「んんっ……マキちゃん……あうぅっ……!」
「どうですか?あまりお風呂でこうしたことはしていないのですが……上手く出来ていますか?」
「ああ……十分上手いと思うから……んぅぅぅっ!?」
浴室の床に空気で膨らんだマットを敷き、私はその上に寝そべっている。そして、そんな私の上には裸体を泡塗れとしたマキが、縦横無尽に動き回っていた。
「普段はセックスでお相手することがほとんどですから、こうしたプレイは新鮮で……なんだか楽しいですね。」
「た、楽しいって……んぅぅぅっ!!!おうっ……すごっ……!」
『身体を洗う』という名目で、彼女は私にソープランドのようなプレイをしてくれていた。経験が浅いという言葉に反して、その豊満な身体を余すことなく用いた行為は洗い目的を越えた快楽をもたらす。
「マキちゃん、このお店に入る前は……」
「……こうしたお店で働くのは、こちらが初めてです。以前に接客のアルバイトをしていましたが、普通のお店でしたから。」
彼女の接客を目当てに足繁く通ってはいたものの、成人済みの大学生という以外の子細を知ることは出来ずにいた。
なぜこの店で働いているのか、これだけの性技をどこで得たのか。気になりはしたものの、それを客の立場で聞くことはマナーに反していると思い、私は問わずにいるのだった。
「んんぅっ……おうっ!あっ、マキちゃん……!」
「はぁ、はぁ……んんっ、んっ……あら?」
そうした思考を巡らしている間も、彼女は懸命に私の身体を洗っていたが、泡塗れの裸体が密着していることで、愚息は三度反応を示してしまうのであった。
「もう……橘さん。なんですか、これは?」
「い、いやっ……そのっ……ええと……」
マキの乳房と私の胸板が密着する最中、ちょうど屹立した愚息は彼女の股間へと当たり、訝しい顔で私を凝視してきた。
「私は橘さんの身体を洗っているだけなのに、どうしてチンポが大きくなるんですか?」
「洗うって……確かに洗っているけど、どう見たってこれは……」
「別にいやらしいことではありませんよ。セックスとパイズリで汚れたお客様のお身体を、私の身体で洗っている行為なんですから。チンポを大きくする必要はないと思いますけど。」
「うぅぅっ……!」
声音は非常にまじめである一方で、放たれる言葉は下品を極めていた。そうしている最中であっても、私の愚息はみるみるうちに膨らんでいき。はち切れんばかりに勃起をしているのであった。
「そんなことを言って……!それじゃあ、マキちゃんは嬉しくないの?」
「えっ!?わ、私が……嬉しい?」
「その……ち、チンポが勃起して、嬉しくないのかって。」
「う、嬉しいなんてことは……あうぅっ……」
堪らずこんなことを言ってしまったが、想像以上に気まずい空気となってしまった。だがその一方で、こうして言い争いをすることに私は、どこか懐かしさを感じてもいた。
「もう、そんなデリカシーのない言い方をしたら、女性から嫌われてしまいますよ。」
「うっ……!?あ、ああ……前にも言われた気がするよ。」
そう。こうした会話を毎日のように、当たり前のように繰り返す日々があったのだ。しかし、その相手はいま目の前にいるマキではなかった。私は懐かしさを感じる一方で、マキにかつての妻、千晶の重ねることに罪悪感を抱いてもいた。
「こんなにチンポが大きくなってしまっては、もう一度射精して鎮めるしかありませんね。」
「んんぅっ……お、お願いするよ。」
「ええ。それでは……」
マキは私に密着させていた自身の身体を起こすと、屹立した男根へ手を伸ばして握り締める。そして、泡に塗れた身体を浮かせると、自らの膣穴へと肉の棒を導いていくのであった。
