※ 注意!
この章にはポケモンに対する、流血を伴った暴力や凌辱、レイプ、肉体の欠損、虐殺行為などの、残虐的な描写が含まれます。
自己責任のもと、お楽しみください。
二戦目を生き延びた時に──ピカチュウはこの地下試合での役割を知ったような気がした。
ここにおける自分とはオッズの対象などではなく、本戦の合間に観客達を楽しませるショーの一部なのだ、と。
そしてそのショーはピカチュウの血肉によって彩られることも……。
それに気付いた時、おのずと自分の命運というものもまた悟った気がした。
おそらくはもう、生きて地上に出ることは叶うまい。
あのガオガエン戦より三日後──再びリングへと立たされたピカチュウは、満身創痍の肉体に比例するよう疲れ切った精神でそんなことを考えていた。
対面のコーナーには既にキョジオーンが待機している。
そのあまりの巨大さに最初、ピカチュウはこれを対戦相手だとは認識出来なかった。
演出用の舞台装置だと思っていたそれが本日の対戦相手なのだと聞かされて、ピカチュウは先の真実を知るに至ったのである。
セコンドではユンストが何かアドバイスもしてくれていたが、もはやピカチュウにはそんな声も一切耳に入ってこない。
前試合のレイプにより今の彼女の心は半ば死にかけているに等しかった。
この時のピカチュウの心境としては、もはや死んでしまいたいという捨て鉢の気持ちにあった。
連日の恐怖と暴力とに晒され続けたピカチュウには、もはや数分先の未来ですらそれを望む気持ちにはなれなかったのだ。
ただ……
──ハリマロンに会いたい……
不思議とその想いだけは、絶望が度合いを深めるたびに輝きを増し、今やピカチュウの両足を支える唯一の動力であった。
そして、斯様に半ば酩酊しているような状態で試合開始のゴングは鳴らされてしまう。
傷による身体の不具合もあって、ノロノロとリング中央へと歩み出るピカチュウを捉えるや──突如キョジオーンが動いた。
大股に、一歩で互いの距離を縮めてくる動きはその巨体に似つかわしくないほどに俊敏であった。
そうして右腕を振り上げるや、そこから打ち落とされた一撃がマットを粉砕する。
寸でのところでそれを躱すピカチュウもしかし、同時に砕け散ったマットの様子に足元がコンクリートで固められた特設リングであることもまた悟る。
いよいよ以てダメかと自嘲しながら、繰り出されるキョジオーンの攻撃を避け続けるピカチュウの脳裏には、なぜこんなことになってしまったのかを問う思いが走馬灯のように巡っていた。
思えばこれはハリマロンが負傷した時から仕組まれていたことだったのではないかという疑念が立ち上がると、次には自分が『ザ・ハイリスク』へと入団した時からもうこの運命が決まっていたのではないかという疑惑にも囚われる。
……否、そもそもがこの『ザ・ハイリスク』そのものが、この場所へ生贄をささげる為の装置なのだとしたら?
才能など微塵も無い情熱だけのポケモンを集め、そのなかで最低限のショーが行えるように基礎と知識を仕込んでは、次に仲間や団体の結束をダシに逃げられない状況へと追い込んでこのリングに立たせる……──
しかしピカチュウは頭を振り払ってはそんな自分の考えを追いやった。
この日、唯一まともに意識が明瞭となった瞬間だった。
『ザ・ハイリスク』は──あの場所とそしてトレーナーであるユンストも含めた仲間達は、ピカチュウにとって掛け替えのない存在であった。
それを一瞬でも疑ってしまったことを己に恥じた。
そしてそれを思い直す時、なおさらにハリマロンへの慕情が胸に募る。
その思いが再びピカチュウに生への渇望もまた呼び起こしていた。
──こんなところで死にたくない……あの、みんなのいる家に帰ってもう一度ハリマロンに会うんだ……!
