改めて事態の重さを実感したのは夜になってのことだった。
夕食も済み、風呂や就寝といった夜の準備を始めようかと思ったその矢先、やにわに家の中が騒がしくなった。
リビングから聞こえてくるデンリュウの騒々しい声に、キッチンで洗い物をしてネクスは何事かと思い首を伸ばす。
カウンター仕切りを隔てたキッチン一体型のリビングを望むと、そこに思わぬものを発見してネクスもまた息を飲む。
そこに居た者は──誰でもないメガシンカを果たしたデンリュウであった。
「ど、どういうことだ? 進化なんて命じてないぞッ?」
日中にメガシンカをさせて以降は、夕食を共にしたつい先ほどまで彼女は元のデンリュウであった。
それが少し目を離した隙に、しかももはやパートナーである自分の介入も無しに独自でメガシンカをしている状況にネクスも驚きを隠し得ない。
しかしながら斯様なデンリュウが慌てふためいている理由は、そんな突然のメガシンカに戸惑うからではなかった。
デンリュウは身を捩じらせながらネクスの手を取ると、切羽詰まった様子で何かを訴えるかのよう強くそれを引いた。
何を訴えたいのかを判じかね、ネクスも誘導されるがまま連れていかれた先は──
「おい……ウソだろ?」
紛う方なきトイレそこであった。
すなわちデンリュウは、このメスの肉体での排泄方法が分からないのだ。
そのことにネクスは愕然とする。
自分とてその解決方法などは知らぬし、そもそもが異性の排泄行為に干渉すること自体に強いタブーもまた覚えていた。
それでもしかし、いよいよ以てデンリュウが苦し気に身を屈め始めるともはやネクスもそんなことに気を掛けてはいられなくなった。
「と、とにかく便座に座れ!」
まずは言葉通りにデンリュウを便座に座らせると、ネクスは冷静になろうと必死に頭を回転させる。
雌雄の違いあれども、尿道から排尿される仕組みに違いはない。
ならば、後はそのまま流れるに任せて排泄すればいいだけだ──そうアドバイスをしてトイレの個室から立ち去ろうとするネクスの服の裾を……デンリュウはひしと摘まみ取っては引き止めた。
そうして依然として涙目のまま不安げに見上げてくるその視線に、
「……トイレが出来るのを一緒に見てて欲しいのか?」
困惑の仕切りのネクスにデンリュウも大きく頷く。
かくしてネクスは、TS後としては初のデンリュウのトイレに付き合わされる羽目となった。
便座に座り込んでもなかなかデンリュウから排泄はされなかった。
尿意は限界だというのに、どうにも勝手が違うせいか肉体は無意識にそれを塞き止めてしまっているようである。
その原因の一つが、オスの時とは違い排泄器官が外へと出されていない不安感に由来するものなのだとネクスは判断する。
「男でも女でもオシッコする穴は股間にあるから、自分で開いてみたらどうだ?」
そのアドバイスを受けるなりデンリュウは一切の迷いも無く自身の股間そこへと両手を伸ばす。
そうして恥丘に指先を添え、無遠慮にそれを左右へ展開させると──突如としてネクスの視界には、咲き現れた膣の断面が露とされた。
肉厚の大陰唇とスリットの頂点に鎮座する皮かむりのクリトリス……尿道と思しき穴の周囲には充血した粘膜が皺を寄せては蠢き、そしてさらに下降したそこに膣口もまた確認しては──ネクスも眩暈を覚えては背筋を震わせる。
──オマンコ初めて見た……ッ!
無礼とは思いつつも、オスの本能に駆られてはそこから目を離すことが出来ない。
やがては見守り続ける中、そこへと伸ばされたデンリュウの指先が自身の尿道を捏ねるようにして刺激し始めた。
その動きに追従するよう、柔らか気な粘膜や陰唇といった柔肉もまたその身を蠢かせる様子を目の当たりにし、もはやネクスは痛いくらいの勃起を覚えては、それを悟られないよう身を屈めて誤魔化そうとする。
やがて自慰さながらのマッサージの果て……尿道から液体が漏れだすや、直後にはそれは細い筋となって排泄された。
空気を切り裂く長い音の筋を響かせながら排泄されるそれにデンリュウもまた喉を反らせては恍惚と身を震わせる。
「お……終わったか? じ、じゃあ後はちゃんとお尻拭いて出てくるんだぞ」
情けなく腰を引きながら、残る理性でなんとかそれを指示して個室を出ていこうとするネクスではあったが──そんな彼を再びデンリュウが引き留めた。
見ればやはり不安げな様子で頭(かぶり)を振っているその様子に……
「僕に拭けっていうのかッ?」
そんなデンリュウに負けないくらいネクスもまた困惑した表情を返した。
とはいえ分からないと訴えられる以上、無視することもできない。
かくしてネクスは巻き取って幾重かに折り畳んだトイレットぺーバーを手にすると、便座に腰かけるデンリュウの前に跪く。
それを前にデンリュウもまた僅かに背をもたらせて腰を突き出させるや──両足を上げ、眼前のネクスへと自身の膣を引き開いてはその全容を露と晒した。
途端に得も言えぬ香りを嗅ぎ取ってネクスは小刻みに喉を弾ませる。
僅かに酸味も帯びた潮の香りこそはデンリュウの膣から発せられる芳香だ。芳しいそれを前に、それこそ今にもむしゃぶりつきたくなる本能を抑え込んでネクスはデンリュウのそこへと手を伸ばした。
トイレットペーパーがそこに触れると、すぐにそこへと尿がしみこんでは濡れ細り、二人の肉体の境界を曖昧とさせてしまう。
それでもしばし右手を前後させているとやがてはそこの紙も解け落ちては、ネクスの指先にデンリュウの膣の感触を直に伝えた。
陰唇の溝へと人差し指が潜り込み、さらにはそれに包まれては弾けるような弾力を伝えてくるに、ますますネクスの興奮も静かに昂っていった。
それでもしかし最後の一線は超えまいと手を止め、この行為を切り上げようとしたその時──やにわに伸びてきたデンリュウの手が引き下げようとするネクスを引き留めた。
その行動に驚いて顔を上げればそこには既に、身を仰け反らせては開け放った口角から垂涎しつつも悶え喘ぐデンリュウの姿があった。
こともあろうに彼女はネクスの指先を使い、今度こそ正真正銘の自慰をそこに果たしていたのである。
その思わぬ状況に混乱するあまり、為されるがままに事態を見守り続けるネクスの前で一際高い声を発したかと思うと──デンリュウは一際強くネクスの指先をクリトリスに押し付けたまま絶頂を迎え入れてしまうのだった。
再度の放尿よろしくに膣口から上がった飛沫がネクスの右手を……更にはそこに陣取る鼻先にまで飛散してはその顔を汚してしまう。
それを受けてもなお茫然自失とするネクスと、ふと未だ絶頂の余韻から抜けきれぬ二人の視線がふと絡み合う。
玉座の暴君さながらに便座へと身をもたらせるデンリュウは、そんな自分の足元に跪くネクスを確認するや──浅ましくも妖艶に微笑んでは、見せつけるよう下唇を舐め上げてみせるのだった。