ラプラスの島に来てから一週間が過ぎた。
その頃になると難破船の被害者が打ち上げられることもなくなり、幼いニエは子供なりにこの島のでの身の振り方を模索し始めていた。
幸いなことにこの島のラプラス達は皆が友好的で、みなしごとなってしまったニエを我が子のように慈しんでくれては島の住人として受け入れつつあった。
そんな折、ある朝ニエはパートナーである子ラプラスに誘われて島の高台へと向かっていた。
そこに何があるものやら訝しんでいると、目の前には巨大な丸太小屋がその全貌を現し、大いにニエを驚かせた。
「もしかして……僕以外に人がいるの?」
思わず呟いてはその小屋の入り口を右往左往して様子を窺う。
互い違いに丸太を組み合わせることで箱型に造ったその小屋は、ポケモンにはけっして無い明らかな人間の意匠と造型とが見て取れた。
木製の支柱を利用して作られた出入口のドアに見られる構造は『蝶番』を機能させたそれであり、こういった細工や発想はラプラス達には不可能と思える。
やがては意を決し、そんなドアを押し開いては恐る恐る中へと入っていくニエ。
そうして目の前に広がる、椅子や机といった家具が備え付けられた室内に思わず息を飲んだ。
おおよそ人間らしい生活の調度を久方ぶりに目の当たりにし、ニエはそんなことでも涙ぐんでしまう自分をおかしく思った。
ラプラスと共に入室をしてしばし中を探索したニエは、この小屋がもう長らく使われていないことを察する。
おそらくは以前にこの島に住んでいた人間の誰かがこれを建てて生活をしていたに違いない。
物書き用と思しきテーブルを物色していると、そこにこれまた年代物のノートを発見した。
それこそはここに住んでいたであろう以前の住人の残した物であり、そこには彼がここへ訪れた経緯や、さらにはこの島で生活を営むためのサバイバル的な知識や情報が事細かに書き記されていた。
そのことにニエは感動した。
しかしながらそれは前住人の存在を知る興奮よりも、『火の起こし方』がそこに記載されていたからである。
まだ理解の出来ない単語は所々に散見されたが、丁寧に図解がされていることから、そこに書かれていることの概要は知ることが出来た。
さっそくニエは小屋の外に出ると、おあつらえ向きに岩の積み上げられた『竈』と思しきその前にて火起こしを実践した。
たどたどしく、手に無数の豆や擦り傷を作りながら奮闘すること数時間──夕暮れに差し掛かり、既に周囲が暗くなりつつある竈の中に……初めて火が灯った。
激しく身を揺らいで燃え上がるをそれをしばし呆然と見つめていたニエであったが、やがてはその達成感が全身に巡ると、声を殺してはその場で泣きだしてしまうのだった。
そんなニエの涙を案じては身を寄せてくるラプラスを思わずニエは抱きしめる。
そうして出てきた言葉は、
「ありがとう……ありがとう、ラプラス……火が、起こせたよ」
自分でも意図の図れぬ感謝の言葉と気持ちだった。
しかしながらラプラスまた、ニエの涙が悲しみに由来するものではないことと、そして何よりも抱きしめてくれる彼の温もりと力強さに安らぎを覚えては……燃え上がる炎に光に身を晒しながら、いつまでもその抱擁に身を委ねるのだった。
かくして『火』を手に入れたニエの生活は劇的な変化を迎える。
何よりもその影響が強く反映されたのは『食事』であった。
今も捉えてきた小魚と掘り起こしたユリ根をただ焼いただけのそれらを、ニエは夢中になって食べた。
薄い塩味だけのそれを、この世にこれほどにまで美味な物があったのかと思いながら貪る。
今日に至るまでの一週間、ニエの食事は生食が基本であった。
魚介類や果物、そして山菜を始めとした各種の木の根──どれも新鮮であったし、毒の吟味はそれを与えてくれるラプラスがしていてくれたから今日までそれにて命を繋いでは来たものの、やはり生食の文化が無いニエにとって此処での食事は過酷の一語に尽きた。
もっとも、生食が難しい食材に関してはラプラスが口中で粗食をしペースト状にして与えてはくれていたのだが、あれはニエも好きだった。
口移して与えてくれるあれだけは、『食』以外のときめきが謎の感情として心に沸き頃るのを覚え、娯楽の無いこの島においては唯一ニエを慰めてくれる事柄のひとつだった。
それを察したのか、食事も終えようかというニエにラプラスが身を寄せた。
炎の陽光に横顔を照らしながら上目遣いに見やってくるラプラス……その表情にニエは言いようもない胸のときめきを覚える。
しばしそうして見つめ合っていると、自然に二人の唇同士は触れ合っていた。
今日までは恐怖におびえるニエを慰める為や、あるいは食事の為に繰り返してきた行為ではあったが、今のキスは心身ともに安らいだ気持ちの中で出た行動だった。
ついばむ程度のキスはいつしか互いの唇をついばみ合うものへと変わる。
そうして口中に異なる唾液の味わいが感じられると、二人はそれを求めあうかのよう自然と舌先を互いの中に進入させては絡み合わせた。
しばしそうして唇を貪り合い、我に返っては身を離して見つめ合うと……また得も言えぬ感覚に囚われては抱き合いキスを交わらせる。
いつしかそこに覚える興奮は、体験したこともないほどにニエの鼓動を昂らせ、意識が朦朧とするまでニエを興奮させていく。
ラプラスの舌の感触を味わいながらその感覚に身を晒していると、ある瞬間を境に肉体の一点へと血流が充血していくのを感じた。
寝起きの時のように股間一点に血流が集中し、そして痛いくらいに勃起を果たしたペニスがふいにズボン下の下着にその先端を押し付けた瞬間──
「んッ、んんぅ……んおぉぉぉ………ッッ!」
依然としてラプラスに口中を貪られながら、ニエは射精を果たしていた。
尿道からこれまでに感じたこともない感触で送り出されるそれは排尿のそれにも似ていたが、肛門が痙攣すると共に込み上がってくるそれらは液体というより、何か個体でも排泄しているような感触をニエに覚えさせた。
ついには座位すらも保てなくなり、ラプラスを振り切っては地面にもんどりうつと、なおも続く射精に身悶えては、幾度となくニエは上ずった声を上げた。
その様子に最初こそは訝しみ、ニエの安否から不安げにそれを見守っていたラプラスではあったが、鼻腔にニエの股座から立ち上がる精液の芳香を嗅ぎ取るや、その芳しさにラプラスは目を見開いた。
青臭いその香りは何処までも蠱惑的で、ラプラスは仰向けに脱力するニエの股間に鼻先を寄せ、至近距離でその香りを嗅ぐや──脳に突き抜ける衝撃に激しい眩暈を覚える。
そして次の瞬間には──ラプラスはニエの股間をスラックスもろとも大きく咥え込み、布越しにそこへ染み込んだ彼の精液を吸い上げるのだった。
「んあ! うわああああッ! だめぇ、ラプラス! それだめぇ‼」
被服越しとはいえ、絶頂直後の敏感なペニスを吸い上げられる刺激に反応してニエも声を大きくしたが、もはやそんな声などは耳に届かぬまでにラプラスは興奮をしていた。
かくしてその味が完全に無くなるまでニエの股間を吸い上げ続けたラプラスは……いつしかニエが完全に意識を失っていることにも気付き、我へ返っては慌てて彼の看病を始めるのだった。