まるでそうすることが当然かのよう……それどころか無垢な子供が親から与えられる飴細工を疑いも無く口にするよう、ウェーニバルはジー・クのペニスを咥えた。
嘴を細めては内頬を窄ませ、排泄器官を口にしていると言った嫌悪などは一切感じさせずにしゃぶり付いてくるウェーニバルは、そうしながらも真っすぐにジー・クを見つめていた。
在りし日のどこか眠たげで切れ長だった眼差しとはうって違い、下瞼の輪郭に丸みを帯びるクワッス然としたどこまでもあどけないまなざし……。
幼児退行を引き起こしている現状と併せるに、そこには純な子供が意味も分からずにこの行為に興じているのだろうが、
「あ、あぁ……そんな風に見つめないで……!」
そんな眼差しと背景はむしろ、罪悪感によって一層にジー・クを興奮させる結果となった。
まっすぐに見つめられながらフェラチオを受けていると、ジー・クは頭の奥底がむず痒くなるような感覚に襲われる。
本来であるならば、こうも真っすぐに見つめられる行為にはある種の不快感を覚えてしまう性質ではあるのだが、この時ばかりに限ってはそんな彼女の視線とフェラチオとの組み合わせが何処までもジー・クには快感を覚えさせてならなかった。
そして遂には感情と肉体のシンクロに絶頂を予期し、
「わ、わわ……ストップ! 一旦ストップだよ、ウェーニバル!」
ジー・クは突如として腰を引き強制的にウェーニバルの口中からペニスを引き抜くと、外部の空気にさらけだしたそれを痙攣させながら身を震わせた。
危うく彼女の口の中で達してしまうところだったのだ。
個人的な思惑としてはそのまま絶頂してしまいたいとも思ったが、まだ頭の中では『射精すなわち排泄行為』という印象があることと、そして何よりも断りもなしに突然ウェーニバルの口中へ射精してしまうことは、流石にデリカシーがなさ過ぎると思った。
──こんなふうにイタズラしておいて今さらだけど……
当然ながら今の自分の行為を棚上げにしておいての気遣いではあるが、たとえ矛盾していようともジー・クの根底には彼女ウェーニバルを大切に扱いたいという強い思いがあったのだ。
一方で腰元のウェーニバルはと言えば、幼児めいた呻り声を上げてはジー・クのペニス一点を見つめたままそこへとを必死に舌先を伸ばしている。
この淫らなおしゃぶりの続きを欲している彼女を目の当たりに再び強い興奮も鎌首をもたげたが、それでもジー・クはそれを振り払って理性を保つ。
このまま肉体的な関係を続けることは厭わない──もはや彼女と一線を越えることの覚悟と開き直りは、既に己の中で決定はしている。
要は、そうであってもトレーナーたる自分がリードをしたいと思っていた。
再び腰元を彼女へと寄せ、その鼻先に亀頭の先端を近づけさせると──彼女は餌に食らいつくかのよう顎先をねじらせては、反らせた喉元を天に向けるようにしてジー・クのペニスへと食らいつく。
そのまま先ほど以上の激しさで吸引と水音を響かせるウェーニバルのアプローチに震えながらも……ジー・クの右手は彼女の股座へと伸ばされていた。
両膝を折り、太ももを体に付けるようにして足を畳んだ彼女の股間はあけすけに開帳されては、お漏らしよろしくに愛液を滴らせた膣をそこに解放させていた。
その表面をジー・クの指先が這わされ、さらに陰唇の溝の中へと深く中指を挿入させると、膣道を刮ぐ指先の感触にウェーニバルもくぐもった声を上げる。
依然としてジー・クのペニスを咥えこんだまま、咳き込むように呻きを上げるウェーニバル……眉元を苦し気にしかめつつ、半閉じの瞼に険をこもらせる表情は怒りとも、はたまた苦しみに耐えているとも思えるが、その実そこに満ちているものが快感を耐えるが故の表情であることをジークは見抜いていた。
だからこそそのまま激しく前後左右に指先を泳がせては存分にウェーニバルの膣内を撹拌してやる。
その激しさゆえに時折り膣口からはみ出した指先がクリトリスを荒々しくなぞり上げると、その激しい快感にさすがのウェーニバルも咥え込んでいたペニスを離しては絶叫然の嬌声を上げた。
その後もしかし、負けじと彼女もまたジー・クのペニスを咥え込む。
そうなってからはもう──絶頂への我慢比べに等しい展開となった。
鼻息も荒く、どこか恨めし気に上目遣いを送るウェーニバルの視線とペニスを取り巻く快感に震えつつも、ジー・クもしかし負けじと彼女の膣を撹拌する行為に熱を込める。
クリトリスが弱いことを既に突き止めていたジー・クの指先は、ある時期から膣外へと抜けると、押し潰すように陰核そこを擦り付ける愛撫へと変化する。
その愛撫が実にピンポイントであるウェーニバルにはもはや勝ち目はない。
彼女こそが先に絶頂へと導かれてしまうだろうことはもはや確かで、自身もそれを悟るウェーニバルは依然としてジー・クのペニスを咥え込んだまま恨めし気に自分の主人を見上げた。
そんなウェーニバルの表情を確認した瞬間、途端にリードをしていたジー・クもまた激しく胸打たれては射精までの猶予が一気に縮められてしまう。
そこにあったウェーニバルの貌とは、もはや在りし日の気品さなどは微塵も無い面であった。
快感に歪んで強(こわ)められた眉元と、限界まで潤ませた目尻から涙の筋を伝わせる瞳……そして嘴一杯にジー・クのペニスを咥え込んだその鼻腔からは、洟とも逆襲した粘液ともつかない液体が嘴の淵に沿って流れだしては──美しかったころの尊厳など残らず破壊させていた。
クワッス時代から数えて今日まで世話をしてきたジー・クですら知らないその表情を目の当たりにし、彼の中の興奮は一息に限界まで昂らされる。
そしてそんな不意打ちに近い感覚にジー・クは、
「え……ッ? あぁッ……もう!」
不覚にも緊張が解け、ウェーニバルの絶頂よりも早くに射精を果たしてしまった。
一方で思いも掛けないジー・クの射精にウェーニバルは驚くと同時、口中に溢れる精液特有の香りに中てられて、彼女もまた絶頂を果たす。
互いに慰め合っての中での絶頂とあってはその快感も一入で、先に受け入れた以上の快感をその身に覚えてはウェーニバルも体全体を硬直させた。
やがてそれらすべての衝動の波が過ぎ去り……ジー・クからの送精も止んで口中の物も残らず飲み干すと──やや硬度の解けたジー・クのペニスを解放してはウェーニバルも大きく鼻を鳴らす。
そうして後戯とばかりにペニスの背に舌を這わせながら見上げてくるウェーニバルに対し……
「はあはぁ……コイツぅ、元に戻ってきたな?」
そのどこか勝ち誇った得意げな微笑みに、ジー・クは在りし日の彼女を見たような気がした。
【 つづく 】