」
「〜〜〜っ!」
すると、私の顔を見て悪戯っぽい笑みをしたモルガンに更に密着する様抱き寄せられ、声にならない悲鳴が漏れる。
そのまま、鼓動が落ち着くまでモルガンに抱き締められた。
私が落ち着いた頃、モルガンが抱き寄せる手を緩める。
落ち着いたと言っても、それは鼓動だけで顔は熱いし頭は彼女の柔らかい感触やら甘い香りやらでぐちゃぐちゃになっているのだけど。
「…………少々からかいすぎましたね。久しぶりに我が妻に会ったものですから私も浮かれていました。では気を取り直して、本題に戻りましょうか」
本題? と頭の中で一瞬疑問符が浮かぶが、そういえばモルガンがここにいる理由を教えてくれるという事から今の事態になったのだと思い出す。
気持ち姿勢を直して準備をすると、モルガンが語り出した。
「まず私がいる理由ですが…………諸々をすっ飛ばすと、受肉しました」
「それって…………」
「はい。今の私はサーヴァントではありません。だから貴女という要石が無く、カルデアの魔力供給が無くとも存在が成立出来ています」
「つまり、これからもモルガンと一緒にいられるって事?」
モルガンの言葉を念押しする様に確認すると、彼女が意外だと言わんばかりにパチクリと目を瞬かせた。
「はい。それはそうですが…………意外ですね。貴女なら、受肉したと聞いたならカルデアに私の事を連絡してもおかしくないと思ってたのですが」
モルガンの言う通り、彼女の存在は間違いなく看過して良いものではなかった。
サーヴァントの受肉。
それはつまり、超人達がサーヴァントという存在に課せられる枷を外した事を意味するのだから。
だけど、そんな事はどうでも良かった。
私にとって、重要なのはそこじゃない。
「…………確かに、良くないとは思うけど…………それでも私は、モルガンと一緒にいたい」
そう。
私にとって重要なのは、モルガンとまた一緒に過ごせるという事だけなのだから。
もう別れるのは、嫌だ。
駄々を捏ねる子供の様に、彼女の服をそっと摘む。
「…………ええ、当然です。私も、もう離す気はありませんから」
すると、モルガンが頭を撫でて、私を抱き締める。
そのまましばらくモルガンに抱き締められていると。
「おっと、そういえば本題がまだでしたね」
「へ?」
モルガンの思わぬ発言に、間抜けな声が漏れる。
そういえば、まずはと言っていた様な。
つまり、受肉のあれこれは前座という訳で。
てっきり私はこれが本題だと思っていたため、勘違いで顔が赤くなる。
しかし。
「問います、立香。貴女は私の妻…………つまりこのこの女王、モルガンの妃…………ですよね?」
「…………どういう、こと?」
そんな浮かれた心は、モルガンの意味深な問いかけで萎んでしまった。
彼女の声は真剣で、ふざけてる様には見えなかった。
だからこそ、答えに詰まる。
妻であるかどうかだけならイエスだけど、わざわざ女王モルガンのと付けているとこが引っかかる。
「言葉通りです。私はまだ、私の国を作る事を諦めてはいません。例え力がかつての私より劣ろうとも…………受肉した以上、私は私のブリテンを作ります。だけど、私は貴女も諦める気はありません。だからここに来ました。貴女を迎えるために。言ったでしょう、貴女と野心、どちらも取りこぼさない法律を作ると」
モルガンの言葉はある意味では、この世界への敵対を宣言している様なものだった。
それは流石にモルガンでも受け入れられないと、胸の中に苦いものが走る。
しかし。
「ああ、安心してください。貴女が救った世界をどうこうするつもりはありません」
「…………そうなの?」
その心の動きを見抜いたかの様に、モルガンが補足を入れる。
「はい。そもそも今の私に、妖精國で行った様な事を可能にする力はありませんから。だから、待つ事にしました。私の力が、十分に蓄えられるまで。邪魔をするものが誰もいない、遥か彼方の未来まで」
「彼方の、未来…………」
「はい。何千年、何万年かかるかはわかりませんが…………幸い、待つのには慣れています」
なるほど、それなら確かにモルガンが世界を壊す事にはならない。
だってその頃には、モルガンの障害になる今の世界自体が消えているだろうから。
だけど、それは。
「そんなに生きられないよ、私…………」
避けられないモルガンとの別れを意味している。
何故なら私は、どこまで行ってもただの人間だからだ。
100年も経たない内に命の尽きる、小さい存在だ。
そんな私にとってモルガンの言葉は、近くにいるのに触れ合えない、ある種の断絶なようなものを感じてしまう。
それが寂しくて、胸がキュッと締まる様な錯覚を覚える。
「…………モル、ガン…………?」
すると、その心を包み込む様にモルガンが私を優しく抱き締める。
陛下の抱擁は暖かく、私が勝手に感じていた壁をすぐに溶かしてしまう。
代わりに陛下に包まれる様な感覚を覚え、寂しさが埋められていく。
「貴女が人の身である事など、先刻承知です。ですが言ったでしょう、我が妻。貴女を諦める気はないと。だから、用意しました。貴女と私だけの、二人きりの城を」
モルガンが抱擁を緩め、片手を空に向ける。
次の瞬間、モルガンの掌に巨大な城が浮かび上がった。
「これ、は…………?」
