呼び覚まされる声に反応して意識を結ぶと──仰向けに寝ているであろう俺は、頭側から互い違いに見降ろしてくるポケモンを視界にとらえた。
まだ目の焦点が合ってないのか全体の輪郭がぼやけて、目の前にいるそれが何者なのか分からない。
瘦身のシルエットはそれなりに身丈が高く、そんなポケモンに知り合いがいたかどうかも怪しかったが、不思議とそれから発せられる声には懐かしい響きを感じていた。
向こうもまた俺がおぼろげながらも視線を投げかけている様子に気付いては、また一段と声のトーンを上げて喜悦の感情を大きくさせる。
体躯の大きさからみても最終進化系には違いないだろうに、その妙に子供らしい反応のギャップに俺の困惑は更に増すばかりだ。
やがては大きく身じろぎして凝り固まっていた肉体を解そうとする俺であったが──その瞬間自身の肉体に違和感を感じては、俺の寝ぼけまなこも一気に覚醒を果たす。
体を鉛直に伸ばした俺は両足の感覚が無いことに気付いたのだ。
否、正確には足先まで骨や筋肉の通っている感覚はあるものの、そこに左右の脚部を認識することが出来ない。
さしずめ両足を閉じ併せては一つの状態に矯正されているかのような違和感には、爪先やくるぶしから先の『足首』の感覚も無くなっていた。
その異常事態に驚いて身を起こし、自身の体を見下ろす俺はそこにて言葉を失った──目の前には、人魚然とした肉厚で巨大な尾鰭が横たわっていたからであった。
改めてそれが自分の下半身であることを認識した俺はそこに力を込めてみた。
俺からの命令に反応して、尾鰭はさも自然と持ち上がり、さらに器用に左右へと動く。
脳からの命令を恙無く受信しては文字通り手足の如くに反応する自身の尾鰭……むしろそのレスポンスの良さになおさら困惑してしまう。
当初は着ぐるみ的な物を着させられているものかと訝しんで腰元を探るも、下半身のくびれの周辺にはオシャマリのチュチュにも似た透明感のある体毛が備わっているばかりで、それらに触れる触感は間違いなく生身の肉体に由来する感触であった。
同時にそれらをまさぐっている自身の両手にもまた変化が生じていることもまた確認する……改めて目の前に掲げて確認する両掌は、指々の区切りの消えた肉厚の鰭に過ぎなかったからである。
一向にその困惑から抜け出せぬまま掌を見下ろし続けていると──突如として先のポケモンの顔が覗き込んできて俺の視界を塞いだ。
思わずそれに驚いては声を上げそうになるも、そこに確認した第三者(ポケモン)の顔に俺は戸惑いも忘れて見入ることになる。
筋の通った細長く美しいマズルに、黒目がちで切れ長の潤んだ瞳……長髪を思わせる鬣には真珠の髪飾り然とした装飾が施されていて、一見するその姿はポケモンというよりは昔話に登場する『人魚姫』を思わせるような可憐さが後光のように俺の目には輝いて映るのだった。
そして同時に、初見であるはずのそのポケモンに対して俺は妙な親近感を覚えてはそのことにもまた困惑する。
目の前の彼女に対し、なぜかまったく別のポケモンのことを連想してしまったからだった。
そしてそれを確認すべく……否、むしろ無自覚に俺は『よく知る彼女』の名を目の前のそれに問い訊ねていた。
『アシマリ……なのか?』
そう問い訊ねた瞬間、目の前のポケモンの表情は泣き笑いの体で爆発した。
せっかくの端正な顔立ちが台無しに思えるほど喜色満面に表情を崩したそれを前にしかし、俺はその反応にて完全に彼女の正体を特定したのだった。
目の前のポケモンこそは、誰でもないあの妹然としていたアシマリが進化したアシレーヌであったのだ。
同時に抱き着かれるや、そこからは境も無しに顔中へキスの嵐が見舞われる。
その濃厚さたるや、アイスキャンディーさながらに舐め溶かされるかのようだ。
そしてそんなアシレーヌの舌使いを受けながら、俺も徐々に自身の体におきている変化を冷静に把握し始める。
アシレーヌが舌を這わす俺の鼻頭は自身の目で見上げられるほどに長く筋が通っていて、その先端には球体然とした鼻頭が備わっていた。
遂には俺の体の上に乗り上がる様に身を寄せては愛撫を続けるアシレーヌではあるが、そこから見下ろす俺達の体は、二対のよく似た尾鰭同士が絡まり合ってはその身をすり合わせていた。
その眺めにとある仮説が俺の脳裏をよぎる……それを確認すべくに自身の頭部へと被せるようにして両手を置いた俺は、その掌に感じる触感に遂には真実を知る。
真珠とヒトデを思わせる髪飾りの如き装飾が絡まり付いた鬣──そして今度はその手を目の前のアシレーヌへと伸ばし、愛撫するようその髪越しに背を撫ぜた俺はそのまったく同じと言って過言ではない手触りに確信を得る。
この俺もまた、『ポケモン(アシレーヌ)』へと変化してしまっているという事実に──。
思い出されるのは意識を失う直前に、オシャマリを光源とするあの光の波に飲みこまれたことだ。
あれが作用したことに間違いは無いが、はてさてこれからどうしたのか?
