ステージ上で踊るアマージョを観客席の最後尾で見守りながら俺は物思いに耽っていた。
先日来より頭の中を占めているものはプロデュースするアマージョの行く末だ。
ピンクローターを膣に潜ませ、そして衆人環視に晒されるその中で性的快感を得る悦びを覚えてしまった彼女は、人としてもポケモンとしてもその在り方を逸してしまった感があった。
しかしながらアマージョがそこへ強い悦びと生き甲斐を感じている以上、そのパートナーたる俺はそんな彼女の全てを受け入れるしかない。
俺にできる事は彼女を守ることと、そして同時に悦ばせてやること──それこそが俺の役割だと割り切ることにした。……というか、そうせざるを得ない。
前方のステージ上では楽曲に合わせたアマージョのダンスが終盤へと差し掛かろうとしてた。
オーディエンスの盛り上がりも最高潮に達しており、この瞬間こそが今日のライブ最大の見せ場といっても過言ではない。
その瞬間を見計らって──俺は密かにポケット内に忍ばせた小型リモコンのスイッチをオンにした。
そんな俺の動きに連動するようステージ上にあるアマージョの体が跳ね上がった。
同時に彼女は客席を薙ぐように見渡すとその中に俺の姿を探す。
そして巡らせていた視線の先に俺を見つけ、そこに視軸を定めると大きく頷いた。
その合図を確認し、俺もスライド式の調整ツマミを一気に最大にまで押し上げる。
瞬間──アマージョが絶叫した。
しかしながら楽曲に合わせてのそれに、オーディエンス達は誰一人として彼女の異変に気付くことなく、むしろコール&レスポンスを振られたと勘違いしてはより熱狂的な声を跳ね返す。
その声援を全身で受け、さらにはダンスの疲労と箱詰めとなった狭い会場の薄い酸素の中、アマージョは大サビのダンスを披露し切り──この日のライブは大盛況のうちに終了した。
その後アンコールも恙無く終えて控室へと戻るや──アマージョは俺の胸元へ縋りつき、呼吸を激しく乱しては発情中の猫のよろしくにおかしな抑揚の声を上げた。
事実、今の彼女が強い発情をもよおしていることは確かだ。
瞳孔が開き切って見開かれた両目は、その下瞼が上ずっては言いようのない淫猥な笑みをそこに浮かべている。
野生のポケモンとして一生を過ごしたのならば……否、手飼いのそれであったとしてもこんな表情など一生涯に浮かべることなど無いだろう。
斯様にして人としてもポケモンとしても在り得ない浅ましさのまま、アマージョはいつも通りに長テーブルの上で寝そべると、もはや両膝を伸ばしては天高くに掲げるほどの大輪さで股間を開帳させる。
「待て待て……おちつけって」
俺も宥めながらにその前へ陣取ると、これまたいつも通りに尿パッドの前張りをはがしにかかった。
ゆっくりと剥していくパッドの下からはくぐもった振動音が響いている。
わざと焦らすように剥しつつ手にしたリモコンの調整ツマミを上下させると、それに連動してパッド下からの振動音もまた強弱に波長を変えた。
同時にパッドの向こうからは液体の放出される収束音までもがまた加わる……パッドを外されている今まさに進行形で、アマージョは放尿を果たしていたのだ。
やがては完全にパッドが引き剥がされると同時──アマージョは後頭部を仰け反らせては絶頂を果たした。
剥き出しにされては外気に晒された大小の陰唇が痙攣するその中から、小さな物体がひり出されては床に落ちて硬く弾む。
転々と弾み、やがては足元に転がってもなお小刻みな振動で震え続けるそれ──アマージョの愛液でコーティングされた光沢の物体は、先のピンクローターの振動部とまったく同じパーツであった。
しかしながらこれには本来付いているはずのコードが接続されてはいない。
通称『とびっこ』でも知られるこれは、遠隔操作型の振動ローターであった。
先日の、密かにピンクローターを膣に忍ばせてのライブ以来、アマージョはすっかりアダルトグッズの使用に目覚めてしまっていた。
蛇の道は蛇というか、同業であるアイドル達のサイトをネットサーフィンしているうちに、偶然こうしたグッズの広告を踏んでしまったアマージョはあのピンクローターの存在を知ったのだという。
好奇心に駆られ、軽い気持ちでそれを購入しては使用した彼女ではあったが……後は知っての通りだ。
ローターそれからもたらされる未知の感覚と、そしてライブの高揚感とが併さることで覚える強い快感にハマった彼女は、以降手を変え品を変えてはステージ上にて密かにそれを楽しむ日々を送っているという訳でだった。