「いつかの夏のブリスティンを覚えていますか? それを基に、改良を重ねた新しいブリスティンです。貴女といつかの未来までのひとときを過ごすために建てた、隠世の城。それがこのブリスティン…………とてもすごいのを、建てたでしょう?」
その城は豪奢で、絢爛で、煌めいていた。
いつかの祭を思い出すその威容に圧倒され、何も喋れなくなる。
そしてこの城で、モルガンとずっと一緒に過ごせるのだと、望外の喜びに心が躍る。
だけど、何故だろうか。
嬉しい筈なのに、胸の奥がチクリと痛む。
「…………我が妻、どうかしましたか?」
それが表情に出ていたのだろうか。
モルガンが、怪訝そうな顔で私を見つめる。
「…………っ、ううん、なんでもないよ! モルガンのお城にびっくりしてただけ!」
慌てて誤魔化し、表情を取り繕う。
…………本当は、胸の痛みの理由なんてわかっている。
だけど、それを言う事は私には出来なかった。
言ってしまえば、モルガンに二度と会えなくなるかもしれないと思ってしまったから。
しかし。
「…………いたっ!」
「…………全く。私も甘く見られたものですね。夫たるもの、我が妻の事くらいわかります。大方、貴女の周りの事でしょう? 貴女は多くのものを抱えていますからね」
胸の中で棘を生やしていた痛みは、モルガンのデコピンで上書きされてしまった。
そう。
私が気にしていたのは、私の周囲の人達の事だ。
モルガンの事だ、もう用意は出来ているから今私を迎えに来たのだろう。
つまり。モルガンと一緒のあの城に行けば、きっと今生の別れになる。
それは良い。
だって私は、モルガンと一緒に添い遂げたいから。
だけど、彼らに何も言えないまま置き去りにするのは胸が痛む。
「良いでしょう。貴女の望む限りの繋がりを、特別にブリスティンに招待します」
だけど、その痛みは今、モルガンの言葉で完全に消え去った。
ちゃんとお別れが出来るのなら、私の中で悩む理由は無かった。
だって私は、モルガンのいない平和な世界で生きるより、モルガンと共にいたいのだから。
例えそれが、破滅の道だとしても。
「最も、すぐにというわけには行きませんが…………式の用意もありますしね」
「…………それでも嬉しいよ。ありがとう、モルガン」
「これくらいの事、女王として以前に夫として当然の事です」
モルガンに礼を言うと、事も無げな返事が返ってくる。
その姿に、別れの恐怖で彼女の事を見くびってしまっていたのだと痛感させられる。
だけど、もう大丈夫。
私はもう、彼女の掌の中だと教えて貰ったから。
気づけば、心の中は彼女と過ごせる未来への希望で埋まっていた。
「それでは立香、改めて問います。貴女は私の妻…………つまりこのこの女王、モルガンの妃…………ですよね?」
モルガンが、先程と同じ様に問いかける。
今度は、さっきの様に答えに詰まる事はなかった。
もう答えは、決まっているから。
「うん。私はモルガンの妻。これからも、ずっとずっと貴女に寄り添う…………モルガンの、伴侶だよ」
私の言葉に、モルガンが顔を綻ばせる。
「ああ…………とても、とても嬉しいです、我が妻よ。貴女さえいれば、幾万の歳月も、彩りに満ちた素晴らしいものになるでしょう」
まるで少女の様に笑うモルガンが、私を抱き締める。
私も彼女を抱き締めて、お互いの存在をその身でもって感じ合う。
まるで儀式の様な告白をしたからか、さっき抱きしめた時よりも、モルガンの鼓動や体温がはっきりと伝わってくる。
お互いが混ざり合う様な錯覚を覚え、意識が曖昧になっていく。
ただ、もっと彼女を感じていたいという気持ちだけを残して。
モルガンも同じ気持ちなのか、より身体が密着する。
甘い香りが鼻腔を擽り、柔らかい感触が全身に伝わる。
更に。
「んむ…………っ」
脳を揺さぶる、甘い味が走る。
モルガンが、私の唇を奪ったのだ。
だけど悪い気はせず、喜びだけが胸を埋める。
お互いに唇を触れさせながら、改めて理解する。
私は永遠に、モルガンの妻である、と。
長い、甘いキスが終わり、モルガンが唇を離す。
甘い味が消えた事に若干の名残惜しさを覚えるが、寂しさは無かった。
また、モルガンが愛してくれるとわかってるから。
「では行きましょうか、我が妻よ」
キスを終えたモルガンが立ち上がり、私に手を伸ばす。
彼女のエスコートに乗って立ち上がり、呼びかける。
「楽しもうね、ハネムーン」
私とモルガンの、新しい関係のスタートを。
「…………ええ。今度こそ、一緒に楽しみましょう、我が妻」
モルガンは一瞬目をパチクリさせていたが、すぐに笑みが溢れる。
どうやら私の意図は、伝わったらしい。
ずっと気になってんだよね、ブリスティンのスレ違い。
今度はちゃんと、ハネムーンだよ。
そう思いながらモルガンと手を繋ぎ、家を出る。
行く道に、不安は無かった。
モルガンに手を引かれて道を歩いていると、いきなり路地裏に連れ込まれる。
路地裏に人の気配は無く、この都会では珍しい…………いやあり得ない程の静寂に包まれる。
「どうしたの、モルガン?」
多分モルガンが人払いでもしたんだろうと思って聞いてみると、モルガンが懐から小瓶の様な何かを取り出す。
その蓋を開けると同時に、煙が瓶から溢れ出す。
しばらくして煙が晴れると、そこにはクラシックなデザインの車が鎮座していた。
それは素人の私が見てもわかるくらいに高級感を漂わせていて、何処となく小市民的な忌避感を覚える。