「んんんっ……ああっ!!は、入って……きます。橘さんのチンポが、わたしのマンコに……んぅぅっ!!!あぁぁぁっ……!」
「おうぅぅっ!?マキちゃんのナカ、ヌルヌルで……んぅぅぅっ!!!」
ゆっくりと腰を沈めて、肉棒を自らの膣内へと埋没させていくマキ。その中は先程ベッドの上でセックスをした時よりも遥かに濡れていて、膣肉が蠢くように男根に絡みついてくるのであった。
「いやぁぁんっ!!!あぁっ、んぅぅっ!!だ、ダメッ……わたし、こんな……ゆっくり挿れたのに……感じすぎて……んぅぅっ!!!んんっ、んぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!」
膣内で根元まで肉棒を飲み込んだマキは、腰を動かす前に声を押し殺したまま、身体を小刻みに震わせていた。
「あぐぅっ……!こんなビクビクして……マキちゃん……!」
「は、はいっ……わたし、橘さんのチンポが入っただけで……あぁんっ!はぁ……はぁ……んんぅっ!!!」
沈めた腰の周囲から零れる液体。それはボディーソープでもローションでもなく、彼女自身が膣内から分泌した大量の愛液であった。
「わたしも濡れてましたからぁっ……!橘さんのお身体を洗っていた時から……んひぃっ!それよりも前から……あぁぁんっ!!!おっぱいでチンポを挟んでいた時からずっとぉっ……あぁぁぁっ!!!」
「くぅぅっ……またこんな……エロ過ぎることを……!」
私が三度愚息を屹立させた以上に、マキは発情したかのように性欲を滾らせていた。もはやそれ以上彼女を責める言葉はなく、私は無意識のうちに腰を動かして、彼女の裸体を突き上げ始めるのだった。
「あぁぁぁんっ!!!いやっ、あぁん!ダメっ、イったばかり……わたしのマンコ、イったばっかで敏感に……んひぃぃぃぃっ!!!」
「ふんぅぅっ……!ダメだマキちゃん……もう、止められそうには……んぐぅぅぅっ!!!」
「いやぁぁぁぁっ!!!あぁぁっ、あぁんっ!!!チンポっ、チンポいやぁっ!こんな乱暴なチンポでガンガンされたらっ……んっひぃぃっ!!!わたしダメェッっ!チンポっ、橘さんのチンポっ!橘さんのチンポだけじゃなくて橘さんも好きになっちゃうのぉぉぉっ!!!」
「うぐぅっ!?な、何をまた……そんな冗談……!」
冗談でなければいけなかった。あくまで私とマキは客と従業員という間柄。例えどれほどの行為を重ねようとも、それは金銭を介したやり取りであることを忘れてはならなかった。
「冗談じゃありませんっ!んひぃっ!こんなっ、こんなチンポでガンガンされたら……あぁぁぁんっ!!!淫乱マンコじゃなくてもおかしくなりますからぁっ!あひぃぃっ!!!好きっ、好きっ、好き好き好きぃっ!橘さんのチンポ大好きっ!わたしこのチンポが大好きですからぁぁぁっ!!!」
マキもまた自ら激しく腰を振りつつ、私の肉棒に対しての好意を露わにする。しかしそれはむしろ、私自身に対する好意を振り払うよう自らに言い聞かせているようでもあった。
「橘さんもっとっ!もっと突いてっ!チンポでマキの淫乱マンコ突いてぇっ!あひぃっ!!!んぐぅっ!!おっほぉぉぉぉぉっ!!!!チンポっ、チンポチンポチンポぉっ!わたしで勃起しまくりのチンポっ、チンポ気持ちいいよぉっ!」
「ふぅっ、ふぅっ……!んぅっ……マキちゃんっ……ふんぅぅぅっ!!!」
「あぁぁぁんっ!!!すごっ……んんんぅっ!!!三度目なのにビンビンで……マンコの奥までズコズコって……んひぃっ!あぁんっ!このチンポやっぱり……んぅぅぅぅぅっ!!!!」