さらには困ったことに……
「え? また『これ』が欲しいのか? 言っちゃなんだが……こんなの汚いぞ?」
絶頂の余韻を引きずりながら息も絶え絶えのアマージョから求められる『リクエスト』に俺は眉を顰める。
それでもしかし再三強く要求され、最後には俺もそれを渡してしまう。
大きく口を開き、全力疾走後の犬のよう舌を吐き出して待ち受けるアマージョの顔面を横断する様に──俺は今しがたまで彼女が装着していたパッドをその鼻先へと押し付けた。
こともあろうか彼女は、そんなステージ後の自身のパッドにもまた強い執着を見せるようになっていた。
鼻と口、それにて完全に呼吸器を塞がれるとアマージョは苦しみにくぐもった呻きを漏らしては跳ね上がるように身を痙攣させる。
それは呼吸を止められているがゆえの酸欠ということではなく、いま彼女の身に起きている変化は、自信のフェロモンに反応するものであった。
滴るほどに自身の体液が染み込んだパッドには同時、大量のフェロモンもまた含まれていた。
ある種の動物や昆虫が密閉空間において自身の分泌物により中毒症状へ陥るよう、アマージョもまたそんな自分自身の匂いによって、更なる発情と高揚を刺激されての痙攣であった。
そしてそうなった時の彼女への対処法また、俺達の中には確立されつつあった。
「まだ手加減がよく分からないから、痛かったら言えよ?」
一言断りをいれて彼女の傍らに身を寄せると、アマージョもまた全身で俺の片腕へと抱きついた。
それでもなお、股座だけは大きく開脚している彼女の股間へと俺は逆手にした右掌を被せる。
そうして宛がった状態から中指と薬指を併せて間接を曲げると……指々の指先は僅かに膣の中へと埋まる。
途端、敏感に反応した膣内が収縮して締め付けてくると同時、焼けるような体温と共に潤滑に富んだ粘度の愛液が指先に染み込んでくるのが分かった。
最初は深く挿入はせず、その浅さを維持したまま捏ねるように間口の溝をなぞる。
しばし焦らすようなその動きに抗議するかのようアマージョは声をあげて俺を見つめてくる。
眉もとを強め、瞳いっぱいに涙を溜め込んだ視線を向けてくるアマージョの表情は『下手な手心は加えるな』と言う抗議の現れだ。
それを受け止めて俺もまた……
「……壊れても知らないからな」
より一層アマージョに体を密着させるや次の瞬間──初っぱなから最大速度で掌をひらめかせるや、打ち当たる俺の手の平とアマージョの恥丘とは、柏手を打ち鳴らすような軽快な破裂音をそこに奏でた。
それに伴って挿入させた指々もまた、その指先を鉤に曲げては彼女の中の愛液を掻き出すかのよう膣壁を激しく掻きえぐる出し入れを繰り返す。
そんな愛撫とは程遠い暴力を一身に受けるアマージョもまた、その衝撃に大きく身をのけぞらせては息を止める。
もはや声すらも上げられぬほど体を硬直させる彼女ではあったが、その激しく膣からの潮を吹き散らす肉体は、如実に強い快感と悦びとをそこへ表していた。
撹拌を続ける膣からはいつしか白く泡立てられた愛液が溢れだし、アマージョの口角からも酸欠の海洋生物よろしくに泡が込み上げてきては、肉体の限界とそれに伴う絶頂が近いことを俺に知らせてくれる。
「このまま一気に行くぞ……もう止まれないからな!」
そしてそのラストスパートとばかりに一際深く挿入しては、そこの最新部にて子宮口を強く掻いた瞬間──エビ反りに喉を晒して身を仰け反らせると、アマージョは激しく絶頂を迎えては体中のあらゆる穴から分泌物を放出させた。
同時、蕾の冠もまた緩やかに開いては奥底のめしべもまた覗かせると──
「うわッ、なんだこれぇ? 嗅いだこともない匂いだな」
そこから漂う甘い腐臭の得も言えぬ芳香が漂っては、それを至近距離で嗅ぐ俺にもまた目眩に近い感覚の失調を覚えさせた。
斯様なアマージョの肉体の変化ではあるが、元来のその意味合いなど知らない俺は、このことにさして危機感などは微塵も感じることは無かった。
しかしながらこれこそが……後の騒動の始まりになろう事はこの時の俺は勿論、その香りの発生源であるアマージョですら気付かない。
悲劇と呼ぶにふさわしい、あの忌まわしい事件の発端となってしまうことを。
しかし今はただすっかり脱力した彼女を腕の中であやしながら……
「どうやって掃除しよう……これ」
アマージョの体液まみれとなった控え室を見渡しては、俺も途方にくれるのだった。