「…………これは?」
「私達のブリスティンまでの足です。徒歩では時間がかかりますからね。この様なものを使わずとも魔術を使えば辿り着けはするのですが…………何分、目立ちます。ハネムーンですもの、邪魔者はいない方が良いでしょう?」
「…………なるほど?」
モルガンに車について尋ねると、呼び出した理由を説明される。
聞きたかったのはどちらかと言えばこんな高級そうな車を何処で調達したのか、という疑問なのだがまあ良いか。
私にはあまり関係無いし、多分モルガンの事だから遺恨が付かない様なやり方で手に入れたんだろうし。
冷酷な人に見えて、意外と柔軟なのがモルガンという女王だ。
「では我が妻、こちらにどうぞ」
そう一人で納得していると、モルガンが助手席の扉を開き、私を招く。
招かれるままに車に乗り込み、ドアを閉めると共に、彼女がエンジンをかける。
エンジン音と共に、車が走り始めた。
車の中で聞いた話だと、私に会う前に今の魔術師のスタイルに倣って会社を建てたりして色々と稼いでいたらしい。
この車も、今向かってるブリスティンもその資産で作り上げたとか。
汎人類史の魔術師とは面倒なものですね、とはモルガンのコメントだ。
車にしばらく揺られていると、モルガンの作り上げたというブリスティンが見えてくる。
しかし、そこは城というよりかは、高級住宅街にある家といった趣だった。
モルガンの言葉との差異に首を捻っていると、車が止まる。
やはり何度見ても高級住宅街にある一軒家といった様相で、城には程遠い。
いやまあ私の家より大きいんだけども。
頭の中が疑問符で埋め尽くされる。
「我が妻?」
「あ、ごめん。今降りるよ」
モルガンに促されて車を降りると同時に、思考を打ち切る。
正直、モルガンと暮らせるなら何処でも良いと思っていたからだ。
特に落胆している訳でもない。
しかし。
「…………え?」
そんな私の考えは、家に入った瞬間打ち砕かれた。
何故なら。
「何、これ…………?」
家に入った私の視界に、かつてのハワトリアを思い出す様な夕暮れのビーチと、モルガンが私の家で見せたブリスティンそのものの威容を誇る、巨大な城が映ったからだ。
後ろを見ると、さっき入って来たはずの扉が地面に建っていた。
つまり、家の中に入ったのは確からしい。
普通の一軒家だと思っていたせいで、頭が混乱する。
だけど、一つだけ確かな事がある。
「…………すごいね、モルガン」
それはモルガンが、とてもすごいのを建てたという事実だった。
「…………ふふ。そうでしょう、我が妻。これが、貴女と私の為に作り上げた、隠世の城。貴女と過ごすための、新しいブリスティンです」
ぽつりと漏らした感想に、モルガンが顔を綻ばせる。
普段あまり感情を漏らさないモルガンのその笑顔に見惚れて、何も考えられなくなる。
その顔はまるであどけない少女の様で、このビーチに射す夕暮れの様に綺麗だった。
「さあ、行きましょう我が妻。私達のブリスティンへ」
モルガンに見惚れて呆けていると、勝手に扉が閉まった。
するとカチャリ、という鍵がかかる音と共に、扉の姿が薄くなる。
そして反応する間もなく、扉は幻の様に消えてしまう。
つまり、私がここから出る術は失われたという訳だ。
しかし、私の胸を満たすものは恐怖ではなく歓喜だった、
これで、ずっとモルガンと一緒。
彼女の掌から逃れる事は出来ないと改めて教えられ、心が躍る。
その歓びのままに差し出されたモルガンの手を取り、共に歩み出す。
不思議と輝く夕暮れの元で、2人の影がいつまでも伸びていた。
「あー、美味しかったー…………」
ブリスティンで早めの夕食を終えた後、モルガンと別れて私にあてがわれた部屋のベッドに沈み込む。
この空間は外の時間と連動している様で、陽はとっくに沈んで夜だ。
モルガンが用意したらしい料理はいつかのマスカットの様にとても美味しかった。
…………ただモルガンと一緒に食べさせあいっことかしてたから後半の味は覚えてないんだけど。
幸せな記憶を思い返しながら悶えていると、ふと時計が目に入る。
時計は私の気持ちに関係なく時を刻んでいて、針が進むにつれて、後回しにしていた事を思い出してしまう。
「…………どうしよう」
それは、夕食の時にモルガンに言われた事だった。
後で、私の部屋に来る様にと。
「私はモルガンの妻だから…………そういう事、だよね」
流石にこれを部屋で話すだけなんて思うほど、純粋じゃない。
カルデアならともかく、ここは私が望んで来たモルガンのお城なんだし。
それを思うと、ちょっと気分が憂鬱になる。
別にモルガンにそういう事を誘われたってのが憂鬱って訳じゃないんだけど。
自分の格好を見る。
モルガンの誘いに乗って着の身着のままで家を飛び出したからか、私の服装は随分とラフな格好になっていた。
汚れてるって訳じゃ勿論無いけど、少なくともこの場にはそぐわない格好だ。
ドレスコードがあったら蹴飛ばされてるんじゃないかな。
それに、下着だって普段使いのシンプルな奴だし…………いやだからと言ってここに相応しい勝負下着があるかと言ったら話は別なんだけど。
という訳で、ゴロゴロとベッドで悩みながら時間を浪費していると。
「…………ん?」
部屋に置かれた、クローゼットが目に入った。
