※ 注意!
この章にはポケモンに対する、流血を伴った暴力や凌辱、レイプ、肉体の欠損、虐殺行為などの、残虐的な描写が含まれます。
自己責任のもと、お楽しみください。
第1話・違法試合
P・レスリング──ポケモン同士のプロレスリングによるこの興行は、全世界にファンや愛好家達を持つ人気エンターテイメントだ。
故にそれらレスラーを抱える団体は星の数ほどあり、世界中にその名を轟かせる団体もあれば、ファンの間ですら一部の人間しか知らないようなものまで多種多様である。
そしてそのピカチュウの所属した団体『ザ・ハイリスク』もまた、そんな数ある団体の中に埋もれた最底辺の一団であった。
所属レスラーはピカチュウを筆頭に7匹ではあるが、そのうちの1匹・ハリマロンは先日来の試合において負傷し故障者となってしまっている。
さらに残された5匹も3匹がまだ試合には出られないような練習生であり、更に2匹は団体の成立を維持する為、名目上のみのレスラー登録がされた者達であったことから、今現在この団体で試合ができる者はハリマロンとピカチュウのみに限られた。
すなわちそれは稼ぎ頭が2匹しかいないという意味でもあり、そんな団体は常に資金難による貧困と倒産の瀬戸際にあった。
拠点である道場を構えているとはいえ、それは高架下にほぼ無許可でバラックを建てただけという一般住宅よりも粗末なもので、事実そこで寝起きをして訓練をするポケモン達とトレーナーの生活は、ホームレスと大差のないものですらあった。
当然のことながら満足に食べるにも事欠く生活の中において……その時の事態はさらに深刻の度合いを増していた。
こともあろうか、負傷して床に伏していたハリマロンの容態が悪化した。
先日の試合において、トップコーナーからのニードロップを受けたハリマロンは胃を損傷していたのだ。
負傷の場所が胃であるだけに満足に食事をとることもできなければ、自然治癒させるにも重症に過ぎるその傷にハリマロンは日に日に衰弱していった。
そんな彼を医者にかけようにも、知っての通り先立つものがこの団体には無い。なにせ日の食事にも欠くような有り様であるのだから。
一プロレス団体であると同時にこの場所は、ポケモン達にとって孤児院のような役割もまた担ってきた場所である。
その中においてハリマロンの惨状は、他のポケモン達にとっては血を分けた兄弟が死に逝かんとしている状況と同じであるといえた。
もはや意識すら保てず日々苦しみに唸り続けるばかりのその傍らで、ただ絶望の涙に暮れるピカチュウに対し──彼女達のトレーナーでもあり、そしてこの団体の代表も務めるユンストはある提案をピカチュウにする。
「非合法ではあるが……臨時収入の得られる試合がひとつだけある」
ユンストの言葉にピカチュウは一も二もなく、その試合のマッチングを願い出る。
しかし……
「完全非合法の賭け試合だ……何でも有りに加えて体重制限も無い」
そもそもが「興行」の言葉からも分かる通り、P・レスリングとはエンターテイメントショーの一環である。
ゆえに表舞台では『何でも有り』を唱いつつも、そこには暗黙の了解として同重量同士の選手がカードとして組まれたり、あるいは体格差のある対戦では一対多とするなどの調整が行われるものである。
しかしながら今ピカチュウが望もうとしているそれは、そんなルールの縛りと保証とが外された完全デスマッチに等しかった。
とはいえピカチュウの決意を確定せしめた理由にはもうひとつ……通常の試合ではあり得ない破格のファイトマネーにもあった。
その額たるや、実にこの一試合でピカチュウの一年分に匹敵するかという額だ。さらにあわよくも勝とうものなら、そこへさらに賞金までもが上乗せされる。
プロレス業になど従事している以上、危険は覚悟の上である。
ピカチュウは改めて試合のマッチングをユンストへと頼み込み──かくして地下デスマッチへのピカチュウの参戦が決定した。
ピカチュウの参加表明を受理するや、わずか翌日には彼女の試合がマッチングされた。
当日某所の地下リングへと降りたピカチュウに対し、そこの控え室においてユンストはあるものを手渡す。それこそは、一着のコスチュームであった。
黒を基調にオレンジのアクセントでまとめられたそれは、覆面とセットになった全身タイツ型の物である。
覆面の額部には電気を連想させるイナズマ線が白くくりぬかれており、さらにはメスであるところのピカチュウを象徴するかのよう、その端がハートに象られていた。
そんなコスチュームにピカチュウは一目で魅了されては嬉々として袖を通す。
ユンストの思惑としては正体を隠す意味合いと、さらには皮膚表面の擦過を軽減できればという点からの配慮ではあったのだろうが、一レスラーとしてのピカチュウにとって斯様なリングコスチュームは純粋に嬉しい贈り物であった。
いざそれに身を包んでは控室にある姿見の前に立つ。
伸縮に富んだナイロン繊維によるコスチュームは、締めつけるようピカチュウの身に張り付いては、今まで毛並みで曖昧になっていた彼女のボディラインをくっきりと浮かび上がらせた。
隆起した胸元と僅かにくびれを浮き上がらせた腰元のラインは、ピカチュウとはいえどこか艶めかしくも映る。
一方でピカチュウもまた一体感に富んだ着心地と、さらにはその色合いを気に入っては何度も姿見の前で回っては腰元のシッポや、はたまた身をひねっては背後から振り返る自分を確認して悦に入るのだった。
思えば……この瞬間こそが、ピカチュウのレスラー人生において絶頂の瞬間であったのかもしれない。
やがては控室に開始10分前のアナウンスが響くと改めてピカチュウは試合への決意を新たにする。
この一試合を乗り越えればハリマロンの治療費を捻出できる……それだけではない、ジムの妹弟達にも満足な食事を提供してやれるのだ。
「よし……時間だ。行くぞピカチュウ!」
ユンストの声に我へ返るとピカチュウも太く短く吼えては気合を入れる。
薄暗い花道を辿り、ライトアップ眩いリングへとピカチュウは進んでいく。
しかしながら──
その先に待ち受けるものがリングなどではない、凌辱と残虐の供物台であることを……この時のピカチュウはまだ知る由も無かった。