出会ってから間もないというのに、身体の相性は千晶と同等か、それ以上といえるまで良いといえた。しかしそれが、彼女が娼婦であるからと考えてしまうと、私の中には虚しさが芽生えもしていた。
「んぅぅっ……くぅっ……!こんな乱れ方を……私以外の客でも……!」
「っ……!?そ、そんなことありませんっ!こんなチンポ……橘さんみたいなお客様なんて滅多に……あぁぁんっ!!!本当に……んひぃっ!本当ですからぁっ!いやぁぁぁぁんっ!!!!」
どうしてこんなことを言ったのかと、自分でも後悔をしていた。暗に『他の客にも同じ顔をしている。』と突きつけてしまえば、彼女の不興を買うだけなど分かっていたのに。
だが、私はそうしてでも彼女と距離を置こうとしていた。客と従業員、娼婦という関係以上の付き合いは、彼女だけでなく私も望んではいなかった。
「ダメなんですぅっ……!わたし……どんなお客様とも、どんな男性とも本気でセックスしちゃうのぉっ!どんなチンポでも感じちゃう……マンコにチンポハメられたら絶対に気持ちよくなっちゃうのぉっ……!あぁぁぁっ!!!」
「くぅぅっ……こ、この……変態が……!」
「はいっ!!!ヘンタイっ、ド変態ですぅっ!チンポハメられればなんでもいいヘンタイですからぁっ!本当はお金なんていらないっ!チンポがあればなんでもいいのぉっ!レイプでもなんでもチンポ突っ込まれて感じる変態なのぉっ!んっひぃぃぃぃっ!!!!」
軽く蔑むような言葉を放っただけ、マキは自らの本性ともいえる子細を口にし始める。それは間違いなく男を欲情させるものある一方で、娼婦としては失格といえる内容であった。
「うぐぅっ……マキちゃん……本気でそんなことを……!?」
「ひゃぁぁんっ!!!あぁっ、あはぁっ!だって……わたしセックスが大好きですからぁっ!いっつもチンポとセックスのことばっか考えてるのぉっ!あぁぁぁんっ!!!真面目で頭の良いフリしてるだけぇっ!ホントは毎日チンポセックスしたいだけなんだからぁっ!」
理性の欠片すらも見られないマキの本性。正直に言ってしまえば、私はドン引きをしていた。しかし、おそらく他の客には見せることがないであろう礼を失した姿に、私はある種の優越感を抱いて興奮の糧としていた。
「んぐぅっ……こんなエロい子が……身体も最高に良くて……ふんぅぅぅっ!!!!」
「んっぐぅぅぅぅっ!!!!んひぃっ、あぁっ、あぁぁぁっ!!!!橘さんもっとっ、もっと突き上げてっ!わたしの身体もっとぉっ!あぁぁんっ!!!」
私が腰を突き上げるのに呼応して、マキもまた踊るように激しく腰を振り乱す。豊満な双丘が下品に弾み、私の理性すらも奪おうとしていた。
「あぁぁんっ!そうっ、これぇっ!これがいいのぉっ!ガンガン突かれてイキマンコでおかしくなるのがいいのぉっ!!!あひぃっ!んんぅぅっ!!!んほぉっ!ら、らめぇっ……わらひまた……チンポでガンガンされてまたぁっ……あぁぁぁぁぁっ!!!!」
「んぅぅっ……マンコがまた……締まって、ヌルヌルになって……!」
肉棒を突き込んでいた膣穴からは、再び大量愛液が分泌を始める。挿入時に達した彼女の身体は、私から受ける抽挿で再び絶頂を迎えようする。
「あぁんっ!イクっ、わたしまたっ、またイくぅっ!橘さんのチンポでまたぁっ!あぁぁぁんっ!!!」
「くぅぅっ……マキ、ちゃんっ……んぅっ!!!」
「あぁぁぁんっ!!!あぁっ……んぅぅっ……!ど、どうしたんですか?疲れちゃったんですか……?」
「いや……そういうわけじゃないけど……」
互いに腰を振り続けていた最中、私は彼女の腰を掴むと自らの動きも止め、抽挿の動きを完全に止める。
「マキちゃんがイきたいっていうから、ちょっと……焦らしてみたいなぁ……って。」