脳裏には道場で過ごす仲間達との日々や、そしてハリマロンの姿がいっぱいに広がった。
しかしそんな僅かな希望も──非情の運命は無惨にも摘み取ってしまう。
打ち落とされたキョジオーンの左拳が、ピカチュウの尻尾を捉えては彼女の動きを完全に制した。
逃げ回るピカチュウに戦闘の意思が無く、なおかつ制限時間いっぱいを逃げ切ろうという魂胆を読んだ時、キョジオーンもまた戦法を変えた。
わざとピカチュウに逃げ道を確保するような攻撃を繰り返しては彼女を誘いこんでいき、そして完全にピカチュウがそのルートを辿り始めた瞬間に──この鉄槌にて退路を遮断したのだった。
一方で、依然としてコンクリのリングとキョジオーンの拳にて挟み潰されている己の尻尾をピカチュウは尻もちに見下ろしていた。
もはや逃げること叶わないその状況を頭よりも先に肉体の方が察知しては、意識せずに失禁して尻の下に尿溜まりを作る。
そんな一動作を置いて我に返ったピカチュウは、己の尻尾を両手で握りしめると下敷きにされているキョジオーンの拳から引き出せないかと躍起になって引き出しに掛かった。
尾骶とあってその痛みは生半なものではなく、己で引き出そうとするそれすらもが激しい痛みを生じさせてしまい悲鳴も上げたが、それでもピカチュウはそこから脱しようとする。
いかに痛かろうが、このまま座していては逃れようのない死が待ち受けているだけだ。
しかしながらそんな一連の行為も無駄な足掻きと終る……。
目の前に再び重い衝撃が打ち落とされた。
それこそはキョジオーンの残された右拳であり、そしてその下には──ピカチュウの左足があった。
その拳がゆっくりと持ち上げられると、マットと拳骨に潰された血肉が付着しては粘着質にそこへと糸を引く。
そうしてピカチュウの目の前に晒されたのは、立体的な厚みを一切無くした自身の左足であった。
焼かれたソーセージのように表皮の裂け目から圧壊された筋繊維と、そしてそれらを突き破った骨が突出しては、かつて左足であった物体の名残をそこに見せていた。
もはや脳からの一切の命令も受け付けなくなってしまった左足を驚愕の内に見下ろせば、続く衝撃が再び目の前に打ち落とされる。……今度は右足だ。
瞬く間に両足をミンチさながらに破壊されて混乱の極みに達したピカチュウは、それでも背後についた両手で後ずさってはその場から逃げようとする。
一度に数ミリずつを後退しては血だまりの中から脱し、マットにナメクジが這いずるかのような血の筋を残して逃げようとするピカチュウをキョジオーンは直立不動に見下ろす。
そして再び、血肉に濡れた右こぶしを振り上げると──今度はそれをピカチュウの腰へと打ち落とした。
再び衝撃がピカチュウを打ち据え、そしてそれが離れるとマット状には再び砕けては潰されたピカチュウの肉体が赤い花を咲かせた。
骨盤は元より膣や肛門──そして子宮さえもが肉塊となされては、ピカチュウの目下に骨と肉片の残骸をぶちまけていた。
もはやこの段に至っては、ピカチュウもまた一切の痛みを感じてはいない。
己の体の惨状を目の当たりにしながらも、そのあまりに現実離れした光景から逃避しようと、脳は全ての痛覚をそこにて遮断したのであった。故に実感の沸かぬ目の前の惨状に、ピカチュウは自分の死を確信しつつもしかし、どこまでもそれが他人事のように思えてしまうのだった。
そうした一切の感情が状況に追い付くよりも先に──再度打ち落とされたキョジオーンの拳は、ピカチュウの腹部を激しく打ち潰す。
一瞬でその圧に腹腔内の内臓器は破損され、胃袋に関しては食道を競り上がり、その薄紅色の内部をピカチュウの口中から吐き出させた。
同時に血流もまた圧迫されては顔面に集まるや、眼球や耳鼻口腔を問わぬ在らゆる孔から吹き出してはその顔を瞬く間に血に染める。
もはやピカチュウは五感のことごとくもまた失い、闇の只中へと落ちていった。
何も見えず聞こえずのその世界の中、ただ血液が体から流れ落ちていく寒気だけがピカチュウを包み込む世界の全てだった。
ようやくにピカチュウも死を悟り、遥か遠くのことだと思っていたそれの到来をあっけなく感じたその時──彼女はなんとも不思議なものを見る。
見えるはずの無い目には、今このリングのコーナーポストの上に立つハリマロンが見えていた。
そして聞こえるはずの無い耳には、こんな自分のピンチに駆けつけてくれたハリマロンの力強く優しい声が届いていた。
その光景に涙が溢れた。
熱い感触が頬を伝うのが確かに感じられる。
そしてピカチュウはその方へと精一杯に手を伸ばす──
──夢でも幻でもいい……ハリマロンが、来てくれた……!
嬉しく思った。
そんな彼の勇姿を目に焼き付けたまま……いつしかピカチュウの意識は、その全てが此処より消え失せるのだった。