「…………これで、大丈夫、だよね?」
鏡に自分を写しながら、じっくりと見つめる。
さっきシャワーを浴びて汗や汚れは落としたし、歯磨きもしたし、身体は綺麗なはず。
格好も、どうにかなったし。
それでも根が小市民の私にとっては不安で、何度も鏡を見直す。
モルガンがこれくらいで嫌いにならないとは思うけど、それはそれ、だ。
好きな人に会うなら、格好くらいは取り繕いたい。
いやこの格好も恥ずかしいと言えば恥ずかしいんだけども。
刻一刻と約束の時間が来る中、何度も見続けて漸く納得が行ったので部屋を出て、モルガンの…………女王の間に向かう。
緊張と、期待を抱えながら。
コンコン、とモルガンの部屋のドアを叩く。
どうぞ、と返事が返ってきたので扉を開ける。
「…………っ」
そこには、黒色のベビードールを着たモルガンが、豪奢な天蓋の付いたベッドに座っていた。
先程のパンツスーツ姿から解放されたモルガンの肢体は妖艶で、部屋の薄暗さと合わせて妖しい雰囲気を纏っていた。
それに呑まれ、思わず息が詰まる。
「貴女とこうやって過ごすのは初めてですね、我が妻」
「そう、だね…………」
モルガンに誘われるままにベッドに座り、お互いに向かい合う。
距離が近いせいか彼女の甘い香りが鼻腔を擽ってきて、変な気持ちになる。
「…………私の贈り物、よく似合っていますね。流石我が妻です」
モルガンが私の格好…………モルガンとお揃いのベビードールを褒めてくる。
そう。
部屋のクローゼットにあったのは、黒色のベビードールとショーツのセットだった(ご丁寧に、モルガンからのメッセージカードが付いていた)。
それを見て、ラフな格好のまま行くよりかはモルガンのプレゼントを着ていく方が場に相応しいと思い、着てきたものだ。
ショーツが紐だったり過激なデザインだったりでちょっと恥ずかしかったのだが、モルガンのお眼鏡には叶ったらしい。
「ありがとう、モルガン。モルガンも、似合ってるよ」
モルガンに褒められたおかげで嬉しさが恥ずかしさを上回って、ちょっと口が軽くなる。
モルガンのベビードール姿は実際よく似合っていて、女の私でも体の奥から劣情が込み上げてくる程のものだった。
「ふふ…………私と貴女に合うものを選んだつもりでしたが、貴女にそう言って貰えるなら選んだ甲斐がありました」
モルガンが微笑み、私を撫でる。
モルガンの手は暖かく、撫でられるだけでまるで犬の様に嬉しくなってくる。
そのまましばらく撫でられていると、モルガンがゆっくりと距離を縮め、腰に手を回してくる。
反射的に身体が強張るが、
「大丈夫です、私に身を委ねて…………」
モルガンの声で脳が歓び、身体の力が抜けていく。
ゆっくりと身体を押し倒され、ベッドに身体が沈み込んでいく。
そして。
「ん…………っ」
徐に顔を近づけたモルガンに、唇を塞がれた。
二度目のキス。
一度目と変わらない、柔らかい唇の感触と甘い味が伝わってくる。
だけど、それだけでは終わらない。
私に刻みつける様に、モルガンが唇を離してまた塞ぐ。
息つく暇も無く唇同士が何度も触れ合って、モルガンの香りと唇の味が絶え間なく流れ込んでくる。
モルガンの甘さに脳が酔い、もっと味わいたいと無意識に唇が開く。
すると、モルガンがそれに合わせてさっきよりも深く唇を塞がれる。
唇を唇で甘噛みされ、唾液が絡まり合って蕩ける様な甘さが脳を揺らす。
そして、私がモルガンとのキスで蕩け切った頃。
モルガンの舌が、蛇の様に口の中に入ってくる。
前座のキスで丁寧に解された私の口からは抵抗する力が抜けていて、モルガンのなすがままに口内を舐め回される。
唾液と唾液が更に濃く絡まって、淫らな水音が耳朶を叩く。
脳がそれに興奮して、モルガンとのキスの事しか考えられなくなる。
やがて口内を味わって満足したのか、モルガンの舌が蕩け切った私の舌を絡めとる。
柔らかいモルガンの舌に包まれる感覚は格別で、背筋にビリビリと電流の様な快楽が走る。
そのまま、時間の感覚も忘れる程にモルガンに唇を貪られた。
もうどれくらいモルガンと唾液を交換したかわからなくなった頃、唇が淫靡な水糸を引きながら静かに離れる。
「ぷは…………っ」
そして糸が切れた瞬間、碌に酸素を得られなかった事を脳が思い出したかの様に、呼吸が荒くなる。
だけど身体はまだモルガンを求めていて、荒い呼吸の中でもっと欲しいとねだる様にモルガンを見つめる。
「ああいけません我が妻よ…………その様な顔をされては、こちらも抑えが効かなくなってしまいます…………」
すると、モルガンが困った様な声で私を見つめてくる。
しかしその顔はむしろ笑っていて、羊を狩る狼の様な目をしていた。
でも、
意地悪な目つきで、私のお腹を指でなぞるだけ。
モルガンの冷たい指になぞられてゾクゾクと悪寒のような恍惚が走るが、さっきのキスには全然足りなかった。
つまり、モルガンにとってはねだるだけではまだ足りないらしい。
「いい、よ…………っ…………私も、もっと、モルガンがほし、い…………っ」
だから、キスで蕩けて上手く回らない舌で、狼に腹を見せる羊の様にモルガンを誘う。
すると、笑みを深めたモルガンが指を止め、私の身体に覆い被さる。
「ふふ…………我が妻がそこまで言うなら、私も行儀の良い振りはやめましょう…………せっかくの初夜です。今夜は寝かせません」