「うぅっ……!も、もうっ……そんな意地悪しないでくださいっ!んぅぅっ……あぁぁんっ!!!だめっ……身体が……オマンコがヘンになっちゃうのぉっ……!」
我慢が出来ない様子で、マキは前後左右に腰を振って肉棒による快楽を貪ろうとする。私はそんな彼女の姿を見て、単なる快感とは異なる喜びを得ることが出来た。
「んぅぅっ……!もっといやらしくおねだりをしてくれたら……続きをしてあげるから……さっ!」
「んひぃっ!!あぁんっ!!!うぅぅっ……酷いですよぉっ……!私は橘さんのチンポも、いっぱい気持ちよくしたいのにぃっ……!」
僅かに腰を突き上げるだけで、マキは嬌声を上げて悶えてみせる。そして、十分な快楽を得られないで、私に対して恨めしい目を向けるのであった。
「こんなことを……他の女性にもしていたんですか?」
「えっ!?そ、それは……!」
思わぬ返答を前に狼狽えてしまったのは私だった。彼女の言葉によって私は改めて、無意識のうちに千晶と重ねていたことに気付かされたようであった。
「ふふふっ!忘れたくても、忘れられないような人なんですね。お気持ちは分かります。私にも……そんな人がいますから。」
「くぅっ……マキちゃんっ……!」
無論彼女には千晶の存在など話してはいなかった。初めて接客を受けた時に思わず名前を口走ってはいたものの、それがどういった存在なのかは一切明かさずにいた。
「お願いします。橘さんのチンポで、私のマンコをもっと犯してください。私を屈服させて、橘さんに服従するくらい……チンポでマンコを躾けていただけませんか?」
「あっ、あぁぁぁぁっ……!」
何かが違っていた。先程までの貪欲に快楽を貪るような雰囲気は一切なく、私に対して隷属を示すようなマキの態度。彼女に女を『仕込んだ』であろう男の影が見えたことで、私の中では異常なまでの劣情が芽生えるのであった。
「んぅぅぅぅっ!!!あぁぁんっ!!!きたっ、チンポっ、チンポきたぁっ!マンコの奥までチンポぉっ!ぶっといチンポがまたいっぱいキてるのぉぉぉっ!!!!」
「くぅぅぅっ……マキっ、マキっ……!ふんぅぅぅぅっ!!!」
「あぁぁぁぁぁんっ!!!すごいっ、チンポすごいっ!固くてぶっとい橘さんのチンポぉっ!射精しまくってもガチガチのデカマラぁっ!あぁぁぁんっ!!!絶倫チンポでマンコ壊れるっ!チンポでマンコぶっ壊れるのぉぉぉっ!!!!」
この淫猥な性が根っからのものではなく、何者かによって作り上げられたもの。そう考えただけ私は新鮮な興奮を覚えて、彼女の膣穴をより荒々しく突き上げるのだった。
「すごっ……すごぉっ、すっごぉぉぉぃいっ!!!こんなチンポっ、やっぱり久しぶり……こんなの娼館じゃホントに……あの人じゃないとこんな……んっほぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」
「マキっ……マキっ!ふぅっ……んぅっ……くぅぅぅっ!!!」
「んっひぃぃぃぃぃっ!!!キてるっ!いっぱいキちゃうのぉっ!わらひのメス豚マンコにご主人様のデカ勃起チンポがいっぱいキちゃってるのぉぉぉっ!!!!」
「はぁっ……はぁっ……ご、ご主人様……?」
理性を失ったのか、あるいは錯乱をしているのか、私を誰かと勘違いしている様子のマキ。私もまた彼女を元妻と間違えて呼んでいたので、そのこと自体を気には留めずにいた。しかし
「あぁぁぁんっ!!!やっぱり……ご主人様のチンポが一番ですぅっ!どんなチンポをハメられてまくっても、このチンポじゃないと本当にマンコは満足出来ない身体ですからぁっ!」
