ようやくマスカーニャに不信感を覚えたのは、彼女に誘われて丸太ベンチに誘導された時だった。
何らかの方法で俺が彼女に操られてしまっていることは間違いない……思えばあの瞳に魅入られた瞬間に体の自由が利かなくなってしまったように思う。
しかしながらこの時の俺の心を占めていた感情は、そのことに対する驚きよりもむしろ、悲しみの方が大きかったといえる。
なぜ親友にそんなことをするのか──その思いが強かったのだ。
従来通りならば、互いの嫌な部分にはしっかりとNOや、それを訂正する意見なども言えた俺達ではあったが、肉体の自由を奪われてしまっている今となっては呻き声を上げることらも叶わない。
やがてベンチのひとつに辿り着くと、マスカーニャは一人その上に腰かけては両足もまた座面に上げた。
両膝を折り、さながらM字開脚に股座を展開させる彼女はどこか得意げにそこから俺を見上げてくる。
下瞼を妖艶に上ずらせた微笑みで見上げてくる淫靡な表情は、今の催眠状態であることを差し引いても蠱惑的だった。
そうして彼女は俺を見据えたまま自身の股間へと右手を忍ばせるや……おそらくは膣がある場所と思しきそこを、重ねた指先で円を描くように撹拌し始める。
しばしそうした単調な動きを繰り返していると、そこからは明らかに粘着質な水音が奏でられ始めた。
もはや彼女が性的な感情を俺に対して向けているのは疑いようもない。
俺自身もそんなマスカーニャの自慰めいた行動に釘付けになっていた訳ではあるが、そんなオスの浅ましさを哂うかのよう彼女は短く一声を発しては俺へと呼びかける。
『屈んで』……と命じるそれを受けて、俺はマスカーニャの正面において膝を折った。
途端、目の高さにはマスカーニャの局部の全容が晒される。
タイツ然とした褐色の毛並みの中に一線の小さなスリットが走っていて、そこからは小陰唇の一部が小さくはみ出していた。
黒地の中にあってそれは、さながら白い花がそこに咲いているかのような儚さと愛らしさが感じられた。
そしてその反面、異様な存在感を放っていたのはそのさらに下で鎮座する肛門の存在だ。
先の膣が花弁だとするならば、肛門こちらは堅い蕾といった様相である。
肉厚で真っ黒に色素の沈着したそれには、もはや海洋生物にも通じるような生々しさがあった。
別段それを不潔に感じた訳ではないが、それでもそのグロテスクに過ぎる見た目を前に強いタブーを感じた次の瞬間──その悲劇は引き起こされてしまう。
再びマスカーニャの短い命令が発せられる。
今度の声は『舐めて』と懇願するもの──正直、この体位へと誘導された時からそうなるであろうことの予想はついていた。
……というか俺自身、それを望んでいた節もある。
目の前に咲く陰唇の花弁に舌を這わせたい衝動に駈られては、胸の内に強い興奮を覚えていたからだ。
やがてはまた俺の体も命ぜられるままに動き出し、伸ばした舌先を膣のスリットへ潜らせるかと思われた矢先、事態は予想外の方向へと展開する。
下降する俺の鼻先は目的であったはずの膣を通り抜け、さらにその下へと降りて行った。
──ま、まさか……ウソだよなッ?
思わぬ展開に内心をさざ波立たせるそんな俺の目の前には……あの黒ずんだ肛門が待ち受けている。
俺の到着を待ちわびてはあの肉厚の瘤をすぼませては膨らませるといった収縮運動を繰り返すマスカーニャのアナル……やがてはそこへの到着を前に俺の舌先は突き出され、
──やめろ! やめてくれぇ……ッ!