心を奪う妖艶な
「…………ぁ、ん……っ♡、ぁ…………っ♡」
モルガンが私のお腹を指でなぞる。
ゾクゾクとした快楽が走り、堪えきれなくなって何度目かわからない甘い声が漏れる。
視線をお腹に降ろす。
そこには、モルガンのお腹にあるのと同じ形をした刻印が刻まれつつあった。
モルガン曰くこれは私をここに留める為の措置、らしいのだが。
「モルガンっ、まだ、なの…………っ♡」
「ふふ…………焦らないでください、我が妻。もうすぐ終わりますから」
快感を高める作用もあるらしく、私は刻印を刻まれるだけで嬌声が漏れてしまう様になっていた。
紋様を刻まれるその快楽に耐えきれなくなって先を急かすが、モルガンは涼しい顔で受け流して私のお腹を指でなぞり続ける。
何度も、何度も。
なぞられる度に刻印がくっきりと濃くなっていき、快楽が強まっていく。
そして。
「…………っ、ぁ、ああっ♡♡♡」
刻印がこれ以上無いほどくっきりと濃くなった時、何かを流し込まれる様な感覚と共に快楽が弾けて絶頂した。
「頑張りましたね、我が妻。たいへん花丸です」
絶頂して脱力した私を見つめながら、モルガンが微笑む。
見ると、お腹にモルガンとそっくりの形をした赤色の刻印が刻まれていた。
指で擦っても当然消える事はなく、消えない印を刻まれたのだと実感する。
だけど、後悔は無かった。
だってこれは、モルガンとの永遠の契りの証なのだから。
「それでは、頑張った我が妻を労うとしましょう。夫たるもの、妻の望みには応えないといけませんからね。せっかくの初夜ですもの。何もかも忘れるくらい、私で埋め尽くしてあげます」
モルガンとの証を刻まれた歓びに浸っていると、口を少し三日月に歪めたモルガンがショーツの紐に手をかける。
あっさりと紐が解けると共に、ショーツがベッドに落ち、秘部が顕になる。
「ん、ぁ…………っ♡♡♡」
顕になった秘部をモルガンの指が撫でる。
感度を上げられたせいか、それだけでさっきなぞられた時よりも強い快楽が私を襲う。
「おや、口付けと刻印だけでもうここまで濡れているとは。我が妻はなんと淫なのでしょう」
モルガンの言う通り、秘部を撫でた指には私の愛液が纏わりついててらてらと光っていた。
私が乱れている事を見せつけられ、羞恥に顔が熱くなる。
「だって、モルガンのが、きもち、よくて…………っ♡♡♡…………でも、モルガン、だけだから…………っ♡♡♡」
だけどそれでモルガンに誤解されたら嫌だな、と思って誤解されない様アピールすると。
「…………我が妻は、私を乗せるのが上手ですね…………」
モルガンの目の色が変わり、私を横から抱く様な形でベッドに横になる。
顔を横に向けたら唇が触れ合ってしまいそうな程に身体が密着して、モルガンの甘い匂いと柔らかい感触が直に伝わってくる。
それに脳が参ってしまい、蕩けていると。
「っ、ぁ…………っ♡♡♡」
モルガンに鳴かされて少し乱れたベビードールの隙間を縫う様に、モルガンの指が胸に触れた。
興奮しているせいか、触れられただけで妙な刺激が脊髄に伝わり、甘い息が漏れる。
そのまま、モルガンの指が存在を馴染ませる様に胸の周りを撫で回す。
冷たい指に私の体温が移って、次第に境界が曖昧になっていく。
そして、モルガンの指が胸に十分馴染んだ頃。
「ふぁ、あっ♡♡♡」
モルガンの指が、頂点の突起…………乳首を優しく弾いた。
胸を撫で回されていた時とは比較にならない快楽が私を襲い、嬌声が溢れる。
「その調子です、我が妻…………存分に、私に溺れるといいでしょう」
モルガンがいつもと変わらない、しかし少し上擦った声を出して乳首を責め始めた。
まるで飴玉でも転がす様に指で挟まれ、丁寧に捏ねくり回される。
その度に快楽が伝わってきて、興奮で乳首が固くなっていく。
その瞬間を狙う様にまた、モルガンが乳首を弾く。
さっきよりも大きい快楽が伝わり、嬌声が更に大きくなる。
「もっと溺れてください、我が妻」
それを見たモルガンが、残った指で胸を丁寧に揉み始める。
優しいその手つきは、私に苦痛を与える事なく、快楽だけを胸の中に拡散させる。
胸中が快楽に包まれ、モルガンの手と一体になった様な錯覚を覚える。
すると。
「まだ足りません。もっとです」
「へ? …………あ、あぁっ⁉︎♡♡♡」
モルガンのそんな言葉と共に、いつの間にか下に伸びていたモルガンの指に陰核を優しく撫でられた。
高まった感度で増幅されているのか、撫でられただけにも関わらず強烈な快楽が私を貫き、堪える事ができず甲高い嬌声が漏れてしまう。
それだけでは当然終わらず、モルガンが執拗に陰核を撫で回す。
やがて陰核が勃起して表皮が捲れるが、モルガンの責めは止まらない。
どころか、激しくなっていくばかりだった。
「ひ、う…………っ⁉︎♡♡♡」
モルガンの舌が首筋を舐める。
刻印と興奮のせいで敏感になっている首筋は舐められるだけで悪寒の様な快感を覚えてしまい、陰核を弄り回す指と合わせて私の理性を奪っていく。
更に舐めるだけでは物足りないと言わんばかりに、首筋を噛む様に口付けされる。
それは軽い痛みを覚えてしまう程に強い口付けだったが、痛みを凌駕する程の快感も同時に覚え、理性の鍍金がどんどん剥がれ落ちていく。
そして、徹底的に理性を削ぎ落とされ、本能のままの嬌声しか上げなくなった頃。