思いもかけない状況に置かれてしまっているというのに、我ながら今の俺には一切の焦りというものが感じられなかった。
何処までも他人事というか……捨て鉢という訳ではないのだが、妙にすんなりとこの事実を受け入れてしまっている自分が不思議だ。
しかしながらそれというのも、自分なりに理由が分かるような気がした。
それこそは何ものでもない、いま俺と身を重ねているアシレーヌにある。
俺もまた同種のポケモンになれたということは──もはやアシレーヌと褥を共にすることへの一切の障害が取り払われたということなのだから。
改めてそれを実感するや、俺もまたアシレーヌを舐め返した。
既に俺の顔を境も無く舐めていたアシレーヌの舌先と絡まり合い、そのまま俺達は濃厚なキスへと展開していく。
伸ばされる彼女の舌全体を咥え込んでは口中に引き込んでしまうと、アシレーヌはそこから感じられる直の俺の体温と唾液の味わいに忘我しては、恍惚として身を奮わせた。
俺の上に乗り上げていたアシレーヌから力が抜けていくと、入れ替わる様に体位を逆転させては一転、今度は俺がアシレーヌの上になるよう折り重なる。
キスに区切りをつけ、互いの鼻先を離すとしばし見つめ合った。
澄んだ深夜の湖面とも、はたまた夏の夜空ともつかないアシレーヌの深い漆黒の瞳が俺を捉えていた。
そんな彼女を純粋に美しいと思うと同時、愛しさの募る俺の肉体には目の前のアシレーヌを蹂躙すべくに、ある一点へ血流が集中していくのが感じられた。
メスの肉体同様、股間に穿たれたスリットの中に収納されていたペニスに血流が回るや、先細りの先端は濡れるが如き深紅の切っ先を体外へと露出させては、そこに完全勃起したペニスを屹立させる。
その気配に気づいたアシレーヌもまた自分達の体を見下ろすと、自身の股間の前で充血したその身を打ち震わせるペニスを目の当たりにしては息を飲んだ。
そしてそれを受け入れるかのよう、彼女もまたスリットの両淵に鰭先を添えさせると──それを左右へと展開させては自身の膣口を露とする。
瞬間、せき止められていた箍がはずれたことにより膣口からは生理によるおりものともいうべき出血が溢れ上がる。
それが晒されることで場に満ちる独特の臭気に鼻腔をくすぐられた瞬間──俺の一線は完全断ち切られてしまった。
アシレーヌの名を強く叫ぶや覆い被さり、勢いそのままに挿入を果たす。
先のアシマリやオシャマリの時と違い、肉体的成熟の成された肉体とあっては難無く俺のペニスを受け入れはしたものの、それでも未体験の『セックス』それによる感覚に翻弄されて、彼女も悲鳴に似た声を上げた。
一方で俺もまた自身の行動に歯止めが利かなくなっていた。
本来ならば知識だけであろうとも、性に営みに対し余裕のある俺が処女たるアシレーヌのリードをしてやらねばならないはずが……ペニスにまとわりつく熱と粘膜の感触、そしてそこからあふれ出たおりものが腰元で撹拌されては立ち込める匂いに翻弄されては、俺もまた理性など保っていられる状態ではなくなっていた。
しかしながらそんな荒々しい愛し方でさえも今のアシレーヌはそれに耐え、そして快感を享受出来る肉体へと進化を遂げている。
彼女もまた両腕を広げるや、それにて俺の背を抱き包んではより一層の抱擁を求めては愛の歌を奏でるのだった。
『アシレーヌ……あぁ、アシレーヌ……!』
うわ言のように彼女を呼びながら、俺はその豊満な胸元へ頭を埋めては必死に腰を打ち付けた。
それを受け止めるアシレーヌもまた、膣壁を通じて子宮に響き渡る衝撃に失心寸前の体から、しがみ付くように俺を抱きしめ続ける。
そんな中でついに俺にも限界が訪れた。
ペニスの背にむず痒さを感じるや、斯様な射精の予期に俺はなおさらに突き上げる動きを忙しなくさせる。
それを受け、アシレーヌも喉を見せて身を仰け反らせると後ろ頭をベッドへと沈める。
もはや細かな絶頂は幾度となくアシレーヌを苛んでは、彼女を快感と窒息の繰り返しへと陥らせていた。
その中にもしかし、最大級の絶頂が待ち受けていることを察知してはアシレーヌもまたそこへと意識を集中させる。
より鮮明に膣内における俺のペニスの形状を把握し、その先端が子宮口を押し潰す瞬間瞬間に意識を集中させては快感の同調を測っていると──遂には射精を間近に迎えたペニスの痙攣に反応しては彼女の子宮もまた蠕動を開始した。
子宮口の間口が僅かに開きかけ、差し入れられるペニスの先端がその隙間に嵌まり込むように入り口をくすぐり始めると、絶頂ともつかない感覚がアシレーヌの脳内に響き渡っては体全体を痙攣させる。
それに反応して膣壁もまた収縮と激しい痙攣をおこしてペニスを締め上げてくるや、俺もまた限界を迎えてはアシレーヌを強く抱きしめた。
そして……──
『い、いく……アシレーヌ! 一緒にッ……あぁッ!』
その瞬間──ついに俺は彼女の胎において射精を果たした。
一際強く腰を押し付けての挿入を果たすと、ペニスの先端は完全に子宮内へと埋まってしまっては、その無垢な内部へと思いの限りの放精を果たしていた。
一方でアシレーヌもまた、膣以上に繊細な子宮への熱の放出に、文字通り身を焦がされる思いで身をのたうたせては、生涯でも経験したことのない大きな絶頂の波に飲まれ全身から声を上げるのだった。
互いに強く抱き合いながら、流線型の身を仰け反らせさらに尾鰭同士を絡ませ合う二匹のアシレーヌ……互いが互いに感じるそれぞれの絶頂の強さ故に、その波が引いていくと共に二匹の意識もまた忘却の彼方へと霞んでいった。
その中においても、二匹は離れ離れにならないようしっかりと互いを抱き合う。
やがては夢現のままに意識を溶かし合いながら──次の目覚めの時にはまた、互いが傍に居られることを強く俺達は望むのだった。