抱き込み、そして背に回す腕の中にはこれ以上に無い硬い金属の感触と重みが伝わってくる──。
おおよそ生物とは思えぬ抱き心地ではあるが、むしろイーウィックにはそれがなおさらに愛おしい。
より一層に抱きしめる両腕に力を籠めると、マギアナの華奢な両肩が僅かに軋んでは緊縛する形に沈み込む。
その感触に、思わず壊しかねやしないかという不安で我に返るイーウィックを、マギアナもまたその心中を図ったかのよう抱き返した。
上に乗り上げた体位からマギアナの顔を覗き込むと、赤色の点灯した彼女の瞳と目が合って、その美しさにイーウィックは息を飲む。
もはやこの時の彼にはもう、目の前のマギアナは完全に『一人の女性』であった。
それに反応するようペニスは更に充血して肥大化すると、それを胎内に感じ取るマギアナの、その無表情であるはずの鉄の面にも小さな微笑みが浮かんだような気がした。
より強く抱き返してくるそんなマギアナに思いが募ると、イーウィックは全身を押し付けてはピストンを開始する。
金属製のなだらかなフォルムの中へただ一点現れた膣口代わりの穴──その光景は、おおよそ生物の欲情を煽れる見た目とは程遠い。
しかしながらそこへとペニスを突き入れるイーウィックの怒張は衰えるどころか、挿入のたびに下腹に感じるマギアナの金属質な肌と触れ合う感触に、より一層の血流が漲るのを覚えてしまうのだった。
そしてそれを受けるマギアナも然り──。
幾度となく瞳の赤色を点滅させ、意図してか否かか僅かに開口してしまった口元からは、その奥から漏れだしてきた潤滑液が涎のよう頬の脇を横断しては筋を垂らしている。
そこにはもはや『機械ポケモン』とは名状しがたい一個の生物──快感に身悶える『一個のメス』が、感覚の限りに快楽を享受していた。
そんなマギアナの姿に更にイーウィックは発奮を促される。
幾度となく彼女の名を呼ぶたびに、マギアナの膣壁もまたキスを繰り返すよう収縮してはその響きに反応してペニスを締めつけてくるのだった。
「マギアナ……愛してるぞ……これからは、俺が君のマスターだからな……」
依然としてピストンを繰り返しながら、イーウィックもまたうわ言のようそんな戯言を繰り返す。
事実それを口にするイーウィック自身、無意識化でそれを口走っていた。
しかしながらそれを受け取るマギアナには大きな変化が現れる。
イーウィックの言葉、身を貫くその重み、そして呼吸と肌の触れ合いから伝わる血圧や脈拍数といった彼のデータ全てが快感の漣となってはマギアナの脳(AI)へ押し寄せては、彼女の中にある前所有者の情報を上書きしていく。
「マギアナ! ……ッマギアナぁ!」
イーウィックの声が掛けられるたびに自身の中の情報が文字通りに更新されることで破壊されるという、電脳故のタブーと背徳感はしかし、そんな機会の身であるマギアナにしか感じ取ることの出来ない快感でもあった。
やがては前オーナーの声すらも思い出せなくなった時、マギアナは強い絶頂を予期した。
それこそは新生の時だ──500年を超えて今この時代のマギアナとして、そしてイーウィックと共に生きる自分の再誕であった。
その産声のよう、マギアナは声を上げて絶頂した──
自分自身のその声は、それが己の物であることすら判別できぬ音色を以て響き渡る。
既に失いかけた以前の所有者(トレーナー)の元であってさえ、奏でたことの無い者であった。
そしてその絶頂は電気信号として肉体を駆け巡るや、イーウィックを包み込む膣部へもまた伝達される。
それを感じ取った肉体は著しい痙攣をそこに起こしては内部を収縮させ、さながらに繁殖を望むメスの肉体よろしくに、包み込むペニスから精液を絞り出そうとするかのよう反応した。
「あああ……ダメだ、間に合わない……ッ、中に……ごめんよ、マギアナ!」
それを受け、もはや同じくに限界であったイーウィックもまた互いに強く抱きしめ合いながらマギアナの深部において射精を果たした。
無機質の胎内に一切の遠慮も無く放たれる他者の体液の奔流にされては、マギアナも大きく身を仰け反らせては苦し身悶える。
経験則に無いその限度を超えた快感は同時、胎内に取り込んだ精液からイーウィックに関する膨大な情報を一度にマギアナのAIへと流し込む。
それに翻弄される感覚はさながら、自分の電脳部へと直にイーウィックの精液を浴びせかけられているかのような感覚をマギアナに味あわせていた。
それによりもはや、己の中の情報の全てが完全に書き換えられる瞬間──マギアナは不思議な光景を見る。
それは記録による記憶なのか、はたまた激しく書き換えられるデータの交錯により生成浚たもの尚可は分からない……。
そこに浮かび上がったものは一つの映像──そこに居た者は自分へと微笑む前所有者の光景……
彼は一言マギアナへと告げていた。
『──……これから先は、好きな人といきなさい……──』
それを最後に、記憶の中の人は忘却の彼方へと消え去った。
その別れを引き留めようと両手を伸ばすマギアナはしかし、その中に新たな温もりを確認する。
それこそはいま誰よりも深く、そして近くに置いて身を重ねているイーウィックだった。
全てがここから消え去り、今となっては顔も声さえも思い出せなくなってしまったその人にマギアナは感謝と別れを告げる。
そうして胸に去来する一抹の寂しさを慰めようと腕の中の想い人抱きしめれば──……イーウィックもまたそんなマギアナを離さずと、彼女以上に強く抱きしめてはこの場所へと留めてくれるのだった。