「あ、ぃ、ぁ…………っ♡♡♡ぅ、あ、あぁっ♡♡♡」
一際強い刺激と共に快楽が全身で弾けて、絶頂する。
刻印を刻まれた時よりも深い絶頂に、頭が真っ白になる。
しかし。
「ひ、ぁ…………っ♡♡♡」
真っ白になった頭を引き戻す様に、新しい快楽を叩き込まれて無理矢理覚醒させられる。
再び快楽の沼に叩き落とされ、獣の様な嬌声をあげてしまう。
「そ、こ…………っ♡♡♡モルガン、まだ、イった、ばかり、だから…………ぁ…………っ♡♡♡」
「ふふ…………言ったでしょう、我が妻…………♡今夜は寝かさない、と…………♡」
見ると、陰核を弄り回していたモルガンの指が私の膣内に挿入っていた。
度重なる責めによって興奮し切った膣内はドロドロになっていて、モルガンの指という異物を容易く受け入れてしまう。
大量に分泌された愛液を潤滑液代わりに、モルガンの指が蛇の様に動く。
膣内を優しく引っ掻く様に指が動くのに合わせて、掌が陰核を擦る。
内外から陰核を責め立てられ、その快楽に声にならない嬌声が漏れ出てしまう。
同時に快楽を堪えようと腕が反射的に動き、シーツを掴み取る。
すると。
「ああ、ダメです我が妻よ…………そんなに可愛らしいと、私の中の魔女が騒いでしまいます…………♡」
「ん、む…………っ⁉︎♡♡♡」
嗜虐的に笑うモルガンに唇を塞がれ、堪えるどころか更に快楽を与えられる羽目になる。
その上、空いている方の手がシーツを掴む私の手を絡め取り、逃げ場を失くす。
快楽の檻に閉じ込められ、モルガンに脳をめちゃくちゃにされてしまう。
だけど。
「んちゅ、ちゅぱ…………っ♡んはっ、ちゅぶ…………っ♡♡♡」
モルガンが私を絶頂させる事はなかった。
快楽こそ与えられるが、私が絶頂しそうになると責め手を弱め、快楽の波を抑えてしまう。
加えて、モルガンの指が奥では無く入り口ばかりを責めるせいでどうしようもないもどかしさが更に上乗せされてしまう。
それに焦らされ、気づけば自分からモルガンに身体を擦り付けていたが、絶頂する事は出来なかった。
私の動きに合わせる様に、モルガンが的確に責め手を弱めてしまうのだ。
どうする事も出来ず、ただモルガンに焦らされるままになっていると、モルガンが唇を離す。
「モルガンっ、なんで、いじわる、する、の…………っ♡♡♡」
唇を解放された瞬間、馬乗りになったモルガンに本能のまま訴えかける。
言外に、早く絶頂させて欲しいと懇願しながら。
「我が妻が可愛らしくて、つい虐めてしまいました…………♡本当はもっと虐めたいところですが…………己を抑え、妻の求めに応えるのも夫の役目。仕込みは十分に終わりましたし、そろそろ本番と行きましょう…………♡汎人類史の私が、あの忌々しいアルトリアと交わった時の様に…………♡」
「どういう、こと…………っ♡♡♡」
顔を嗜虐に染めるモルガンが、訳の分からない事を言う。
もしかしたら普段の私ならわかったのかもしれないが、快楽に急かされる頭ではモルガンの言葉を処理する事が出来なかった。
「つまり、こういう事です…………♡」
すると、モルガンが何やら唱え、その股間に肉の槍と見紛う程の男性器…………男根が、形成された。
そして足を開かされ、陰核を押し潰す様に男根を秘部に擦り付けられる。
「なに、それ…………っ♡♡♡」
陰核を押し潰される快楽に灼かれながらも、モルガンにいきなり生えたあり得ないはずの男根に目が惹かれる。
それはサイズこそ誂えたかの様に私の膣内にぴったり収まりそうな大きさだったが、亀頭から伸びる雁首を代表に、凶悪な形をしていた。
モルガンの男根に焦らされ疼いてる膣奥を抉られる未来を思わず幻視してしまい、その未来への期待に喉が鳴り、鼓動が早まる。
「ふふ…………王とその妃が閨で夜を迎えるならやる事は一つ、でしょう? 特に今日は、初夜ですもの…………♡さあ、我が妻…………私の子を、孕んでください…………♡」
「っ、ぁ…………っ♡♡♡」
モルガンが男根を陰核から離し、膣口にあてがう。
それだけで膣内が興奮して、ヒクヒクと入り口を震わせて、媚びる様に男根を出迎える。
そして。
「ぃ、あ…………っ♡♡♡あ、ああ〜〜〜〜〜〜っ♡♡♡」
ぐちゅり、という淫な水音と共に、モルガンの肉槍が私を一息に貫いた。
奥まで貫かれたせいで、破瓜の痛みが僅かに走る。
しかしモルガンの刻印に感度を弄られ、先程までモルガンに焦らされていた身体はそれ以上に伝わってくる快楽に悦び、絶頂してしまう。
「まだ挿入しただけですよ、我が妻…………♡それなのに、これ程に乱れるとは…………♡本当に、我が妻は私を乗せるのが上手ですね…………♡良いでしょう…………♡私も夫として、我が妻を満たせる様に務めます…………♡」
モルガンが腰を動かす。
その動きはゆっくりとしたものだったが、執拗で、苛烈な動きだった。
モルガンの肉槍が動く度、凶悪な雁首が膣壁を抉る。
ゆっくりとした動きの分その感覚がはっきりと伝わってきて、抉られた膣壁がようやく訪れた快楽に悦びの声を挙げて肉槍を逃さまいと締め付ける。
しかしモルガンの腰を引く強さには叶わず、無理矢理引き抜かれ、また貫かれる。
そうやって膣壁を擦られるのが癖になり、更に快楽を求めて肉槍を締め付ける。
そのまま、モルガンの肉槍に膣内を丁寧に蹂躙されていると。
