「二回目だってッ?」
思わぬロイグの告白を俺は声を高くして繰り返した。
事後、ベッド上のことである。
目の前ではイエッサンを下にしたニャオニクス達が、シックスナインに体位を取っては互いの膣を舐め合っている。どうやらそれぞれの胎内に出されたパートナーの精液を啜っているらしい。
そんな彼女達の後戯を見つめながらされたロイグの告白は、彼自身もまた今回のスワッピングが二度目の試みだったという事実だった。
「ずいぶんと手際も良かったし、てっきり愛好者かと思っていたよ」
『今日の段取りは前回に世話を焼いてくれた方のやり方を踏襲しただけなんです』
遡ること数か月前、ロイグもまたニャオニクスとの許されざる関係に思い悩む若者の一人であった。
彼の場合は互いに強く惹かれ合い求めあうものの、その最後の一線を越えられずに苦悩をしていた。
そんな時に、今回の俺同様の声が掛かったのだという。
最初こそは俺同様に訝しんだもののやはり最後には好奇心が勝ち、そこにてロイグとニャオニクスはめくるめく一時を体験することとなった。
以来、二人の仲は飛躍的に発展した。
場所を問わずセックスをするようになったし、当然のことながらその数に比例して二人の愛は深まっていった。
しかし同時に、回数を繰り返すことによるマンネリ化は避けられない。
なまじニャオニクスが旺盛な性格であることも手伝ってか、彼女の要求は日に日に強く、そして大きいものへとなっていった。
そんな愛をもて余しては話し合いを重ね、そして二人が辿り着いた回答こそ──再度のスワッピングに他ならなかった。
そんな折りに、ロイグは俺達のSNSを発見したのだという。
『お誘いを掛けた時は、あなた方も経験者だと思ってました』
それゆえに俺達が初挑戦となることを知ってからは綿密にその準備を進めてくれたらしかった。
しかしながらそんなロイグの労は報われて、俺達にはこれ以上にない恩人とすらなってくれた。
改めてそのことも伝えて礼を言う俺にロイグも慌てた様子で手を振っては謙遜をする。
つい数時間前に出会った時には底の知れない人物だと不審にさえ思ったロイグも、こうして笑う顔を見るに歳相応の青年に見えてくるのが不思議だ。
……もっとも俺と比べてもたいした歳の差が無いことを考えると、向こうの方がずっと大人ではある訳だが。
そんな話をしていると、ふいに寄り添ってきたイエッサンが膝元に上がりながら俺を見上げてきた。
見れば隣でもニャオニクスがロイグに抱き着いてはその顔に猛烈なキスの嵐を見舞っている。
改めて見つめ合うイエッサンのその顔は、どこまでも落ち着いていてそして朗らかだった。
あんな経験をした故か、それともまだスワッピングの高揚感が胸にくすぶっているのか、今この瞬間の俺達は言葉など必要としなくとも通じ合うのが実感できた。
それを証明するかのよう、俺達は示し合わせたようにキスをする。
舌同士を絡め合う濃厚なそれを繰り返していると、やがては自然に昂っていき──俺は覆い被さるようにして彼女を押し倒した。
イエッサンもまたそんな俺のキスに応えながら伸ばした手を亀頭の先端に被せてはすくい上げるようにして、優しく愛撫しては刺激を促してくれる。
やがては俺の勃起を待って──俺達は再び結合を果たした。
隣にロイグ達がいることなどおかまいなしに愛し合う俺達ではあるが、そのロイグとニャオニクスもまた同じように強く愛し合っている。
スワッピングを目的に集まったはずが、結局は互いのパートナーを求め合うことに俺達は夢中となっていた。
その後、数時間を同じ空間で過ごし幾度となくセックスを重ねた俺達ではあったが、パートナー交換をしたのは最初の一回きりであった。
俺は幾度となくイエッサンを抱き、そして彼女もまた俺を受け入れてくれた。
いつしか俺達は疲れ果て、互いに抱き合っては夢現に意識が白ずむその中において──これからも共に在る未来を夢想しては、この上なく満たされた気持ちで眠りにつくのだった。
あの日の一件以降──俺はSNS上にて本名を公開し、イエッサンとの関係を一切隠すことなく公とした。
それに対し強くそれに共感する者もいれば、俺との距離を取る者もいたりとその反応は様々であった。
賛同してくれた者達にしても、単なるポケモンとの性交という一側面しか捉えられずに、興味本位の卑猥な質問してくる輩も多くいた。
しかしながらそんな俺達の関係を見守る者達の中には……真剣に、種の異なるパートナーを持つことへの悩みを相談してくれる人達もいた。
──[ パートナーとの愛を確認したいのですが勇気がもてません。本当にこの気持ちが愛なのか分からずに不安です ]
ある時に送られてきたそのDMの一文に俺は目を止めた。
短いながらも、そこに込められた想いは複雑かつ真剣なものであることが、なぜか俺には直感で悟ることができた。
その相手はヒスイダイケンキであり、幼少のみぎりからパートナーであったことから気持ちこそは通じあっているものの、それを決定付ける一歩が互い踏みだせずに宙ぶらりんの状態となっている……との事であった。
その相談に対し、どのようなアドバイスを送ろうか考えたとき──俺の頭にはひとつの解決策が浮かび上がっていた。
「イエッサン。また、やってみたいんだけど……どうかな?」
傍らのイエッサンを呼び寄せては俺もまた彼女へと相談をする。
俺からのその申し出にイエッサンも最初、その質問の意図を図りかねて小首をかしげたが、俺の膝の上に上げてやりモニターに表示される相談者とダイケンキの画像を確認させると──イエッサンは口元に両手を宛がっては息を飲んだ。
何事でもない、このカップルとのスワッピングを再び俺は彼女へと打診したのである。
それを受け、イエッサンは俺の胸元へリクライニングよろしくに背を預けてはもたれ掛かった。
そうしてチラリとこちらを見上げるや、その口持ちが小さく微笑む……どうやらOKのようだ。
それに感謝するよう俺も背後からイエッサンを抱きしめると、その頬や首筋に幾度もキスをする。
それを受け、楽しげに笑ってはやがては自身からもキスを返してくるイエッサン。
救われるのは彼らだけではないのだ。
この次にスワッピングを経た時に、俺もまた彼女をどれだけ愛しく感じるることだろう……そのことを考えると既に辛抱たまらなくなり、俺は荒々しくもイエッサンの唇を奪ってしまうのだった。
【 ポケモン・スワッピング 完 】