そうしてそんな俺を迎え入れるべく、閉じられた肛門の間口がうっすらと開いた次の瞬間──俺の舌先はその中へと埋まってしまうのだった。
斯様な粘膜の接触にマスカーニャはアゴを突き上げて高い声を上げた。
同時に俺の舌上に強い塩辛さと同時に鋭い苦味が走る。
それでも舌の進行は留まらず、さらに会陰へと鼻先を押し付けるや遂には──俺はディープキスよろしくに、彼女のアナルを丸々と唇の中に収めてしまうのだった。
そこからは執拗な愛撫の始まりだった。
俺は幾度となく唇を吸い付けさせてはマッサージさながらに彼女のアナルを解してやる。
口中における斯様な愛撫を受けてさらにアナルの間口が開くと、すかさずにその中へと俺の舌は挿入された。
もはや舌全体を直腸の中に収めてしまっては縦横無尽にそれを暴れさせて腸壁を刮ぐ愛撫に、マスカーニャは牙を食いしばって嬌声を上げる。
同時に鼻筋に触れていた膣からも放尿然として潮が吹き上がるのを感じると、俺はそこへも指先を這わせていった。
人差し指と中指の指先を縁に添えてそこから左右へ開くと、眩しいくらいに無垢な肉の断面がそこに展開された。
皮かむりのクリトリスの下に鎮座する尿道からは緩やかに粘液が滴り、さらに下降した膣口は内壁の肉瘤がせり出してきてはその穴をみっちりと塞いでしまっている。
見るからに弾力と締め付けが期待できそうなその中へと、俺は無遠慮に重ねた指二本を挿入した。
大量に浸出していた愛液の滑りを帯びて、指々はスムーズにその中頃までが一息に埋まってしまう。
期待通りの熱い体温と粘着質に吸い付く弾力に忘我しては指のピストンも開始すると、マスカーニャは牙を食いしばっては低い声を呻り上げた。
同時にアナルからも口を離すと、口中ですっかり蒸らされては脱力したその間口へ俺は新たな指先を這わせる。
そうして唾液と腸液に濡れそぼったその中へと──俺は無遠慮に左手の中指も挿入してしまうのだった。
アナルに中指、そして膣には右手の人差し指と中指の二本──それらを同時挿入され、さらには交互の抜き差しによって肉壁を摩擦される感覚にマスカーニャも息を押し殺しては身を仰け反らせる。
軽快に一定のリズムを以てピストンする膣とは裏腹に、アナルに収められた中指は直腸壁を刮ぐよう押し付けられては掌を返しながらぐるりとなぞられていく。
時折り膣の深部で肉壁ごしに直腸内の指先と触れ合うと、そこに生じる快感にマスカーニャは咳き込むような短い声を発しては浅い絶頂を繰り返す。
一突きごとに尿道からは壊れた蛇口よろしくに小刻みな排尿が為され、直腸内も激しく蠕動しては幾重にも俺の指全体を締め上げた。
その様に、マスカーニャにとっての今日最大級の絶頂もまた近いことを悟った俺は、膣と肛門交互のピストンをさらに激化させた。
左右共に残像を帯びるほどの速さと激しさを以て突き崩していく動きに、いよいよ以てマスカーニャは呼吸を止めては最後の瞬間へと意識を集中させていく。
もはや声すらも無くし、ただ天を仰いでは開け放った口中から舌を吐き出して目を見開く姿は、まさに屠殺寸前の獣だ。
交互に抜き差しされていた膣と肛門の指の動きはついに同調し、同時に突き入れられては深部をえぐり突く動きに発展していく。
膣においては子宮口に、そして直腸においてはS字結腸の突き当りに指先が当たって激しくそこを突き崩すピストンを敢行すること数巡……ついにその瞬間は訪れる。
解放に備えるべく下半身の二穴は元より、表情においてもきつく瞼を閉じて牙を食いしばるマスカーニャの肉体の凝縮が遂に絶頂を迎えたその瞬間──彼女は強く長く嬌声を発すると同時に、この日最大の絶頂を迎えた。
見開かれた瞳からの涙や口角からのヨダレはもとより、膣部においては滝のように吹き出す放尿とが、その前に陣取る俺へと上下から激しく浴びせかけられた。
左右の指先は嚙みつかれているかと思うほどに激しく締めつけられ、時折り来る肉の痙攣を電気ショックのように伝えてくる。
斯様な力みに仰け反らせた胸元を打ち震わせていたマスカーニャであったが……やがてはそれも解れ、あとは液体へと溶けるかのよう脱力していった。
首をうなだれて俺の目の前に晒される彼女の表情たるや、涙に濡れた上目を剥き、伸ばされた鼻の下とだらしなく吐き出された舌という弛緩した顔で苦し気にか細い呼吸を繰り返すばかりの憐れなメスの貌に他ならない。
その表情には、先ほど俺を誘惑した時の余裕や尊厳は微塵も残されてはいなかった。
そんなどこか切なげにすら見えるその表情がたまらなく愛おしくなって、
「ッ……マスカーニャ!」
俺は断りもなしに彼女の唇を奪った。
吐き出されていた舌先を吸い込むようにして口中に取り込むと、あとは幾度となく顔の角度を変えながら鼻先を擦り合わせる粘着質なキスを展開していく。
一方のマスカーニャもまた、茫然自失としながらも口だけが別個の生物のように蠢いては俺のキスに応える。
そうして唾液は元より、涙や洟すらも溶け合った体液を互いの口中で撹拌しては味わう俺達──そんなキスを繰り広げながら、俺は自身の股間で芯を持ち始めたペニスを持て余しては、ジッパーからそれを取り出すのだった。