「…………ひ、あっ⁉︎♡♡♡」
モルガンの肉槍にある一点を突かれて、一際強い快楽と共に、悲鳴の様な嬌声が漏れ出た。
「なるほど…………そこが我が妻の、弱点ですか…………♡」
モルガンが悪戯な笑みと共に、見つけられた弱点をグリグリと責め立ててくる。
「モル、ガンっ♡♡♡それ、ダ、メっ♡♡♡あっ♡♡♡よわ、い、からっ♡♡♡」
弱点を責められる度に強烈な快楽が叩き込まれて、絶頂を繰り返す。
快楽の許容限界を超えてしまいそうで、反射的に懇願の言葉が漏れる。
だけど、モルガンがやめる事はなかった。
何故なら。
「何を言うのです、我が妻よ…………♡そう言いながら、この手は私を離さないではないですか…………♡」
モルガンの言う通り、私は言葉とは裏腹に、モルガンの身体を抱きしめて、離さない様にしていた。
まるで、もっと欲しい、と渇望を叩きつける様に。
「嘘はよくないですよ、我が妻…………♡夫としては心苦しいですが、王としては仕方ありません…………♡罰として、私達による快楽拷問の刑に処します…………♡」
「なに、を…………っ♡♡♡む、ぐ…………っ♡♡♡」
それを咎めたモルガンが、罰と称して私を胸元に包む。
柔らかい感触と甘い匂いに包まれて、ただでさえおかしくなってる頭が更にバカになる。
上と下から同時に責められ、快楽で何もわからなくなってしまう。
そのまま、モルガンの快楽でもみくちゃにされていると。
「ひ、ぅ…………っ⁉︎♡♡♡」
肛門に何かが触れた。
そして、肛門を撫で回される様な感覚と共に、微弱な快楽が伝わり、嬌声が上がる。
しかし。
モルガンの両手は私の頭で塞がっていて、肛門を撫で回すなど、出来るはずがなかった。
モルガンが腕を解いたので後ろを振りかってみると、そこには。
「我が妻が嘘を吐かなくなる様、私達で矯正してあげましょう…………♡」
私のお尻を丁寧に撫で回す、もう一人のモルガンがいた。
「なに、こ、れ…………っ⁉︎♡♡♡」
モルガンが二人いる状況に混乱するが、後ろのモルガンの責めに、思考を中断されてしまう。
媚薬でも混ざっているのか、撫で回されるたびに快楽が強くなっていく。
「この城でのみ展開出来る、私の新しい分身です。力は私程ではありませんが…………我が妻を愛する事にかけては、他の追随を許さないでしょう…………♡」
もう一人のモルガンについてモルガンが説明するが、それどころではなかった。
何故なら、その分身のモルガンが、指をお尻に挿し込んだからだ。
「モルガンっ、そこっ、きたな、い…………っ♡♡♡」
お尻を弄られるという羞恥に灼かれて止める様に懇願するが、
「安心してください、我が妻…………♡不浄なものは、魔術で消していますので…………♡さあ、思う存分、快楽に身を委ねてください…………♡」
と返されて、お尻をモルガンの意のままに弄られてしまう。
刻印のおかげか、私のお尻はモルガンの指をあっさりと受け入れてしまう。
そのせいか苦痛は無く、お尻をほじくられる快楽だけが伝わってくる。
更に私を慣らす様に、モルガンの指が2本、3本と増えていく。
指が増える度に快楽が増大して、獣の様な嬌声が溢れる。
そして3本の指でほじくられ、快楽で分泌された腸液がとろりと溢れ始めた頃。
肛門から指が引き抜かれ、代わりに熱い何かがあてがわれる。
そして。
「お、ぐ…………っ♡♡♡おく、ごり、ごり、って…………っ♡♡♡」
2本目の肉槍が、私の腸内を貫いた。
指とは比較にならないくらいの強烈な異物感と快楽が、私を襲う。
膣内を抉る快楽と同時に襲ってくるその快楽に。脳がショートしそうになる。
更に。
「我が妻のあらゆる場所を、同時に責めてあげましょう…………♡」
後ろのモルガンが私の胸を背後から揉みしだき、耳を舐めてくる。
「…………っ、あ、あ…………っ♡♡♡」
モルガンの五指が胸を外側から優しく揉みほぐし、徐々に距離を詰めてくる。
やがて頂点の突起に到達した指は、くりくりと、玩具を弄ぶ様に捏ね回す。
興奮しきってとっくの昔に固くなっている乳首はそれに悦び、快楽を脳に伝えてくる。
その上、片方の耳はモルガンに舐められているせいで絶えず淫靡な水音を流し込まれていて、何も考えられなくなってしまう。
モルガンに味覚以外の五感を全て蹂躙され、快楽に喘いでいると。
「そろそろ、私達も果ててしまいそうです…………♡我が妻、しっかり受け止めてください♡」
と、モルガンが溢す。
何処に、と野暮な事は聞かなかった。
だって、私達は夫婦なのだから。
代わりに前のモルガンを強く抱き締めて、自分から逃げられない状況に落ちる。
モルガン達も同じ様に私を抱き締め、更に奥へ肉槍を突き込む。
いつの間にか降りていた子宮口に鈴口が密着し、完全に逃げられなくなる。
そして。
「…………っ、ぁ…………っ♡♡♡ぉ、あ…………っ♡♡♡あ、ああ〜〜〜〜〜〜っ♡♡♡」
ドクン、と肉槍が脈打つと共に、溢れんばかりの精液が肉槍から子宮と腸内に注ぎ込まれた。
その注ぎ込まれる感覚は、まるで私の奥の奥までモルガン達に犯されている様で、何度も絶頂してしまう。
絶頂を重ねた末に与えられたトドメの快楽に、脳が許容範囲を超えて意識を落とそうとする。
同時に、モルガンの胤を孕んだかもしれないという予感が走る。
しかし、不安は無かった。