「いや……私は別にマキちゃんの雇い主なんかじゃ……んぅぅぅっ!?」
「雇われてなんかいませんよぉっ!わたしは……ご主人様専用の肉便器なんですからぁっ……!あぁぁんっ!!!チンポをすっきりさせるだけの……淫乱な精液便所ですからぁっ!」
どうやら私が考えて以上に、彼女は仕込まれているようであった。見方によっては、彼女をここまで躾けた男のおかげ、私はこれほどの快楽を享受出来ているというもの。恨みこそなくとも、感謝をするべきなのかもしれない。
「くぅっ……もう、ダメだ……そろそろ……ふんぅぅぅぅっ!!!!」
「あひぃっ!あぁっ、いやぁぁぁんっ!!!ご主人さ……橘さんっ!あぁぁぁぁんっ!!!すごっ……チンポこんな激しく……いやぁぁぁぁぁっ!!!チンポゴリゴリってマンコにぶっ刺さってっ、んひぃぃぃぃっ!!!これダメェッ!わたしおかしくなるっ!チンポでマンコも身体もおかしくなるのぉっ!」
「はぁっ!はぁっ!も、もう……とっくに……おかしくなってんだろうが……!んぐぅっ、んぅぅぅぅぅっ!!!!」
罵声を浴びせずにはいられなかった。理解の及ばない卑しさを露わとしたマキに対して、私は彼女の主であるかのように振舞ってしまう。もちろんそれは、私自身ではなく彼女が望んでいるものであった。
「んっくぅぅっ!!!出すぞ……マキ、また……マンコの中に全部っ……んぐぅぅぅぅ!!!!」
「はいぃぃぃっ!!!出してっ、出してくださいっ!わたしのメス豚マンコに射精してくださいっ!ご主人様のザーメンっ、ご主人様の特濃デカチンポザーメンで、マキのマンコ穴をいっぱいにしてくださいっ!!!あぁぁぁんっ!!!くるっ、わたしも……わたしもまたぁっ……あぁぁぁぁぁっ!!!!!」
自我を喪失させ、意識が飛びそうになるほどの快楽。男に従順な態度を見せつつも、底無しといえる性欲を余すことなく露わとするマキに対して、全てを奪い尽くされそうになっていた。
「あぁぁぁぁんっ!!!イクぅっ!イクイクイクぅぅぅっ!!!!チンポっ、ご主人様のチンポでイっちゃうっ!イくぅっ!イクぅっ!イっくぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!!!!!」
「あがぁっ……!ま、マキっ……んぅぅぅぅぅっ!!!!」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!出ちゃってるっ!チンポ射精でマンコがっ、あぁぁぁぁんっ!!!イキマンコにチンポのドピュドピュがいっぱいキてるぅぅぅぅぅっ!!!!」
マキは甲高い悲鳴を上げ、激しく裸体を震わせて、私と共に絶頂を迎えた。まるで膣内射精によって目覚めたかのように、彼女は私の名前を口にする。
「あぁぁんっ!!!橘さんのチンポ……またこんなにザーメンを出してぇっ……あぁぁぁっ……!わ、わたし……本当に橘さんのチンポに堕とされちゃいますよぉっ……!」
「はぁっ……はぁっ……!いや、なんかもう……完堕ちしているようなことを言っていた気がするんだけど……」
「えっ……?わたし、何かヘンなことを言っていました……か?」
私の言葉に些か狼狽えた様子を見せるマキ。どうやら先程までの従属したかのような振る舞いは、全て無意識のうちに行っているようであった。
「私のことを……何度も『ご主人様』ってさ……」
「あっ、あっ……ああっ……!」
そう言うと彼女はさらに狼狽した様子を見せ、顔を引きつらせて声を漏らす。身体が恐怖に支配され、絶頂の余韻も消え失せるような血の気の引き方。きっと、私が彼女を千晶と呼んでしまった時と同じような気分になっているのだろうと思った。