むしろ本当に孕んでいればいいと、気絶しそうな綱渡りのバランスの中でモルガンに抱き着く。
そして。
「…………か、ひゅ…………っ⁉︎♡♡♡」
意識が落ちようとした瞬間、電撃の様な快楽で無理矢理意識を覚醒させられた。
「なん、で…………っ♡♡♡」
見ると、モルガンの熱り立った肉槍が、再び私の膣内を貫いていた。
「ふふ…………これは私の魔術で作ったものですから♡私の魔力が尽きない限り、萎える事はありません♡それに、言ったでしょう? 今日は寝かせない、と♡さあ、続けましょう♡貴女が確実に孕むまで♡」
モルガンが仕掛けのタネを説明すると同時に、再び膣内と腸内を蹂躙し始める。
絶頂を叩き込まれたばかりの身体は敏感で、さっきは耐えられた動きですら耐えられずに絶頂してしまう。
再び、モルガン達の快楽地獄に落ちていく。
モルガンの宣言通り、夜明けが来るまで、私が孕むまで、私が眠る事はなかった。
朝の雲雀が鳴き、夜明けと共に行為から解放されて眠ってしまった我が妻を見る。
正直、興奮してやり過ぎたと思うところが無いでもない。
彼女の胎は私が注いだ精液で少し膨らんでいて、今でも溢れたものが膣口から溢れようとしていた。
…………まあ、あれだけやったのだ。
確実に孕んでいるだろう。
そう思いながら、我が妻から溢れそうな精液を魔術で取り除く。
「…………理想郷に行く必要がありますか」
我が妻を見ながら、予定を組み直す。
そもそも、私は別に我が妻を孕ませるつもりは無かったのだ。
ここは私と我が妻だけの城。
そこに一時的ならともかく、恒久的なイレギュラーが入っては、構築式に何が起きるかわからない。
だから本当は、ただ快楽に浸るだけ、だったはずなのだが。
我が妻に再び会えた歓びで、つい我を忘れてしまった。
一度城を形成してしまった手前、今から書き換えるのも難しい。
それなら、理想郷へ向かった方が楽だろう。
溜息を吐きながら、理想郷へ行く手段を考える。
我が妻はともかく、私は確実に弾かれるだろうから何か考えなくては。
後、我が妻が理想郷の環境に耐えられる様対策を講じなければ。
やる事が大量に出てきて、気の迷いを起こした自分に少し恨めしさが湧いてくる。
…………だが、悪い気はしない。
何故なら私は、最高の伴侶を得たのだから。
その代償がこれだというのなら、潔く払ってやろう。
…………それにしても、不思議なものだ。
妖精國の女王であった頃なら、この様な行いはしなかっただろう。
そもそも、妖精國では生殖という概念が存在しない故に。
「…………いや、だからこそ、か」
かつて私は、妖精國で女王としてあってはならなかったものを抱いた。
私以外の、大切なもの…………我が愛しき娘、バーヴァン・シー。
無論、バーヴァン・シーを娘とした事に後悔などある訳も無い。
だが事実として、私がバーヴァン・シーを抱いた事で、二千年の支配は崩れ去った。
その反省から、次こそは全てを取りこぼさない法律を作る、と我が妻に意気込んだのだが。
…………その言葉の裏には、どうやらほんの僅かな不安があったらしい。
私自身気付かない程に小さな、また失敗してしまうかもしれないという不安が。
恐らくその不安が、再会の歓びと結びついて私に衝動を抱かせたのだろう。
絶対に解けない、繋がりを求めて。
「…………私も随分と甘くなったものですね」
自覚してみると、かつての自分と余りにも違う有様に、少々驚く。
昔の私から見れば、今の私は失笑ものだろうか。
だけど、その変化を疎ましいとは思わなかった。
だって、こんなにも胸の中は輝いているから。
その様に私を変えた、我が妻の顔を見つめる。
可愛らしい寝息を立てる我が妻の顔は朝陽を受けて輝いていて、小瓶に仕舞い込んでしまいたくなる程の宝物になっていた。
それを見て、先程までの下らない考えが消え失せる。
そして
絶対に、手離さないと。
我が妻の頭を膝に乗せ、かつて令呪が刻まれていた右手を持ち上げる。
その手の甲に刻む様に、唇を落とした。
「…………もし理想郷に辿り着けたら、次は私にもやってもらいましょうか…………」
膝に乗せた幸せそうな我が妻の頭を撫でていると、ふとそんな考えが浮かんだ。
どうやら私は、自分で孕ませるだけでは繋がりに満足する事が出来ないらしい。
魔女の性という奴だろうか。
欲すれば、留まるところを知らない。
幸い、相手が我が妻でも孕むのに支障はない。
似た様な事は、汎人類史の私が既にやっている。
その記憶を参考にすれば、自分の胎を調整するなど容易い事だ。
理想郷へ侵入する計画を立てる裏で、我が妻と互いに貪り合う情景を夢想する。
…………悪くない。
それに我が愛娘、バーヴァン・シーの事もある。
いずれ城から出た時に喚び戻すつもりではあったが、この際だ。
あの様な事が二度と起きない様、私の胎で育てる事としよう。
理想郷へ行く理由がまた一つ増えたな、と思いながら私の膝元で眠る我が妻を撫で続けた。
モルガンっていいよね
続きを書くなら
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快楽堕ち(ビーストカーマ)
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カジノ敗北所有物(Wコヤンスカヤ)