◇
「本当に申し訳ございません!大変ご無礼なことを何度も繰り返してしまい、なんと申し上げればいいのか……!」
「いや、私は全然怒ってないから。マキの接客はいつも最高なんだし。」
浴槽の縁へと腰を掛けた私の前で、マキは全裸で土下座をしていた。彼女は決して頭を上げることがなかったものの、エアマットを敷いた状態かつ全裸という光景であったため、滑稽に見えつつもそういったプレイの一環に見えなくもなかった。
「やっぱり私は……この仕事に向いていないんです。ただセックスが大好きなだけで、気持ちよくなれればなんでもいいと……娼婦なんて言えない女ですから……!」
確かにそれは間違っていなかった。こうした性風俗で勤務する女として、マキは自分と性欲に忠実過ぎる性格であるといえた。
彼女をこの店のナンバーワンとしているのは、その圧倒的かつ無尽蔵の性欲、そして豊満な身体の持ち主であるという点であった。その一方で、彼女は決して商売に向いている人間ではないともいえた。
「まぁ……でもほら、あまり慣れていない感というか……初々しさがずっと残っている子がいてもいいとは思うから。初々しいってのとは……またちょっと違うか。」
「そんな……いつまでも半人前だなんて……!」
そして、無意識の振る舞いの中で彼女について分かったことがもう一つ。こうした仕事に就く前の彼女はおそらく、ほとんど男性経験を持っていないということだった。異性との恋愛、駆け引きなどを彼女は知らないまま、セックスの快楽に溺れているようでもあった。
「経験が多ければいいってものでもないよ。特に男女の関係というものは……」
説教というわけではなかったものの、こうした展開になると否応なく自らの経験が滲み出てしまう。もっとも自分の年齢を考えれば、既に『風俗で説教おじさん』に該当する数字に片足を突っ込んでいる気がした。
「それじゃあ、橘さんが教えてくれますか?」
「えっ、教えるって……何を?」
ようやくマキは顔を上げ、私に対して何かを求めてくる。彼女の知りたいものが理解出来ずに、私は自然と問い返す。
「とぼけないでください。正しい男と女の関係です。セックスだけじゃない、正しいお付き合いの仕方をです。」
それは絶対に無理だと思う。結婚をして、離婚をして、さらに子持ちであるという私という男。むしろ正しいかどうかといえば、間違った方向に進んでいる私に男女の正しい関係など教えることは不可能であった。
「いやいやいやいやっ!そんなことを私が教えることなんて……!い、一応ほら……客って立場だったりするわけで……」
「私は全然構いませんよ。お店の外でお客様と会うことを禁止されたりもしていませんので。」
「こっちの問題だってば!大体、この店に来ていることだって典也には隠せているのか怪しいんだし……」
「……典也?」
マキに初めての接客を受けた時、私は思わず元妻である千晶の名を呼んでしまった。あの時の彼女は一人の娼婦として、喜びの声を上げて受け容れてくれた。しかし今度は
「橘さん、その典也というのは……」
聞き逃すこともなければ、受け流すつもりもないようであった。女ではなく男の名前。そしてそれまでの会話の流れを十分に汲み取っているマキは、ある程度理解をしたうえで私に問いかけてくる。
「もしよろしければ、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか。」
先程まで土下座をしていて、今は私の顔を見上げているマキ。一糸纏わぬ彼女が何よりも恐ろしかった。そして私はそんな彼女の前で、それでも自らの愚息を反り返らせようとしているのであった。